※以下要素注意
ブロマンス,日常表現あり
ボカロ曲「孤独同士」の補足小説です。
「※運営からのガイドライン(または検索妨害防止)に基づき『ボーイズラブ』タグを設定していますが、作中に男性同士の恋愛描写はありません。あくまで濃厚な男二人の友情(ブロマンス)を描いた作品となります」
※以下要素注意
ブロマンス,日常表現あり
ボカロ曲「孤独同士」の補足小説です。
ボカロ曲↓
孤独同士
「先生………体調が悪いので保健室に行ってきます」
一人の少年は先生にそう告げて教室を抜け出す。少年の名前は
一は教室を出て校舎裏へ向かった。先生には保健室に行くと告げていたが全くその気は無く、ただ一人になりたかった。
そのまま靴を履き替え校舎裏へ向かう。
一の予想とは裏腹に、校舎裏には一人の少年が気だるそうに座っていた。一歩引き下がり、気付かれないように後ずさる。だが、不意に目の前にいた少年と目が合った。
一は慌てて目を逸らし、その場から逃げようとした。だが、後ろで少年から声を掛けられた。
「……おい、人の顔見て勝手に逃げんな」
「!!」
「お前、名前は?」
「あ、えと………
「は? 何て?」
「…
「ふ~ん…………水上……お前もサボりか?」
「あっ…えと………サボりって言われたら……えっと………」
「はっきりしろ…!」
「!! サボりです!」
「何でここに来たんだ?」
「あ…! えっとえっと……一人になりたくて……先生に嘘…吐いて…保健室に行くって……言いました………!」
「………………」
少年は少し考えた後、立ち上がって一の手を引いた。一も急に手を引かれ、戸惑いながらも走った。
何処に向かっているのかは分からないが、必死に後を付いていく。
少年に連れられてやって来たのは、自転車置き場だ。自転車置き場で少年は一に、自転車の後ろに乗るように指示する。当然、一は困惑した。
「ほら、乗れ」
「えっ…えっ……」
「いいから早く乗れ」
「でも…学校抜け出しちゃ…駄目…」
「早く乗れって…!」
強引に腕を掴まれ、抵抗する間もなく自転車に乗せられた。少年も自転車に乗り、軽快に漕ぎ出す。そして、校門を通り抜け外へ飛び出した。
揺れる自転車に跨がるがバランスを取るのが案外難しい。一は咄嗟に、少年の背中に思い切り抱きついた。
しばらく、自転車に揺られていると、周りの音は賑やかになっていく。一は恐る恐る目を開け、辺りを見た。
いつもの街並みが、何故だか今は違って見える。キラキラとしていてとっても綺麗だ。
ーーーーーー
街に着いた二人は、街路樹のある通りを歩いた。少し歩くと、何か見つけたのか少年は足を止める。
そして再度、一の手を引いた。少年と一はアイス屋さんの前で立ち止まった。
「お前、財布は?」
「持ってない……」
「はぁ……じゃあ俺が買う」
「え…そんな、悪いよ…」
「遠慮すんな」
少年は二個のアイスを買った。味はバニラとチョコレートだ。
店の近くに置いてあるベンチに二人で座ると、チョコレートのアイスを一に突きだす。
「ん、ほら食え」
「え…っと…」
一は渋々、少年からアイスを受け取った。そして、一口食べてみると、今まで食べたどんなアイスよりも甘い味がした。
「……美味しい…!」
「だろ? こっちも一口食えよ」
「あ…ありがとう……えっと…いただきます…」
一は少年が突き出したアイスを一口だけ食べた。バニラのアイスも、ほどよい甘さで美味しい。
「こっちも…美味しい!」
「だよな、やっぱ美味しいよな」
一はアイスを夢中で食べ進めた。ふと、少年は一を見てハンカチを取り出した。
「ん」
「えっ……」
「口、付いてる」
「えっ! 何処!」
一は少年からハンカチを受け取り、口元を拭った。少年はクリームが無くなったのを確認すると、ハンカチを返すように言う。
一は少年にハンカチを返そうかと思ったが、やっぱり使ってしまった以上、洗って返すほうがいいと思い、ポケットにハンカチを入れる。
「…ハンカチ、返せ」
「えっ…でも……洗って返すよ…」
「そんなのいいから返せ」
「ほんと、後で……返すから…」
「………………絶対だからな」
「えっと…その……」
「なんだよ」
「返す時、その…名前……分かんなくて……」
「
「え?」
「だから
「……分かった、赤鬼君、絶対返すから…!」
一は亮にハンカチを返すことを約束した。亮はアイスを食べ終わったのか、立ち上がる。一も置いてかれないように、慌てて立ち上がった。
次に何処へ行くか決めていなかった亮は、適当にショッピングモールの中へ入る。
その中のゲームセンターへ行くと、亮はクレーンゲームを端から見て回った。その後を一は必死に付いていく。
クレーンゲームを見るとレトロなレコードや、危険そうなダイナマイトのボタンなどが目に映る。その中で、一は一つのぬいぐるみが気になった。
そのぬいぐるみは孫悟空のような、小さなぬいぐるみだった。
「あ……可愛い…」
「………………」
「あ! ごめん…何でもない……です!」
亮は無言でクレーンゲームに百円を入れた。そして、中の景品を取ろうとした。しかし、百円、二百円、三百円とつぎ込んでも取れないので、不貞腐れてやめてしまった。
「…………次行くぞ、次」
「……あ、うん!」
それから二人は色んなゲームを遊んで回った。一は最初は、勝手に学校を抜け出した事を考えて楽しめなかったが、次第にそんな感情は薄れていった。
一は目の前のお店が気になり、亮の腕を引っ張る。それからしばらくは、色々なお店を見て回った。
ーーーーーー
時間を忘れて遊んでいると、辺りはすっかり夕焼けに染まっていく。亮は一を乗せて、ゆっくりと自転車を漕ぎ始めた。
二人が乗った自転車はいつの間にか影を追い越した。一は、亮の後ろから見える景色をぼーっと眺めていた。
河川敷に着いた二人は、川辺まで降りていく。
「こういう時ってさ…いきなり爆発が起きたり、正義のヒーローが助けに来てくれたりするんだよ!」
「は?」
「もし、そんなことが起こったらどうしよう! ってたまに考えるんだよね」
「………………」
亮は一の話に、若干困っているようだ。とりあえず、どう反応したらいいか分からないので、亮はその場に座り込んだ。
一もその場に座り、空を眺める。小さな光が一瞬キラっと輝いた。
一はチラッと亮の方を見る。亮も星空をじっと見つめている。辺りはもうすっかり夜だ。
一は指で星を繋げようとした。確か今頃は、『北斗七星』が見られるはずだ。だが、星の数が多く、どれが『北斗七星』か分からなかった。
「北斗七星…見つからない……」
「それ、なんだ?」
「知らない…の?」
「知らね」
「えっと…有名な星座で……柄杓みたいなやつ…」
「柄杓って水を掬うやつか?」
「……そう、水を掬うやつ」
「ふ~ん…」
亮はそれを聞くと夜空を熱心に見入った。そして、何か見つけたのか声をあげる。
「あれじゃね?」
「え?」
亮の指差す方向には、紛うことなき『北斗七星』が光っている。一はそれを見て、胸を躍らせた。
「!! そう…それ!」
「ふふん………たまには空を見るのも悪くねぇな」
亮は得意げに笑った。一も亮に釣られて笑顔になる。
「ね…星にお願いしたらさ…またこんな風に遊べる……かな…?」
「分かんねぇ…けど……」
亮は右手をグーにして、一に軽く突き出した。一はちょっと戸惑ったが、すぐに左手をグーにして突き合わせた。
約束を交わした二人は、別れの言葉を言った。
亮と別れた後、一は晴れやかな気持ちで歩いていく。足取りは軽く、今にも飛べそうな感覚だ。
もう一度、一は夜空を見上げた。瞬く星も一を見ている気がした。
もしも、今日みたいな日がまた来るのなら。そんな考えが、一の頭にふっと沸いた。夜空を見上げ、星に願う。
「もう一度会えますように…お願いします…」
願いが終わると一はまた歩き出した。そんな一の姿を見守るように、星々はキラキラと輝いていた。