超機械生命体アストライア   作:桂ヒナギク

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33.擬態された隊員

 この頃、世界各地でドッペルゲンガーの目撃例が絶えなかった。

 自分のドッペルゲンガーを見たその時、自分は死んでしまうという恐ろしい噂まで世界中に蔓延している。

 事態を重く見たACRは世界各地に隊員を派遣してパトロールを始めた。

 そんな中、港湾エリアに異星侵略者が出現する。

 隊員が駆けつけ、侵略者に銃撃で出迎えた。

 侵略者は超高速歩法ソニークを使って隊員を翻弄する。

「うわ!」

「きゃあ!」

 男女の呻き声が飛び交う。

 侵略者は薙ぎ倒した隊員を殺害すると、その人物にそっくりな姿に変わっていく。

 隊員に擬態した侵略者は、隊員のフリをして基地へと向かって去っていった。

 遺体だけが取り残された倉庫内に、時空転移で恭子が現れる。

「遅かったか」

 恭子は遺体の山を見て唇を噛み締める。

 刹那、物陰から物音がした。

「誰?」

 物陰を振り返ると、何かが動いた。

 恐る恐る近づく恭子。

「ひい!?」

 何者かが怯えた様子でプルプルと震えている。

 隊員だった。

「見たことを教えてくれる?」

「速すぎて見えなかった。みんなやられて、すり替わられてる」

「あなたは?」

「俺は人間だ」

「とりあえず、安全なところへ行きましょう」

 恭子は隊員を人通りの多いところへ連れ出す。

「助かったよ。俺一人じゃ怖くて」

「私はもう行くわ」

 恭子はそう言うとその場を離れる。

(今回の敵はゲンガー人かしら)

 ゲンガー人。

 ファントムシフターという、他者の姿、記憶をコピーし、自身の体をそれに擬態させるアイテムを使う厄介な宇宙人である。

 思考を張り巡らせながら歩く恭子の後を尾(つ)けるもう一人の恭子。

「……?」

 恭子は背後に自分そっくりの人物がいることに気づいた。

「私に何の用?」

 恭子は立ち止まり様に振り返った。

 もう一人の恭子も立ち止まり、不敵に微笑んでいる。

「私は私一人でいい」

 もう一人の恭子が怪物に姿を変える。

 怪物は恭子に襲いかかる。

 恭子は攻撃をかわし、反撃の一手を浴びせる。

「ぐっ!」

 怯む怪物。

「貴様、ただの人間ではないな?」

「ご名答。ヴァルシア人よ」

「ほおう。あのロボット生命体の星のやつか」

「そういうあなたはゲンガー人ね?」

「よくわかったな。褒めてやろう」

 怪物はソニークで恭子に接近する。

「きゃあ!」

 恭子は吹き飛ばされてしまった。

(超高速歩法!?)

 思うが否や、恭子の体は地面に叩きつけられて転がる。

 怪物は目の前に現れ、恭子の頭を掴んで持ち上げ、背中に拳を叩きつける。

「ぐっ!」

 苦痛に顔を歪める恭子。

「貴様を消し、俺が貴様として生きてやる」

「そんなこと……させるもんですか!」

 恭子は懐から転送装置を取り出す。

 ボタンを押した刹那、恭子の体はアストライアに変身した。

「貴様は!?」

「はあっ!」

 アストライアは足を前方に振り上げると、怪物の頭上を乗り越え、背中を蹴り付けて吹っ飛ばす。

「ぐお!」

 怪物は宙を舞ったが、体勢を整えて着地。

 そこに、複数のACR隊員がやってきてアストライアを囲んだ。

(こんなにいるの!?)

「貴様の名を聞いておこう」

「アストライア。宇宙の平和を守るものよ!」

「ほおう? ならば俺たちはそのお前を倒し、全宇宙を征服する」

 隊員が怪物に変態し、ソニークで襲いかかってくる。

「きゃあ!」

 アストライアの体が宙に舞い、落下を始める前に次の攻撃を受け、また浮かび上がる。

 乱撃を受け、身動きが取れなくなってしまう。

 アストライアはソニークに対抗するため、レイクローディを発動した。

 ソニークの速度が遅くなる。

 アストライアは体勢を立て直し、ゆっくり迫り来る怪物を蹴散らす。

 レイクローディが止まった瞬間、怪物は爆裂霧散して消滅した。

「何が起きた!?」

 感嘆する怪物。

「次はあんたで終わりね」

「ふっ」

 怪物は鼻で笑うと巨大化した。

「踏み潰してやる」

 アストライアも巨大化する。

「何だと!? だが……」

 アストライアと怪物の揉み合い。

「であ!」

 アストライアが怪物を放り投げた。

 怪物の重い体が地面を揺らす。

 アストライアは倒れている怪物に向かってヴァルシアブラストを放ち粉砕した。

 上を見ると、アストライアはジャンプして空の彼方へ消え去る。

 

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