登校班から宇宙戦士へ 作:匿名希望
ヴァルハラの狂気から脱出し、要塞宇宙船「アルゴ」で広大なマルチバースを巡る旅に出てから数ヶ月。
ある日、アルゴの物資生成スロットが過去の「ヴァルハラ実験データ」を誤って自動復元し、ブリッジの中央に巨大なコンテナをドカンと吐き出した。
中身は――かつて6人を苦しめた「あの悪趣味なコスプレ衣装一式」だった。
【01. トラウマの再会と、平和な余興】
「うわあああぁぁぁっ!? な、なぜこの服がアルゴのストレージにぃぃぃっ!!?」
コンテナのフタを開けた瞬間、175cmの圧倒的長身を誇る総司令官ルージュが、Fカップの胸元を押さえてブリッジの隅へ脱兎のごとく退避した。
「嫌だ! 私はもうコロニーの実験体ではない! あのハイレグバニー服だけは絶対に着ないんだぁぁっ!」
「落ち着きなさいよバカ司令官!」
耐Gスーツ姿のパイロットブランが呆れ顔で腰に手を当てる。
「今はもうヴァルハラもいないし、無理やり着せられるわけじゃないでしょ。……まあ、こんなゴミ衣装、即刻宇宙のゴミ箱へポイ捨て――」
「……待って」
制止声を上げたのは、小柄な狙撃手シアンだった。
彼女はトボトボとコンテナに歩み寄ると、中から「チアリーダー衣装」と「フリフリナース服」と「ハイレグバニー」を引っ張り出し、無感情な瞳で全員を見回した。
「……たまには……息抜きに、みんなで着て……パーティーするのも……いいと思う」
「「「「え……?」」」」
「……みんな……昔は嫌々着せられてたけど……今は、私たちの自由。……誰かに命令されて着るんじゃなくて……自分たちの意思で着るなら……ただのお祭り」
シアン(隠れEカップ)の静かだが力強い「お姉さん発言」。
その言葉に、一番に反応したのは衛生兵ヴェールだった。
「あはは~! シアンちゃんの言う通りだよ?! 私、あのチアリーダーのポンポン踊り、もう一回やってみたかったんだぁ?!」
「ヴェール……!?」
ルージュが戦慄する。
「よし! 決まりね!」
工作員ノワールがニヤリと八重歯を覗かせた。
「あの頃は胸のサイズ格差でボロ負けして悔しかったけど……今はあたしたち、自由な意志でこの服を楽しめるってことでしょ! 全員、着替えなさいッ!!」
【02. 自我を得た衣装お披露目会】
数分後。アルゴのレクリエーションルームにて。
「「「「「「…………」」」」」」
そこには、ヴァルハラ時代と同じ衣装に身を包みつつも、どこか吹っ切れた表情を浮かべる6人の姿があった。
■ ヴェール(チアリーダー)
「フレー! フレー! ブラーン! あはは、やっぱりこのポンポン、回すと気持ちいいよ?!」
相変わらず部隊ダントツの超弩級Kカップを豪快に揺らしながら、ニコニコ顔でチアダンスを繰り出すヴェール。
中身が4年生男子のままなので羞恥心はゼロである。
■ ジョーヌ(魔法使い)
「……魔法使いジョーヌ。……ハッキング魔導書、展開完了」
ぶかぶかのミニ魔女服を着たジョーヌは、帽子を深々とかぶり直し、空中でホログラムキーボードを叩きながら魔法使いのポーズを決めていた。
■ シアン(レースクイーン)
「……ポーズ。……これでいい……?」
小柄な体躯(148cm)に引き締まったEカップの胸元をレースクイーン衣装で強調し、無表情のままパラソルをパカッと開くシアン。
相変わらずクオリティが無駄に高い。
■ ノワール(怪盗風キャットスーツ)
「フフン! 見なさいよ! あたしのこのしなやかなキャットスーツ姿! 闇の工作員として完璧でしょ!」
Bカップの胸元を手で堂々とアピールし、仕込みナイフをくるくると回すノワール。
かつて胸の格差に涙していた彼女だったが、今では「アジリティ(素早さ)特化のスタイリッシュ美少女」としての自分に誇りを持っていた。
【03. 指揮官の開き直りと、班長の「本当の敗北」】
そして、最後まで着替えを躊躇していた2人が、ついにステージへと押し出された。
「う……うぅ……ッ」
顔を真っ赤にして登場したのは、175cmのルージュ(ハイレグバニー)。
175cmのモデルスタイル、スラリと伸びた圧巻の脚、そして揺れるFカップ。
ヴァルハラ時代はシクシクと泣いていただけの彼女(彼)だったが、数々の修羅場を潜り抜けた現在の総司令官としての「覚悟」が、奇跡の化学反応を起こした。
「ふ……ふん! 見るが良い! 私はアルゴの総司令官・ルージュ! たかがバニーガール衣装くらい、堂々と着こなしてみせる!!」
175cmのバニー司令官が、Fカップの胸元を張り、キリッと胸を張って凛々しく凛然とポーズを決めた。
「「「おおおぉぉぉーっ!!! カッコいいーっ!!!」」」
ブリッジに歓声が上がる。
泣き虫だった1年生の隆二が、圧倒的な美しさと威厳を兼ね備えた「魅せられるバニー司令官」へと覚醒した瞬間であった。
そして――最後に残されたパイロット・ブラン(ナース服)。
「くっ……アタシだって……アタシだって負けないわよ!」
Cカップの引き締まった体躯に、フリルナース服とナース帽を纏ったブラン。
ボーイッシュな金髪と勝気な表情が絶妙にマッチし、まさに「可憐な撃墜王ナース」として完璧な仕上がりを見せていた。
(よし……! アタシもルージュみたいに堂々とポーズを決めれば、元・班長としての尊厳は保たれる……!)
ブランが自信満々に決めポーズをとろうとした、その時。
トボトボ……。
レースクイーン衣装のシアンが歩み寄ってきた。
そして、無感情のまま、ブランのナース服の胸元のリボンをそっと結び直した。
「……ブラン」
「な、なに言いたいのアタシに!?」
シアンは自分のEカップの胸元をチラリと見つめ、それからブランのCカップの胸元を見つめ、昔の優しい笑顔でこう言った。
「……ううん。……ブランは、どんな服を着ても……世界で一番、かっこよくて……可愛いよ」
「~~~~~~~~っっ!!!!(爆死)」
真っ赤になってその場に膝から崩れ落ちるブラン。
ヴァルハラ時代と違い、命令されたわけでもなく、理不尽に虐げられたわけでもない。
ただ単に「昔好きだった女の子(シアン)に、ナース服姿で正面からデレられた」という純度100%の甘酸っぱい破壊力に、元6年生男子のメンタルは完膚なきまでに撃沈されたのだった。
【04. アルゴの夜】
「あはは! ブランちゃんが真っ赤になって倒れたよ~!」
「笑うなバカ!! アタシは倒れてないわよぉぉっ!!」
「ルージュちゃん、そのバニーの耳、触ってもいい……?」
「だ、ダメだシアン! 恥ずかしい……っ!」
「さあ! コスプレパーティーの開幕よ! 宴だーっ!」
賑やかな笑い声が、宇宙船アルゴの船内に響き渡る。
かつてコロニー「ヴァルハラ」で、理不尽な実験として与えられた屈辱の衣装。
しかし今、彼女(彼)たちはその過去すらも笑い飛ばし、自分たちの「選択」として楽しむ強さを手に入れていた。
体を変えられ、名前を変えられ、無限の宇宙へと放り出された6人の子どもたち。
けれど、こうしてくだらない衣装を着て騒ぎ合える仲間がいる限り、アルゴの旅路はどこまでも明るく、どこまでも自由だった。