転生したら人生がサクセスモードだった   作:ねるすと

101 / 104
第101話

全国大会から三日後。

 

城東シニアは数日間のオフに入っていた。

 

朝起きても、今日はグラウンドへ行かなくていい。全国大会の間ずっと野球漬けだったせいか、逆に何をすればいいのか少し迷う。

 

スマホを開くと、まだメッセージがいくつも残っていた。

 

『全国優勝おめでとう!』

『決勝見たぞ!』

『準決勝のホームランやばかった』

 

学校の友達からも来ている。

 

全国大会は終わった。

 

でも、自分が思っていたより周りは見ていたらしい。

 

ピコン。

 

新しい通知。

 

詩織だった。

 

『今日暇?』

『暇』

『メダル見たい』

『それが目的?』

『ほぼそれ』

 

少し笑う。

 

『いいよ』

 

送ってから十分もしないうちに、インターホンが鳴った。

 

「早くない?」

「近いから」

「それにしても早い」

「メダルは?」

「挨拶より先なんだ」

 

部屋へ戻り、机の上に置いていたケースを渡す。

 

「おお……」

 

詩織が両手で持ち上げる。

 

「重っ」

「俺も最初そう思った」

「これが日本一のメダルかあ」

 

裏返したり、文字を読んだりしながら、かなり楽しそうに見ている。

 

「首にかけていい?」

「いいよ」

 

詩織がメダルを首に掛ける。

 

「どう?」

「似合ってる」

「私、何もしてないけど」

「応援してたでしょ」

「それだけでいいの?」

「少しくらいなら」

 

詩織が笑った。

 

カシャッ。

 

「何撮ってるの?」

「記念」

「俺のメダルなんだけど」

「だから記念」

 

今度は俺の横へ来る。

 

「伊織も」

「俺は大会でいっぱい撮ったよ」

「そうじゃなくて。ほら」

 

肩が触れるくらいの距離。

 

カシャッ。

 

画面には、俺と詩織。

真ん中に金色のメダル。

 

「送るね」

「うん」

 

ピコン。

 

届いた写真をそのまま保存した。

 

全国大会で撮った写真とは全然違う。

 

でも。

 

こういうのも悪くない。

 

◇

 

詩織が帰ったあと、改めてシステムを開いた。

 

全国大会の夜、途中で閉じた成長通知が残っている。

 

【全国大会の経験値を反映します】

 

画面が切り替わった。

 

【ミート B70 → B72】

【パワー B70 → B71】

【走力 C69 → B70】

【肩力 B71 → B72】

【守備力 B76 → B77】

【捕球 B70 → B71】

 

「走力もBか」

 

69で止まっていた数字が、ようやく70へ届いた。

 

続いて投手能力。

 

【球速 130km/h → 131km/h】

【コントロール B78 → B79】

【スタミナ B76 → B77】

 

131km/h。

 

玲は141km/h。

 

まだ10km/h差。

 

でも、130から131へ進んだ。

 

それでいい。

 

《投手能力》

 

球速 131km/h

コントロール B79

スタミナ B77

 

《野手能力》

 

弾道 3

ミート B72

パワー B71

走力 B70

肩力 B72

守備力 B77

捕球 B71

 

投げて、打って、守る。

 

全国大会でやってきたことが、そのまま数字になっていた。

 

ピコン。

 

さらに通知が出る。

 

【特殊能力の経験値が一定値に達しました】

 

【広角打法 習得条件進行中】

【現在習得率 82%】

 

「あと18%か」

 

準決勝では真田から逆方向へホームラン。

決勝でも右中間へタイムリーツーベース。

 

右方向への打球は確実に増えている。

 

どうすれば残りを埋められる?

 

外角への対応。

逆方向への長打。

センターから右方向への打球。

 

頭の中で練習メニューを組み始める。

 

ふと、机の上のスマホが目に入った。

 

さっき詩織と撮った写真。

 

一度だけ開く。

 

メダルを挟んで、2人とも笑っている。

 

数秒見てからスマホを置いた。

 

秋の大会もある。

 

新しいチームも始まる。

 

もっと速く投げたい。

もっと打ちたい。

もっと守れるようになりたい。

 

日本一になっても、まだ上げられる数字はいくらでもある。

 

そう思うと。

 

やっぱり、少し楽しくなった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。