格安で買った奴隷が厄ネタだった。   作:一途一

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脳みそに手をツゥズルッコンデ、アイデアを引き出したので、再投稿です…


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これは、致命的な危機感である。

 

式波・惣流。両名のア◯カは共通して、ずば抜けた才能を保持している。弱冠14歳にして大学を卒業したその頭脳は伊達で無い。そして、確かに現実に存在し、しかし彼女らと全く瓜二つの容貌を持つだけである筈の_______ウラナミも、また例外では無かったのだ。

 

 

 

 

彼女はイヤホンを装着し、操縦席に座る。俺がなるべく実戦に近い形でやってみようと提案した結果である。今からイヤホンに流すのは過去の戦闘データである。1年程前、4機を相手にした物だ。記録して居た戦闘の中でも動きが少なく、データ量が少ない物を選択した。

 

「本当にやるからな?異変があったら直ぐに言うんだぞ」

「大丈夫です。宙賊の触れている世界を学ぶ為ですから」

「使ってるの俺だけだけどな」

 

そう苦笑しながら、コックピットのコンソールから、データのロードを完了した。後はボタン1つで、プログラムが作動する。

 

「じゃあ、行くぞ」

「はい」

 

カチ。と軽快な音が鳴り、イヤホンの側面では起動したことを知らせる赤い点滅が、信号を刻んだ。同時に彼女は目を瞬かせる。

 

しかし、それは一瞬のみだった。

 

 

◆◇◆◇

 

音が聞こえる。リズムを刻んでいる。それは音楽とも呼べず、かと言って唯の符号の集まりにしては、芸術的に過ぎた。

 

無数の音は飛び回り、戦いの姿を形作って行く。急転換、急上昇____接近・射撃。それの変速的な繰り返しではあるが、まるで蜂が戯れているかのようで、美しささえ感じてしまう。

 

瞼を閉じれば、それは光の流れのようにも感じる。先程よりも鮮明に、撃破した機体の飛び散る破片すらも明確に感じて。

 

まさにそれは、成り替わりとも言うべきかの、憑依体験である。

 

彼女はこれが命のやり取りであることも忘れ、只々聞き入って居た。

 

◆◇◆◇

 

 

目を見開いたかと思えば脱力し、両腕をだらりと席外へと投げ出し、目をゆっくりと閉じる。胸部はゆったりと上下し、落ち着き払って居た。

 

「…景色が、見えるわ」

 

まるで、彼女だけが独り、宇宙へ旅立っているよう。

 

俺はその一言で呆気に取られ、息が詰まる。彼女は手を伸ばし、何かを掴む仕草をしている。考える間も無く、彼女がこの機構を十分に理解しているのは明白であることを魅せられ、加えれば、彼女はそれを味わうことさえも行っている。続けて両手を縦横に動かし、無邪気な笑みさえも浮かべて…

 

俺の頭を過ったのは、強大な衝撃、今なお続く動揺の余韻、正直な賞賛。それと僅かながらの恐怖であった。

 

才能管理____または統制。反逆、謀略、美人局、しかし俺如きにそんな大層なものが付くだろうか?では、純粋な掘り出し物か。いいや、そんな筈はない。それに彼女が年端の行かぬ少女である時点で、そしてその人を奴隷として雇用しているだけで、俺には死の危険性がある!!ならば、何処かで路肩に捨てるか。それだと今度は虐待じゃないか_____

 

____視点を急速に上昇させ、三人称視点とも言える見方を心掛ける。彼女がイヤホンをしている内は機器の特性上、こちらからの物音は一切通らない。彼女が聞き終わるまで、何も考えずに待とう。

 

客観的に、そう考える。

 

 

それで彼女はその後、特に気分を悪くする様子もなく、全ての内容を聞いたようだった。

 

証拠に、彼女はイヤホンを返す際、まるで名画を観た後のような満足感を笑みと共に溢した。初めてこの機内に訪れたと言うのに、懐かしささえも感じているような視線までも向けているのだ…俺には、この顔を十全に理解するほどの脳味噌が存在して、しかし今の所それが善いことであるのかは、全く判別が付かなかった。

 

「どうだった?感想とか…」

「凄かったです!臨場感と言うか、圧迫感と言うか…しかも、あたしは前を向いているのに、後ろの動きが分かるんです。これから、凄い楽しみになりそう!」

「ウラナミちゃん、楽しんじゃマズいよ…」

「あっ、そうでしたね」

 

眩しい。悩む俺が馬鹿みたいじゃないか。

 

不明点が多すぎる時点で、考えることは止すべきだ。俺は初めてその事実に気づく。学者なら追放物だが、凡人としては正解だ。そう、思いたい。

 

しかし、強大な戦力であることには変わり無い。リスクは十分にあるが、彼女はそれを補って有り余る程の存在だろう。それに、性格も純朴である(猫を被っているのかは、知らん)。

 

 

 

 

やはり当時の俺には、この不審点まみれの彼女を上手く使い熟す方法など思いつかず、兎に角、明日の生活へと繋げることしか目に無かったのである。




Tips:暈(かさ)
JAXAによって開発された、大気圏再突入機。当時は単機での運用は想定されておらず、ハブとなる宇宙船がある事を想定して建造された。長年に渡る改修により近代化。エンジンは新発見の物質を使用した半永久的なものに換装され、武装、シールド装置、脱出ポッド、全方位空間把握レーダーを追加。使い手によっては対機戦闘において、無類の強さを誇る。なおシールドが展開されて居ない状態で被弾したり、超長距離座標跳躍などをした際には即時、機体が破砕する。



全方位空間把握レーダーと全方位空間把握センサーは別物です。分かりにくくて、すみません。
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