七年前のあの日。
宇宙がちっぽけな落とし物をした。
落とし物は原宿に墜落し、街はあっという間に荒廃した。
高層ビルは崩れ、道路は裂け、人々は逃げ惑った。
誰も知らなかった。
あの時、地球へ飛来したのは隕石だけではなかったことを。
瓦礫の下。
暗闇の中で、何かが動く。
「……………………」
人影。
いや、人ではない。
それは人の体を乗っ取ろうとして——
体が透明になって倒れている人に入り込んだ。
七年前、原宿に落下した隕石。
政府はただの隕石事故と発表した。
とある倉庫。
警備のため巡回でやってきた警備員。
奥に整頓された多数の段ボール箱。
「異常なし」
警備員は戻ろうと向きを変えるが。
「……?」
背後から不審な物音がし、振り返ると段ボール箱が散乱している。
恐怖を覚えた警備員は部屋を立ち去ろうとするが、前方に人のそれとは異なるものが立っていた。
異形の体が半透明になると、警備員の中にスーッと吸い込まれるように入っていく。
警備員はニヤリとほくそ笑んだ。
異形が警備員を乗っ取ったのだ。
港湾エリアに複数の怪人が出現する。
ACRの宇宙人対策班が現場に急行。
隊員たちが一斉に怪人を銃撃。
『取り憑かれる前に倒せ』
指令車から対応に当たっている隊員に無線が入る。
隊員たちがマシンガンを連射する。
無数の弾丸が怪人たちを襲う。
次の瞬間、怪人たちが半透明になり、隊員たちへ乗っ取りにかかった。
「うわ!」
「あ!」
一人、また一人と、次々に乗っ取られていく。
指令車のレーダーから怪人の反応が消える。
「ターゲット、ロストしました!」
乗っ取られた隊員が指令車に無線を入れる。
『撤収だ』
隊員たちが撤収を始める。
しかし彼らは全員乗っ取られていた。
街で複数の人物が暴れている。
暴徒を鎮圧しようと警察が駆けつけてくる。
だが、彼らの暴力の異常さに警察は次々に負傷していく。
暴徒の一人が「アストライアはどこだ!?」と叫んだ。
事件の通報を受けたACRの対策班が駆けつける。
「アストライアを出せ! 隠し立てすると容赦しないぞ!」
暴徒はそう叫びながら隊員たちを襲う。
隊員も人間相手では手が出せなかった。
暴力に怯える街の人々はアストライアが解決してくれるだろうとその登場を待ち侘びている。
(彼ら、どうやって助けようかしら)
そう考えるのは隊員の恭子ことアストライアである。
「いい加減出てこいアストライア! 貴様を殺してやるぞ!」
暴徒が叫ぶ。
恭子の手にはスティックが握られていた。
(罠にはまってやるか、それとも……)
そうしてる間にも、隊員たちが次々に地に伏していく。
(やるしかないか。後のことは後で考えればいい)
「変身!」
恭子はスイッチを押し、等身大のままアストライアに姿を変えた。
「出たなアストライア!」
暴徒の体から怪人たちが飛び出してアストライアに襲いかかる。
「この数、キリがないな」
アストライアはレイクローディで怪人たちを一瞬で捻り潰す。
「つ、強い。だが……」
怪人たちが一点に集まり、合体して巨大化する。
「踏み潰してやる!」
巨大怪人の足がアストライアの頭上に迫る。
「はっ!?」
対応が遅れた。
アストライアは巨大怪人に踏み潰されてしまう。
「フハハハハ。巨大化してしまえばこっちの……?」
刹那、巨大怪人の足が押し上げられた。
「くっ……オラは負けねえぞ!」
巨大怪人はバランスを崩し後ろに倒れた。
地面が激しく揺れる。
アストライアは巨大化し、起き上がった巨大怪人と対峙する。
「おのれアストライア! ここで会ったが百年目! 貴様を殺してやる! 殺してやるぞ!」
「いや、私あなたのこと知らないです」
「そんなことどうでもいい!」
巨大怪人がアストライアの懐に飛び込んだ。
アストライアは拳をガードしながらバックステップで退がり、敵が次の攻撃に備えて手を引いたところにすかさずパンチを入れ、渾身の蹴りで相手を吹っ飛ばす。
「うわああああ!」
巨大怪人が弧を描きながら地面に落ちる。
轟音と共に地面が激しく揺れる。
アストライアは倒れる巨大怪人に向かって右手を突き出した。
「必殺……私の必殺技。巨大ヒーローバーション!」
アストライアがヴァルシアブラストを放つ。
光線が巨大怪人に炸裂し。
「ぐわああああ!」
断末魔の叫びを上げて爆裂霧散した。
アストライアは上を見上げると、地面を蹴って飛翔し、空の彼方へ消え去るのであった。