転生したら人生がサクセスモードだった   作:ねるすと

104 / 104
第104話

夏休みが終わった。

 

全国大会、新チーム始動、武蔵野との練習試合。その後も何試合か実戦を重ねているうちに、気づけば二学期になっていた。

 

久しぶりに制服を着て教室へ入る。

 

「成瀬!」

 

席に着く前に呼び止められた。

 

「全国優勝おめでとう!」

「今さら?」

「夏休みだったから言うタイミングなかったんだよ!」

「メッセージ来てたけど」

「直接言うのは別だろ」

 

別の男子も寄ってくる。

 

「ていうか武蔵野との練習試合でホームラン3本打ったってマジ?」

「何で知ってるの?」

「野球部の奴が言ってた」

「情報早くない?」

「有名人だからな」

 

そんな話をしながら席へ向かうと、詩織がこっちを見ていた。

 

「おはよう」

「おはよう。有名人」

「詩織まで言うの?」

「ホームラン3本?」

「うん」

「1試合で?」

「うん」

「伊織、ちょっとおかしくなってない?」

「前から野球はやってるけど」

「そういう意味じゃない」

 

詩織が笑う。

 

「でも負けたよ」

「え?」

「3対4」

「3本打ったのに?」

「全部ソロだったから」

「そんなことあるんだ」

「あるみたい」

 

自分で言って、少し笑った。

 

3本打った。それでも負けた。

 

数字だけなら最高に近い試合だったけど、不思議と悔しさも残っている。

 

「じゃあ、次はランナーいる時に打たないとね」

「簡単に言うね」

「伊織なら打つでしょ」

「期待が重い」

「日本一なんだから頑張って」

 

チャイムが鳴り、詩織が前を向いた。

 

野球以外の時間も、また戻ってきた。

 

◇

 

放課後。

 

練習へ行く前にシステムを確認する。

 

武蔵野戦以降、条件が進んでいた特殊能力。

 

【打撃経験値が一定値に達しました】

【特殊能力の習得条件を満たしました】

 

画面が切り替わる。

 

【広角打法を習得しました】

 

「……やっとか」

 

全国大会前から意識していた能力。

 

外角を無理に引っ張らない。右方向へ強い打球を飛ばす。それでいて、甘い球なら普通に引っ張る。

 

使える方向を増やす。

 

橘さんにも言われた。

 

グラウンド全部。

 

【広角打法】

【打球方向による打撃能力の低下を軽減します】

 

ステータスを開く。

 

《野手能力》

 

弾道 3

ミート B72

パワー B71

走力 B70

肩力 B72

守備力 B77

捕球 B71

 

《特殊能力》

 

送球○

アベレージヒッター

パワーヒッター

チャンス○

盗塁○

流し打ち

広角打法

 

「増えたな」

 

最初の頃とは比べものにならない。

 

パワーもミートも、特殊能力も増えた。

 

まだ中学2年。

 

もっと増やせる。

 

次は何を狙う?

 

そう考え始めたところで、スマホが鳴った。

 

高瀬。

 

『遅れるなよ』

 

時計を見る。

 

「……危な」

 

システムを閉じ、鞄を持つ。

 

今日は新チームのミーティングもある。

 

◇

 

グラウンドへ着くと、全員が集められた。

 

監督の手には一枚の紙。

 

「秋季大会の組み合わせが決まった」

 

空気が変わる。

 

新チームになって最初の公式戦。

 

監督がトーナメント表を掲げる。

 

「全国優勝したからって、秋も勝てる保証はない。夏とは別のチームだと思え」

「はい!」

 

高瀬が最初に返事をした。

 

白石もいる。武蔵野戦でエラーをした新しい二塁手もいる。

 

夏の全国大会とは違うメンバー。

 

それでも、玲がいて、黒田がいて、高瀬がいて、三上がいる。俺もいる。

 

「目標は?」

 

監督が聞く。

 

「優勝です」

 

高瀬が答える。

 

「その先は?」

「来年、全国連覇です」

 

監督が頷いた。

 

「なら、ここから始めろ」

 

トーナメント表を見る。

 

秋の大会。

 

新しい城東で戦う、最初の公式戦。

 

少し楽しみだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

大心を宿して(作者:はんたー)(オリジナル:現代/スポーツ)

2003年、ナリタタイシンの種牡馬供用停止。種付数1。▼2004年にナリタタイシン最後の産駒が誕生した。▼これはナリタタイシンのラストクロップに転生した男が勘違いしつつ頑張るお話


総合評価:744/評価:8.47/連載:25話/更新日時:2026年10月17日(土) 09:00 小説情報

超能力者のプロ野球人生(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル:現代/スポーツ)

雷に打たれて超能力に目覚めた高校生、大久保利通は最初ノートのページを数メートル先から開く程度の能力しか持ち合わせていなかったが、練習で投げたボールが顧問の目に留まり、投手を志すことになる。▼・最初数話は高校生で能力を引き上げて、体を作る話になります。▼・4話目にドラフトを行う予定です。▼・長くても9月上旬まで連載できればと思っています。▼・毎日投稿を心がけま…


総合評価:6992/評価:7.6/完結:42話/更新日時:2026年09月11日(金) 18:00 小説情報

ダイヤのA~気迫のFull Swing~(作者:フリュード)(原作:ダイヤのA)

「バカヤロ~フルスイングで打つのが一番良いんじゃないか」▼これはフルスイングに命を懸けた規格外のパワーを持った男が「ブンブン丸」から「青ゴジラ」と呼ばれるようになるまでのお話▼凱歌が上がりそうですが、雄々しい方です()▼巷で人気のChatGPTさんにキャラデザ・ロゴを作っていただきました▼ロゴは各話の前書きに載せてあります▼【キャラデザ】▼【挿絵表示】▼【ロ…


総合評価:1728/評価:8.02/連載:26話/更新日時:2026年10月10日(土) 23:57 小説情報

スキル制ステータスで現代をお気楽に過ご……したい(作者:逆鯖)(オリジナル:現代/ノンジャンル)

▼ 工場派遣として働く25歳、佐藤直人。▼ ある日突然、視界に《スキルシステム》なんてものが現れた。▼ 《清掃》《料理》《プログラミング》みたいな普通の技能から、《豪運》《魔術》《錬金術》《ダンジョン作成》なんて明らかにおかしいものまで、SPさえあれば取得可能。▼ だったらまあ、使うっきゃない。▼ 仕事は楽に、金はなるべく効率よく稼いで、自分の時間はしっかり…


総合評価:7602/評価:8.47/連載:19話/更新日時:2026年10月09日(金) 21:25 小説情報

最高傑作、野球をする。(作者:苦茶。)(原作:ダイヤのA)

ホワイトルームから出た綾小路清隆が、青道高校で野球をするだけの物語▼◆◆◆▼この作品は野球未経験の作者が執筆しています▼その為、「こんなのあり得ない!!」等のご意見があると思いますので、その都度教えていただけると幸いです▼ダイヤのAは全巻読了しています


総合評価:459/評価:7.5/連載:8話/更新日時:2026年09月01日(火) 08:34 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>