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ユナイト・ラウンズ。『世紀末円卓』の通称で親しまれるクソゲーが存在する。
本来はオンライン要素を駆使して迫り来るモンスター達に皆で対抗しよう! という内容だったのだが、荒廃しつつある世界観を忠実に再現し過ぎてドロップアイテムの確率がクソゴミを極めた結果、チュートリアルクエストの薬草集めですら二時間以上を費やす始末。
石ころですら『この石は投げるのに適さない様だ』とかでまともにドロップしないクソ仕様の所為で、遂にはプレイヤーによる強奪が始まってしまい、文字通り治安という治安が世紀末に成り果ててしまったという、かなりのクソゲーだ。
「久々だなぁ、ユナイト・ラウンズ。ペンちゃん王朝ぶち壊す為に軍の6割皆殺しにした時以来じゃね? シャンフロとかスヴァブラと比べると動きが悪いなー。技術力の差を改めて実感するわ」
「おっ、丁度いいカモ発見! アイテム寄越せぇぇえ!!!!」
「勢い良いねぇ、幕末の奴ら程じゃないけどよ!」
勢い任せの大剣を左手の短刀で容易く弾き、崩した体勢の隙間を縫う様に間合いを詰めれば後は簡単。
右手の直剣で大振りに一刀両断すれば、鎧に身を包んだ輩は呆気なくHPバーが全損して消え失せた。
ついでにドロップアイテムも。おー、このアイテムがバカみたいにドロップする様は懐かしい。
俺もよく輩みたいな事したなー。ユナイト・ラウンズじゃそれが正義だもの。ちまちま探すよりも最初から持ってる奴をぶち殺して奪った方が速い、実に効率的で合理的な回答だ。
まぁ、幕末は最初からとち狂ってたけどな。ユナイト・ラウンズが奪う方が合理的だからこそ出来た世紀末なのに対して、あっちは初っ端からしっかり幕末してたから。運営はイカれてるよ全く、マジ感謝ですありがとうございます。
「さーて、指定されたのはお城の方か。しっかり一から建て直したんかよ……意外と愛着あったのかね? まぁ、ペンちゃんがNPCに入れ込むよりは信じられるか」
ユナイト・ラウンズでラスボスよりラスボスやってたからなぁ……姫様天井に吊るしたり、王様馬車に繋いでモンスターの餌にしたり。
NPCのこと0と1の羅列にしか思ってないんか?って所業だよな。ディスプレイなら兎も角一人称のVRでそれやるのだいぶアレだよね。
まぁ、シャンフロ程良いAIが使われてる訳でもないから罪悪感湧かんけど。俺も必要とあらば切り捨てるくらいの事はするね。ゲームだし。
さて、そんなこんなで途中途中で雑魚共を値切りにしてたんまりとアイテムを貰い受けた辺りで、ようやっとご対面だ。
「やぁやぁ、ハジメ君! やっと来たねー」
「どもー、ハジメ氏」
「ドベだねー、ハジメさん」
鉛筆戦士、サンラク、カッツォタタキ。ユナイト・ラウンズを超盛り上げたと言っても過言ではない奴等が一堂に会するとは。シャンフロの力は凄まじいな。
一応俺もその一人ではあるんだけど、如何せんコイツらのイメージが強過ぎて霞むんだよなー。
王様暗殺プレイしようぜのノリで突っ込んでいった二人と最後に城ごと爆発させて終わった黒幕、対して俺はソロで鉛筆王朝の兵士達を6割減らしただけ。うーん、この差よ。
「輩に絡まれちまったもんでね。お詫びはPvPという事で……」
「さらりと自分の褒美用意するなよ。詫びはどうした詫びは」
「スヴァブラのPvPランキング1位で勝利数5桁の俺と
戦える権利なんて最高の詫び品だろ? 感動のあまり自刃しても文句は言えんぞ」
「うわー凄い自信……実績が本物だから尚のこと腹立つ」
「改めて聞いても勝利数5桁ってバケモンだよな。ハジメ氏ってやっぱリアル
「それ人生で言われて2番目に嬉しい賞賛だわ」
「1番じゃないだと…?」
「嫁さんからのお褒めを超えうる賞賛などこの世にある訳がない」
仙ちゃんからのお褒めの言葉を賜る事———これこそ至高である。それ以上は無いと断言していい。例えスヴァブラであろうとも、今の俺は仙ちゃんこそオンリーワンなのだ!!!
とは言えリアル尽き人は嬉しい。どうだいサンラク、何か欲しいものはあるか? ハジメさんが小遣いの範囲内で買ってやろう。おい、出しゃばるな外道モデルとプロゲーマー。俺より金あるだろうが。
「はいはい、お喋りはそこまで。本題に入るよ、3人共。と言っても、ハジメ君はもう知ってる内容なんだけどさ」
「ん? どういう事だ?」
「ペンシルゴンからのお誘いってだけで何か企んでるんだろうなーとは思ってたけど、ハジメさんも絡んでるの?」
「まぁね。正確には俺の嫁さんも関わってる。結構デカイ話だ」
「俄然興味が湧いてきたな。聞かせてくれよ、ペンシルゴン」
「じゃあ単刀直入に———シャンフロに存在する七つの最強種の一体、【墓守のウェザエモン】の討伐を私達でやらない?」
「はっ!?」
「ごふっ!?」
うーん、予想通りの反応。そりゃそうだよな、驚きまくるよ。
俺らだけでハイレベルプレイヤーのクランにカチコミかけようぜ!って誘った方がまだ驚きも少なかっただろうが、まさかまさかのユニークモンスター。七つの最強種ときたもんだからなー。
まぁ、サンラクの方は別のユニークモンスターに遭ってるらしいけども。リュカオーンと戦ってマーキングされるとか、中々に変態的なことをする。流石はサンラクだ。俺でも真似出来そうにない事を平然とやってのける。
「ちょ、待て待て待て!!!! ユニークモンスターって言ったかお前!?」
「そだよー。そこらのレイドボスなんかよりもヤバいであろう、七つの最強種。その内の一体」
「ハジメさん、これマジで言ってんの!?」
「大マジ。俺も何回か挑んでるんだが、20分耐えるのが限界で勝ち筋が一切見えん」
「騙されないでね、この人普通に頭おかしい事やってるから」
何を言うかこの外道鉛筆が。さりげなく人を罵倒するんじゃねぇよ、背中からぶっ刺すぞ。
「……おし、取り敢えず落ち着いた。そんでもって三つ質問させろ」
「いいよー。依頼者として真摯に答えよう」
「シンプルに何故? いつ? 勝算は?」
「本当にシンプルだなぁ。まぁいいや、順番に答えていこうか。まず一つ、何故誘ったのが君達なのか。まぁ、これに関しては込み入った事情があってね、要約すると頭数揃えた人海戦術はあんまり意味無いんだよね。阿修羅会上位十五人で組んだ討伐隊も、ものの数分でフルボッコにされちゃったから。なのにこのスリーピー・ハジメとかいうプレイヤーはソロで耐久に成功してる」
「凄いというか、そこまでいくともはやキモイね」
「ぶち殺すぞ女顔。魔境に新ネタ追加してやろうか」
「すいませんでしたマジ勘弁してください」
鎧姿で綺麗な土下座をかますカッツォタタキきゅん。実に滑稽だ、俺に歯向かうとこうなるのだ。よく分かったか!
プロゲーマー「魚臣慧」はその女受け寄りの女顔から、どの界隈でも受け扱いされてはスレッドにとんでもない下ネタ込みでぐちゃぐちゃにされている事で有名だ。なんなら配信でたまに出てくるからな、魔境の民が。
こやつの弱点はそれだ。俺は遠慮なくそこを突いていく。相手の嫌がる事を推し進んでやるのはPvPの基本です。罪悪感とか覚えるな、皆もやっていこうPvP。
「んんっ……えっと、つまり何? プレイヤー数が増えると体力攻撃力に補正が掛かるタイプってこと?」
「それ
「長いような短いような……勝算はあるのか? 俺まだレベル30くらいだぞ?」
「俺は25」
「うわ……2人とも、雑魚過ぎ…?」
「強さとレベルが合ってねぇなー、どっかの外道と違って」
「あれー? なんかいきなり矛先向いてきたんだけどー???」
だってお前って別にプレイヤースキルくっそ高い訳でもないし……レベル99にしては弱い方だろペンちゃん。まだ京ちゃんの方が粘るぞ、言うて2分か3分くらいの違いだけど。
カッツォくんはアレとして、サンラクも意外と低いな……もっといってるもんだとばかり思ったが。こりゃレベリング必須だな。
「まぁ、ぶっちゃけレベルに関しては大した問題じゃないんだ。あのロボット武者を倒す為に必要なのは、レベルにものを言わせた最強装備なんかじゃなくて、純粋なプレイヤースキル。だから
「プロゲーマーとクソゲーマーって並べていいものじゃないよな」
「プロゲーマーの格が落ちそうだから下がってどうぞークソゲーマー」
「そのクソゲーマーに負けてる様じゃプロゲーマーも大した事ないな!」
「俺にまで矛先向けてきたんだけどぉ!? 全身刃物か何かなのアンタ!?」
「いやー、最近は心躍るPvPがシャンフロで出来てなくてさー? 阿修羅会の面子は引き篭る様になっちゃったし……」
「すっっっごい物騒な八つ当たりきたー……」
PKプレイヤーで構成された阿修羅会こそが、俺にとってシャンフロでご都合良く使えるPvPシステムだったというのに…!!!
PKKという免罪符……を装った妖刀を振りかざして首チョンパするのが俺のシャンフロの日課だったんだぞ! それが無くなったら、俺はどうやってPvPをやれば良いんだ!?
都合のいい肉塊が無くなって、今や
「まぁまぁ。それで、どうかな? 追加報酬の要望があれば聞くけど」
「怪しさ満点なんだよなぁ……サンラク、お前は?」
「俺? いいよ」
「即答マジか」
うんうん、流石はサンラク。お前は根っからのゲーマーだぜ。
「めっちゃ面白そうだし。つーかハジメ氏が居るならそれだけで何か面白い事起きるの確定だろ、やらない理由がない」
「俺の事イベント発生装置か何かと思ってんのかテメー? 面白いのは保証するけども」
「えー……ちなみに、もし仮にお前らだけでそのウェザエモンとやらを倒したとしたら、参加しなかった俺に自慢する訳?」
「死ぬまでドヤ顔かまします」
「会う度にネチっこく自慢します」
「対戦で自慢しながら勝ちます」
「こいつら…! つーか最後さらっと勝ち確宣言しやかったな!? いいよ俺も参加するよ! ハジメさん後でGH集合な! ボコボコにしてやる!!!」
「おっけーイイぜ! 乱蔵で文字通り鰹のタタキにしてやるよ!!!」
「ハジメ君って一挙手一投足にナイフでも詰まってるの?」
「全身マシンガンの間違いだろ」
うるせぇ誰が劣化版9rimZONEじゃ。少なくとも全身爆薬巻いたデュアルロケラン使いよりマシだろうが。
◆
「墓守のウェザエモンは去年の冬に阿修羅会が見付けてから、ずっと存在を秘してきたユニークモンスターでね。今じゃ新規メンバーのレベリングの為の経験値サーバー兼
ユニークモンスターは遭遇するだけで結構経験値貯まるからな。例え勝てなかったとしても、十分にレベルは上がる。レベリングの相手としては確かに申し分無いと言えるだろう。
まぁ、それが正しいかどうかで言えば欠片も正しくはないけどな。ゲームとしてもゲーマーとしても、その道を激しくズレている。
「あれ? ハジメさんって阿修羅会なの?」
「いやこの人は阿修羅会のメンバーを執拗にPKKして吐かせたから知ってるってだけ」
「反省してます。首斬り楽しかったです」
「透明度100%の嘘やめろ」
それもう本音じゃん。間違ってはないけども。
「抜けた連中にまでわざわざ箝口令を引く秘匿っぷりだよ。私としては、それは違うだろって思うんだよね」
「まぁ、確かにな」
「MMOでそれをやるってのは、若干ナンセンスだよね」
ゲームの楽しみ方は人それぞれ。それに対して善し悪しを決め付ける力は俺たちには無い。だが、そっちがやらならいなら俺らがやっても良いよね? とは思うだろう。
実際、だからこそ俺はウェザエモンに何度も挑んでる。アイツを倒す為に、文字通り何度も死にながらな。それでも勝ち筋が一切見えてこんけど。
「だから私達は阿修羅会を出し抜いて、こっそりウェザエモン戦に挑む。その為の具体的な作戦について話そうか。ハジメ君」
「あいよ」
ウィンドウを操作して、サンラクとカッツォくんへと、プレイヤーが情報を書き込む事が出来るアイテム「プレイヤーブック」を送る。
ペンちゃんと俺監修の攻略書だ。無料で読める事をありがたく思えよ二人とも。
『ユニークモンスター「墓守のウェザエモン」はユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」を受注することで戦闘可能な人型ユニークモンスターである。
ユニークシナリオ受注条件は、満月の夜に千紫万紅の樹海窟隠しエリア「秘匿の花園」に一切の武器を装備しない状態で訪れる事で出現するユニークNPC「遠き日のセツナ」———愛称はセッちゃん———と会話する事で受注可能』
「おい」
「なんだね」
「この愛称ってなんだよ。要らないだろこの情報」
「いや俺このNPCだいぶ入れ込んでて……」
「おいコイツ外せ! NPCにンホってる奴がパーティメンバーに居るのスゲェ嫌なんですけどー!!!!」
「ごめん私も入れ込んでる」
「嘘だろ…!? あのペンシルゴンがNPCに!? 遂に人の心を取り戻したとでも言うのか!?」
「コノキモチ……コレガ、ココロ…?」
「騎士ハジメ、この二人の首を刎ねなさい」
「仰せのままに」
「「すいませんでした」」
俺が直剣と短刀を構えると同時に、二人が高速で土下座へと移行した。なんつー速さだよ、いっそ惚れ惚れするわ。
取り敢えず矛先を収めて、次のページへと進ませる。
『シナリオを受注し、新月の夜に「秘匿の花園」を訪れる事で更に隠しフィールドへの道が現れる』
「俺まだユニーク発生させてないけど、ユニークシナリオってこうもまどろっこしいもんなの?」
「どうだろうなー。案外そういう訳でもないんじゃないか? 俺の場合は『剣鬼』……戦士職の最上位職業『剣客』…の隠し最上位職業をメインに据えたら発生したし」
「だいぶややこしいな…」
「あれ、『抜刀斎』は関係無かったんだ? てっきり隠し最上位職業を二つ獲得するのが発生条件だと思ってたけど」
「どうも『抜刀斎』は関係無いっぽいんだよなー。正直俺にもよく分からん」
『剣鬼』という職業自体は、ウェザエモンに何らかの関わりがあるんだろうと、何となく察しは付いている。というか、大剣者がそもそもウェザエモンと親しい間柄だったんだろう。
ウェザエモンの弟子だったのか、或いは共に剣の腕を高め合う友だったのかは分からず終いのままだが、少なくとも関連性はあると断定して間違いない筈だ。
【千刃雅正】とか【大剣者の死装束】のアイテムテキストを見る限り、大剣者にとってウェザエモンは目指すべき頂だったんだと、俺は解釈している。その結果が剣鬼……まぁ、要するに他の一切を斬り捨てでも剣を極める修羅の道を歩んだって事になるんだろう。
対して【抜刀斎】は、これといったクエストとかシナリオが発生しなかった。こいつが一番よく分からん。補正は優秀なんだがなー。
「まぁそれはそれとして。次がウェザエモンの情報ね」
『墓守のウェザエモンは戦闘開始と同時に「自身を除く戦闘エリア内の全てのキャラクターのレベルを上限50にする」スキルを発動し、全プレイヤーはステータスが大幅に下がった状態での戦闘を余儀なくされる。
これはレベルが下がるのと同時に「レベル51から99までの間に割り振ったステータスポイント」が戦闘の間は消失する為。
検証の結果、NPCにもこの効果は適用されるため、高レベルNPCで固める戦法も無意味と判断せざるを得ない』
「はいちょっと待て」
「分かるぞサンラク。クソだろこれ? 俺もクソがと思った」
「ステータス干渉は予想してたけど、レベルダウン? どうすんのこれ? 相手はレベル100とか超えてるんでしょ?」
「鑑定スキル持ちの人に調べさせたけど、レベル200だったよ。超火力アタッカーでも秒殺されるチートスキルだよ全く……多分、特殊勝利系だね」
レベル差150を強要するってのは、中々に悪辣だわな。とは言え特殊勝利系となれば、まぁ納得出来なくはない。理不尽ゲーのやり過ぎかね?
要はボスを倒すのではなく、なんらかの条件を達成する事で戦闘が終了するタイプの戦闘。多分耐久系だろうな。
「それに耐えたハジメ氏は何?」
「ディスプレイ時代ならいざ知らず、VRで死にゲーやり込んでた人間だぞ俺は。僅かな予備動作、クソみたいなディレイ諸々を見切って回避、パリィするなんぞスヴァブラじゃ必須技能だぞ」
「対人狂こわー」
「サンラク君、特殊勝利系で心得は?」
「クソゲーでもわりと珍しいからな……時間経過とか特定パターンからの生存、珍しいのじゃ戦闘中の説得とかもあるな。どうだ?」
「意思疎通か……ハジメ君、どう?」
「……ぶっちゃけ有り得そうな話ではあるな。いちいち発音してるのは気掛かりだし、あの鎧が神代の技術によるものなら、
「騏驎?」
「次のページをご覧くださいなって」
『戦闘開始から十分ほど経過した時点で、ウェザエモンは追加武装を呼び出す。
戦術機馬【騏驎】は第一形態は馬の形をしたロボット、と呼ぶべき姿であるが完全に出るカテゴリを間違えているような性能をしており、ミサイルやらレーザーやらを撒き散らしながらエリア全体を爆走するため非常に危険。
さらに放置するとウェザエモンと合体し、その場合はどうしようもなくなる。
対処法としてはウェザエモン以外の存在、つまりプレイヤーが【騏驎】に飛び乗った場合、騏驎は全アクションを中断して振り落としモーションを取るため、ひたすらそれで耐え続ける』
「出るカテゴリー間違えてねぇか?」
「それな」
ファンタジーじゃ出ない筈の単語がちらほらと出てきやがる。神代って何なんだ? 少なくとも、俺達の様な現代人が想像する神代って訳じゃないのは確かだが。
いや、或いは……逆なのか? シャンフロの舞台である惑星ユートピアに、俺達プレイヤー……開拓者はやって来た。だが何処から? その言及はされてなかった筈だ。
NPCにしても、開拓者という存在は現地の人とは全く異なる存在として認識されていた。
神代ってのはつまり、現在の過去ではなく、過去からした未来の時代———この惑星ユートピアではない何処かから来た人類が築き上げた時代の事を指すんじゃないのか?
……いや、いかんな。今ここで考察なんかしても意味ねぇや。スヴァブラ民の悪い癖が出ちまった。
「要は、俺とハジメ氏、ハジメ氏の嫁さんがウェザエモン、ペンシルゴンとカッツォが騏驎担当って所か?」
「私はアシストって所かな。ウェザエモンと戦った身としては、アレに対処出来るのは現状サンラク君とハジメ君ぐらいだと思ってる。ハジメ君のお嫁さんは初見だからね、古武術経験者でハジメ君のお墨付きとは言え、あまり期待は出来ないかな」
「言っとけ言っとけ。見りゃ驚くからよ」
「それは分かったけど、なんで俺が騏驎担当? 乗馬経験なんてないんだけど」
「おいおい、しらばっくれるなよカッツォくん。キャバレークライシス全国3位の実力、見せてくりゃれや」
「うわ、そこまで調べ着いてんのかよ……分かった、騏驎は俺に任せてよ」
よしよし、作戦が整ってきたぞ。
ウェザエモンの戦闘スタイルやら、フィールドの特徴やら、騏驎の攻撃判定について諸々などを話し合ったら、気付けば日付を跨いでた。
いかん、こりゃいかんぞ……仙ちゃんに要らん心配させてしまう可能性があるな。起きてたらしっかり謝らねば。
そろそろお開き、って感じの雰囲気になった時、サンラクが疑問を口にした。
「そういや俺、訳あってパーティメンバーにNPCが居るんだけど、抜かした方がいいのか?」
「あー、例のユニークシナリオのウサギちゃん?」
「いいなー、ユニークいいなー。俺もユニーク見付けたいなー」
「抜かした方が良いぞ。絶対に」
「そんなに? 結構サポート強いんだぜ?」
「レベルダウンがある以上はお荷物だ。それにな、サンラク。シャンフロにおいて、NPCの死は覆らない」
シャンフロでは———NPCはリスポーンしないんだからな。
俺の言葉を受けて、サンラクは息を飲む様な音を漏らした。
サンラク:知性の皮を被ったアドリブ野郎。応用性と反応速度を高水準で両立させてる
シルヴィア:アドリブの怪物。応用性を絞る代わりに極めて高い反応速度を持つ
ディプスロ:バリバリ知性。隔絶した応用性を持つが反応速度は人並み
ハジメ:リアル超兵。思考と反射の超融合で常にベストコンディションを叩き出す。ゲームをやる上で『不調』という概念が存在しない、プロ泣かせのプレイヤー。
尚、仙ちゃんが居るとさらにパーフォーマンスが上がる。褒められるとさらにさらに上がる。