ピカチュウ仮面!!!   作:月兎タンク

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初めましての方は初めまして!月兎タンクと申します!

イナイレに続き、今回書かせていただくのは『ポケモン』の二次創作小説です!

元々、作者はポケモンの世界観が大好きで、小さい頃からオリジナル地方やオリジナルポケモンなどを空想しながら生きてきた人間である為、ひょんな事から創作意欲が爆発し、本作を執筆させていただきました!

構想自体もかれこれ10年以上練り続けたくらい思い入れの強い作品である為、読者の皆様が少しでもお楽しみいただければ幸いです!

それでは!本編をどうぞ〜!!


第一章:空色旅人と百年獣篇
おはよう、新世界


 ポケットモンスター−−–略して“ポケモン”。

 有史以前から人類との付き合いが確認されている割に、種・生態・繁殖方法ーーetc……。未だに謎の多い生命体。

 

 一説じゃ、別の惑星から来た宇宙外生命体だとか、ある科学者が人為的に生み出した人工生命体だとか、色んな珍説が飛び交っているくらいには謎な生命体……それがポケモン。

 

 そんな不思議な生物たちと、僕たちは『人類』は共存関係を築いている。……まあ、実際にはそのバランスも崩れかけている気がするけど……。

 

 ……とまあ、不思議な生き物ひしめく世界で、今日も僕は生きている。

 

 朝7時に起きて。朝食を食べて。手持ちポケモンのお世話をして。テントを片付けて。野営地を綺麗にして。目的もなく自転車のペダルを漕ぐ……。

 

 それをひたすら繰り返すだけの、何一つ変わり映えのしない何気ない日常。それが僕の“毎日”だ。

 

 きっと……この“毎日”が変わることは生涯ない。

 

ーーー()()()()()()()()()()

 

「あのー……。大丈夫、ですか……?」

 

「オナカ……ヘッタ……ガクシ……」

 

 ・・・道端でお腹を空かせて倒れた同業者(たびびと)……いや、“()()()()”と出会うまでは。

 

ーーーーーーーーーー

ピカチュウ仮面!!!

第一章〜空色旅人と百年獣篇〜

 

第一話 : 『おはよう、世界』

ーーーーーーーーーー

 

「ゥンまぁぁ〜〜い!!!いや〜!世の中も捨てたモンじゃないよね〜!こ〜んな優しい人がいるんだからさ〜!!お腹が空きすぎてマジで動けなくて困ってたんだ〜!本当にありがと〜!!!」

 

「……満足なら良かった、です……」

 

 ……どうしよ……。昨日補充したばかりの食料ほぼ全部食べられた……。どうする……?また前の町に戻ってまた買い直ーーー……いや、あんまり戻りたくないな……。

 

 だって昨日寄った町、トレーナー自体が珍しかったせいか、買い物中やたらと目立ったし!嫌だよ〜……またあんな、生き地獄を味わうのは……。

 

 ……現実逃避がてらに、ここいらで自己紹介でもしておこうかな。僕の名前はサクラギ・アルカ。 

 年齢は16歳。好物は茶碗蒸し。職業は……一応、ポケモントレーナー……。

 

 ただ『ポケモントレーナー』といっても、他の人のようにジム巡りやコンテストに力を入れている訳でもない。

 日夜、自転車のペダルをひたすら漕いで、目的地も帰る場所もなく、フラフラと色んな場所を旅する……実質、ポケモンを所有する資格を持っているだけの無sh……“旅人”です。

 

 今はジョウト地方を放浪している真っ最中で、昨日も前の町で1週間分の準備を済ませていざ新天地へ!

 ……と意気込んだ瞬間に遭遇したのが、目の前で1週間分の食料を一人で平らげている僕より1〜2歳くらいの歳上で、綺麗な空色の髪色がトレードマークの同業者(推定)だった。

 

「美ン味〜〜!メチャエモ〜〜♪♪」(バクバク)

 

「………」

 

 性別は……女の子、いや男の子……?え、どっちだ?

 ごめん、まったく分かんない。身長も僕より高いけど、顔つきは女の子寄りの中性的だし、声色も判別付き難い音程だしなぁ……。

 

 性別関係は色々センシティブな話題だし聞かない方がいいよね……?でも気になる……。ここは勇気を出して思い切って聞いてーー……いや、やっぱ無理〜!

 

「ん〜?どしたの?そんなにジロジロ見て?・・・あ!もしかして、キミもお腹空いてるの?・・・そっか、流石に悪いよね……。行き倒れたボクばっか食べるってのも……」

 

「……いや、いいかな。さっき朝ご飯食べたばっかだし」

 

「そう?んじゃ、おかまいなしに〜♪」

 

 うわ……まだ食べるのか……。本当におかまいなしだなこの人……。

 それにしても、一人称も『ボク』ときたか……。別に一人称が性別によって固定化されてる訳じゃないけど、ますますどっちか分かんなくなっちゃったな……。

 

「……あれ?」

 

 その後、特にやることもないから、何気なく遭難者さんが備蓄を食い漁る光景を見ていると、突然強烈な違和感に襲われる。

 最初……僕は目の前の人は、空腹のあまり動けなくなって行き倒れた同業者……と()()()()()()

 

 でも、おかしいんだ。備蓄イーターさん(仮名)の持ち物に旅の必需品であるリュックサックなんて見当たらない。

 そもそも、服を除いて私物のような物は何一つとして携帯してない。本当に丸腰の状態だ。

 

 てか、よくよく観察してみると、服も中々に中々な恰好だな……。なんというか……上手く表現できないけど、森に住んでるケルト的な民族衣装って感じ……。少なくとも現代人が着るような服じゃない。

 

 ……流石に今の感想は失礼すぎるか……。いや、丸腰での旅はまったくあり得ないって訳じゃないんだけどね?

 けど、“キリュウインダストリー”が販売してる異次元バッグは最小サイズでポーチサイズだしな〜……。しかも目玉が飛び出るくらい高いし。

 当たり前だけど、青髪さんにはポーチらしき物すらないよ。

 

 ・・・よし。ちょっと怖いけど、勇気を出してみよう……。

 

「あの〜……」

 

「ん〜〜??」

 

「えっと……そのぉ……君の名前、は……?」

 

「名前……?」

 

 ・・・あっ、間違えた。

 

「いや、ホラ!別に深い意味はないんだけどね!?お金もふんだくろうって訳じゃないよ!ただ……成り行き上とはいえ、助けた以上名前と身元……あとどうして行き倒れてたかの理由くらいは聞いておきたいかな〜って……!」(超絶早口)

 

 やらかした……!やっちゃった〜〜!!!何で段階を踏まずに、いきなりブレーキをベタ踏みしちゃったんだよ僕は〜〜!!??

 助けた恩人とはいえ、いきなり名前を聞かれたら誰だって困惑しちゃうだろ〜!?

 

 なんで物理的に顔を隠しでもしないと、テンパりやすくなる癖だけは治んないかなぁ!?

 

「名前……」

 

「……本当にゴメン!流石にいきなり踏み込みすぎた!!今のは忘れてーー「ーーだっけ……?」・・・ん?」

 

 謝罪の為に90度に下ろした頭を再び上げると、青髪さんのあれだけ《だくりゅう》みたいに激しい勢いだったスプーンを持つ手が止まってる。

 あと声もなんかやたらと低いし、目もどこか虚ろだ。……要するに、明らかに様子がおかしい。

 

 え、なんか怖いんだけど。もしかして……僕ってホラー映画の犠牲者1号?

 

「あの〜……?大丈夫……ですか……??てか、大丈夫であって欲しいんですけど……

 

「・・・やっぱり、ダメだ。ボク……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()?」

 

「・・・へ?」

 

 恐怖で足がすくんでしまった僕に、青髪さんの口から飛び出た衝撃の応答(レスポンス)……それは、『記憶喪失』だった。

 

ーーーーー

《5分後》

ーーーーー

 

「もう一度確認しますよ?本当に自分自身の名前が思い出せないんですね?」

 

「う〜ん……なんというか……。喉奥(ここ)まで!喉の奥から頭文字が出てくるまではきてる……ような感覚なんだけどな〜」

 

「それってほぼ思い出せないようなもんじゃないですか……」

 

 あれから色々質問をしたけど、結局、名前は元より、年齢・出身地方・家族・……etc、自分に関する情報は何一つ覚えてなかった。

 

 こんなことってある?昨日買ったばっかの食料備蓄を全部食べられた上に、マジモンの記憶喪失者を抱え込むなんて。

 

 もしかしなくても、前世の僕は何か悪いことでもやったのかなぁ?

 ……いや、現世でも色々やってるか。そもそも、僕はこうして呑気に旅してられるのが不思議なくらいの人間なんだし。

 

「・・・まっ!思い出せないなら、仕方ないかっ!!」

 

「・・・はへ?」

 

「いよーーしっ!!それじゃあ、次の目的地へしゅっぱーーつ!!!」

 

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと!!??今、サラッとすんごいこと言ったって自覚あるっ!?」

 

「オヨ?なにか問題でもあんの?」

 

 うっわ〜!そのとぼけたキョトン顔可愛い〜!顔と声の良さがキラやば〜☆・・・じゃなくて!!!

 

「あるっ!!むしろ、問題しかないよ!?普通の人は記憶喪失なのを『あ〜、仕方ないよね〜』で済まされないから!!もっとこう……それ相応の振る舞い方ってのがあるだろ!?」

 

「う〜ん……。じゃあ、ボクは普通の人じゃないんじゃない?」

 

「・・・君って……本当に記憶喪失なんだよね……?」

 

「そーだけど?」

 

 呑気すぎる……!いや……考えが浅いだけか……?

 けどどっちにしろダメですっ!!もうそろそろ、性格の悪さが顔の良さだけじゃ誤魔化せない段階まできてます!

 

「・・・ん?てか待って?もしかしなくても、僕の旅に君も同行するってこと……?」

 

「だって、ボクお金持ってないから、旅の道具すら買えないもん。だからお願いっ!ある程度資金の目処が立つまで、キミの旅に同行さ〜せて?」

 

 ・・・ぶっちゃけ返答に困る。現時点で、僕の青髪さんに対する好感度はあんまり高くない。

 備蓄を全て食べられたこと……はそこまで気にしてはないけど……。なんというか……全体的に胡散臭いんだよね……。

 

 反応からして記憶喪失なのは事実なんだろうけど、なんか……記憶がなくても気にも留めないような軽いサイコパスな感じが原始的な恐怖を生み出してるっていうか……。

 

 ……けど、もしも僕がここで青髪さんを見捨てたらどうなるんだろう……。思いつく可能性としてはーーー

 

①ポケセン強盗

「オラオラオラぁ!!!出せるモン出さんかい、われぇ〜〜!!!」

 

②ひったくり

「このお宝はいただいていくぜ〜。あばよ〜とっつぁん〜!!」

 

③ーーー

 

 やめやめやめ!!!ダメだ……!何度想像しても、最悪な結末に辿り着くイメージしか湧かない……っ!!

 

 ……もういいや……。ポケモンバトルの鉄則は、最速最短での決断なんだ……。どうせなら後悔するなら、後腐れのない選択をしよう……。

 

「ハァ……分かったよ……。第一発見者は僕なんだ、旅する者として遭難者の面倒を見る義務が僕にはある……。ただし!君の身元が預けられそうな街まで!本当にそれまでだからね!」

 

「うんうん!ありがとう!!本っ当にキミって“良い人”だよね〜♪」

 

 本当に調子がいいなぁ……。その底無しに明るさに関しては、逆に憧れちゃうかも。だって僕はーーー

 

「……そんな大層な人間じゃないよ、僕は……」

 

「? 今、なにか言った?」

 

「……何も」

 

 もうこの話はやめやめ!とりあえず、次の目的地を探そう!

 記憶喪失者を預けるなら、やっぱり大きめの街がいいよね?前の町は規模が小さかったからポケモンセンターすらなかったし、どこか近くで良さげな場所は……。

 

ピッ!ピッ!ピッ!

 

 できれば近場に理想の街があるとありがたいけど……。食費も節約できるし……。

 

「………」

 

 ……あれ?どうしたんだろ、青髪さん。ヤケに物珍しそうに、僕の“ロトフィック”を見てるけど……。

 

「どうかした?」

 

「いや……なんで、片耳だけのヘッドフォンを弄ってるんだろうって思って……。こーゆー調べものの時って、スマホロトムのタウンマップアプリを使うモンじゃないの?ボクは持ってないけど。

 

「スマホロトム……?あ〜……それって、かなり昔に使われてた通信器具の名前だよね?」

 

「……昔?」

 

「うん。ざっと……1()0()0()()()()()()?今じゃ、この“ロトフィック”が世界の通信の基本だよ?」

 

 『ロトフィック』ーーー正式名称、“ロトム グラフィック”。

 世界屈指の大企業・“キリュウインダストリー”が製造・販売してるロトム共生型通信プラットフォームの総称。

 

 キャッチコピーは『いつでも、どこでも、だれとでも、手軽に使える通信機器』。

 

「ほへ〜、スマホロトムはガラスのタッチパネルだったけど、ロトフィックはホログラムのタッチパネルなんだ〜」

 

 そのキャッチコピーに違わず、旧世代のスマホロトムを超える圧倒的な利便性から、瞬く間に世界で大流行し、世界の常識を文字通り塗り替えた、人類の叡智の結晶その1。

 

 僕が持ってる最新機種は、ほぼ重さを感じないし、長時間使ってもムレて耳が痒くならないからお気に入りの一品だ。……その分、ビックリするくらい高かったけど。

 

「やっぱり、科学の力って激エモだね〜」

 

「……流石に買ってあげないからね?僕が見る面倒は君の食費と寝床だけだから」

 

「分かってるって〜」

 

 さてさて……ちょっと話が逸れちゃったな。どこか近場でいい場所は〜ーーー

 

「おっ、ちょうどいいや。ここから比較的近いところにある“チトセシティ”って街は割と大きめの街だから、そこに行けばなんとかなるかもね」

 

「お〜、なんか良い響き。それじゃ!目的地まで〜〜レッツゴー!!!」

 

 目的地を決めた僕たちは、“チトセシティ”に向かって旅立つ。

 僕は自転車をゆっくり押しながら進んでるのに対し、身軽な青髪さんは歌を歌いながらスキップしてるけど。

 

 ……なんか、このご時世にあんな道のど真ん中で行き倒れてた理由が分かった気がする……。

 大方、あんな風に大はしゃぎで旅してたせいで、どっかでつまずいてその拍子に岩か硬いポケモンあたりに頭をぶつけたせいで記憶喪失になったんじゃないかな……?

 

「ーーーくん!」

 

 うんうん。きっとそうに違いない。僕も自転車に乗っている時はスピードを出す方だし、そろそろヘルメットを買った方がいいかな?

 

「桃髪くんってば!!!」

 

「ふえっ!?な、なにかな!?・・・って桃髪君って僕のこと?」

 

 全然、青髪さんの声に気付かなかった……。僕、一度集中しちゃうとたま〜に入っちゃうんだよね……。

 

「逆にキミ以外にそんな派手な髪色とドラゴンポケモンみたいなヘアースタイルの人間が、この場にいるか聞きたいな〜。まあいいや、キミの名前って何?旅を共にする以上、自己紹介は必須でしょ?」

 

 あっ、そっか。まだ青髪さんには自己紹介をしてなかったか。

 

「……アルカ。僕の名前はサクラギ・アルカ」

 

「サクラギ・アルカ……。うん!いい名前! それじゃあ、少しの間よろしくね!アルカくんっ!!」

 

「よ、よろしく……。・・・それじゃあ、君の名前も今考えてみない?」

 

「ボクの?」

 

「だって、流石に青髪さんとかじゃ印象悪いだろ?」

 

「それもそっか!なら……」

 

 仮の名前を付けなければならなくなった青髪さんは顎に手を当てて、ウンウン唸りながら考え込む。

 残念ながら、僕はこの手の話題に力を貸せる人間じゃない。そもそも手持ちのポケモンたちにもそこまで凝ったニックネームをつけるタイプじゃないし。

 

「・・・なら、“ソラ”とかは?」

 

 前言撤回。僕が参加してもしてなくても、結果は変わらなかったっぽい。

 

「いいんじゃないかな?君の綺麗な髪色にも合ってるし、仮とはいえピッタリな名前だと思うよ?」

 

「えへへ〜/// そうでしょ〜?/// ちなみに……もしもボクとキミの立場が逆転したとしたら……ズバリ!『モモタロウ』だね!」

 

「……褒め言葉として受け取っておくよ」

 

 そんなこんなで、青髪さんことソラさん(仮)との旅が幕を開けた。

 ……なんやかんや愚痴ったけど、今日の出来事は貴重な体験であることには変わりないし、後で日課の日記帳に記録しとこっと。

 

ーーーーー

これまでの冒険を日記に記録しますか?

 

はい◀︎

いいえ

 

アルカは記憶喪失の旅人・ソラ(仮)との遭遇を日記に記録した!

ーーーーー 




本話は第一話のAパート的な立ち位置です。次回から一気に物語が進み始める為、ご期待ください!
あと、まだまだ物語は始まったばかりですが、ご感想などをいただければ幸いです。質問などもネタバレにならない範囲ならば出来る限りお答えしますので、どしどしお寄せください!
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