ヤンデレなゼクターと装者と呼ばれる少女に囲まれてます 作:タク-F
「翼……コレは……酷いぞ」
「あちゃ〜……また派手にやったな翼……」
「………………言わないで奏……」
「ならこの病室の惨状ほ何だ?」
「ふたりはいじわるだ」
僕は現在奏に誘われて翼のお見舞いに来た。だけど……部屋が酷い!
「何をどうしたら絶対安静の人間がここまで酷い惨状を作れるんだ? 飲料品と着替えは……まぁわかる。情報を得る為に書類に目を通したり、娯楽として雑誌を読みたいのも納得してる。だけど……
「…………あぅ……」
「なぁ奏……もしかして翼って片付けのスキルが壊滅的じゃないか?」
「まぁな。いつもは緒川さんが仕事の合間に片付けてくれるぞ?」
「緒川さん? もしかしてあの人に頼んでるのか? 異性に片付けて貰っ……うのはまぁ今の時代なら普通だけどさ、シャツはともかく……下着は自分で片付けてるよな?」
「ゆるしてぇ……ゆるしてぇ」
「まさかなのか!? やってもらってるのか!? お前に恥じらいはないのか!?」
「うん……まぁ。想像の通りって事で勘弁してやってくれ」
すっごく頭の痛い話だ。翼お前……僕がいなかったらまだ女性だけの秘密に出来ただろうに奏にバラされて少し可哀想に見えて来た。というか少し翼の目元に涙が溜まってる。
「奏お前……翼の醜態を何故僕に教えた? 流石に可哀想とは思わなかったのか?」
「いつかバレるだろ? ならまだ1番傷の浅い時に教えてやるのが優しさじゃないか? 今ならまだ身体が不自由なのもあって
「うわあぁぁぁん!!」
ガチ泣きされた。さっき目元に涙が溜まってたからどこかで泣くとは思ったけどかなりのガチ泣きだった。うん……翼もやっぱり年頃の女の子だ。
「ほらほら泣き止め翼……アタシが抱きしめてやるから……」
「奏ぇ……かなでぇ……」
「酷いマッチポンプを見た気がする。自分で追い詰めて自分で抱きしめるとか悪魔かお前は……」
「何を言ってんだよ康太……こんなにもガチ泣きする翼はレアだぞ? ダンナや緒川さんぐらいしか知らないトップシークレットな秘密だ。パパラッチに渡せばでかいネタになるぐらいの宝物だ。康太にも知ってて欲しかったのさ!」
「かなでぇ……かなでぇ……」
めちゃくちゃ泣いてるじゃん……しかも不思議と奏が翼を撫でる手の動きが母親の手の動きに見えるから不思議だ。追い詰めたのが奏じゃないなら良い光景何だが……ッ!
「どうしました師匠!?」
『すまん康太君! 襲撃だ! 響君がネフシュタンの少女に襲撃された! 現在リディアンの郊外に響君が誘導している! 合流して響君を助けてくれ!』
「わかりました師匠! 向かいます!」
師匠からの連絡は出動要請……3度目の襲撃ならもうなりふり構わないか。
「翼……わかってると思うが来るなよ? お前の傷を開かせるつもりはない。響ちゃんも成長してるし今回は勝ち筋もあれば負け筋も潰せる。良いか? 絶対安静だからな!」
僕は病室を飛び出した。正直に言えば翼から目を離したくはない。だけどそれ以上に響ちゃんが心配だ。
「康太は行ったな。さて翼……ほとぼり冷めたら追いかけるだろ? 病院関係者やダンナにはアタシから口裏を合わせる。だけど追うならちょっと待っててくれ」
「奏は私を止めないのね」
「そりゃ康太を助けて欲しいからな」
「そこは私の為とは言ってくれないの?」
「言って欲しいのか?」
「奏はいじわるだ」
「アタシは恋してるからな」
「隠さないのね」
「そりゃ隠して失恋する方が嫌だからな」
「そう。応援……しても良いかしら?」
「嬉しいね。ただなぁ……」
奏は少しだけ言葉を詰まらせる。まるで嫌な予感をしているかのような物言いだった。
「響ちゃんさ……多分康太に恋をしてる。まだウブだから自覚してないけどアタシにはわかる。響ちゃんと争う事になるのがなぁ……」
「それは……難しいわね」
「まっ……この戦いが終わってから考えても良いさ。さて……それじゃあ仕込みをするから待っててくれ」
奏は言い終わると部屋を出た。
◆◆◆
僕はバイクを走らせる。
「さて……ネフシュタンの鎧をどう崩すか……」
『もう強度とかわかってるだろ? 使え』
「使わない。というより使う必要がない」
『アァ?』
めちゃくちゃ怒ってる。だけど僕も折れるつもりはない。
「前回の戦いで響ちゃんの攻撃が有効打になりつつあった。それなら今回は響ちゃんを支援する戦いをしたい。使うのはドレイクゼクター……彼女の戦い方を考えれば最善の組み合わせはドレイクゼクターだ」
『冷静な分析なのは認める。だが浮気を許し続ける程俺は寛容じゃない』
「浮気ってお前……まぁここから先は推測だけどあの娘は黒幕じゃない。何なら黒幕はあの娘をそう遠くない内に切り捨てる。お前を黒幕に充てるなら安く手札を切りたくない」
『黒幕……ね。ご主人が考えすぎだと良いがそれだと嘘つきになっちまうな〜?』
「お前……最近理解が早いと思ったら気付いてたな?」
『俺を使うつもりは無いんだろ? それじゃあ俺は計画を進めるぜ〜』
そう言ってガタックゼクターは飛び去った……が、あれば進行方向なんだけど何を企んでる?
「考えても仕方無いか変身!」
『HENSHIN』
僕は全力で響ちゃんの待つ戦場に急ぐ。
「最初から全力で行こう……キャストオフ!」
『CAST OFF……CHANGE DRAGONFLY』
僕はドレイクへと変身を済ませて戦場に向かう。変身の為に隙を探すのは恐らく不可能だ。消耗の事とかは考えていられないな。
◆◆◆
「アームドギアが無いなら……その分のエネルギーを拳に留める! それが私の今できる事だから!」
「コイツ……この期間でアームドギアまで至ろうとしてるのか!?」
響ちゃんが単身で善戦していた。それこそ僕が手助けしなくても良い程に立ち回っていた。だが……
「ノイズを召喚する杖が無い……? 主に没収されたのか? それとも捨てたのか……どっちにしても好機だ!」
僕は射撃をはじめ彼女の腕を穿った。
「っ! 射撃……何者だ!」
「遅れてゴメン響ちゃん! よく耐えた!」
「康太さん!」
「仮面ライダーかよ! 前の2つとも違う新しい姿……手札が多すぎるじゃねぇかくそっ!」
「どういう理由かは知らないけどあの厄介な杖が無いなら僕達は勝てる! 今度こそ君を捕らえるよ!」
「そうか……そんなにソロモンの杖が無いあたしは取るに足らないか……」
彼女は俯くと腕を下げた。
「…………捕えます!」
「待て響ちゃん! 罠だ!」
「吹き飛べ……アーマーパージだ!」
少女が鎧を吹き飛ばした。自己再生する鎧を捨てた……? どんな手を打ってくる?
「Killter Ichaival tron〜」
「その詠は……聖詠!? じゃあ君が纏うそれは……!」
少女は鎧を脱ぎ捨て
「詠わせたな……? アタシに詠を詠わせたな!」
「え……えぇ!? えぇぇぇ!!」
「あたしの名前は雪音クリスだ!」
響ちゃんは混乱している。正直僕も困惑してる。だけど自己再生する鎧を捨てる程のシンフォギア……推測が間違っていれば良いが。
「響ちゃん気をつけろ! 彼女の本命のスタイルだ! 今までの戦い方と大きく変わるぞ!」
「っ!」
響ちゃんはその言葉に反応してクリスちゃんから距離を取る。武器の形状は……弓か? 聴こえた単語は【Ichaival】。確か意味は
「距離を取ったら駄目だ響ちゃん! 撃ち抜かれる!」
「頭と知識はあるみたいたが……遅ぇ!!」
構えた弓が響ちゃんを狙う……射速が速い!
「避けるんだ響ちゃん!」
響ちゃんへの攻撃を阻む為にこちらも射撃したが彼女の矢には当たらなかった。
「速い……」
「ちょうど良いな仮面ライダー……あたしと射撃戦でも始めるかい!」
火力は分からないが速度はクリスちゃんが上かもしれない。クロックアップが通じれば押し切れそうだけどあの時の事を考えれば難しい。
「お言葉に預かろうかなお嬢様?」
「似合わねぇ台詞だな!」
クリスちゃんが弓を引いて僕は銃を構える。この局面で重要なのは響ちゃんを如何にクリスちゃんの懐へ潜り込ませ1撃に繋げる事。さて……
「響ちゃん! 僕がクリスちゃんと撃ち合うから懐に潜り込んで1撃を打ち込め!」
「わかりました!」
「分かりやす過ぎる作戦だな! 工夫の1つも無いのかい!」
「出来もしない対策なんて無価値だからね!」
試しにクリスちゃんへ射撃を放つが簡単に避けられる。クリスちゃんも負けじと反撃の射線を通そうとするが僕もスウェーバッグやサイドステップで回避する。射撃戦は泥沼になるかもしれない。
「やっぱ簡単には当たらねぇか。それなら!」
「偏向射撃か……曲がる軌道に注意!」
「はい!」
とはいえ響ちゃんを潜り込ませるなら……
「賭けだな。うぉらぁ!」
「そう来るか!」
僕は被弾覚悟で突っ込みクリスちゃんの
「そこ!」
「甘ぇ!」
僕の背後から飛び出した響ちゃんの腹部へ機関銃が向けられていた。
「チョロチョロ動かれるのは目障りだからな」
「しまっ……」
僕の静止も間に合わない程に詰まった距離で響ちゃんは連射を被弾する。誤射する事のない正確な射撃が響ちゃんを撃ち抜いた。
「が……」
銃弾で動きを止められた響ちゃんは大木へと蹴り飛ばされた。
「これで終ぇだな融合症例。中々に手間取ったが……あたし様を甘く見るからそうなるのさ……」
響ちゃんを撃破したことで上機嫌になったクリスちゃんが響ちゃんへと歩み寄ろうとして……ナニカが飛来した。
「壁か!?」
「剣よ!」
「お前……どうして……」
僕は自分の目を疑った。今の自分の眼の前にいるのは病室で絶対安静を言いつけられた
「立花の窮地よ? それなら私が駆けつけるしか無いわ。それに康太が傷つけば奏が泣いてしまうもの……」
「へぇ……死に体でおねんねしてると思ったが存外しぶといねぇ……」
「お前……」
ふと視線を翼の腹部に向ければうっすら血が滲んでる。傷が開こうとしてるじゃないか。無茶しやがって……
「前衛は僕がやるよ。その傷だと無理が多すぎる……」
「舐めてる……とは言わねぇ。それが限界だろ? もう追加の戦力はいない……ここでテメェ等をブチのめせばな!」
クリスちゃんは笑みを浮かべて翼へと距離を詰める。機動力を売りにしても身体の限界が見える天羽々斬で翼は反撃の手が控えめだった。
「良く見てる……わね!」
しかし銃口からの角度や視線で狙いを見切った翼は僅かな動きで回避してみせる。下手に手を出せば翼が被弾するか。
「こっちだ!」
「見えて……へぇ……」
僕の声に振り向いたが僕が
「危ねぇ危ねぇ……後ろから叩っ切られるところか。怖い怖い」
「読まれてる……」
さて困った。正攻法も奇策も恐らく簡単には通らない。こうなれば……
「博打を続けるよ! ライダーシューティング!」
『RIDER SHOOTING! 』
「当たらねぇよ!」
「終わらないさ! クロックアップ!」
『CLOCK UP』
「加速だと!?」
時間を置き去りにして僕とクリスちゃんが加速する。だけど弾速はクリスちゃんが速い以上速度での翻弄は不可能。なら……
「接近戦さ!」
ドレイクゼクターを鈍器のように振り回してクリスちゃんの顔面をぶん殴った。大したダメージにはならないけど虚は付けた。
「銃火器の使い方が悪いな。粗暴だぜ!」
「お互い様!」
大振りな蹴りを含む銃口を隠す戦い方でクリスちゃんとは距離を詰めるけど、詰める程に僕は被弾する。ついにはミサイルを展開される。
「ちょっ……それは不味い!」
「吹き飛び…………なんてな」
「しまっ……」
展開したミサイルではなく小型のハンドガンが僕の腹部を穿った。やられた……フェイントが上手い。だけど!
「この距離ならどうかな?」
『RIDER SHOOTING! 』
「チィ!」
『CLOCK OVER』
加速が等倍へと戻る。クリスちゃんの回避距離は凡そ読めた。このライダーシューティングを回避したければ……
「がはっ! 背後……だと!?」
クリスちゃんの背中を光弾が通過した。そう……それは1発目のライダーシューティング。そして防御行動が取れないクリスちゃんは……
「2発目が……」
土埃が巻き上がり視界が眩む。だけど晴れる頃には膝をつくクリスちゃんがいた。
「やられたよ……」
「そこまでね」
翼がクリスちゃんの肩に刃を乗せる……勝負は着いた筈だ。
「命じた事を果たせないなんて情けないわねクリス……」
「新手か!?」
戦場にノイズが降り注ぎクリスちゃんと僕達を分断する。すると1人の女性が現れた。
「待ってくれよフィーネ! まだあたしは負けてねぇ! ここからでもコイツ等を叩きのめして「不可能よクリス」そんな訳ねぇ!」
「クリスちゃん……危ない!」
「なっ……」
クリスちゃんに降り注ぐノイズを身を呈して庇ったのは動けなかった筈の響ちゃんだった。彼女は身体に鞭を打ってでもクリスちゃんを庇ったんだ。
「【Fine】……? 音楽用語で終わりを意味する言葉ね。つまり貴女はシンフォギアを識っている……そうでしょう?」
「名前1つでそこまで特定される……はぁ。ついでに教えてあげるわクリス……貴女のやり方では争いを無くす事は不可能よ? せいぜい1つ消せても別の火種が生まれるし、そもそも増える火種が1つとは限らないの。そしてそんな貴女を抱えてあげる必要は最早無い……良い機会だから好きな場所に行きなさい」
「待て!」
僕は射撃するが使役したノイズを盾にされて防がれる。
「それではご機嫌よう……」
フィーネと名乗る女性はクリスちゃんの脱ぎ捨てたネフシュタンの鎧を回収して消えて行った。
「フィーネ……あたしを……捨てるのか……?」
あまりのショックに膝を折るクリスちゃんの姿があまりにも痛々しく思えてしまった……
クリスちゃん(仮)捕縛ルートです。ここから少し原作とは分岐していきます。
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