黒龍伝説の百年祭!スェパルトラ山で宝探しっ!?
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CHARACTER SELECT
▶︎SAKURAGI ARUKA
SIAN
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「ゲップ……。ヤバエモに食べた食べた〜♪もうお腹いっぱ〜い……」
「空想じゃなくて、リアルの飯が食えるって、いいモンだよなァ……」
「せっかく買ったばかりの備蓄が……また食べ尽くされた……」
こんにちは……サクラギ・アルカです……。
はい、そうです。満腹になって動けなくなってる空色頭の人やピカチュウでもなくて、地面に両手と両膝を突いて絶望しているのが僕です……。
・・・え?どうして僕は絶望しているかって……?
あははは……。それを説明する為には、今から1時間前に遡らなくちゃならないね……。
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《1時間前》
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『オナカ……ヘッタ……』
『ケチャップいっぱい……使った……オムライスが食べ……てェ……』
『ちょ……!シアンくんっ!?起きてよ!シアンくーーーんっ!!!???』
たった数時間で再会した挙句、デジャブを感じる展開で行き倒れていたシアンくんとピカさんを介抱した僕は、急いで簡易料理キットを組み立てて、シアンくんたちにレトルトのカレーを食べさせた。
……そう、そこまでよかった。その程度の出費なんて痛くも痒くもない。問題なのはそこから。
・復活したシアンくんたちが、この程度の量で満足する筈がない。
・むしろ、中途半端に満腹中枢を刺激してしまったせいで、食欲が暴走しちゃって。
・そしたら勝手に次の料理を作り出して。
・あれよこれという間に、全ての備蓄を食べ尽くされた。
……はい、回想終わり。
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《現在》
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「……それで?どうして、またあんな所で倒れてたんだい……?」
この陰鬱とした空気を吹き飛ばすべく、話題を変えることにした。
「いや〜……実は〜……。キミと別れたあと、アーク・ポケモンとの戦闘で“波動”に使った分のエネルギー補給ができてなかったから、そのまま行き倒れちゃってさぁ……」
・・・ちょっと待って。今、サラっと一般人には理解できない単語挟まなかった?
「……“波動”?何それ、ルカリオの親戚?」
厳密には『波動』という単語に聞き覚えがない訳じゃない。
確か……ルカリオが、人の“波動”を読み取る力を持ってるーーっていう情報をポケモン図鑑が何かで見た覚えがあるけど……。
「あっ、ごめんごめん!“波動”ってのはね、人やポケモンが持つ生命エネルギーのこと!上手いこと応用できれば、色々できるんだよ!例えば……こんな風にね!」
ボワッ!
うわっ!?シアンくんの手から蒼い炎が出てきた!?・・・って、それはもう昨日の戦いで見慣れてるだろ……。
・・・ん、待てよ?明らかに昨日までと違って、妙に理知的というか、ちゃんとした知識を持って話してるって感じだぞ……。
ということは……!
「・・・ってことは!もしかして記憶を取り戻したの!?」
「・・・え?記憶?」
ズコーッ!!!
へ、変に期待した僕がバカだった……。けど、いくらなんでも自分の記憶に無頓着にもほどがあるでしょ……!?
「う〜ん……厳密には、シアンって名前と、“波動”その他もろもろに関する記憶の一部を取り戻しただけなんだよね〜」
「……だったら、ピカさんに君の過去を聞けばいいんじゃないかな……?君たちは昔からの知り合いなんだろ?」
「……いや、オイラも相棒と同じだ。自分の名前とある程度の情報は頭の中にあるが、肝心なことは何一つとして思い出せてねェ」
……やっぱり、ガッツリ喋ってるね……。しかもアニメみたいな『ピッカー☆』的な可愛い系じゃなくて、めちゃくちゃイケボだし。具体的には新世界の神系。
「……とりあえず、食後のコーヒーでも飲む……?体力回復したばっかだし、次は心を落ち着かせれば、何か思い出すかもしれないよ」
「コーヒー……」
僕はいつもインスタントのコーヒーを常備してる。旅をする以上、夜通しで自転車漕がなきゃいけない時もあるしね。
僕と同年代のトレーナーは、『ビーストエナジー』や『オゾーン』みたいなエナドリでカフェインを摂取するのが基本だけど……あれはカフェイン量が多すぎるし、何より僕は苦手なんだよね。あの10円ガムを溶かして液体にしたような独特な味が(※あくまでアルカ個人の感想です。エナドリを好む人を咎める意図は一切ありません。by作者)。
「ーーさん……」
「え……っ?」
「コーヒーで思い出したんだよ……!リザードンのリザさん……っ!!それが、ボクたちの仲間の名前っ!!!」
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第6話『黒龍伝説の百年祭!スェパルトラ山で宝探しっ!?』
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「リザードンの……リザさん……?」
「あーーッ!!!確かにそうだぜッ!!リザードンのリザさん!いつも自分の尻尾の炎でコーヒー豆を煎ってた!!!」
「そうっ!!!そのリザさんっ!!!」
自分の尻尾でコーヒー豆を煎る……。えっ?どゆこと?
「あのー……そのリザさんって、ポケモン……なんだよね?リザードンがマスコットのカフェなら知ってるけど、流石にリザードン自身が豆を煎るってのは聞いたことがないんだけど……」
「どうしよう……。何となく、リザさんはまだ生きてるとは思うけど、彼がどこに居るかまでは知らないしな〜……」
って、聞いてないし……。……てか、いつになく真面目な顔だな……。流石に今はツッコマない方がーーー
ーーピッカーーン!!!
「うわっ!?な、何……っ!?」
ビックリした!!?突然……シアンくんの腰の辺りが光りだした……!?
「ボルテック・スパーク……?もしかして……ボクに何かを知らせようとしているの……?」
「それって……突然出現したっていうデバイスだよね?」
「ああ、そっか、まだ説明してなかったね。コレは“ボルテック・スパーク”!そしてコレが“ソウル・ルーン”!この二つを使うことで、ボクは“変身”することができるんだ〜♪」
“変身”……?それってつまり、あの化け物……アーク・ポケモンだったっけ?あれと戦った時の姿になれるってことだよね?
「……ちなみに、あの姿の時の名前とかあるの?」
「当っ然!あの姿の名前は、ズバリ〜……!」
「ゴクリ……!」
「ババンっ!その名も“ピカチュウ仮面”!!!」
・・・へ?
「ごめん、シアンくん。もう一回言ってもらってもいいかな?」
「だ〜か〜ら〜!“ピカチュウ仮面”だって!中々、いい名前でしょ?」
・・・ごめんね、シアンくん。僕から言えることはたった一つだけなんだ。スー……せーのー
「いくら何でも、そのまんま過ぎないっ!!??」
「名前ってのは多少の愛嬌と適当さがあった方が親しみやすいの!それに……とっても覚えやすい名前でしょ?」
……まあ、そうだけどさぁ……。それでももう少し捻りようってものがある気がするけど……。
「ピカカカッ!!!アル坊の言うことは尤もだ!……けど、今はそんな無駄話をしてる場合じゃねェぜ」
僕にとっては、まったく『無駄』な話じゃないんだけどなぁ……。
「感じるぜ、相棒。間違いなく、ボルテック・スパークはオイラたちに“ナニカ”を伝えようとしてる!」
「本当っ!?ピカさん!?」
「相棒!ボルテック・スパークの引き金を引け!」
「オッケー!ピカっと!スイッチオンっ!!!」
ーーピカッ!!!
「どわぁ!!??」
突如として眩い光を放ち始めたボルテック・スパーク。また何か物騒なものが飛んでくるんじゃないかと身構えてしまったけど、僕に危害が加わるようなことはなかった。
その代わり……
「何これ……?プロジェクションマッピング……?」
ロトフィックが見せるホログラムとはどこか違う、青く光る粒子で構成された映像が空中に浮かび上がる。そこに映し出されていたのはーーー
「コレって……山……?」
なんというか……何の変哲もない、ただの山……だね。びっくりするくらい、それ以外の感想が何ひとつとして浮かばないほどに。
「多分……ココのどこかにリザさんが居るってこと……?」
「けど、ただ映像を映されただけじゃ、分かんねェーよ。オイラたちはジョウト地方の地形に詳しい訳でもねーし」
僕もジョウトの土地勘がある訳じゃない。……だけど、あの独特な山の形、どこかで見た記憶がある。……あっ!
「ちょっと待ってて!シアンくん!」
解決策を思いついた僕は、右耳に装着したロトフィックに手をやる。
「ロトフィック、カメラモードに切り替えて」
パシャ!
「……写真?」
……よし、とりあえずデジタル機器にはバッチリ写るな……。そしたら、今撮った写真を……。
「それじゃあ、今撮った写真の場所を検索して」
『お任せロ!』
僕は普段、あまりタウンマップを頼りに旅をするタイプじゃないから、ロトフィックに搭載されている画像検索機能のことをすっかり忘れてた。
これだけ鮮明に写っている写真なら、100%検索に引っかかるはずだ。
『検索結果が出たロ!』
「本当っ!?やっぱり、科学の力って激エモだね〜☆」
『写真の場所は、クロマツシティの近くにある“スェパルトラ山”で間違いないロ!』
「スェパルトラ……」
「山……?」
・・・あっ!やっと思い出した……!クロマツシティといえば、確かジョウトの北東部にある小さな町だ。
「そこに……リザさんが居る……!」
「……けど、ここはチトセシティの外れ。クロマツシティからは真反対の場所にあるから、今から行くとなると相当時間がかかるよ」
「うっ……!け、けど……!またリザさんに会える可能性が少しでもあるってなら……ボクはどれだけ時間をかけても、スェパルトラ山に行くよ……っ!」
……そっか、そのリザさんってポケモンは、そこまでしてまた会いたいと思える、大切なポケモンなんだね……。
「……分かった。それじゃあ、
「・・・ん?何を?」
「決まってるだろ?ロトフィックで呼ぶんだよーーー
スカイタクシーを!」
……………
…………
………
……
…
「うっわ〜!ゴンドラ広〜い!ガラルやパルデアの“そらとぶタクシー”よりも快適じゃ〜ん!それに景色も見やすくなってるし、メチャエモ〜☆」
「おっ!お客さん、かなりの博識だねぇ。“そらとぶタクシー”は昔のスカイタクシーの呼び方だよ。もう名称が変わってそれなりに経つから、イマドキの若い子は知らないってのに、珍しいこともあるもんだ」
リザさんが居る場所(推定)が判明してから1時間後。無事に手配できた“スカイタクシー”に乗り込んだ僕たちは、オオスバメをはじめとする様々な飛行タイプのポケモンたちが引っ張るゴンドラに揺られながら、クロマツシティへの空中旅を楽しんでいた。
「ありがとね〜、アルカくん!クロマツシティ行きのタクシーを手配してくれた上に、ついて来てくれて!」
「いいよ別に。昨日、命を救ってもらった訳だし。……はぁ、また出費が嵩むなぁ……」
結論から言えば、僕はシアンくんの旅に同行することにした。
もちろんずっと一緒という訳じゃないけれど、流石に無一文で絶妙に常識のズレた旅人を放っておく訳にもいかない。
一番いいのはチトセシティに戻って専門の施設に相談することだけど、行動力の塊であるシアンくんが大人しく待っているとは到底思えないしね。
だから、とりあえず金策の確保とある程度の記憶を取り戻すまでは、こうして付き合うことに決めたんだ。
「……そういえば、アルカくんは、飛行タイプのポケモンとか持ってないの?自分のポケモンだったら、途中で休憩を挟む必要があるけど、そらとーー間違えた、スカイタクシーよりかは安上がりでクロマツシティに行けるんじゃない?」
「お客さん、まさか……」
運転手さんの横顔は、『そんな常識も知らないのか、この子は?』と如何にも言いたげに呆れていた。
だけど、いちいちシアンくんが記憶喪失であることを説明するのも大変だし、何より話が長くなりそうだから、僕がいち早く補足を入れることにした。
「そうしたいのは山々だけど、できない理由があるんだよ」
「理由?どんな?」
「2〜30年……くらい前だっけ?飛行中のトラブルやらでトレーナーの死亡・大怪我が社会問題になったことがあってね。以降、ポケモンに乗って一定の高度以上を飛ぶには免許が必須になったんだよ」
「・・・マジ?」
「うん、マジ」
空を棲家とするポケモンだって生き物である以上、無限に空を飛び続けられる訳じゃない。……流石にジバコイルみたいなポケモンは例外だけど……。
一口に陸上選手と言っても短距離と長距離が得意な選手に分かれるように、飛行タイプのポケモンにだってそれぞれ『適正距離』というものがある。
トレーナーならば手持ちポケモンの限界や適正を把握していて当然のことだけど、残念なことに一部のトレーナーはその配慮を怠り、ポケモンに無理な長距離飛行を強いてしまうことがあった。
その結果、飛行中に疲弊したポケモンが体勢を崩し、背中に乗っていたトレーナーが落空・墜落するという惨事が相次ぐことになったんだ。しかも、事故に遭ったトレーナーの約9割が死亡、残り1割も重大な後遺症が残る大怪我という非常に悲惨なデータが出ている。
そうした痛ましい時代を経て制定されたのが、現在の『飛行免許制度』って訳だね。
「ざ〜んねん、リザさんに再会できたら、彼の背中に乗って旅したかったのに」
「まあ、あくまで免許が必要なのは一定の高度と距離だから、息抜き程度なら大丈夫なんじゃないかな?もしくは、キミが免許を取る……とか?」
尤も……免許を取る為の試験はかなり難しいらしいけど……。
「う〜ん……とりあえず、今はいいかな?そこらへんのことは記憶を取り戻してから考えたいし」
「そっか。……その方がいいかもね」
こうして僕たちは、クロマツシティへ到着するまでの間、何気ない世間話や現代の常識などをシアンくんに教えながら時間を潰した。
そして……
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《数時間後》
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「ご乗車ありがとうございました〜!」
長い空中旅行の末に、遂に目的地のクロマツシティへ到着した。
「ん〜……!腰がバキエモゴキゴキ……」
「オイラもだ……。やっぱし、乗り物に乗ってジーッとしとくのは、性に合わないぜ……」
「あはは……。長時間、スカイタクシーに乗ってたからね……」
長時間の飛行が余程身体にこたえたのか、シアンくんとピカさんが身体をほぐす度に、バキバキと鈍い音関節から鳴り響いていた。
……まあ、気持ちは分かるけどね。
僕も軽く肩を回しながらタクシーを降りる。
移動中にロトフィックで収集した情報によれば、ここクロマツシティは規模こそ小さいものの、設立されてから100年程度と比較的新興の町らしい。
だけど、観光資源になりそうなのは精々“セパルトラ山”くらい。温泉もなければ目立った名物料理もないらしく、お世辞にも発展しているとは言えない町。
……その筈なんだけどーーー
ザワ…ザワ…
ザワ…ザワ…
「なんか……思った以上に人が多くない……?」
「ホントだ。あっ!アレ見てよ、アルカくん!なんか○ンディ・ジョーン○みたいな恰好してる人がいるよっ!!」
イン……何って?ポケウッド出身の俳優か何か?
「もしかして……映画の撮影でも行われているのかなぁ……?……いや、それにしては変な恰好の人が多すぎるし、それにカメラマンだって見当たらない……」
「・・・あっ!違うぜ、相棒、アル坊ッ!!アレを見ろッ!!アソコにある……デッケェ看板をッ!!!」
看板……?あっ、確かにあるね、中央広場らしき所に大きな看板が。
え〜っと……なになに……?・・・はい?
「「黒龍伝説100周年記念……“宝探し”……?」」
「「………」」
「「宝探し〜〜〜!?!?!?」」
嘘でしょ!?なんでよりによって、このタイミングで、そんな大規模なイベントが開催されてんの!?
そもそも……!僕が町について調べてた時には、そんな情報どこにも載ってなかったよ!?
「いけないな、君達。そんな大声を出すと、お宝がビックリして逃げちゃうだろ?」
「あ、貴方は……?」
不意に横から声をかけてきたのは、綺麗な紫色の髪が印象的な長身の男性だった。
纏っている雰囲気はどこかキザでミステリアス、そして少しだけ浮世離れしている。
「失礼。私の名前はクリスタル。香ばしいお宝の匂いに誘われて、この地へやって来た一端のトレジャーハンターさ」
「こんにちは、クリスタルさん!ボクの名前はシアンです!そして、この子は相棒で家族のピカさん!以後お見知り置きをっ!!」
「ははは、クリスで構わないさ」
……あっ、シアンくんってちゃんと敬語を使えたんだ。なんか、ホビーアニメの主人公みたいな性格してるから、そこらへんは杜撰だって勝手に思ってたけど……。
「………」
……どうしたんだろう。クリスさんはシアンくんの顔を見つめたまま、どこか感慨深そうな表情を浮かべていた。
その視線は……まるで、初対面のはずのシアンくんを知っているかのように……。
「クリスさん……?どうしました?もしかして、ボクの顔にゴミでも付いてますか?」
「……いや、失礼。君の顔を見てると、古き友の顔が浮かんでね」
「友……?」
「……すまない。君達には関係のない話だったね」
……その話も気になりはするけど、それより今は情報収集が先だ。
「……単刀直入に聞きます、クリスさん。この町で開催されている“宝探し”とは一体、何のことなんです?」
「ええと……君は……」
「あ、自己紹介が遅れました。僕はサクラギ・アルカと申します。訳あって、このシアンくんの旅に同行しているポケモントレーナーです」
「サクラギ君か、よろしく頼む。……それで、“宝探し”についてだったね。ならば、まず……君達はこの町が“スェパルトラ山”の地元信仰によって作られた町だと知っていたかい?」
「……いえ、初耳です」
「ボクもです!」
「オイラも〜!」
そりゃそうだよ、だって二人一匹全員がこの町を初見なんだから。・・・ん?待って?二人と……
「アレ?今、声が一つ多くなかったかい?」
まッッっっずい……!!!
「き、気のせいですっ!!!多分、今後ろを通った別の参加者さんの声と聞き間違えたんですよっ!!!」
「そ、そうかい……?」
「そうですっ!!!そうに違いないんですっ!!!!!」
「分かった!分かったから!そんなに凄まないでくれよ……!」
フ〜……!あ、危なかった……!こんなトレジャーハンター塗れの場所に、喋るピカチュウが居るなんてバレたら、100%めんどくさい大騒ぎになる……っ!!
「ダメだよ、ピカさん!ちゃんと正体を隠してなきゃ!ヒーローの秘密の存在って設定が崩れるでしょ?」
「悪ィ……なんつーか……つい、気を抜いちまった…」
「コホン!!!では、話の続きをお願いしますっ!!!」
「……ああ、それで実はこの町にはある伝説が伝わっていてね。それが……」
僕のあまりの必死さに圧倒されつつも、クリスさんは「やれやれ」といった様子で苦笑をしている。
そして胸ポケットから、いまどき珍しい四つ折りにされた一枚の紙を取り出すと、それを丁寧に広げて僕たちに見せてくれた。
そこに書かれていた内容はーーー
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遥か太古、スェパルトラに舞い降りし黒き影あり。
影は万物の
探究者はこの威力を恐れ、ふたつの
一、雲穿つ頂の【天なる祠】
汝、心して望みを抱き、頂を目指すべし。
一、大地裂く底の【地なる牢獄】
山頂の宝を縛りつける『不浄の化け物』、地の底にて蒼き焔を
決してこの化け物に近づくことなかれ。解き放たれれば、天なる宝の加護は潰えん。
願わくば、百年巡りし刻に、正しき者が現れんことを。
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「コレこそが、この町に伝わる伝説……その名も“黒龍伝説”さ」
「なるほど……!全っ然、意味が分かんないですっ!!!」
「もう黙っててよ、シアンくんは。僕が上手いこと話を進めるから」
シアンくんにはこの手の話題は戦力外だと判断した僕は、彼を少し後ろへ押しやり、クリスさんと直接話を進めることにした。
その後のクリスさんの説明によれば、町創立100周年の記念祭と町起こしの一環として、今回の“宝探し大会”が企画・開催されたとのことだった。
「……ですが、やはり解せません。偶然この時期に訪れただけの僕たちはまだしも、他の皆さんはどうやって、この祭りのことを知れたのですか?少なくとも……ネットにはそんな情報、一切載っていませんでしたよ?」
「フフ、簡単さ。トレジャーハンターのネットワークには、前々からスェパルトラ山にお宝が眠っているとの情報が入っていてね。しかも、『あまねく
それで、情報が少しでもネットワークに流れた瞬間、一気に噂が広まったという訳か……。
……ぶっちゃけ、科学全盛期の現代において、そんな胡散臭い伝説を真に受けるのもどうかとは思うけれど……。
「しかも、だ。スェパルトラ山は町の人達にとって神聖な場所でね。普段は、中腹までしか一般人には解放されていないんだ」
「普段は、ってことは……」
「そう。今回は特別中の特別。文字通り、山頂までウェルカ〜ムってことさ」
なるほど……それなら、ここまで大勢の人が押し寄せる訳だ。
お宝の有無は別としても、普段入れない場所に入れるってだけで、わざわざ足を運ぶ価値はあるからね。
それに……僕たちとしても……。
「合法的にリザさんを取り戻す絶好の機会!ってワケだよね?アルカくん!」
「その通りだね、シアンくん」
ボルテック・スパークが指し示した場所。
そして、この町に残されていた伝承ーー。
この二つが、決して無関係であるはずがない。僕とシアンくんの予想が正しければ、山頂にあるという『お宝』こそが、リザさんに繋がる最大のヒントであるはずだ。
「とりあえず、これからの目的は決まったね」
「よーーし!それじゃあ、ボクたちもお宝探しに参加だーーっ!!!」
一筋縄ではいかない山での宝探しになりそうだけど、目的がはっきりしたシアンくんの表情は実に晴れやかだ。
そんな僕たちの様子を確認すると、クリスさんは満足そうに頷き、風に紫の髪をなびかせながら背を向けた。
「……君は、いいコンビを見つけられたようだな」
「? クリスさん、今何か言いました?」
「……いや、ただの風鳴りさ。それじゃあ、私は準備に戻るとするよ。シアンくん!サクラギくん!縁があったら、また会おう!」
そう言って人混みの中へ爽やかに消えていくクリスさん。
僕たちの前から立ち去るその背中は、まるで切り裂くように駆け抜ける……北風の化身のようだった。
「よし!それじゃあ、ボクたちも出発!え〜と……受付場所はどこかな〜?」
「……あっ、あそこじゃない?」
あとは宝探しにエントリーして、山頂に辿り着くだけ。
こうして、僕たちの新たな冒険が今、幕を開けるーーー!
……そう思っていた時期が僕にもありました。
「参加費用は一人5万円となります!」
「「・・・はい?」」
受付窓口に辿り着いて早々、係員さんから提示されたのは参加費用の徴収。しかもその額は……なんと『5万円』。
……あ、二人分じゃないよ? 一人分の値段だよ……?
「あ、あの〜……。参加費にしては、5万円ってのは高すぎませんか……?」
「申し訳ありません……。現地の生息ポケモンの都合上、安全確保や警備の費用も含まれる危険なイベントですので、お支払いいただけない場合は参加をお断りすることになります」
……町起こしの一環とはいえ、神聖な場所を解放している以上、割高になるのは当然……ということなのだろうか。
決まってしまった設定なら仕方ない。ここは下手に噛み付かず、受け入れよう……。
・・・待てよ?そういえばシアンくんって……。
チラリ…
「 _|\○_ 」(←シアン渾身の『参加費用を立て替えてください』のポーズ)
「………」
僕は深々とため息をつくと諦めてロトフィックを操作し、空間に浮かび上がったホログラムのクレジットカードをタッチ決済の端末にかざした。
「……すみません。二人分の参加費用、クレジットカード一括払いで……」
こうして僕たちは、計10万円という手痛い
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これまでの冒険を日記に記録しますか?
はい◀︎
いいえ
アルカは宝探しのエントリーを日記に記録した!
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