ヤンデレなゼクターと装者と呼ばれる少女に囲まれてます 作:タク-F
『唐突ですが貴方は死にました』
「テンプレですね。そのまま死なせてください」
『そうはいきません。現在とある世界ではイレギュラーが発生する危険が感知されました。しかしその修正をする為の手が足りません。そこで貴方にはその世界で活動して貰います』
「素直に受け入れると思いますか? そもそも僕には前の人生に未練はあっても後悔はしてません。大人しく死を選びます」
『そうはいきません。貴方には、かの世界の神を止めて貰います。拒否権はありませんが支援はします』
「チッ……問答無用かよ! クソ邪神め!」
『それでは良き人生を。あぁ……言い忘れてましたが貴方はあの世界ではそう簡単には死ねません。意識を折戻した時に死に直す等と考えても無駄なのでお忘れなく』
こうして神と名乗る者によって僕は転生する事となった。
◆◆◆
「…………で、何だここは。何処かの部屋か?」
部屋を見渡せば特に変哲のない部屋だ。何処かの一軒家の1室のようだ。とりあえずここが僕の活動拠点であり住処って事か。家の中にあるのは一通りの生活家電・家具・資金とスマホか。
「残高は……うぉ!? ヤバいな。とりあえず何処かで働くにしても様子見も出来るのか」
冷静に考えれば簡単には死ねない以上ある程度の資金は提供されるって事か。次に目を引くのは……
「ライブのチケットが置いてあるか。多分これからの行動に関わる物だろうから目を通すとして」
机の上にはチケットは……【ツヴァイウィング】? 少なくとも大型公演を開催するほどのライブのチケットか。ここに行けって……事か。
「えっと他に変わった物は……アタッシュケースか?」
僕はひとまず情報を得る為にアタッシュケースを開ける事にした。姿は思い出せないがあの邪神の言う【支援】という事か。
「コレは……ゼクターと……ブレスレットにペンダントか。入ってるのはカブト・ガタック・ザビー・ドレイク・サソード・ポッパーゼクターが2体。コーカサスやヘラクス・ケタロスが入ってないって事はTV版仮面ライダーカブトのゼクターか。そもそも1体で大抵の相手を蹂躙出来るクロックアップシステムのあるゼクターをここまで揃えて何をさせたいんだ?」
そう思ってるとゼクター達が起動した。
『ようご主人目覚めたな?』
「ガタックゼクターが喋った!?」
『ご主人さぁ……俺達にも意思があるのは知ってるだろ? 別に喋れた程度で驚くなよ。まぁこの会話は思念での会話だから実際に声を出して話してる訳じゃないが』
「確かにゼクターに意思があるのは識ってたけど君達ってそんな性格だったの?」
とりあえず起動したガタックゼクターと意思疎通を取る事にした。もしかしたら僕の識らない事を知ってる可能性が高い。ひとまず情報が欲しい。
『なんか色々知りたそうな顔してるな。良いぜ教えてやる。ご主人のこの世界での目的は、この世界で復活する神を止める事。倒せるなら倒しても良し、説得出来るなら説得しても良し。それはご主人の自由だ』
あの邪神が言ってた内容か。そしてあの邪神は言ってたな……簡単には死ねないと。
『おっ……その表情なら覚えてるみたいだな。そう……ご主人はそう簡単には死ねない。そして運命は必ずご主人を巻き込む。逃れようとせずに受け入れた方が楽だとはアドバイスしとくぜ』
「受け入れるのかぁ。どうすれば良い?」
『理解が速いのは良い事だぜご主人』
なるほど。あとはペンダントとブレスレットか。
『ペンダントとブレスレットはゼクターの触媒だ。ブレスレットに必要なゼクターを叫べば対応するゼクターが現れる。トンボやサソリの召喚の時はペンダントが対応するアイテムに変身する。俺の場合はペンダントがベルトに変わる』
「持ち運びが楽なのは便利だな」
『まずはそのチケットのライブに行けば分かる。そしてゼクターを持って行く事をオススメするぜ?』
「なるほど……危ない事があるかもしれないのか。じゃあとりあえずカブトゼクターをつ……ブヘァ!」
カブトゼクターを手に取ろうとした瞬間ガタックゼクターに横っ面からぶっ飛ばされた。えぇ……
「何何!? どうして僕ぶっ飛ばされたの!?」
『ご主人さぁ……どうして色々教えてやった俺じゃなくてカブトを選んでたんだ? アァ?』
「だってカブトは攻守のバランスが良いから何かあった時に使いやすいし……ギャア!」
『俺な? 俺を連れてけ。ハチもサソリもトンボもカブトもバッタもいらねぇ。俺がいれば事足りる。わかったな?』
「…………グォ!」
返事を渋ったら腹に突撃をかまされた。多分コレは連れて行かない限りボコボコにされるパターンか。アレ……? もしかして本編同様にガタックゼクターに僕は1度殺されるのか!?
◆◆◆
「ここがチケットのライブ会場か。えぇっとツヴァイウィングのライブだっけ……どんなアーティストなんだ?」
ひとまず転生先の自宅にあったスマホを持ち目的地の地点を入力して無事に到着し……そのまま投稿されているMVを再生する。
「…………良い曲だ。大勢のファンが心待ちにするほどの技量と、巡り合わせる運命が彼女達には存在する。実力があっても日の目を見ないアイドルが多い中で彼女達は現在ステージに立っている。願わくば長く愛されるアイドルであって欲しい」
そんな事を呟いていたら1人の少女がスマホを片手に驚愕していた。
「えぇ〜!? 未来来ないの!? 未来が誘ってくれたライブじゃん!? 私知らない人のライブに来て楽しめないよ!?」
どうやら友達とこのライブに来る約束……察するに友達の方がツヴァイウィングのファンであり彼女が共に来たという事か。なのに来てみれば肝心の友達がこれなくなったと……コレは中々運の悪い娘だ。
「……ろわかった。おばさんにお大事にって伝えてね」
少女は肩を落として通話を終える。なんか可哀想だし声をかけるか。
「はじめまして。君……は友達とこのライブに来る筈だったのかな?」
「あっ……え……はじめまして。そうなんです! なのに未来……友達が来れないって……」
「君はこのライブのツヴァイウィングについては博識なのかい?」
「いやぁ……詳しいのは友達の方なんです。私はその……」
「……なるほどねぇ。ちなみにチケットの座席は分かるかい? 僕もこの会場に来たのは初めてで今から探す所なんだ」
「あっ私も今からです! 一緒に探しませんかお兄さん!」
「そうだね。ご一緒させてもらおうか。ちなみに僕の席はs354だけど君は?」
「s355です。……未来……友達が356なんで私達お隣さんみたいですね! あっせっかくなんでお兄さんのお名前を聞いても良いですか!」
「ふむ……そうだね。コレも何かの縁だね……僕の名前は
「私の名前は立花響です! よろしくお願いします!」
「多分このライブの間だけの御縁かもしれないけどよろしくね?」
こうして僕は知り合った響ちゃんと一緒にライブ鑑賞をする事とした。
「あっ……ライブと言えばペンライトが必要だったね。オレンジと青の奴だけど持ってる?」
「あちゃ〜無いですね。買ってきた方が良いんですか?」
「予備があるからあげるよ。ライブには付きものだから今後何らかのライブに参加するならどのアイドルがどんなイメージカラーなのか確認しとくとより楽しめるかもね」
「わかりました! ご厚意に甘えさせて貰います!」
響ちゃんにペンライトを渡していると……ライブが始まったようだ。
『行くぞみんな〜! 盛り上がって行こうぜ〜!』
天羽奏の掛け声に観客が呼応して熱狂していく。ライブはアイドルと観客の一体感が強ければ強い程盛り上がれる。このライブは間違いなく素晴らしいライブになるだろう。
『まずは逆光のフリューゲルだぁあ!!!』
その熱狂のまま1曲目……つまりメインステージが始まった!
『良いな良いな! 盛り上がってるな! それじゃあ次は……っ!』
会場が興奮する中で次の曲のイントロが流れる……そんな時だった。
「ノイズだあぁ!!」
会場に悲鳴が響き嫌な匂いが立ち込める。
「なんだこの焦げ付いたような嫌な匂いは……」
「康太さん逃げないと死んじゃいます!」
響ちゃんが僕に避難を促すが……もう手遅れだろう。
「それは恐らく無理だね。今混乱してる観客がそれぞれ我先に避難しようとしてるけど既に出入り口はパンク状態だ。向かえば人の流れに潰されて圧死するし……あの化け物が狙ってる」
「ノイズです! 逃げないと炭化されて殺されちゃいます!」
「……みたいだけど、どうやらそれだけじゃないみたいだ。アレは音に反応して見える。混乱して声をあげる人間が狙われて見える……響ちゃんは声を抑えて身を低くして隠れてくれ。僕がアイツらを引きつける」
「っ! それじゃあ康太さんが危険です!」
「宛はあるから僕を信じてくれ」
僕は響ちゃんと別れてノイズと呼ばれた怪物を引きつける事にした。頃合いを見て変身すれば大丈夫だろう。
「行くぞガタックゼクター!」
『待ちくたびれたぜ!』
「変身!」
HENSHIN
僕はペンダントに音声を認証しベルトが出現した。次いで手に収まったガタックゼクターが挿入されアーマーが構築されていく。
「クロックアップで片付けたいけど……飛んでる奴が結構いるな。先に上から片付けないと」
マスクドフォームのガタックバルカンで上空のノイズを攻撃すると撃退出来ている。どうやらゼクターの攻撃はノイズに適用されるようだ。でもあの透明度……通常火器だと恐らく素通りされるのだろう。なるほど……この世界に伝わる怪物を倒すことが僕の役割という事か…………ッ! 槍と刃物だと!?
「おいあんた! さっさと逃げろ! ここはアタシ達が引き受ける!」
僕に声をかけたのは……さっきまでステージにいたツヴァイウィングの2人じゃないか!?
「お前……ステージにいたアイドルじゃないか! 僕には戦う力がある! アイドルである君達こそさっさと逃げろ!」
「奏! 後ろ!」
「ッ!」
奏と呼ばれた少女と僕の背後からそれぞれノイズが襲って来て……槍とバルカンによって消滅した。なるほど彼女達の武装もノイズには通用するという事か。
「お前……どうしてノイズと戦える!? ノイズに通用するのはシンフォギアだけの筈だ!」
「シンフォギア……それがその装備の名前か。なら今の内に逃げろ! 僕が時間を稼ぐ!」
「馬鹿言わないでください! 私達は人々を守る使命があります!」
蒼髪の……確か風鳴翼が戦意を見せてる。となれば動き方を変えるべきか……
「お前達! 空を飛ぶ……あるいは射程の長い攻撃の手札は?」
「斬撃や槍投げ程度だ。アンタは?」
「俺にはバルカン砲がある。提案だが……空の方は僕が、地上を君達に分担する……どうする?」
「奏! 私達の役割は!」
「ノイズはアタシ達の敵だ!」
天羽奏はすぐさま地上ノイズとの交戦をはじめ風鳴翼もそれに続く。
「背中は任せるぜ翼!」
「行くわよ奏!」
2人の援護が入ると処理速度が明白に上がった。いける……このまま処理できる!
◆◆◆
もう少しだ……もう少しだけ上の数が減れば……と、思っていた。
「なっ……ヤバい!」
バキッ
奏の悲鳴と槍の折れるような音が聞こえた。そして運が悪く……
「奏! 砕けた槍が逃げ遅れたあの娘に!」
僕が言い聞かせた通り身を隠して声を殺した響ちゃんが現状を知ろうと顔を出しただろうその瞬間に、砕けた奏のガングニールの欠片が響ちゃんの心臓を穿っていた。
「クソっ……僕が判断を誤らなければ!」
すぐに逃がせないから近くで守っていたが武器の破壊は想定外だ。響ちゃんを助ける為にもどうしてもノイズ達を早く殲滅しないと……
「空中のノイズは粗方落とせたか。なら……キャストオフだ!」
『CAST OFF……CHANGE……STAG BEETLE
「青のクワガタ虫……」
「コイツ等は僕が今度こそ引き付ける……だから2人は!」
CLOCK UP
僕はクロックアップして周囲のノイズを倒すがまだ多いなんて……キリがない!
「っ! 時間切れか!」
CLOCK OVER
クロックアップが解けた時ダメージを受けていたノイズは倒れるが……あまりに敵が多すぎる。
「敵が減ってる……貴方が!?」
「敵は減らした! 次の増援が来る前に早くその娘を避難させるんだ!」
奏に抱えられた響ちゃんは虚ろな表情をして呟いている。
「あはは……わたし……ついてなぃなぁ……せっかく……ライブにきたのに……トモダチもいなくてひとりぼっちで……そのうえいろいろたすけてけてくれたあのひとに……」
大分酷い出血なのに……あのうわ言が本心なら死を受け入れかねない! 手遅れにするわけには!
「おいバカ! 死ぬんじゃねぇ!」
「奏! 下手に動かせば危険よ!」
響の容態に気付いた奏は虚ろな響の瞳を見据えて言い切った。
「翼……コレはアタシ達の責任だ。アタシがこのノイズ共を絶対に倒す。そして覚えておけよ小娘……生きるのを諦めるなぁ! 」
天羽奏はそれだけ告げて詠を歌い始めた。
「止めてよ奏! 詠わないで!」
「どういう意味なんだ!? 何が起こってる!?」
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
天羽奏が詠い始めた所でエネルギーの過剰な放出が始まった。
「いけない奏! 詠っては駄目!」
「Emustolronzen fine el baral zizzl〜」
だけど風鳴翼聞いてて理解した。
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
「コレは
溜められたエネルギーが会場……いや、壊れたステージに収束していく。
◆◆◆
「見立てではコレで増援は打ち止め……保ってくれよ僕の身体!」
CLOCK OVER
「ライダーカッティング……斬撃形態!」
RIDER CUTTING
緩やかに時間の流れる世界で斬撃を放ち正面のノイズを掃討する。残るは背面のノイズで……
「ライダーキック……拡散形態!」
RIDER KICK
通常の出力を1点集約して威力を底上げする使い方とは真逆の蹴りに合わせてエネルギーを拡散するライダーキック……通常の戦い方からして決定打にはならないけど今の雑兵しかいない場合なら可能性はある。というかコレに賭けるしかない!
「あとはクロックオーバーが解ける前に……」
天羽奏の唇が震えてる。予感が正しければ恐らく詠はもうすぐ終わりを告げる。その前に止めるんだ! 悲鳴をあげる身体に鞭を撃ち彼女を押し倒す。そこでクロックオーバーが解除された。
「Em……がっ」
「奏!? まさか貴方が妨害を……!」
「がっ……あ……」
天羽奏の身に溜まったエネルギーが暴発を始める。僕はそのエネルギーを
「クワガタ野郎……テメェ……にを」
「お前はあの娘に生きるのをを諦めるなと言った! ならお前自身もその言葉を適用するべきだとなぜ分からない!」
「離れろ! 不完全だったが絶唱のエネルギーが暴発する! 巻き込まれるぞ!」
「構わない! この力の2つ名は戦いの神……奇跡の1つや2つぐらい背負えて起こせる筈だっ!」
「やめろ……やめろおおぉぉ!! 」
エネルギーが僕へと収束し……次第に光が小さくなる。身体が悲鳴をあげるが構わない……このまま彼女達を守れるなら!
「それに……僕は簡単には死ねないらしい。なら可能な筈だあぁぁぁ!!」
◆◆◆
「がっ……」
絶唱と呼ばれた波動は完全に終息した。僕の装甲は夥しい傷が走ってる。戦いの神が聞いて呆れる体たらくで名乗るのも烏滸がましい戦果だ。
「なんでアタシを助けた……アタシは……」
「お前が死に場所を探していた目をしていた。僕もその眼をしていた事があるから覚えてる。天羽奏……君はあの自爆技で死ぬつもりだったんだろ?」
「アンタにはわかるのか! アタシの気持ちが!」
「分からないさ。今日が初対面だ。だけどわかってる事はお前がアイドルとして人々に希望を与えられる存在である事。それになにより……」
僕は風鳴翼の事を見ながら続きを紡ぐ。
「少なくとも君の相方はあんな事を望んでいない。その命の使い方は考えるべきだ」
「お前は……お前は何者だ! 何故ノイズと戦える! どうしてアタシ達を助ける!」
僕は息を吸い込み言葉を告げる。
「仮面ライダーガタック……通りすがりの戦いの神さ。縁があればまた会おう」
僕はガタックエクステンダーを召喚し戦場を発つ事にした。
◆◆◆
「ぬわあぁぁ!!! 恥ずかしい! 自分から戦いの神名乗った癖に初陣からボロボロとか最悪だよ! クサいセリフを大量に言っちまったよ!」
『良いんじゃねぇの? ご主人の顔はあの少女しか見てないしそもそもあんな出来事のあとなら覚えてないだろ……』
「ん〜……しばらくガタックは封印かなぁ。姿をバッチリ彼女達に見られてるし……何より身体がしんどい」
『もっペん言ってみろやご主人』
「ガタックはしば……うごぉ……」
わかったのはガタックに変身中は多分アドレナリンがドバドバ出てる。そして切れたら反動がヤバい。そもそも身体への負荷が高い。身体が出来上がってない……というよりは僕の身体が力を上手く使えていないのだろう。
「まぁでも……せっかくの人生だ……楽しませて貰うよ」
僕の再び手にした人生は何を為せるのだろう。
奏が生存して、このあと本編にどう絡むのかお楽しみにお願いします!
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