主人公に全てを託して死ぬタイプのヒロインにTS転生したっぽいし、きっちり役割を果たすぞ!   作:匿名退場予定

24 / 24
退場予定ヒロインちゃん、聞き耳を立てる

「最近さ、眷属出たらしいじゃん。やばくない?」

「わかる。魔力使うっていっても、戦うと思わんしさ」

 

 教室が賑わっていますが、相変わらずぼっちのエレーナ・マエルストロム・リーデルです。ぶいっ!

 

 ……テンションあげたせいで逆に疲れたかもしれない。ねむねむモードに入ってもいいかな、寝不足だからさ。

 

 なんでそんなことになったかっていうとその、れーくんのせい、なんだけどさ。

 

 れーくんと離れようとしたら、逆にれーくんを刺激してしまったらしくて。

 

 そのまま、手を掴まれたりだとか。

 

 ……抱き締められたりした。いやその、抱き締めるって、どうなんですか?

 

 いやね?俺はれーくんのパパをやってもいいぐらいの気持ちではありますけども。

 それでも、友達とはいえ異性の子を急に抱き締めるってのはどうなの。びっくりしちゃうでしょ。

 

 ……異性の子かあ、そういや俺って女の子だしなあ。そういうこともあるのかな。

 あぅとか言っちゃったよつい。何、その反応。女の子でもなかなかやらないって。

 

 みんなが、れーくんと私をカップルみたいな扱いにしてくるけど、そんなこともなくて。

 

 でも、れーくんはなんか。うん、そういうことをしてきたけど。一緒にいないと寂しいだとか、色々言ってたのはわかるんだけどさ。

 

 もしかして。

 

 なんて、変なことを考えて寝れなくなってしまった。

 

 アホなことを考えてる場合でもないのにね。

 

「そういえば、ステラさんのことなんだけど」

「あー、メーアのとこの?すごいよね、素質を認められて養子になるとかさ」

 

 ふと、耳をすますとステラの話題が出てる。さすがメインヒロイン、みんなから注目されてる。

 

 まあ、生立ちだとか含めて特殊だから気になるってのもわかる。あと、普通にかわいいし。性格的にも、みんな気になるよねって。

 

「星の魔力ってどんな感じだろうね?」

「全属性でしょ?だったらいろんなことできそうだし」

「それこそ、眷属と戦うのとかは便利そう」

「確かに。メーアって戦い好きじゃん?だったら、ステラさんもいくのかな」

「あー、確かに」

 

 実際、魔力があるっていってもそんな便利なものでもないしなー。普段からバリバリ使うのは禁止されてるからね。危ないしさ。

 

 まあ、ちょろっと使うぐらいのものなら許されるんだけど。俺だって土の魔力で身体強化はちょこちょこしてるし。

 

 そういう意味だと、火の魔力とかは攻撃的すぎて危険だから、普段から使ってて便利なことはなさそうなんだよね。

 

 火をつけるだとか、ちょっと爆破するみたいな使い方だから。でも、大きな音立てたりとか、眩しい光作ったりとかもできるとは思うけどね。

 

 ウルフレートの家とか、どうしてるんだろうね。

 

「そういえば、ステラさんって如月くんとも仲良いよね」

 

 と、考え込んでいると。つい、れーくんの話題で立ち上がりそうになった。危ない危ない。

 

「魔法名なしだけど、強い水の魔力持ちなんだっけ?」

「そうそう。家系的にも普通らしいよ」

「マジ?いいなー」

 

 ふふふ、主人公だぞ。それぐらいのスペックがないとね。

 

「この前も、眷属出たときに倒したの、如月くんなんだって」

 

 あ、前の公園の時の話か。あれはちょっと、イベント潰しちゃって大変だったな。

 

 ……っていうか、れーくんから離れられなくなったんだけどさ。じゃあこれから、ステラとこなすはずのイベントとか全部潰しちゃうんじゃない?

 

 ちょっと、まずいかなあ。どうしよ、原作ルートへの修正が難しい。

 

「あー、でも。あそこって、あの人も一緒にいたんじゃなかった?」

「あの人?」

「あの、人形姫さんだけど」

「しっ、ステラさんに聞かれたら睨まれるって聞いたよ」

「え、ほんと?……今のなしで」

 

 うーん、相変わらず私のことは触れたらダメな話題らしい。まあ、元からそんな感じだったけども。

 

 最初は、あの人形姫だってー。うわ、ほんとに人形みたいじゃん!みたいなノリのが多かったけど。ステラが怒るって!みたいな雰囲気に変わってきた。

 

 いいか悪いかはわかんないけどね。

 

「あ、エレーナさん!」

 

 なんて、一人でボーッとしてるうちに。話題の人が来てしまった。

 

「……何か用?」

「大丈夫ですって。如月くんと違って急に抱き締めたりしないので」

「な、なん、で」

「いやー、なんか如月くんが悩んでたので強引に聞き出しました」

 

 てへ、と舌を出してくる。くそ、かわいい。こっちも舌出してやろうかな。

 

「べー」

「あはは、無表情でやられると面白いですねそれ」

「ステラきらい」

「私はエレーナさんのこと好きですよ」

 

 え、なんで好感度上がってるの?

 ステラ、なんか知らないけど俺のこと気にしてくるときあるしな。

 

 っていうか、れーくんはそんな話を人にしないで。何、俺が抱き締められた話ってそんな広まってたりするの?しないよね?

 

「もー、無視しないでください」

「みゅっ」

 

 急に頬をつつかれて変な声が出てしまった。

 

「実際、エレーナさんって如月くんのことどれぐらい好きなんですか?」

「なんで好きな、前提なの?」

「でも、嫌いじゃないですよね?」

「そう、だけど」

「じゃあ、いいじゃないですか」

 

 なにその質問。どのぐらい好きか、か。改めて考えてみると難しい。

 

 れーくんは、俺にとっては。大事な友達で……それから。なんだろう、わからない。

 

 でもたぶんきっと、いなくなるととても寂しい。エレーナとして生きてきてから、一番大事なやつは誰かっていうとそれはきっと、れーくんになってしまうから。

 

「れーくんのことは、親友みたいなものだから。友達として、好きって、ことで」

 

 でも、それをうまく言葉に表すのは難しいから。逃げるように、友達という枠組みに押し込んだ。

 

「へー、そうですか。これは、如月くんも大変そうですね」

「……なんで、れーくんが大変、なの?」

「エレーナさんはわからなくていいです」

 

 なにそれ、気になることばっかり言って。

 

 ……そういえば、本編始まってちょっと時間が経ってるぐらいの時期なんだけど。れーくんとステラってどれぐらい仲良くなってるんだろ。

 

 ちょっとだけ聞いてみるか。

 

「じゃあ、ステラはどのくらい好き、なの?」

「へ?」

「れーくんのこと」

「……ああー、そういう感じですか」

 

 俺の言葉を聞いて、何かを理解したみたいに目を伏せた。え、なんか変なこと聞いた?

 

「まあその、如月くんのことは嫌いじゃないですよ?でも、恋愛的に好きとかじゃないんで安心してください」

「安心できないけど」

 

 だって、それだと原作通りにならなくない?まずいんだけどな。

 

「え!?疑われてます?」

「なんのこと?」

「いや、その……実は如月くんのこと好きだと思われてるとか」

「好きじゃないの?」

「いや、違いますって」

「れーくんの何が不満なの?」

「あ、あれー?おかしいな、そういう方向ですか??」

 

 れーくんの何が、実際に不満なんだ。いいでしょ、れーくんはいい子だぞ。

 

 一人ぼっちの俺にやたらと構ってくれたし。どん底にいるような俺に、手を差しのべてくれたし。

 

 それに、強い水の魔力を持ってるし。

 

 まあ見た目も、イケメンって言われるとちょっと違う気もするけど。それでも磨けば光る!みたいな見た目してるし。

 

 よし、熱弁してやろうかな。優良物件ですよ、れーくんは。

 ……友達を物件とか言うのはよくないか。

 

「なんで、れーくんじゃダメなの?」

「あーもう、なんかこの人めんどくさいですね!?」

「え、ひどい」

「もう、早く自覚してくれないかなあ」

「……自覚?」

 

 よくわからないことを言ってるステラに、れーくんの良さを語り尽くそうとしたけど。なんか拒否されてるし、仕方ない。次の機会にするか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【無自覚TS】ダンジョンで記憶喪失になった女の子だけど、周りの反応がなんかおかしい(作者:じっくりコトコト弱火メス堕ち)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

ボクはどうやら、ダンジョンで重症を負い記憶喪失になったらしい。▼それなら仕方ない。ゆっくり思い出していけばいいでしょ!▼……ところで、なんでボクの下着はトランクスばかりなんだろう。▼10/9 更新しました


総合評価:1237/評価:8.63/連載:7話/更新日時:2026年10月09日(金) 07:02 小説情報

『世界くらい救ってこい!』と送り出した子分、十年経ったら様子がおかしい(作者:べべべたろう)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

転生したら村娘だった。▼そんな俺の特筆すべき点は、勇者の幼馴染であること。▼「俺の子分なら、世界くらいパパッと救ってこい!」▼そう言って送り出して十年。▼帰ってきた勇者の様子が、なんかおかしい。▼*TS転生、精神的BLものです。


総合評価:844/評価:8.73/完結:10話/更新日時:2026年08月23日(日) 21:00 小説情報

TS転生したら変身ヒーローだったけど、魔法少女がやりたい!(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

百日紅凛は転生者。魔法少女がいる世界にTS転生してしまう。▼女の子になったのなら、魔法少女をやってみたい。▼そう思っていたのに、凛に与えられたのは変身ヒーローの力だった。▼でもさ、魔法少女やりたいよね!!▼そんなノリで魔法少女ごっこをしながら、変身ヒーローの後輩の少年とか新人魔法少女とかを振り回していく、記憶喪失系TS転生変身ヒーローちゃんの話。▼ついでに、…


総合評価:1175/評価:8.53/完結:26話/更新日時:2026年11月06日(金) 07:03 小説情報

TS娘と情緒をぐちゃぐちゃにされる相棒(作者:べべべたろう)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

▼なお、TS娘本人の情緒もぐちゃぐちゃな模様。▼【ちゃんとしたあらすじ】▼その日、冒険者ニコは女になった。物理的に。▼冒険者としての相棒兼幼馴染で親友のカイは無類の女好きである。ニコは当然、貞操の危機を覚えずにいられなかった。▼が、予想に反してカイはニコに手を出さなかった。なぜなら、奴はTSしたニコによって情緒をぐちゃぐちゃにされていたからである。▼*後天T…


総合評価:1284/評価:8.83/完結:15話/更新日時:2026年09月07日(月) 21:00 小説情報

推しの魔法少女を助けたいTS転生魔法少女(作者:きし川)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

生前、途中で視聴をやめてしまった魔法少女作品の世界に女の子として転生した男は視聴をやめる原因となった推しを助けるべく魔法少女となって戦う。


総合評価:816/評価:7.71/連載:7話/更新日時:2026年08月12日(水) 07:12 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>