今日の一はいつもよりも気分が良かった。というのも、今日は亮と一緒に遊ぶ約束をしていたからだ。
別に友達と遊ぶこと自体は初めてというわけではない。ただ、二人で遊ぶということが嬉しかった。
待ち合わせ場所に着くと亮がいた。
「亮君!」
「一」
「ごめんね…。待たせちゃった?」
「別に、今来たとこ」
「良かった…。あのね…今日は行くとこ、色々考えてきたよ!」
一は嬉しそうに亮にスマホの画面を見せた。そこには一が考えてきた三つの案が並んでいた。
「えっと……一番上が季節の彩りパフェが楽しめる専門喫茶で、二つ目が大人な雰囲気を楽しめる純喫茶。最後は猫がたくさんいる猫カフェ!」
「全部カフェじゃねぇか」
「あ、うん…。でも、楽しめると思う…。えと…どれがいい…?」
「…………じゃあ、猫カフェ」
「! 分かった行こう!」
一は早速猫カフェへの地図を表示した。亮からは『男二人で猫カフェに行くのってどうなんだ』と問われたが。
猫カフェに着いた二人はドリンクを頼んだ後、メインである猫の近くに座った。だが、猫は二人が座った場所から離れていってしまう。
「あ…逃げちゃった……」
一はめげずに猫に近寄るが、猫は全く興味を示さない。近付いては逃げられるを繰り返し、一は猫に触れる事を諦めた。
「駄目だった…」
「まだ時間あるし、待ってればいつか来るだろ」
「そうだよね……」
二人は猫が近くに寄って来るまで、雑談をする。しばらく、話をしていると一匹の猫が、一のそばにやって来た。
猫は、一の膝の上をぐるぐると歩き、丁度いい場所を見つけたのかその場に寝転がる。
一は『可愛い』と言い、猫の頭をそっと撫でた。亮も伏し目で一を見ながら、自分も猫に触れてみたいと思った。
亮は置いてあった猫用のおもちゃを握り、別の猫に向けて振ってみる。だが、どれだけ頑張っておもちゃを振っても、猫は釣れなかった。
「釣れねぇ……」
「もう少し頑張ったら、釣れるかもしれないよ」
亮は今度は適当におもちゃを振る。すると、さっきおもちゃを振っていた猫とは違う猫が、おもちゃに食いついた。
「!! 来た!」
亮は咄嗟に、おもちゃを上に引いた。すると、一本釣りのように猫が釣れる。それから亮は、しばらくの間その猫と戯れた。
猫はふあふあしてて、暖かくて可愛い。二人は時間を忘れて猫と戯れていた。
しばらく、猫と戯れていると店員のお姉さんから『お時間、五分前で〜す』と言われてしまった。二人は渋々、その場を後にする。
「……割と楽しかった」
「うん…猫ちゃん可愛かったよね」
「ああ…」
亮は小さく『また来てもいいな』と呟く。それを聞いていた一は小さく微笑んだ。
その帰り道、一は商店街の壁に、夏祭りのポスターが貼ってあるのを見つけた。ポスターに描かれた花火の絵に、一は強く心を惹かれてしまった。
「……あの、亮君…これ……」
「なんだ? 夏祭り…? 行きたいのか?」
「うん……一緒に行って……いい?」
「……いいけど」
一の表情がパァッと明るくなった。そして、すぐにスマホに予定を入れ込む。
夏祭りの約束を交わした二人は、別れ道でさよならをした。
一はスマホを見ながら、ルンルンと足を弾ませたのだった。