君はウラナミ・アスカ・ラングレーを知っているか?   作:一途一

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『Air/まごころを君に』は鑑賞しているんですが、要素を活かせなさそうで震える…


1-13

未だにひしひしと照り付ける太陽が健在である昼の真っ只中、俺は帰宅する。

 

「お帰りなさい!」

 

扉を開けて玄関に入れば、そこから見えるリビングに、食事の準備をしているウラナミちゃんが見受けられた。調理は既に終わっていたようで、エプロンは取り外されている。

 

彼女の服装はシンプルなものだ。明るい赤色で、滑らかな部分と段々になっている部分が居合わせているスカート(後に聞いたが、サイドプリーツスカートなる物らしい)を履き、ワンポイントの付いた何らかの白シャツで、襟にフリルが付いている物を着用している…のは判るのだが、如何せん形容する言葉が不足していた。

 

立ち止まった俺が首を捻ってうんうん思考を巡らせていると、彼女は席に着くよう促して来た。俺は考えるのを一旦止め、先ずは飯を食おう、そうしようと考えを締める。

 

それで食事中、特に中身もない他愛のない会話をしていたのだが、しかし彼女はふっと思い出したかのように聞いて来た。

 

「仕事は、何時するんですか?」

「ん、そうだな。その事を言っとかなきゃな。ええと、君が俺に雇われて最初にする任務は…」

 

ウラナミちゃんは如何にも興味津々と言った様子である。明らかに目の輝度が上がっていた。

 

「えー…護衛任務だ!」

「宇宙でですか?」

「いや、ここ(第二地球)で」

「え、あたし達って、宇宙海賊なんですよね?」

「そんなゴー☆ジャスな…」

「???」

「不思議がらないでくれ。これ俺の鉄板ネタだから」

 

笑ってくれたのはヴァダ女史のみである。「面白いですね(微笑)」と言って1分以上沈黙が続いたのは良い思い出だ。

 

「ぅうん…ともかく、先ずはウラナミちゃんの力量を測らなければならん…と、これはあくまで副次的な目的だな」

「はい!」

「君の種別は多目的奴隷なのだろう?」

「そうですね、基本的に何でもできます」

「宙賊も、割と何でも屋の側面が強いんだよ。確かに主な仕事の舞台は宇宙だし、略奪だったりドッグファイトだったりと、その面が強く出るが、金を稼ぐんならそれだけじゃ足りん。表での活動も外せんのよな」

「表での活動が必要なんですか?」

「確かに略奪は割が良い。しかし、その分死亡率が半端ないのさ。普通の宙賊だったら成功率は3割かどうか…」

「厳しい世界なんですね?」

「そ。で、より簡単に稼ごうとしたら自然と武力を表側に活用する手が出てくる」

「だから護衛任務なんですね」

「護衛だったら戦闘が起こらない場合の方が多いし、何より戦闘機の運用代だったり武装の費用が嵩まない。それにもし襲撃が来ても、護衛対象を守りきれば万々歳だ」

「へえ」

「と言う訳で、明後日装備を整えて、明々後日に任務をこなす事になった」

「了解しました!…所で、明日は何をするんですか?」

「上司に一応の報告と、君が自主申告した事の確認だな。射撃だとか、CQBだとか。君が言うことを信じたいのは山々だが、まだ雇って3日目だし、何の確認もせずに実地投入なんて流石の俺もしないからな」

「まあそうですよね…私も体術は未熟ですし。でも侮る事なかれ。明日、あなたをあっと言わせて見せますよ」

「出来ればいいなぁ」

 

謎に強気な彼女の様子に俺はおかずを摘みながらも、少々可笑しく思う。こんな年端の行かない少女がここまでの自信を持つ理由は何なのだろう?

 

と、彼女を見ていると、不思議そうなものを見る目を向けられる。

 

「どうしたんですか、そんなにチラチラ見て」

「君は不思議だなあ」

「不思議?」

「こう、何だろうね。ウラナミちゃんって浮世離れじゃないけど、随分特徴的な人間のように見えるんだよな。既存の枠に当てはまらない?みたいな」

「漠然としてますね」

「うん。そんなモヤっとした雰囲気があるから、不思議に思うんだ」

「あたしはヴェールに包まれた、謎多き天才美人って訳ですか!」

「その通り!」

 

随分破綻した論理ではあるが、内容があるだけで場は盛り上がる。実際、俺達はくつくつと笑い合っていた。まだ出会いたてではあるが、結構、相性が合うのだろうか…

 

話にノって来て随分気分が上がったのだが、何時の間にかおかずが消え去っていたことに気づく。どうやら全て食べてしまったようだ。俺は未だコップに残っていたお茶を飲み干そうと口に付けた所で、あることを思い出した。

 

「ああ、そう。突然ですまないんだが、君の下の名前を付けなきゃならんのだよね。上司に紹介するのもそうだし、これから任務を熟すんなら、付き合い上、名は絶対に必要になる」

 

彼女もそれは認識していたようで、軽く頷く。

 

「なんか、自分で付けてみたい名前とかってあるか?」

 

そう言うと、彼女はみるみる満面の笑みになる。そしてまるで本物のア◯カのような雰囲気を感じさせる笑みを披露したかと思えば勢いよく椅子から立ち上がり、鷹揚に宣言し始める。

 

「ふふふ、実はもう、決めてたんです!」

「おお、準備が良いな」

「あたし、下の名前が無いの何気に気にしてたんで、いつか付けたいと思ってたんです!」

「へえ!気になるからさ、言ってみてくれよ」

「えぇー?どうしましょうかねー…明日にサプライズじゃあ駄目ですか?」

 

リビングの空きスペースに躍り出た彼女は随分名前を付けるのが楽しみなようで、名前開示焦らしプレイ(?)まで始めている。俺もそれに乗り、大変ツマラン悪ノリをした。

 

「言わないと君が名前を言う前に、俺がウラナミ何某ちゃんって紹介するかもしれんなぁ」

「それは困りますね!なら、名乗りましょう…」

 

彼女はくるりと一回転し髪を振った後、右手を下げ、左手を腰に当てた例のポーズを披露した。服装こそ違うが、遥か昔に観た通りである。

 

俺は思わず目を丸くする。しかし構わず彼女はしたり顔で口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「あたしの新しいフルネームは_____ウラナミ・アスカです、よろしく!」




Tips:エヴァン◯リオンシリーズ
世界的にも大変有名であるこの作品は地球から離脱する際に当然の如く文化的資料として持ち出されたが、開拓の動乱に巻き込まれて行方が知れないものとなった。地球に残っているかは不明。しかし第二地球のデータベースを検索すると作品名と詳細な説明のみが出て来て、そこから出演陣を辿り、宮村◯子さんのリリースした曲を鑑賞する事が可能である。
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