格安で買った奴隷が厄ネタだった。   作:一途一

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この世界では数周回ってテクノ全盛期だったりします。

*’申し訳ありません。誠に勝手ではありますが、ヒロインの名前を変更させていただきます。


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『今日から1週間後の10月23日、本惑星が緑化されてから初となる、地球への帰還が行われることが決定しました。連絡が取れなかったことと、太陽系内での大量の未知物質の検出により500年間中止となっていた帰還計画ですが、国内情勢の安定化により本計画を再開。これを第一陣とし、順次調査団を送る予定とのことです。第1次調査団としましては____』

 

テレビで流れるニュースを傍目にパソコンを起動する。現代のパソコンは2000年台の物とは全く違い、ポケットラジオのような大きさの機器からディスプレイ粒子だかなんだかを放出し、そこに映像を投影するらしい。仕組みはよく分からんが、近未来っぽくて良い感じだ。

 

因みにキーボードとマウスは未だに物理である。

 

ログインしてメールアプリを開くと、受信画面に幾つか新着の表示があった。

 

「ええと…依頼、依頼、販促、友達、迷惑メール…販促、販促、販促、販促…」

 

ホイールを回して選別していると、妙なことに気が付く。

 

「変に奴隷の販促が多いなぁ」

 

大きな収入が入ったからか?だったら個人情報が漏れてるし、それにしても売り付けるもののセンスが良くないと思うのだが…それに奴隷なんてものは大抵が1億越えで、俺みたいに、たまたま一山当てた感じの人間では到底買えない感じの代物だ。

 

「ンン?」

 

しかし奴隷広告の中に、大量の美少女が売りに出ている物があった。載っているのは、テレビの中でも滅多に御目にかかれない絶世の美少女ばかり。それが数十人、売りに出されている。

 

「AI広告かな?」

 

というか、多分そうだろう。普通の奴隷商売ではこんな大量に揃えられん。このラインナップを揃えようとしたら、国家予算一年分を吹き飛ばしても足りないだろう。美少女奴隷は男の夢とは言っても、限度がある。それに大特価中、9000万円弱の奴隷多数?あり得ん!!

 

技術の進歩も考え物だなぁ、と思いながらも、スクロールしてしまうのは男の性………ぉぉ?

 

「おおお?」

 

俺は誰に見られている訳でもないのに背後を確認して、今度は画面限界まで顔を近づけた。自分の鼻息で画面が少し波打つ。瞳孔が限界まで開くのが、自分でも分かった。

 

「ア◯カやんけ。アス◯・ラングレーやんけ!?」

 

思わず画面を掴みそうになり、そのまま机に突っ込んで顔を強かに強打した。ディスプレイ粒子が散り散りになり、星のように舞う。

 

俺はジンジンと疼く額を抑え、ディスプレイが回復するまで待って、もう一度凝視した。

 

見紛うことなき、◯スカ・ラングレーである。垂れ目がちなのに溌剌とした雰囲気の目つきに、それを強調するような蒼い目。ツインテールになっている明るい茶髪(真紅のゴムで纏めているのもお目が高い!)に、何より素晴らしい身体のライン!なんでぴっちり縦セーターなんて着せてるんだ!素晴らしい…

 

図らずも、前世の想い出が蘇ってくる。アニメ・映画を観まくる日々、特に変化も無かった俺の人生の中で彩を与えてくれた数々のヒロイン達…少し目が潤んで来たかもしれない。俺は勢いそのまま、詳細画面を表示した。

 

「AI広告がどうしたぁ!7900万!?買いだァ!!!!」

 

ものの数十秒で決済を終え、俺は部屋中を駆け巡る。何故か指定時間を早朝にしてしまったが、まあ良い。次いで高めの酒も、適当に何本か冷蔵庫から出して酒盛りを始めた。そんで対して酒への耐性もないのにがぶ飲みするから、頭も回らなくなる。

 

「ア◯カだぜぇ、チクショーぉぉぉおお!フゥゥゥッ!俺がお前の2号機になってやるからなぁアアアア!」

 

俺は、ドタドタと部屋中を走り回る。あり得ない程高い買い物をしたからか、戦闘時以上にアドレナリンが出ていた。頭が灼熱になったまま、俺はポッケに入れていた端末を弄り、曲を掛けた。勿論、鷺巣詩郎の『paris』である。

 

もう一度椅子に座り、彼女のページを確認しようとブラウザを開く。

 

「あれ?」

 

ページがない。昔ながらの『404 not found』が表示されるのみで、何もそこには残っていなかった。

 

酩酊状態のまま、画面を凝視した。

 

「あれぇ?こりゃ、おっかしいなぁ?」

 

頭が回らないまま何度も再読み込みをするが、勿論画面は戻らない。

 

「ああああ!?騙されたぁ!?」

 

今度は頭が急速に冷えてくる。目眩もする。おかしい、ショックを受けたにしても普通ならこうはならない筈だ。俺は一体何を飲んだんだ?Vodka?ああ、そう…

 

目を瞬かせるが、眠気が治らない。無駄にした金のことは、もう頭に無かった。兎に角ベッドに飛び込んで寝なければ。

 

俺はその場でジャンプした。

 

飛び込んだ先は、床である。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚める。

 

俺は勢いよく起き上がった。

 

「痛あ!?」

 

南無三、俺は寝違えていたようだ。右に首を振り向かせようとすると激痛が走る。

 

俺は痛む頭を抑え、水を飲む為に台所へと向かった。台所に捨て置いていたコップを取り出し、水を汲む。コップは少しコーヒー臭かったが、まあ大丈夫だろう。水なんてそうそう味が変わるもんじゃない。

 

「美味〜」

 

どうにか応急処置は出来たようだ。俺は未だに気怠い頭をなんとか動かして、ベッドに行こうとする。しかしそこで、邪魔が入った。

 

ピンポーン。

 

「誰だ___痛え!」

 

また首を右に向けてしまった自分に苛つきながら、玄関へ向かう。俺はドアスコープも覗かず、何も考えないまま、扉を開けた。(裏の仕事をしているのに!?)

 

 

果たして、光背を示す彼女は顔を覗かせる。

 

「あっ。こんにちは!本日よりお世話になります。ウラナミです!」

「あ、はい。ドウモヨロシク」

 

笑顔がやけに眩しい。

 

ああ、これは、式波じゃなくて惣流の方かもしれんなぁ…




Tips:ユーラシア戦争
2180〜2185年、ドイツ連邦共和国と日本国・ロシア連邦との間に発生した戦争。主な戦地はロシア西部であり、日本-ロシア連合国の記録上では、近代国家間で行われた最後の戦争だった。宣戦布告をしたのはドイツであり、開戦事由は『ヨーロッパ全域での秩序を維持する為』であった。

当時のドイツは文明を維持していた国の一つであったのだが、ヨーロッパ各国が穀物産業に移行するのを見計らって、ヨーロッパ全域への軍事的圧力を強化。工業製品の輸出と穀物の輸入をドイツ有利で行うことを確約させた。同様の要求が当時の日露にも為されたが、両国はこれを拒否。当時は穀物経済への一部移行で両国内の情勢が荒れていたのもあり、国力が低下していると判断したドイツは、他国への見せしめも兼ね、宣戦布告した。しかし緊密な連携が存在していた日露軍による遅滞戦術によって、ドイツ軍の攻勢は年を重ねるごとに鈍化。戦線はモスクワ直前で停滞し、その時点で日露側から講和を申し出たことで戦争は終結した。5年と言う短い期間のものではあったが、日露側にに10万人以上の死者を出した為、両国の対独感情は最悪の物となる。約600年経った今でもそれは痕を残しており、連合軍の軍事演習の際の標的がドイツ語で名前を付けられる、という点に受け継がれている。
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