【フェーズ8:獣からの人間復帰プログラム】
机に突っ伏し、半べそをかきながら「あーうー」と意味をなさない言葉を漏らすケイコ・ヤジマの頭上から、紫煙とともに冷ややかな声が降ってくる。
レンブラント氏:「あはれを通り越してケモノちゃんだなぁ」
ケイコ・ヤジマ:「うぅ……ケモノじゃないもん……うち、先輩だもん……みんなが生意気なんだもん……」
エリオット隊長:「どこが先輩だ。言葉は退化し、不都合があればクスリを飲んで倒れる。群れの害にしかならん存在を、世間では獣と呼ぶんだよ。……まったく、やっておれん」
レム判事:「野生のモンスターですら、生きるための理や警戒心を持っています。ですが彼女にあるのは、他者に害を撒き散らす肥大化した自意識と寄生根性のみ。ある意味、野生以下の『公然わいせつ汚物』と称するのが正確でしょう」
レンブラント氏:「(夜砲【黒風】の銃口でケイコの持つ鉛筆の芯をトントンと突く)おい、ケモノちゃん。人間になりたければ、まずその言葉遣いと『アイスちょーだい』の幼児退行をやめろ。35歳を超えた人間の言葉を喋ってみせろ」
ケイコ・ヤジマ:「ひ、ひぃぃ……! 『お、恐れ入ります……指導を……おねがいします』……」
エリオット隊長:「よし、少しは人間の言葉に近づいたな。……だが、不機嫌不調の謎文書を出して逃げる癖が出たら、俺のクロームレイザーでそのだらしない腰を叩き直すからな」
レム判事:「自意識の獣から人間へと戻る道は遠く険しいですよ、ケイコ。さあ、謝罪文の続きを書きなさい。夜はまだ始まったばかりです」
規格外のおじさん3人による「獣の人間化訓練」は、一瞬の妥協も許さず継続されるのだった。
【フェーズ9:被害ハンターの乱入と謎文書の公開処刑】
再教育施設に、かつてベルナ村でケイコから「生意気」「気持ち悪りぃ」と暴言を吐かれ、寄生被害に遭っていた若手ハンターが踏み込んできた。
その手には、ケイコが自説を主張するために撒き散らしていた例の紙切れが握られている。
被害ハンター:「何この【不機嫌不調を改善します?】⁉︎ 日本語勉強し直せ! 文脈も支離滅裂だし、主語も述語も崩壊してて意味不明なんだよ! 知〇遅れじゃねぇか!」
ケイコ・ヤジマ:「ひぎゃぁぁ!? な、何よ生意気な! 先輩に向かってそんな言い方……っ(すかさず懐へ手を伸ばすが、クスリはもう無い)」
レム判事:「無駄です。言ったでしょう、逃避用の睡眠薬は全て時空の狭間へ破棄したと。……被害者の方、お怒りはごもっともです。この文書は我々の間でも『学習概念の欠落を示す証拠品』として厳重に保管しております」
エリオット隊長:「……被害ハンターの言う通りだ。不機嫌不調を改善? 改善するべきはお前のその腐りきった頭と根性だろうが。やっておれん」
レンブラント氏:「(煙草の煙を吐き出しながら、紙切れを指で弾く)35歳を過ぎてこの作文レベルか。これじゃあ村の子供たちでも鼻で笑うぞ、ケモノちゃん。被害者の方々に不快感を与えた罪、さらに重くなったな」
被害ハンター:「ほんとですよ! 契約中にも暴言吐かれて迷惑だったんです! レム判事、もっとバシバシやってください!」
ケイコ・ヤジマ:「うぅ……ふえぇ……アイス……アイスちょうだいぇ……(完全にお手上げで涙目)」
レム判事:「泣いても許されません。ほら、被害者の方へ直接頭を下げて『大変申し訳ありませんでした』と言いなさい。言えなければ、本日分の謝罪文をさらに50枚追加します」
逃げ場であるクスリも「気絶のフリ」も奪われたケイコ・ヤジマは、己が撒き散らした滑稽な謎文書を突きつけられ、被害ハンターの前でただただ震え上がるしかなかった。