猿猴が月に愛を為す【短篇・幕間集】   作:ユズキあむ

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おまけの幕間 セント・ポプラは遊覧日和 〜幽々霊手とサングラス〜

 

 

 

 

『見て見て、ロダスト! あそこの建物面白そうなのがあるよ』

 

セントポプラの街を歩いていたアピーが、賑やかな

歓声の上がる建物を見つけて目を輝かせた。

 

「ボウリング? どうするんだ? うーん、店員さんに聞くか! よし、勝負だアピー!」

 

ロダストも袖をまくってやる気満々だ。

レーンに立った二人の勝負は、最初から波乱の展開となった。

 

ロダストが重いボールを軽々と持ち上げ、ピンの

中心を見定めて威勢よく放つ。

 

 

ドゴォォォンッ!!

「よしっ、ぜんぶ倒れた!……って、あぁ!?

レーンごと吹っ飛んでった!?」

 

『ロダスト! 加減して。壊したら出禁になっちゃう!?』

 

弁償騒ぎになりかけるのを平謝りで収めつつ、

次はアピーのターン。

 

アピーは重いボールを見定めると、ふっと

集中して『幽々霊手』を発動させた。

実体化した、霊体の巨大な手がボウリングボールを

優しく包み込み、まるで羽毛のようにふわふわと

コントロールしながら投げ放つ。

 

ガラガラガラ……スパーンッ!

 

『やったー! ストライク!』

 

「ずるいぞアピー! 霊手でボールの軌道を途中で

曲げただろ!?」

 

『ふふん、勝ちは勝ち?』

 

「ぬぬぬ……次こそは

ピンだけを全滅させてやる……!」

 

結局、加減の利かないロダストと、

霊手でパーフェクトを連発するアピーの勝負は、

店員にハラハラ見守られながらアピーの圧勝で

終わったのだった。

 

 

◇

 

 

ボウリングを満喫した後は、セントポプラの

おしゃれな洋服店へ。

 

『せっかくだから、ロダストの服、新しく選んで

あげる!』とノリノリのアピーによって、ロダストは完全な着せ替え人形と化した。

 

アピーは霊体だから、着るということは

出来ないし空島にいた頃にもそんなことは

知らなかったので、どこか新鮮で楽しい体験だ。

 

『はい、まずこれ着て。』

 

「お、おう……なんかヒラヒラしてて落ち着かねぇな……」

 

『うーん、パス。次はこれ! 水玉模様のスーツ!』

 

「目がチカチカするぞアピー! 動きづらいし!」

 

『はい次、 セントポプラ流行の

貴族風ドレスジャケット。」

 

「!? なんでこんなキッチリした服着なきゃ

いけないんだー! 動きづらい!!」

 

試着室から出されるたびに、コロコロと表情を

変えて文句を言うロダスト。しかしアピーは『似合う似合う!』とケラケラ笑いながら、次から次へと

奇抜な服を着せていく。

 

 

 

散々遊ばれた末に、結局選ばれたのは

 

「一番動きやすくて丈夫な、いつものロダストらしい服」

 

さらにちゃっかり買い物のおまけ(?)として、

アピーがサングラスも買い足していた。

 

店を出る頃には、ロダストはハァハァと肩で

息をついていた。

 

「はぁ……戦いより疲れたぞ……」

 

『ふふっ、でも楽しかったね、ロダスト!あ、見て

見て、サングラス買ったよ!』

 

「おお! これ、目を隠せるからいいな!」

 

早速サングラスをかけてニシシと笑うロダストに、

アピーも満足そうに微笑む。

 

『ふふっ、似合ってる!』

 

「そうか、ニシシ! それじゃあご飯食べて、また

次の遊ぶ場所探すぞおー!」

 

『おーっ!』

 

夕暮れ時のセントポプラの街並みを、二人は笑い合いながら歩いていくのだった。

 

 

 

 

 

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