ヤンデレなゼクターと装者と呼ばれる少女に囲まれてます 作:タク-F
「済まないが取調べに協力して貰いたい」
「だったらもう少し手厳しくやらねぇと情報は取れないぜ?」
現在クリスちゃんは
「本来ならそうするべきだが……どうにも嫌な予感がしてな。可能な限り穏便に事を進めたい……クリス君が我々に求めたい事があればそちらから聞こう」
「はっ! 嘘くせぇ台詞だこと。どうせお得意の守るつもりの無い約束だろ?」
「手厳しい。それじゃあコレは取引関係なく君に渡そう」
司令が渡したのは二課の通信機……それも限度額無制限の機能付き端末って……
「あたしをコレで監視するつもりか? 馬鹿にすんな!」
「ならば聞こう……
「その口ぶり……調べてんだろ? 反吐が出る」
クリスちゃんの表情はまるで捨てられた野良猫……というには気品が良い。間違いなくお嬢様だったんだろうな……
「ご両親はヴァイオリニストの雪音雅律と声楽家のソネット・М・雪音の1人娘である君は……音楽界のサラブレッドだった。俺達は君が日本に帰国する際に保護しようとし「しくじったけどな」……返す言葉も無い」
「じゃあ何か? 罪滅ぼしでもしたいってか? もう1度言ってやる……馬鹿にするな!」
「1度着いた任務を放棄するつもりは無い。最早当時任務を受けた中での生存者は俺1人だが、それでも君を保護したい。可能であればフィーネの目的についても教えて貰えると助かるが……」
「生憎フィーネはあたしに碌な情報を与えていないね! まぁ知ってても教えねぇけどな。ただ……英語で通話してる頻度は高かったな」
「英語……か。それだけでも情報を開示してくれてありがとう」
「それと……こんな物はいらねぇ。施しを受けるつもりはないからな」
クリスちゃんは通信機を放り投げて飛び出して行ってしまった。
「師匠……僕が一応追跡してみます。その通信機を受け取ってくれるかはわかりませんが……」
「やれやれ……随分と嫌われてしまったよ康太君。君を頼っても構わないかな?」
「最善を尽くしますよ」
そう言って僕もクリスちゃんの後を追って司令室を飛び出した。
◆◆◆
気づけばあの激闘から一晩が経過した。クリスちゃんが確保されて取調べを受けて飛び出して……出来事が恐ろしい程に積み重なってるな。
「もう一晩なのか……まだ一晩なのか。どちらにしてもクリスちゃんが心配だ」
僕も本格的に聞き込みで目撃証言でも集めようとした矢先に……
「腹……減ったな」
公園のベンチで蹲るクリスちゃんがいた。
「探したよ……急に飛び出したから中々見つけられなかった」
「お前……追って来たのか? 物好きな奴だな」
「お前って……そう言えばキチンと名乗れてなかったね。僕の名前は天宮康太……康太って呼んでくれて構わないよ雪音クリスちゃん?」
「名乗ったからって仲良しこよしにはならねぇぞ?」
しっかりと睨んで来るなぁ……
「構わないよ」
僕がクリスちゃんの横のベンチに腰をかけると声が聞こえた。
「パバぁ……どこぉ……」
「泣くなよ……泣いたって解決しないんだぞ……」
「あっ……ちょ……」
うんざりしつつもクリスちゃんは兄妹の子たちに近付いて行く。というか僕が止める前に動いちゃった。多分本来は優しい女の子なんだよな……。
「おいお前……妹が泣いてんぞ!」
「妹を虐めるな!」
「はぁ!?」
「全く……こうなるとは思ってたけど面倒な事に……」
僕も仲裁しないと拗れそうだ……
「クリスちゃん……あの自販機でジュース4本買って!」
僕はクリスちゃんに端末を投げ渡す。
「はぁ!? なんであたしが……」
「良いから良いから……」
「ったくよぉ!」
渋々クリスちゃんが自販機へ歩いたのを確認して僕は腰と視線を落とす。
「びっくりさせちゃったね。あのお姉さんがジュース買ってくれるからちょっと待ってね」
「適当に選んだけどコレで良いのか?」
「ん……じゃあ好きなのを取ってね」
兄妹はクリスちゃんの並べたジュースを手に取り封を切る。よっぽど喉が渇いていたのか良い飲みっぷりだ。
「クリスちゃんも飲みなよ?」
「余計なお世話だ!」
僕達は並んで缶ジュースを開けて一息つく。するとさっきまでの剣呑とした雰囲気は落ち着いてきた。
「そう言えば君達はどうして泣いてたんだい? お兄さん達が力になるよ?」
「んな!? どうしてあたしまで巻き込むんだよ!」
「パパと逸れちゃって……」
「迷子かよ……あぁ〜〜! もう分かったよ!」
迷子とわかるとクリスちゃんは何かを決心していた。
「しょうがねぇからあたし達が探してやるよ……他にやることもねぇし……」
「やっぱり優しいじゃん……」
「っせぇ!」
そうして僕達は迷子の兄妹の父親を探して街を歩く。
「♪ 〜♪ 〜」
「お姉ちゃんの鼻唄綺麗だね」
「なぁなぁ姉ちゃん鼻唄じゃなくてちゃんと歌ったやつも聴きたい!」
「はぁ!? どうしてあたしがお前達の為に歌うんだよ! あたしは歌が嫌いなんだ!」
「でも綺麗な声だよ?」
「うぅ……わぁ〜った! 歌ってやるから大人しくしてろ!」
そうしてクリスちゃんの歌ってくれた歌は子守唄のように優しい歌だった。聴いていて胸が暖かくなるような素敵な歌だ。
「やっぱりクリスちゃんの歌声は素敵だよ。そんな君がギアを纏って戦う事が残念に思えるぐらい……」
「喧嘩売ってんのか?」
「大好きな歌を戦う力に変えないと救えないこの世界には……ね。そもそもクリスちゃん達は可愛い女の子なんだから」
「んな!? まだあたしを口説くつもりなのかよ!」
「クリスちゃんが可愛いのは事実だよ。君達もこのお姉ちゃんは可愛いだろう?」
「可愛い!」
「かっこいい!」
「なっ……言わせておけば〜!」
クリスちゃんは顔を真っ赤にして兄妹を追いかけた。そうしている内に僕達は交番の前に辿り着き……
「お前達! 何処に行ってたんだ!」
「「パパ〜」」
兄妹は探していた父親と再会してその胸に飛び込んで行った。
「見つかって良かったね」
「運の良いガキ共だ」
「お2人さんもすみません……デートの途中に私達の子供達を助けていただき感謝します」
「コイツとは成り行きだ! デートじゃない!」
「でもお姉ちゃんはお兄さんといると優しいお顔してたよ?」
「この……」
「お姉ちゃんありがとう〜」
「……それじゃああとはお巡りさんにお願いして僕達は退散しますね」
「おい! 離せ……離せえぇ〜」
僕達はひとまず交番から退散する事にした。
◆◆◆
「何処まで本気なんだ?」
「……と、言うと?」
「あたしの歌や姿を可愛いって言った事だよ」
「それは本音だよ。クリスちゃんは可愛い。ギアや鎧を纏って戦うのがもったいないぐらいの美人だよ」
「ナンパ野郎が」
「客観的事実さ……危ない!」
僕は咄嗟にクリスちゃんを突き飛ばす。そしてその直後僕達の上空から
「ノイズ!? フィーネの差し金かよ!」
「詠っちゃ駄目だ! クリスちゃんを捜索してるならギアを使ったら駄目だ!」
「ならどうする!」
「僕が戦うよ。来いザビーゼクター!」
ペンダントが姿を変えてザビーゼクターの到着を待つ。
「速攻でカタをつけるぞ……変身!」
『HENSHIN』
「キャストオフだ!」
『CAST OFF……CHANGE! WASP! 』
僕は即座にザビーをキャストオフして臨戦態勢に入る。飛来したノイズは7体……それなら速攻で行ける!
「クロックアップだ!」
『CLOCK UP! 』
僕は加速してノイズに針を突き立てる。急所を射抜けばノイズを1撃で倒すのも難しくは無い。だけど時間をかけるわけにもいかないから今は贅沢も言えないな。
「ライダースティングで決める!」
『RIDER STING! 』
ザビーの毒針がノイズを射抜きその身体を崩壊させる。増援は無し……ならとりあえずは終わりかな。
「あれ? クリスちゃんもクロックアップで遅くなってる……? 戦闘の時は対応してたのにどうして……? まぁ今考えても仕方無いけど」
『CLOCK OVER』
「っ……終わってるのか……?」
やはりクロックアップに気付いていない。シンフォギアの時も対応してたけどアレはなんだろう?
「僕は一旦本部へ行くよ。今回の件は報告必須だし……」
「ならここでお別れだな」
「通信機を持ってて欲しいけど……受け取らないよね?」
「ったりめぇだろ!」
こうして僕はクリスちゃんと別れを告げた。
◆◆◆
「以上が顛末です。保護できずすみません……」
「康太君を責める事は出来んさ」
師匠は僕の言葉を信じて受け止めてくれた。本当に……クリスちゃんの心を溶かすにはどうすれば良いんだろう?
◆◆◆
クリスは康太から離れて胸の空虚感を抱いていた。
(あたし……どうしちまったんだろうな)
「どうしてあいつはあたしを守ってくれたんだ?」
敵だったはずの自分を躊躇いなく庇い見返りを求めなかった康太の姿が頭から離れない。
「あいつ……二課の装者にも同じように優しくしてんだよな……」
(どうしてそう考えると胸の奥が痛むんだ?)
◆◆◆
「クリスちゃん……結局何も食べて無いよな……? 最後に会った時は無理矢理ジュースを押し付けたけどそれ以上食べて無いなら……心配だ」
僕は彼女が何処に向かうのか心配だった。本当にあの端末を受け取ってくれればそれだけで状況は改善されただろうけど僕達は信用されていない。
「どうすれば信用して貰え…………ん?」
僕が路地を抜けようとした時1人の少女がクリスちゃんを背負っている様子が見えた。
「確かあの娘は……小日向ちゃんだっけ?」
ひとまず僕は彼女達を追う事にした。すると彼女は1軒の店に入る。アレは……お好み焼きのお店?
「ちょっと今のクリスちゃんに粉物は重いだろうけど……とりあえず僕も店に入ろう」
僕も彼女達の後に店の戸を叩く。
「ごめんなさい……今は営業していなくて……」
「わかっています。恐らくですが今彼女が連れていた顔色の悪い女の子……響ちゃんの知り合いかもしれません。証拠は出せません……それでも僕は彼女を助けたいんです。力にならせてくれませんか?」
「響ちゃん……の? でも……」
店主さんは困惑していた。当然だ。僕は信用される程の事はしていない。いや……下手しなくても彼女を追い詰めた追手として見られても仕方無い。
「なら伝える事だけ伝えます……彼女は恐らく昨日から禄に食べ物を食べていません。少しでも身体に優しい食べ物を出してあげてください。必要な物があれば買って来ます……お願いします」
「それは……わかったわ。でも今は彼女を休ませてあげないと……」
「1時間後に彼女が着れそうな服を用意して来ます。出来ればそれまでは……」
「サイズ……わかるの?」
「凡そです。それでも汚れた衣類よりは衛生的にはマシな筈です」
「…………店先に置いてください」
「ありがとうございます」
僕は急いでコンビニへと駆け込みゼリーや携帯食をある程度買い揃える。割高でも今は気にできないな。それと……
「ガタックゼクター……頼みがある」
『変身の件なら許して無いぞ?』
「生身の彼女を巻き込みたくは無い。ザビーがあの場面では適していた」
『ご主人さぁ……俺の我慢も限界なのはわかってるのか?』
「今はまだ現れないよ。何となくだけど……そんな気がする」
『本題は?』
「彼女が着れそうな服を持って来てくれ。戦った限り彼女の体格は凡そこのぐらいの筈だ」
『わかんのか?』
「彼女が着痩せするタイプなら破綻するよ。それでも大きく外れてないと良いけど……」
『律儀だねぇ……』
ガタックゼクターは意思を汲んで服の調達に行ってくれた。後は……
「僕が黒幕なら……どう動く?」
「立花……私ね? ステージに復帰しようと思ってるわ」
「翼さん……」
「大丈夫よ……奏もいるし、今は貴女や康太がついているじゃない」
「それでも私は……そうだ!」
「今度奏さんも誘ってお出かけしましょう!」
「そうね……奏は喜ぶでしょうね」
「翼さんも行きますよ!」
「私が行っても……迷惑じゃないかしら……?」
「そんな事ありませ…………ッ!」
「立花?」
「ちょっと私……行って来ます。親友が助けを求めてくれたので。ですから翼さん……返事は聞かせて貰いますからね?」
響はそれだけ告げて病室を飛び出した。余談だが翼は病室を抜け出した際に傷が開き3日ばかり再入院になった。
本編で使ってないゼクターって多分後カブトゼクターだけかな?コレなら無印編の間に全部の所持ゼクターを出せそうですね!
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