ヤンデレなゼクターと装者と呼ばれる少女に囲まれてます 作:タク-F
「ん……あ……」
「起きました?」
どうやら僕はガタックの負担に耐えきれなくなって倒れたみたいで彼女に膝枕されていた。それとここは……
「車の中か。コレは……手錠か」
「みたいです。大きな車に乗るように言われてあれよあれよと今です」
「この車……手が込んでるな。金もかかってる……全うな人達だと良いんたが……」
車内を見渡すともう1人の女性……風鳴翼がお行儀良く座っていた。
「君はこういう状況に慣れてるのかい?」
「この車は我々の所有車両なので。申し訳ありませんが貴方にも話をお伺いしなければなりませんので、逃亡防止の観点から拘束させていただきます」
「そりゃ色々な意味で当然の反応だね。なら確認させて欲しいが、この車の行き先で僕たの疑問に対する答えを貰えると思って構わないかな?」
「貴方がこちらの質問に答えるなら……と、お返しします」
どうやら簡単には返してくれない。
「……そもそも今の僕は逃げる意思も体力も無いよ。でも良い機会だから連れて行きなよ……君達の根城に」
「元よりそのつもりです」
彼女はそれだけ告げると瞑想を始めてしまった。
「すみませんね……翼さんは気難しい所がありまして……」
「貴方は?」
声をかけて来た男性は気配を感じ難い。多分この人は相当強い……いや、下手をすれば風鳴翼よりも強いと思える。なら何故彼が戦わない?
「寝直します。到着したら起こしてください」
そう告げて僕の意識は再び微睡みへと落ちる。
◆◆◆
「……ここは?」
再び目が覚めた僕は見知らぬ建物の中にいた。周囲の顔ぶれは先程の車内にいた風鳴翼と助けた女の子に、さっきの気配が読み難い男性。そして存在感を感じる男性と温和そうな2人の男女……どういう集まりだ?
「赤髪の人……アンタは何者だ? 明らかに周囲の人間よりも強い……ここはどんな秘密組織なんだ?」
「秘密……組織」
少女が息を呑む。
パァン!
すると突然クラッカーが鳴り響きスクリーンに文字が映る。
『ようこそ立花響様! 仮面の戦士様!』
「…………ええええ!?」
少女……立花響ちゃんの絶叫が響く。対して僕も呆然としていた。ちなみに風鳴翼は頭を抱えている。
「なんで私の名前を!?」
「私達はそう言う事を調べるのは得意なの♡」
新しい声が響き振り返ると白衣の女性が歩みよる。
「それ! 私のバッグ!」
「うんうんそうそう貴女のバッグよ?」
「本題に入りませんか? 正直実は今しんどいんです」
「む? 確かに報告では突然倒れて車内でも泥のように寝ていたと聞くが……」
「まぁ僕の説明をするのは後回しの方が良さそうですね。大人しく聞いておくので貴方達の自己紹介とこの状況の説明をお願いします」
「そうね……まずは時間のかかる事から済ませましょう。響ちゃん……脱いでくれるかしら?」
「櫻井女史!? 殿方の前ですよ!?」
「あれまそうだったわ! じゃあとりあえず別室に行きましょう?」
「えええ!?」
響ちゃんはそのまま櫻井と名乗る女性に連れて行かれた。
「それで? 響ちゃんと引き離して僕に問いたい事は何ですか?」
「やはり気付いていたか。では単刀直入に聞こう……君が仮面の戦士
「…………肯定します。僕がこの街で最近噂になってる仮面の戦士達です。姿を使い分けて戦っている事が良くわかりましたね」
「元々この組織は公安に派生する組織なのでね。そして君は何処まで語ってくれるのかな?」
「公安なら自力で調べてれば良いのでは?」
「最もな意見だ」
……どうやら下手な駆け引きは難しいようだ。ならばこちらも隠す必要はなさそうだ。
「自分達より幼い少女を戦場に当然のように送り出す組織を簡単に信用するのは難しいです」
「なるほど……我々への不信感の根源はそこか」
司令さんは気まずい表情を浮かべた。どうやら戦場に送り出す事そのものには思う所があるらしい。となるとある程度良識のある組織にはなる。ならば何故彼女達が戦うのか……それを知らなければならない。この組織と敵対する可能性だってあるのだから。
「ふぇ〜……びっくりしましたよいきなり検査だなんて!」
「ゴメンなさいね〜。ど〜しても確認しないと駄目な事だったの」
そんな事を考えていると響ちゃんが戻って来た。響……その名前には覚えがあるけどまさかね?
「ねぇ響ちゃん……響ちゃんって2年前にライブ会場に行かなかった? とても大きなライブ会場だったんだけど」
「ッ! 行きました! ツヴァイウィングのライブです!」
「どうやらこちらから質問する事が増えそうですね司令さん」
「良いだろう……その質問の答えが今疑問を浮かべている響君への回答にもなるだろう。その前に君の名前を聞いても?」
「
「ッ! やっぱりお兄さんはあの日の!」
響ちゃんの中で今日とあの日の記憶が合致した。やっぱり……そうか。
「僕達がこの場に集まっているのは偶然じゃない。色々教えて貰いますよ司令さん」
「そのつもりだ。しかしこちらも検査の結果待ち……先に君の事を聞かせてくれるかな康太君?」
「良いですよ。ただ……実演する体力は現在はありません。実際に見たければ明日お見せしますよ?」
「ふむ……ならばこの話を済ませるか。2人共ノイズについて現状で把握している事は?」
「えっと……人間を殺す力があります。触られると炭化します」
「物理的な干渉が通用しない事。理屈は分からないけど彼女達の攻撃のみ通用する事……ぐらいですね」
「へぇ? そこまで理解しているのね。ノイズに攻撃が通じない理由はノイズに位相差障壁という能力が備わっているから。そしてその障壁を現状唯一突破出来るのがこの天才考古学者である櫻井了子が製作した兵装のシンフォギアよ?」
「ならそのシンフォギアを量産すれば良い。そうすれば彼女達を戦いに巻き込まなくても良い筈だ」
恐らく他にも条件はある。でもその欠点を見逃す開発者には見えない。
「そこは気になるわね。でもその答えは単純……そもそもシンフォギアに加工出来る聖遺物がほとんど発見されていない。次にどういう訳か乙女の詠にのみ反応する……サンプルが少ないから判断は出来ないけどこの仮説が正しいならいくら弦十郎君が強くてもシンフォギアは纏えない。理解してくれたかしら?」
「なるほど……見つかると良いですね男性にも適合する聖遺物って奴が」
「そうね……少なくとも今のままなら翼ちゃんに負担がかかり過ぎてる」
「ん? 翼ちゃん……? 彼女の相方もあの日の戦場にいた筈だと思うが?」
「奏は……力を失ったの。あの日以来胸の詠が聞こえないって。でも貴方のおかげで生きていられる……奏は戦えなくなった事を後悔していないと言ってたわ」
「彼女は今何処に?」
「彼女は現在広報活動を主にしているわ。主にレコーディングやアルバム製作や監修は奏ちゃんが担当しているの。あまり良い気はしないけど彼女達が頑張ってくれるから私達は動けているの」
「そんな……私の出来る事なんて微力です」
「翼ちゃん「翼と呼んでください。貴方は奏の命の恩人です。そんな貴方に庇護対象として見られるのは……」わかった。翼は立派な志があるんだね」
「翼さん……やっぱり凄い」
もしかしたら翼は僕が想像している人物じゃないかもしれない。でも今は……
「教えて貰う事はまだあります。シンフォギアとはそもそも何ですか? そして……何故シンフォギアはノイズを倒すことが出来るんですか?」
「その質問の答えだが、シンフォギアは聖遺物の力を装者の詠で引き出した兵装であり、ノイズに干渉出来る理由は、ノイズの位相差障壁をギアの力で調律して実体を捉えて攻撃が出来るからでは……と了子君は推測している」
「そしてそのシンフォギアが響ちゃんにも宿っている……と?」
「えぇ!? 私のあの姿ってやっぱりシンフォギアなんですか!?」
やはり……か。でも響ちゃんには翼と違いペンダントを所持していない。なのに何故……?
「検査の結果次第だけど響ちゃんのシンフォギアの反応はガングニール……奏ちゃんのシンフォギアと同質の可能性が高いわ。何故そうなったのかは今から調べるからそれは許してね?」
櫻井了子の言葉にそれぞれの装者が拳を握る。恐らくあの情景が浮かんでいるのだろう。
「さて。響君の疑問には答えた……とは言い難いが現時点で判明してることは以上だ」
司令さんの視線が僕を射抜く。話題の切り出しから考えてこれ以上引き出すのは無理だろう。
「次は僕の番ですね。僕の名前は天宮康太……という自己紹介は先程しましたね。そして今日僕は彼女達の前で倒れて連行されて今ここにいる。そして仮面ライダーガタック……あの戦士の正体が僕なのは貴方達が把握している事実です」
「加えて2年前に戦場に介入したのも君……そうだろう?」
「それだけじゃあありません。カブト・ザビー・ドレイク・サソード・ホッパー……それぞれ甲虫・蜂・蜻蛉・蠍・バッタを想起させる仮面の戦士の正体は僕です」
「ッ!? じゃああの黄色の蜂の戦士も貴方だと言うの!?」
『言っちまうのかよご主人……そう言うのは交渉のカードにするんじゃないのか?』
どうせ後から判明するし、ガタックの姿で倒れて捕縛されている以上隠す理由は無いよ。それに明かす意味はある……僕には足りないモノがあるからね。この組織から得なければならない。
『戦い方を……か? ご主人は充分俺を使いこなしてるだろ?』
足りてないよ。ゼクターの力に縋っているだけさ。僕には基礎が足りない……
「それぞれの姿と戦い方には特徴があります。僕は状況と必要に応じて使い分けていただけです。流石に今日はもう限界ですが明日……いえ、万全な状態に戻ればそれを証明します。今日は響ちゃんの為にもここで手打ちとしませんか?」
「そうだな……響君が帰らねば周囲の人間も困惑するだろう。だが君は……」
「貴方達の監視下に置かれても構いません。僕に家族はいませんから」
こうしてこの日僕はここに、響ちゃんはルームメイトの待つ自室へと帰った。
◆◆◆
翌日となり僕達はまた昨日の顔ぶれと同じメンバーが人払いされた荒野に集った。
「約束通り体調を整えました。証明しますが……この雰囲気は何ですか?」
僕は宣言通り1日で体調を戻し、響ちゃんは結果を聞きに……そして司令さんが何やら身体をほぐしている。
「仮面の戦士……いや、君の足跡を俺達は追っていた。昨日君が伝えた情報を精査する必要がある。わかりやすく言えば手合わせだ。俺達に力を示してくれ!」
「意外ですね……てっきり翼と模擬戦をしろと言われると思いましたよ?」
「君が言っただろう? 『少女を戦場に送り出すような組織』と。俺が戦場に立てない理由は明白だが……今回は違う。君の力は俺が測る!」
「ッ……! 律儀な人だ!」
どうやらこの人は相当優しく……そして強い人だ。
「へぇ〜ダンナ自ら戦うのかぁ〜……コレは良いものが見れそうだ!」
「応ともさ奏! お前を救ったコイツの実力を示して貰おう!」
「ならはじめましょう。コール! ホッパーゼクター!」
ブレスレットに求めるゼクターをコールしペンダントがベルトへと変化する。何処からともなくホッパーゼクターが跳ねて来て……別の方向から僕がぶっ飛された。
「「「!?」」」
『おいご主人……? どうしてバッタだ? 俺だろ? 俺の力を示すんだろ? どうして俺を使わない?』
「なんかバッタの奴がアイツの手に入ってから青クワガタが飛んで来てぶっ飛ばしたな。なんかめっちゃ怒ってね?」
天羽奏の言うとおりめちゃくちゃガタックゼクターがキレてる。
「ちょっと失礼。おいガタックゼクター! 今から始まるのは模擬戦なんだよ! お前みたいなヤバい性能の代物を使う場面じゃねぇの! 状況に応じたゼクターを使うって言っただろ!」
『関係ないね! ご主人が使うべきなのは俺だ! 俺を使って負けるなんてあり得ないからな!』
「ぜってぇお前は使わない! そもそもお前を使うと反動がヤバ過ぎだから余程のことがないと使わねぇってんだろ!」
『…………あっ! 良いこと思いついた!』
ガタックゼクターが不気味な閃きをして離れて行く……トラブルを起こして他人に迷惑をかける奴じゃないとは思うがどうにも嫌な予感がする。
「……お騒がせしました。はじめましょう」
「お……おぅ」
「変身!」
『HENSHIN……CHANGE! PUNCH HOPPER! 』
僕は仮面ライダーパンチホッパーへと変身する。ホッパーはマスクドフォームが無いのでキャストオフの手順を挟まないからそういう意味では使いやすい。
「バッタの戦士……灰色の方か。どうやら本当に噂になっていた仮面の戦士は君の使い分けみたいだな」
「安直ですがアレは仮面ライダーと呼ばれる戦士の総称です。そしてこのライダーはパンチホッパー……拳は軽くありませんよ!」
ホッパーは機動力に優れている。その跳躍力で僕は一気に司令さんに距離を詰めて右フックを仕掛けてみる。
「ッ! 速いな!」
「っ!」
しかしそのフックはスウェーバッグによって回避される。この人……やはり装者と呼ばれた彼女達よりも強い!
「まだ始まったばかりだぞ!」
カウンターに司令さんの蹴りが僕に迫り左腕でガードするが……その衝撃に僕は後退させられた。
「司令さんアンタ本当に人間かよ! 仮面ライダーを蹴り飛ばせるなんて!」
「応とも! 俺は人間さ! 飯食って映画を観て寝る! 男の鍛錬はそれだけで充分だろ!」
「それでこんなに強くなったら仮面ライダーは要らないんだよ!」
前提の訂正……この人はヤバい。様子見は生温い!
「ならこの速度……ついてこれますか!」
脚に力を溜めて瓦礫と地面を蹴りながら加速していく。軌道上に司令さんを誘い込み蹴りや拳を混ぜるが尽くが防がれ……あるいは躱される。
「速いな! 目で追えても反応が遅れそうだ!」
「防いでおいて謙遜ですか!」
まだ司令さんは様子見だ。少なくとも積極的には手を出していない……つまり速度は明確なぐらいには僕に分がある。
「そろそろ身体は温まったか?」
反撃と言わんばかりの蹴りを僕は持ち前の機動力で回避する。多分防御し続ければいずれ押し負ける!
「ほぅ避けるか! 流石の機動力だ!」
「そう思うなら少しは驚いてください……よ!」
上段蹴りで反撃するがうまくいなされる。そもそもパンチは名称から警戒されてるので簡単には当たらないだろう……っ!
「とはいえ蹴りも蹴りで中々重い……早めに決着をつけよう! 」
司令さんは被弾を覚悟で僕へと距離を詰め……
「叔父様が組み伏せた!」
「決まったか!?」
右腕を押さえられて組み伏せられた! 左腕で振りほど……けない!?
「利き手じゃないだろうに中々の腕力だが……なんのぉ!」
「ご……」
「ぬっ……だが負けん!」
腹部に受けた拳……もしかして発勁か!? 装甲越しに受けた重い一撃がこの戦いを長引かせてはいけないと警告する。負けじと司令さんの腹部を蹴るが耐えられた。
「想定してたから耐えられるって事ですか。それなら!」
僕は抵抗の為に掴んだ腕から手を離しゼクターを起動する。
『RIDER JUMP! !』
タキオン粒子が作用してエネルギーをチャージし、司令さんを上空にかち上げる。空中なら仮に震脚が使えてる技量があっても逃がす対象がいない。確実に与えられる!
「終わりです……ライダーパンチ!」
『RIDER PUNCH! 』
「やはりそう来たか!」
司令さんは既に空中で体勢を整えて……その拳が僕の顔面へと入る。対する僕も司令さんの腹部に捩じ込む事に成功する……が、相打ちだ。タイミングを合わされた……
「が……ぁ……」
「ぬ……ぐ……」
僕と司令さんは同時に膝を着いた。
「引き分け……ですね」
「そのようだ」
「マジか……ダンナと引き分けたのかよアイツ……」
「強い……どうして……あんなにも……」
世界は広い……こんなに強い人がいるんだ。僕はまだ弱い……ゼクターの力を借りて相打ち……悔しいな。
「司令さん……提案があります」
「俺からも提案があるぞ康太君……」
「ぜひ我々に協力してくれないか?」
「ぜひ僕を鍛えて貰えますか?」
お互いの言葉が完全にシンクロした。そしてその答えは決まっている……
「「こちらこそお願いします/する」」
この日僕はこの特異災害対策機動部二課と協力する事にした。
次回クリスちゃん襲撃!使用されるゼクターを予想しながらお待ちいただけると嬉しいです!
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