【フェーズ12:性別固定呪縛の解除と、更なる虚飾の剥奪】
翔田美琴のその一言が落ちた瞬間、レム判事の手がピタリと止まった。
翔田美琴:「ルージュピアスも外していいからね」
レム判事:「……! 『ルージュピアス』を……ですか」
エリオット隊長:「(お茶を飲む手を止め)ほう、例の呪いか。あれを外せば、判事の『身も心も男性』としての本来の姿が、誤解の余地なく全員の目に映るというわけだな」
レンブラント氏:「(紫煙をゆっくりと吹き出しながら)ケイコが勝手に『陰気なお姉さん』なんて認識の歪みを起こしていた元凶のひとつでもあるからな。虚飾を剥ぎ取るにはちょうどいい」
【呪縛の解除】
レム判事は静かに頷くと、自らの耳元に輝いていた「ルージュピアス」へと手を伸ばし、慎重に取り外した。
その瞬間、空間を覆っていた微かな歪みが霧散し、レム判事の持つ「冷徹で隙のない男」としての存在感が、より一層際立って周囲を圧迫する。
レム判事:「……お許しいただき感謝いたします、作者様。これで『性別誤認』という余計な言い訳の余地すら、被教導者から完全に奪われました」
ケイコ・ヤジマ:「(チラッと顔を上げ、レム判事の姿を見て息をのむ)……っ……! (あ、本当に男の人だ……お姉さんじゃない……っ!)」
エリオット隊長:「これで言い訳はひとつも残らんぞ、地雷。相手を勝手にお姉さんに仕立て上げて逃げ込もうとした甘えも、これで完全に潰されたんだ。やっておれん」
翔田美琴:「そう。もう誰もアンタの都合のいい妄想に付き合ってくれないの。男も女も関係なく、アンタがやったのは『人間として最低の嫌がらせ』。それだけが目の前に残った事実よ」
ピアスという呪縛すら剥がされ、現実を誤魔化すフィルターを一切失ったケイコ・ヤジマ。
完璧な「現実の重圧」に押し潰されながら、彼女は鼻水を垂らし、震える手でただひたすら謝罪文の文字を書き続けるのであった。
【お茶会パート:絶対者とハンターたちのタロット談義】
湯呑みから上がる湯気を眺めながら、翔田美琴がぽつりと漏らした一言に、応接卓のおじさんハンターたちが深く頷く。
翔田美琴:「しかし連続でソード関係が出るとは驚きよ」
レム判事:「まったくです。タロットにおける『ソード(剣)』のカードは、本質的に言葉、知性、論理、裁き、そして刃を象徴するもの。それがこれほど連続し、かつ悉く逆位置で並ぶとは……」
エリオット隊長:「……言葉や知性を象徴するカードが、ぜんぶ逆さまか。思考停止で暴言を吐き、正論から逃げ回ってきた地雷女の『言葉の崩壊』を、これ以上ないほど正確に映し出しているな。やっておれん」
レンブラント氏:「(羊羹を楊枝で切り分けながら)正位置なら『鋭い知性と決断力』だが、逆位置になると『言葉の暴力』『屁理屈』『ヒステリー』『惨めな自爆』に化ける。まさにケイコの人生そのものだねぇ。カードも嘘はつけないらしい」
翔田美琴:「ソードのキングにクイーン、挙げ句にソードの5の逆位置でしょ? 『言葉で他人を傷つけようとして、最後は己の未熟な言葉で自滅する』っていう、救いようのない結末の証明書みたいなものね」
【監視エリア:静寂とペンの音】
お茶会の背後では、アイルー監視員が鋭い眼光でケイコの手元を凝視している。
アイルー監視員:「ニャ! 『反省』の『省』の字が怪しいニャ! 誤字ったら最初からやり直しだニャ!」
ケイコ・ヤジマ:「(ひぇっ……! と小さく悲鳴をあげつつ、美琴たちの『ソード』談義を耳にして背筋を凍らせる)……っ……(言葉……あたしの言葉が……全部刃になって刺さってる……っ)」
逃げ場だった「言葉の誤魔化し」すらも、ソードのカードによって完全に封殺されたケイコ・ヤジマ。
絶対者たちの優雅なお茶会が続く横で、彼女はただひたすら、正しく言葉を紡ぐことだけを強制されるのだった。