格安で買った奴隷が厄ネタだった。   作:一途一

3 / 3
説明ターンです。


少女は、破壊者たり得るか?
1-3


今から614年前、2200年。二つの大国が宇宙へと飛び立つ。

 

その名はロシア連邦、日本国と言う。

 

時は2130年、当時も資本主義経済を中心にして世界が回る中、地球は未曾有の資源危機に見舞われていた。2000年台から言われ続けていた資源の枯渇が、遂に誤魔化しの効かない領域へと入り込んできたのである。当時の計算では、人類のあらゆる施しによっても、一定の自国生産能力が無ければ100年後には原始時代へと回帰するとの計算であった。

 

資源がある惑星の周囲に移住することも考えられたが、当時の技術で緑化できる惑星は太陽系内に存在せず、これらの案は却下される。

 

そして文明喪失の危機感から大国間の関係に罅が入り始める中、宇宙に存在する未知の生存可能惑星を求める計画《八咫烏計画》が2133年に開始される。

 

史上最大規模の宇宙船を開発し、現在の技術力で辿り着ける居住可能惑星を拠点として資源を追い求め、それを以て地球延命の糧とする…というのが大まかな計画であった。

 

しかし、日露首脳、及び日露共同研究機関の思惑は違った。

 

彼らは宇宙船を独立したものとして制作。当時に技術を駆使し、地球に酷似した環境であれば、ギリギリ一から地球環境を作り上げられるような設備を整えた。通信機能のみは光速以上の速度を出す技術が未発達であり旧式のままとなったが、それ以外の機能は全て計画通りに完成させられた。

 

諸外国はこれを冷ややかな目で見る。

 

この計画は失敗すればその国の未来が途絶え、文明の喪失が早まるのは確実であり、また成功しても両国内の著しい財政悪化は確実であった。

 

しかし、両国はこの計画を完遂させる。

 

当時、計画に参加していた研究員はこう語った。

 

『日本もロシアも、国民はどうだか知りませんが、もう地球に、いや、太陽系に何かしら、自分たちの文明を維持する希望があるとは思ってなかったんです。ですが奇跡的に、両国の首脳だけは、微かな希望があるのなら文明の…いや、理性の存続を、と望んだ。その結果が、この第二地球なんです』

 

 

◆◇◆◇

 

 

2150年、宇宙船の建造開始。既に資源枯渇は致命的な影響を及ぼし、日露を含めた各国は周辺惑星からの資源輸入を強めたが、中国とアメリカ、ドイツ以外の国家は打ち上げ費用との対価が取れず、難航する。

 

2171年、オランダを中心とする西洋諸国の破産が相継ぐ。その他の国も財政難に苛まれ、略奪戦争を計画するが資源不足により中断。西洋各国は工業生産を完全に停止し、自国の経済の大半を食糧の生産に依存させた、所謂《穀物経済》への移行を始める。

 

2172年、世論からの批判が相次ぎながらも、宇宙船の建造を早める為、日露間の国境廃止。この時既に、宇宙船の半分は完成していた。

 

2175年、中国、アメリカが完全なる世界経済からの独立を宣言。地球外惑星での資源供給が安定していた両国は、関税を最低限に定め、両国間での独自の貿易を開始する。これに依って、日露両国の資源輸入先はドイツのみとなる。

 

2177年、日露両国で一部の工業生産を停止、宇宙船開発に関わりの無い地域において穀物経済への移行が始まる。これに関して両国で暴動が多発、両国の経済産業大臣が同年に暗殺される。

 

2180年、日露両国がドイツから宣戦布告を受け、《ユーラシア戦争》が開始される。領土は一時モスクワ周辺まで占領されるが、宇宙船の技術の一部提供やドイツ有利の貿易開始などを条件に講和、占領された領土はサンクト・ペテルブルク以西を割譲した。

 

2188年、日露両国の政府が統合、《日本-ロシア連合国》が誕生する。以降、4年の歳月を経て本国の経済は安定した。

 

2195年、オーストラリアの穀物経済移行宣言後、各国の学者はアフリカのボツワナにて集結し、各国の情報を精査。日本-ロシア連合国、アメリカ合衆国、中華人民共和国、ドイツ連邦共和国を除いた全ての国家において《文明崩壊宣言》が宣言される。

 

2199年、建造された宇宙船《Свет()》が進水。発射台を必要としないその船は海上から錨を切り離し、まるでバベルの塔の様な造形となっている船体を、備え付けのブースターで宇宙へと持ち上がらせる事を打ち上げの方法とした。乗員は7000人が定員であり、知識人を中心にクルーが集められた。

 

2200年、《Свет》打ち上げ。

 

2217年、《Свет》はティーガーデン星bに到着。これを改称し《第一惑星》と命名。一時的な滞在のための拠点を建設する。

 

2220年、地球において謎の発光を確認。以降地球からの連絡は途絶。

          …

          …

          …

 

 

2300年、《Свет5》が富士星系に到着、《第二十三惑星》の緑化を開始。




Tips: Свет(1号〜5号)
宇宙開拓の為に建造されたコロニー船。バベルの塔のような多層構造を持ち、各階層に惑星最適化の為に使われる生産設備、又は居住区画が設置されている。開拓を進める内に発生した船内での技術革新や人口増加により、計5回、船が新造された。4号まで戦闘能力を保持していなかったが、5号のみ外装に機銃が装備された。5号以外の船は全て各開拓拠点に安置されており、定期的な管理が行われている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。