主人公に全てを託して死ぬタイプのヒロインにTS転生したっぽいし、きっちり役割を果たすぞ! 作:匿名退場予定
あーあー。テステス。どうも、エレーナ・マエルストロム・リーデルです。
なんか、魔法を披露したんだけど。れーくんの様子がちょっと変というか、生暖かい目で見られてる。こっちが見たい方なんだけどね。……いや、かわいい弟とかそういう感じの方がいいかも。
でも、よしよしはさせてくれないしね。うーむ。
まあそれはいいとして。とりあえず、エレーナとしての本分を果たさないとね。
エレーナの退場ルート、はぁじまぁるよー!
あっ、すでにれーくんと仲良くなってしまってるのはルート外だけど許してね!
さて、まずはゴールの話なんだけど、それは……秘密!
水の神関係で、消えないといけないだけです。異存在関連はね、なんかこうスケールがでかいので話すのが面倒くさくて。
ともかく、大まかなルートの話になるんだけど。
まあ初日にれーくんと会うのはクリアした。
で、ここから先の話。れーくんとはあんまり一緒に行動はしないんだよね。なぜなら、メインヒロインではないから。
……まあちょっと寂しい気持ちはある。れーくん、パパとはしばらく疎遠だよ。ごめんね。
逆に、俺はライバルヒロイン的なキャラのところに行く事になる。ステラちゃんのライバルポジション。
なんでかっていうと……そっちの方が動きやすいから。ステラちゃんとかれーくんの周囲にいると、ちょっと変な注目のされ方をしちゃって、動きにくいってこと。
ちなみに、ここら辺の理由は実は原作のエレーナと同じだよ。エレーナも、れーくんは気になるけど……動きにくいしなあと思い、そういう風にしてたらしい。
意外とエレーナもれーくん好きだからなあ。"も"ってなんだ、別に俺はれーくん大好き!とかではないけど。……いいやつだから嫌いではないけど。
だって、退場予定のルートに行くためにはあんまり注目されるとやりにくいからね!
なので、とりあえずライバルヒロインのところで日々を過ごしながら、色んなイベントをこなすことになります。
……って思ってたんだけどね。
「エレーナ」
放課後に動こうかなーってしたときに、れーくんに掴まってしまいました。君、俺のこと好きすぎない?
「何、れーくん」
「一緒に帰ろうと思って」
「……なんで?」
「なんでって、ダメなの?」
ぎゅっ、と手を掴まれた。……そんなに気軽に女の子の手を掴むのはさすがにどうかと思うけど。俺は別に、あんま気にしないけどね。
でも、注意はしとこ。
「……れーくん、急に女の子の手、掴むのよくない、よ?」
「あっ、ごめん。でも、エレーナが逃げていきそうな気がして」
逃げるって何?猫じゃないんだからさ。
「めっ、れーくん」
ぺち、とれーくんの額を弾く。
「あだっ……何するの」
「私はどこにも、行かないよ」
「……本当?」
……なーんか、れーくんの雰囲気おかしいんだよね。これさ、もしかしてなんだけど。
俺が消えようとしてるの、感づかれてない?
一応、本来なら気付くはずなんてないんだけど。俺はれーくんと必要以上に仲良くなってしまったし。そういうことはあるのかもね。
しょうがないので、はっきりと誤魔化そう!
「……エレーナ・マエルストロム・リーデルは、消えない、よ」
嘘をつかなければ、別に感づかれないと思うからね。
「そっか」
ほら、安心したような顔してる。よし、これで条件クリアー!
「じゃあ、一緒に帰ろうっか」
あれ?なんでそうなるの。
「……れーくん、私は」
「エレーナはさ、一人ぼっちがいいの?」
俺の言葉を遮ってそう言いながら、真剣な顔をしながられーくんがこっちをじっと見つめる。
……すごい話が変わりすぎててよくわかんないんだが。
あーでも、今までれーくんが家族関係とかでよく渋い顔してたからなー。
エレーナは水の魔法名をつけられたんだけど、持ってる魔力は土で、そのせいで見限られてる。
水の魔法名って何?って話なんだけどね。
まず、家名のようなリーデルがついてるでしょ。で、エレーナが名前。
その間についてるのが、"マエルストロム"。激動とかそういう意味もあるけど、渦巻きとかの意味もあるので、一応水に関する名前をつけられてるって話になるんだよね。
ともかく、そんなことをしたのに、水の魔力じゃないじゃん!欠陥品!って扱いをされたので、わりとぼっちなんだよね。
まあ、エレーナはあんまり表情変わんないところもあるしなあ。
で、そこをたぶんれーくんは気にしてるってことになる。
……本当にごめんなんだけど、そのうち死んじゃうのと、家族からあえて見放されるようにしてるからね。
だって、エレーナの本当の魔力は土じゃないけど、そうなるように仕向けるためにやってるからね。
だから、本当は杞憂なんだよね。れーくんいるし、これから関わる人いるからいっか!ってこと。
うーん、どうしよかな。誤魔化そ。
「私は、その。一人ぼっちになりたくは、ないよ?」
「……でも、俺以外と友達いないでしょ」
え、クラスの様子を把握されてるの?いや、想像でもわかるか。
「友達作る、つもり。あるよ?」
「……本当?」
「れーくん、疑り深すぎ」
「ごめん。心配だから」
「よーし、よし、よし……」
心配性なれーくんをなでなでしてたら、やっぱり払い除けられちゃった。
「パパ悲しい」
「……パパって何?」
「ごめん、男の部分がでちゃった、ね」
「男???」
あ、れーくん混乱しちゃった。もーいっか。
れーくんごと、ライバルヒロインちゃんのとこに行っちゃお!
……あんまり時間ないんだよね、そういうことするまでさ。
だから、今のうちにさっさと済ませておきたい。
最初のイベントをある程度こなした上で、俺はきっと消える羽目になるから。
ぐいっと、れーくんを引っ張って歩いていく。
「ちょっと、エレーナ?」
「友達作るつもり、あるって言ったでしょ」
「……えーっと、なりたい人のところにいくってこと?」
「うん」
ちなみに会いに行く人は、エレーナと同じ魔法名が一致してない人。
ミーツェ・マーレ・インテリオール。水の名前を与えられながら、強力な風の魔力を持った人。
さっさと行かないといけないし、ちょっと魔法を使うか。
魔法には詠唱だとか、そういうのは基本的に必要ない。ただ、イメージするだけ。
体の中を魔力が巡る。全身に巡ったそれが、俺の体を強化した。土の魔法にだけ存在する、身体強化の魔法。
「うわっ、エレーナ?」
「ちょっと、飛ばす、よ?」
「急すぎない!?」
れーくんを持ち上げて、抱っこする。……これだと、パパではなくママなのでは?
そんな、今までの父性は母性ってこと?認めないぞ!
ともかく、ぐっと地面を踏み込んで大きく跳び跳ねた。
あっちの方にいるかなー、って勢いつけて走ったとき――ごつんと何かにぶつかった。
「きゃあっ!?」
「あだっ」
甲高い声が聞こえて、俺の口からも間抜けな悲鳴が漏れる。
ぼすっ、と地面に叩きつけられるようにして落ちた。
「……き、如月くん。と、エレーナ、さん?」
「ステラさん……ごめん、エレーナが急に飛び出して」
いてて、と体を起こそうとすると……少しばかり聞き覚えのある声を耳にすることに。
倒れた体を起こすと、そこに見えたのはステラの姿。
……あんまり、会いたくなかったのになあ。メインヒロインちゃんと会うと、なんかムズムズするから。
あー、もう。仕方ない。ルート変更だ。
れーくんをステラといい感じにして、れーくんの関係性を作るようにしよ!
なんか、俺のせいでれーくんがステラとあんまり会わなくなってそうだし!
……それを済ませて、ミーツェのところへ行っても間に合うかなあ。頑張ろ。
オリチャは基本