主人公に全てを託して死ぬタイプのヒロインにTS転生したっぽいし、きっちり役割を果たすぞ! 作:匿名退場予定
なんかミーツェに勘違いされてるんだけど、とりあえずイベントは進められそうで一安心。
火の悪魔と、ウルフレートの話を聞けそうだし。
……ああ、でも1個の秘密をばらしちゃったな。
エレーナは未来が見えるって話。少しだけ、特殊だからこそ序盤で退場するヒロインになるんだけどもね。
……まあその、俺は原作知識があるから実際未来が見えてるようなものなんだけどね!
そう考えるとさ。未来知ってるせいで、れーくんに張り付いてる泥棒猫みたいにならない?
違うんです、そういうんじゃなくってさ。れーくんと会ったのはたまたまだし……誰に言い訳してんだろ。
ともかく、放課後にミーツェに聞かないとね。火の悪魔とかの現状とかどうなってるのかよくわかんないし。
にしても、放課後が来るまでは暇だね。今日は、れーくんとも話してないし、ちょっと新鮮な気持ち……のはずだったんだけど。
「エレーナさんっ!」
軽快な声が聞こえて、そっちを振り向くと……にこりと微笑んでいる顔が見える。
なんか、メインヒロインちゃんがいる。どうして?
「なんで、いるの……?」
「いちゃダメですか?エレーナさんってクラスだと一人だったみたいなので」
え、ぼっちって言われてる?いやまあ、そうだけど!
エレーナってそういうキャラだから!
「だから、一緒に来たんですけど、ダメ、ですか?」
「……いいよ」
「やった」
……間近で見ると、やっぱりかわいい。さすが、メインヒロイン。この距離感でこられたら普通、好きになっちゃうよね。
「あっ、如月くんにはちょっかい出していないですからね」
「……そう」
もう、みんなすぐにれーくんの話したがるよね。……いや、逆にステラに気に入ってもらうチャンスだったりする?
実際、今のところのステラはどう思ってるんだろう。
序盤のステラとれーくんはそこまで仲良くはなかった気がするけど。
ちらり、とステラの方を見る。たまたま、視線がぶつかって、不思議そうに見返してきた。
「どうしたんですか?」
「……ステラって、れーくんのこと、どう思っているの?」
と、聞いた瞬間にステラの頬が少しずつ緩んでいく。あれ、何か間違ったかな。
「そうですか、そうですか。如月くんについては、まだ知り合ったばっかりですからね。エレーナさんとの絡みを見てる限り、いい人そうだなって思いますけど」
お、あんまり悪くなさそうな印象。
「逆に、エレーナさんはどう思っているんですか?」
「え?」
「如月くんのこと」
俺にとってのれーくん?
「……れーくんは、一緒にいて安心する」
癒されるってのと似てるんだろうか。出会いが、そこそこインパクトあったからね。
強引に傘を差し出されたあの日に、この人は安心できるんだと思ってしまったから。
「安心ですか、なるほどなるほど」
「……なんなの」
「いやあ、エレーナさんにとっては如月くんはとっても大事な人なんだろうなって」
……やっぱり、変な勘違いされてない?
なんかずっと、にやにやしてるし。口角も上がりすぎ。ちゃんと下げて。
「そういうんじゃ、ないよ?」
「でも、一緒にいて安心するんですよね?なかなかいないですよ、そんな人」
にやっとした表情が抜けて、ステラは遠くを見つめるように呟いた。
含みのある感じで言うじゃん。
「……でも、そういうんじゃない、よ。れーくんは、私がいなくなっても、きっとなんとかしてくれるから」
そう、れーくんは主人公だから。俺がいなくなっても、きっとなんとかしてくれる。そういう期待みたいなところもあって。
……そういう意味だと、れーくんの活躍だとかをちゃんと見れなくて困るね。
なんか、体験版だけでおわってしまうゲームみたいな感じ。
あれ、なぜかステラが固まっている。かと思えば、視線を伏せて何かを考えていて。
急に両手を握りしめられた。……うわ、柔らか。これがメインヒロインのおててってことか。
エレーナはどうなんだろ。自分のだからわからないけど。
サイズはステラとはそんなに変わってないはずで、柔らかさとかそういうのはよくわからないし。
れーくんはあれだけ握っててくれたわけだけど。実際、どうだったんだろね。聞いてみるか。
……じゃなくて、これはどういう状況なの?
「エレーナさん……」
何々、怖いって。あれ、ついさっき変なこと口走らなかった?
何言ったっけ。確か、そう。いなくなっても安心するとか。
……いらんこと言ってるな、これ。変なこと疑われてしまう。
いや、変なこととかではなくて。正しいんだけど。
――ぴりっ、と肌に変な感触がした。ステラの髪が、ふわっと風に吹かれたように形を変える。
極まった魔力は、時々肌を撫でるような感じがするんだとか。
これは、ステラの魔力。
エレーナは未来がわかる。それは、ちょっと特殊な立ち位置にいるから。
それと同じように、ステラだって特別な存在になる。
ステラはそもそも、メーアの家にいるわけではない。
ただの孤児で、素質を見出だされてそのまま、メーアの一員になった。
だから、ステラには秘められた力がある。
魔力っていうのは、四つの属性があるけど、それはあくまで基本。火、水、風、土の四属性以外……と言っていいのかわかんないけど、そういうものがある。
それが――星の魔力。すべての属性を併せ持つ、シナリオの鍵になる力。
……なんか、刺激しちゃったみたいでそれが出てきたっぽい。みんな、こっち見てるし。
「ステラ、落ち着いて」
「だって、エレーナさん。まるで、これから消えるみたいな」
「…………そんなわけ、ない」
「なんですか?その間は」
やばい、話を聞いてくれないんだけど。れーくんと同じ方式で誤魔化すしかないか。
「エレーナ・マエルストロム・リーデルは、消えない、よ?」
「……ごめんなさい、ちょっと脅かしました」
「へ?」
ふわり、とさっきまであった威圧感が消えた。ステラがそのままてへっ、と舌を出す。
「エレーナさん、ずっと何か隠してそうですし。本当に消えそうだったんですもん。だから、つい」
「脅かさない、で」
「それに――牽制もしたかったので」
周囲の人たちのこちらに向けられてる視線が、そっと逸らされた。
……威嚇みたいな話?
「エレーナさんは、これまでたぶんあんまりよくない経験が多かったと思います。如月くん関係以外のは。だから、今後はそうならないようになったらいいなって」
「……威嚇した後に、言うんだ」
「いい性格してるって、よく言われますからね」
びっくりした。急にメインヒロインちゃんが暴走でもしてるのかと。
にしても、やっぱりいい子だ。
俺に構わずに、幸せになってくれたらいいのに。
ただ、ステラのこちらを見る視線が変わったような気がして。
これ以上、シナリオが歪んだりしないようにしたいなあ、とだけ思うようになった。
◇◇◇
「エレーナさん、やっぱり何か隠してる」
「でも、教えてくれないし」
「……私と仲良くなっておいて、消えるなんて許しませんからね」
「それこそ、如月くんに頑張ってほしいですけど」
ハメ匿中に強引に書いたこともあり、ちょっとだけ内容をまとめたいとかもあるのでちょっとスピード落ちます