一隻の巨大宇宙船がアルクビエレ・ドライブで地球の前に出現した。
搭乗者の青年は地球へと降り立つ。
(この
青年は街を散策する。
行き交う人々や道路を走る車とバイク。
(この星も故郷の星と似てるな)
交差点の前で複数の人が立ち止まっている。
(なんだ?)
事故ではない。
正面に赤い光が点灯した気をつけをする人型のマークが描かれた装置がある。
信号だ。
(あれは一体……)
周囲を見る。
対面の道路は全て止まっている。
人も車もバイクも全部。
しかし、交差する横の道路は往来がある。
(なるほど。通行許可装置か)
やがて、交差する横の交通が止まり、対面の信号が青になると皆一斉に歩き出した。
(ふむ)
立ち止まっていた青年は歩き出す。
青信号が点滅。
(ん?)
皆が一斉に急足になる。
(走れということか)
走り出す。
そして、信号が赤になった。
(なるほど。青で進んでよし。赤が止まれ。点滅は赤の変わり目を指すのか)
交差点を渡り切る青年。
刹那、赤色灯を回したけたたましいサイレンを鳴らした車が赤信号の交差点を通過する。
(なんだ? 今あの車、赤を無視したぞ。それに交差する横の車両が道を譲った。どうなってんだ?)
さらにもう一台。
『緊急車両通ります! 道を譲ってください!』
と、同型の車両が駆け抜けていく。
(なるほど。急いでるから赤でも通れるのか)
ちょっと違う。
そしてもう一台が通過していく。
(尋常じゃない。事件ということか?)
興味本位で青年は後を追ってみた。
「ぎゃああああおおおおああああ!」
辿り着いた先で、怪獣が咆哮しながら暴れている。
「か、怪獣!?」
怪獣の火球が青年に襲いかかる。
「危ない!」
刹那、横から飛び出してきた少女が青年の体を捕まえて火球から助け出す。
火球は地面に激突して爆発した。
「大丈夫ですか?」
少女が訊ねる。
「ああ、大丈夫だけど」
「私、高木 恭子。あなたは?」
「テレス」
「
「いや、俺は大丈夫だ。あのくらいでは致命傷にはならない」
恭子は首を傾げる。
そこに第二撃。
恭子はシールドを展開した。
火球を防ぐ。
「ここは私が食い止めるから今のうちに逃げてください!」
「いや、しかし……」
テレスは考える。
(戦う力はあるみたいだし任せるか。やばくなったら助けてやればいい)
テレスはその場を離れる。
と、展開していたシールドに三撃目のエネルギービームで亀裂が入り、割れてしまった。
「きゃあ!」
恭子がよろめく。
四撃目。
怪獣の尻尾が恭子を薙ぎ払おうとする。
(やばい!)
テレスは懐からボタンのついたスティックを取り出した。
ボタンを押す。
その瞬間、巨人が出現してテレスの体が格納された。
頭部に獅子の鬣を思わせる大型放熱フィン。
目は鋭く獣のような縦長。
胸部中央に獅子を模したエンブレム。
肩部装甲はライオンの前脚を思わせる力強い形状。
腕部は大型で、殴打・斬撃どちらも可能。
背部に尾のようなエネルギーパーツ。
超機械生命体レオード。
レオードは恭子を薙ぎ払おうとする怪獣の行動を遮った。
足元で恭子が驚き戸惑っている。
「一体、何者なの……?」
疑問符を浮かべている間にレオードと怪獣が戦い出す。
レオードが怪獣を乱打。
よろめきながら後退する怪獣。
腹部を蹴り付けて怪獣を吹っ飛ばすレオード。
怪獣の落下と共に地面が大きく震動する。
レオードは怪獣の前に駆けってサッカーのように蹴り飛ばして転がす。
「ぎゃああああおおおおああああ!」
咆哮と共に怪獣の尻尾がレオードを薙ぎ払う。
レオードは転び、怪獣に跨がれ、顔面に乱打を受ける。
そこに、もう一体の怪獣が現れる。
「は!」
レオードが怪獣を押し除け立ち上がる。
「ん?」
レオードはもう一体の怪獣の方を見る。
すると、怪獣が恭子を狙っていた。
レオードはもう一体の怪獣の元に走ろうとするが、怪獣の攻撃で遮られてしまう。
「は!」
レオードは後ろ蹴りで怪獣を怯ませ、もう一体の怪獣に接近しようとする。
刹那、白銀の巨人が現れ、もう一体の怪獣と戦い出す。
安堵したレオードは怪獣に向き直り、迫り来る猛攻をガードし、隙をついて飛び蹴りを浴びせ、必殺の光線を放った。
光線をまともに受けた怪獣は爆裂霧散。跡形もなく消え去る。
一方で、白銀の巨人は怪獣の攻撃を回避し、カウンターで追い詰めている。
(すごい。攻撃の一切を寄せつけてない。出される攻撃も
白銀の巨人は怪獣を圧倒的な戦闘スタイルで虫の息に追い込み、必殺の光線を叩き込む。
「ぎゃああああおおおおああああ!」
怪獣は咆哮しながら大爆発を起こして消滅した。
「君は一体?」
レオードの問いに白銀の巨人は首を少しだけ回してこちらを見る。
そして、無言のまま地面を蹴って飛翔し、空の彼方へ消え去っていった。
レオードは光に包まれてテレスの姿になった。
(さっきの子は?)
テレスが辺りを見渡すと、遠くに小さな影が見えた。
目を凝らしてみると、どうやら先ほどの恭子という子だとわかった。
テレスは恭子に向かって歩く。
「無事だったんだね」
恭子は振り返った。
「ああ、さっきの」
「さっきの巨人、すごかったね」
「そうですね」
「あ、そうだ。君、もし知ってたらでいいんだけど、アリスって子知ってる?」
「
「そうそう、アリス。俺の妹で捜してるんだ」
「有栖さんって子なら、一人だけ知り合いにいるわ。病院に入院中の友達なんだけど」
「入院してるのか……」
「確か、有栖さん、輝須さんっていう実兄がいるんだけど、きっとのあなたのことね。うん、いいわ。案内するからついてきて」
テレスは恭子に連れられて都内の総合病院へ足を運ぶ。
恭子の友達の有栖がいる部屋の前。
(やっと妹に会える)
テレスは恭子と共に病室に入った。
「いらっしゃい、恭子。……そちらの方は?」
「輝須さん。養子に引き取られた有栖のお兄さんよ。あなたを捜してたんだって」
「え? それじゃあ!」
有栖はテレスをじっと見つめる。
「君が、アリスなのか?」
「ええ」
「病気一つしなかった君が入院だなんて、一体何があったんだい?」
「うん、ちょっと怪我で」
「じゃあ、大したことではないんだね?」
「うん」
かくて、生き別れになった兄妹が喜びの再会を果たした。
いや、何かがおかしい気がする……。