ヤンデレなゼクターと装者と呼ばれる少女に囲まれてます 作:タク-F
「踏み込みが甘いぞ康太君!」
「っ! はい! 師匠!」
僕はアレから二課に協力する事にし、現在は司令さんを師匠として鍛えて貰っている。
「とはいえ康太君は既に頭脳面に関しては充分な水準だ! 身体を鍛えて反応に追いつくようにするのが当面の目標だ!」
「っ! はい!」
こうして僕が鍛え続け……変化が現れる。ゼクターを使っても疲労の体感が変わって来た。やはり独学では基礎体力作りが甘かったということか。そうして1ヶ月が過ぎだとある夜……
「出撃要請ですか!?」
『済まない響君! 散開して出現したノイズ反応が街を襲っている。既に翼が交戦しているが手が回っていない』
「チッ……出現の仕方が人為的っぽいな。まさかノイズを使役する兵器でもある……なんて言わないよな……」
嫌な予感がしつつも僕と響ちゃんは合流した……というより、二課で翼と交流を試みて振られた響ちゃんがトレーニング終わりの僕と合流して寮の近くまで送り届けようとした矢先だった。
「行けそうかな響ちゃん……無理なら僕が行く。ライダーの力を使って、翼と合流すれば何とでもなるはずだから」
「…………行きます。行かせてください! 私だって戦えますから!」
こうして僕達も出撃する事になった。とはいえ響ちゃんの実戦経験は乏しい……彼女の経験を増やさないと今後に差し支えるかもしれない。
◆◆◆
「やっ! はっ……!」
響ちゃんは拳を振るいノイズを倒せる。司令……師匠に身体の動かし方を習ったから分かるけどあの動きは素人のそれだ。僕もあぁだったと懐かしんでいたら最後のノイズを倒す目前だった。
「お前達が! 誰かを脅かし……誰かを悲しませるなら!」
目に涙を浮かべる響ちゃんの拳でノイズが散る。これで終わりの……
「悲しませるなら……どうする?」
高く幼め……恐らく響ちゃん達と同世代の声が戦場に響いた。そして謎の攻撃が響ちゃんを襲う。
「っ! 避けるんだ響ちゃん!」
「キャッ!」
見えたのはエネルギー弾……射程攻撃持ちか?
「続きを聞かせろよ融合症例……その力を振り撒くのか?」
「女の子……?」
「その鎧……嫌な気配がするね。一応聞いておくけどそんな物騒なものは捨てなよ」
「へっ……お断りに決まってるんだよ!」
鎧の少女は鞭を取り出し響ちゃんを狙う。響ちゃんは人間に襲撃されたのも相まって混乱している。厄介だな……
「響ちゃん! 彼女は君を狙ってる! 戦わないと事態は解決しない!」
「でも……!」
「ははっ……生っちょろいな融合症例! それならお望み通りブチのめしてやるさ!」
鞭を振るい響ちゃんを圧倒する彼女の正体も目的も不明だ。だがまずは響ちゃんを助けないと!
「話に聞いた通りの腰抜けだ! やっぱテメェには生きる価値はねぇんだろうな! ギアを纏う力がある! なのに戦いには臆病……テメェみてぇなゴミに価値はねぇ!」
「ッ!」
僕の中で何かがキレた。
「今響ちゃんを嗤ったな? 真面目に……それでいて必死に生きる彼女を嗤ったな! 来い! ホッパーゼクター!」
ブレスレットがベルトへと変化する。
「変身!」
『HENSHIN……CHANGE! KICK HOPPER! 』
僕は仮面ライダーキックホッパーへと変身する。そして何故だろう……あの気配に既視感がある。
「君の纏う鎧から感じる気配……確かめさせて貰うよ!」
「ハッ! やってみせろや仮面ライダー! テメェの力さえもあたしに叶う事はねぇんだよ!」
鞭の矛先が僕へと伸びる。しかし……思いの外狙いが単調に見える。避けるのは容易だ。
「生憎その鞭が届くか試そうじゃないか!」
ホッパーの機動力は高い。木や壁があれば跳躍で立体的・高速での動きが可能になる。僕は彼女の鞭を足場に跳躍し頭上をとる。そのまま踵落としを彼女に叩き込む。
「がっ……コレがテメェの蹴りか。確かに舐めて戦ったのは油断だ。ならあたしに手札を見せてやる!」
彼女は懐から杖を取り出し……ノイズを出現させる。
「ノイズ!? なんでここに!?」
「やれ! ノイズ共!」
出現したノイズが僕へと迫るが性能は大した事は無い。しかしその矛先は
「ノイズ共! 融合症例を捕らえろ!」
「私が!? あわわ!?」
「ひび「テメェはあたし様が相手してやる!」チィ!」
完全に数の有利が反転した。単純に頭数が違いすぎる!
「なら……私が相手になるわ」
千ノ落涙!
上空から斬撃が降り注ぎノイズを掃討した。そうか翼か!
「その聖遺物……かつて私達の手から失われたネフシュタンの鎧! 貴女を捕らえその鎧の入手経緯を吐いて貰う!」
「翼! 冷静に……っ!」
僕の静止を振り切り翼は鎧の少女へ駆け出し……その蒼刃が少女を斬り裂く。しかし少女が倒れる事は無かった。
「二課のエースがこの程度か? 温ぃ温ぃ!」
少女の鞭が翼に迫るが今度は見切れ翼が再び距離を詰めて……蹴り飛ばされた!?
「動きを見切ったと思ったか? 甘いんだよ!」
あの鞭捌き……
「恨むなよ翼!」
CLOCK UP!
ゼクターの機能を解放し時間を置き去りにした加速を行う。仮に彼女が再生能力を所持していても一気にダメージを受ければ限界がある筈だ。
「君にも悪いけど……っ!?」
接近して上段蹴りを繰り出した僕の攻撃が
「その高速機動は脅威だ。だが生憎あたし様はその対策を怠らねぇ。そして……テメェのお仲間はどうだ?」
「クソっ! そう来るのかよ!」
少女の攻撃は響ちゃんや翼へと矛先を向けている。このままやりあえない!
CLOCK OVER!
僕はクロックアップを解除して通常速度に戻すがどうして適応出来る?
「なんだよ無敵タイムは終わりか? つまんねぇな!」
「クロックアップだけが戦い方じゃない。それを証明するよ!」
「え! えぇ!? どうして康太さんとあの娘があんな場所に!?」
「話に聞いてた高速移動!? でもどうしてそれならあの娘まで……」
「分からない……でもクロックアップは使えない! 連携を頼む!」
「させねぇよ!」
少女の杖から更にノイズが召喚されて2人へと向かう。今は翼が響ちゃんを守っているけどジリ貧だ。
「その厄介な杖……渡して貰うよ!」
「やなこった!」
鞭の軌道が洗練されてる。やはりさっきの雑な軌道はやはりブラフか……
「食わせモノだね君も!」
「テメェの隠してる力はその程度か?」
「康太さん」
「私達も援護します!」
「なら彼女の出すノイズを倒してくれ! そうしないと集中できない!」
「わかりました!」
2人は状況を察してノイズとの交戦を再開する。彼女の傷は……ほぼ塞がってるか。
「癒えてる……傷の修復速度は伊達じゃなさそうだ」
「仲良くじゃれ合うかい!」
三度ネフシュタンの鞭を振るう彼女の懐へと入り込む。となれば次の攻撃は……
「チッ……肉体戦には乗らないし当たらねぇかだが……」
「その回復力を信じるよ。連続攻撃だ!」
『RIDER JUMP! 』
「出たな本命の跳躍蹴り……カウンターを決めてやる!」
NIRVANA GEDON!
少女も極大のエネルギー弾を僕に……いや、後ろで交戦中の2人を狙ったか!?
「フォロー出来ない! 各自でしのいで!」
「っ!」
「わかりました!」
2人の方に向かったエネルギーは何とか回避できている。後は僕が決めるだけ!
RIDER KICK!
頭上へと昇った僕のライダーキックが彼女へと振り落とされ脚が止まる。そして立ち上がろうとしてきたので追撃のライダーキックを跳躍を利用して5連撃程叩きつけた。かなりのダメージを与えた筈だっ!
「クソっ……厄介な蹴りだ」
しかし彼女は立ち上がれてる。厄介極まりないのはそっちだよ……
「立ち上がれるのか……だが今なら捕縛できる。識ってる情報は吐いて貰うよ!」
僕は更に距離を詰めて捕らえようとするが鞭が僕の身体を穿った。
「油断するとはらしくねぇな」
「がっ……あ……」
追撃の蹴りと鞭が僕にダメージを蓄積される。再生速度が想定よりも早すぎる!
「康太!」
蒼ノ一閃が少女へと迫り回避の為に僕と引き離される。
「翼! 響ちゃんは!」
「ある程度数を減らしたわ。自衛するぐらいはできる筈よ?」
「……わかった」
正直に言えば今の響ちゃんから目を離すのは良くない。でもこの少女が厄介な以上判断自体は正しい。
「康太……私に策があるわ」
「僕は何をすれば良い?」
「彼女の足を止めて。そうすれば……」
「わかった」
ホッパーの機動力で僕は少女と距離を詰めて組かかる。
「言ってた奥の手か。だが良いのか? 巻き込まれるかもしれねぇぞ?」
「生憎仲間を信頼するのも大切だよ!」
「……ふぅ。覚悟が決まったわ。跳んで康太!」
「オッケー!」
『RIDER JUMP! 』
僕が跳び上がった後に翼は短刀を投げる。攻撃先は本体じゃない……?
「ありがとう康太。さて……月の覗いている内に決着をつけましょう?」
「っ! お前まさか!」
少女が焦ってる……? 何をするつもりだ翼!
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
「翼! その詠はまさか!」
僕の頭に嫌なイメージがこびりつく。
「Emustolronzen fine el baral zizzl〜」
「ふざけんなよ……どうしてそんなモンを使える……何を考えてんだよテメェ!」
少女も焦ってる……もしかしなくても翼は!
「Gatrandis babel ziggurat edenal〜」
「翼! 自爆なんて考えるなよ! 何の為に僕が……っ!」
着地して感じた身体の違和感……コレは……『影縫い』!?
「Emustolronzen fine el zizzl〜」
翼はその膨大なエネルギーをその身に纏い……少女を抱きしめた。
「全ての因縁に決着をつけましょう?」
「やめ……」
戦場を蒼の奔流が埋め尽くした……
◆◆◆
視界が晴れると僕の身体の自由は取り戻せてた。だがあの詠の正体が想像以上の代物だった。
「翼! どこだ翼!」
「康太さん!」
「響ちゃん! 無事だったのか!」
「はい……私は範囲外にいたみたいで……翼さんは……翼さんは!」
「探そう!」
僕達は翼を探し……血溜まりを発見する。
「っ! なんて血痕……間違いない! 翼はこの付近に!」
「康太さん……彼処です!」
響ちゃんの視線の先に……血溜まりに横たわる翼がいた。
「馬鹿野郎! どうしてこんな無茶を……」
「わたし……の……ほこ……り……を……とりもど……す……ため……よ……」
うっすらと目を開ける翼が声を震わせながらも答える。どうしてここまで……
「翼お前! どうして絶唱なんて無茶を!」
血相を変えた師匠が現場へと駆けつけて来た。
「師匠……」
「何も言う必要は無い。絶唱の事を康太君も響君も識らなかった……責める理由なんてありはしない」
「……敵も取り逃しました」
「ノイズを使役する兵器なんぞ聞いた事は無い。それも仕方無い事だ」
師匠は僕達を責めなかった。いや、
「僕は……無力だ……」
転生してゼクターを使って戦って……初の敗北。その現実が僕の心を深く突き刺した。
次回はデュランダル護送作戦をお届けします!
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