機構より愛を込めて、地雷に死を   作:翔田美琴

5 / 16
第5話 肥え太った地雷

【フェーズ6:証拠品および有害薬物の強制没収】

 

地べたに這いつくばり、鼻水と涙で顔をグチャグチャにしたケイコ・ヤジマのポケットから、レム判事の手が一切の迷いなく怪しげな薬のシートを摘み上げた。

 

レム判事:「その多量の睡眠薬は没収します」

ケイコ・ヤジマ:「あ、あたしの……! 返してよぉ! それがないと困るの! 『イキたがり』って言われたっていいもん、返してぇぇ!」

レム判事:「不都合からの逃避、および疑似気絶による公然わいせつ紛いの奇行の元凶……返却などするはずがないでしょう。時空の狭間へ永遠に破棄いたします」

 

レム判事の手元で、没収された大量の睡眠薬がまるで最初から存在しなかったかのように空間の歪みへと消え去っていく。

 

エリオット隊長:「……ふん。薬に頼って現実から逃げて、周りに甘えて暴言吐くだけの人生か。やっておれんな。そんなもので誤魔化せるほど、モンハン世界の現実(リアリティ)は甘くないぞ」

 

レンブラント氏:「(煙草の煙をくゆらせながら)もう逃げ道のクスリも、倒れ込むための『気絶のフリ』も使えない。これからはシラフの頭で、己のやらかした不始末と向き合ってもらう」

 

ケイコ・ヤジマ:「うぅ……ひどい……陰気なおねえさんたち……」

 

レム判事:「『おねえさん』ではありません、男です。……さあ、言い訳の時間は終了です。鉛筆を持ち、謝罪文の1枚目から始めなさい。文字を忘れたと言うなら、五十音図から叩き込みますよ」

 

薬という唯一の逃げ場を完全に奪われたケイコ・ヤジマに、ルージュ機構による本格的な「現実と向き合うリハビリ」が重く覆いかぶさるのだった。

 

【フェーズ7:性別と現実の認識矯正】

 

ケイコの往生際の悪い呟きを聞き咎めたエリオット隊長が、重い溜息とともに一歩踏み出した。

 

エリオット隊长:「陰気なお姉さん? ここにいるのはおじさんだよ。……目を逸らすな地雷、現実を見ろ」

 

ケイコ・ヤジマ:「ひぇっ……!? だって、白髪で綺麗な服着て細身で……陰気なお姉さんじゃん……!」

 

レム判事:「(ルージュピアスを指先で軽く触りながら、無表情で)ルージュピアスの呪いによる性別誤認効果ですね。……ですが、何度でも言いましょう。私は男です。身も心も、判事としての裁定も、全て男性として行っています」

 

レンブラント氏:「(煙草の灰をトントンと落とし、軍服の肩章を整える)俺とエリオットを指して『お姉さん』と言うなら、お前の目玉は完全に腐ってるな。ポッケやベルナの連中からはドドブランゴだのイビルジョーだのと言われているが、生憎と俺たちもただのナイスミドルのおじさんだ」

 

エリオット隊長:「都合が悪くなると男か女かも見分けがつかなくなるのか。35歳を過ぎて語彙が小学生以下なのも呆れるが、現実を認識する力まで失っているとはな。……やっておれん」

 

ケイコ・ヤジマ:「うぅ……おじさん……ゴリラみたいなおじさん達……アイス……アイスちょうだいよぉ……」

 

レム判事:「甘えは一切通用しません。おじさん3人による徹底的な指導を受け入れなさい。ほら、ペンを握りなさい。1枚目の謝罪文、タイトルは『自分の愚かさと年齢相応の自覚について』です」

 

レンブラント氏:「さあ、書かないと夜砲【黒風】のフルリロードが火を噴くぞ。おじさんの我慢強さにも限度があるんでね」

 

逃げ場の薬も失い、勝手な妄想で相手を「お姉さん」に仕立て上げる誤魔化しも打ち砕かれたケイコ・ヤジマ。規格外のおじさんハンター3人による、現実直視のスパルタ指導が本格的に幕を開けた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。