転生したら人生がサクセスモードだった   作:ねるすと

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第18話

 初めての公式戦。

 二対一。

 勝利。

 俺は二安打。

 玲は先発して。

 何個も三振を取った。

 そして。

 翌週。

「監督!」

 練習が始まる前から。

 俺は。

 監督のところへ行った。

「どうした?」

「次の試合、俺も投げたいです」

「ピッチャーか?」

「はい」

「水城が投げてるの見てやりたくなった?」

「それもあります」

「それも?」

「俺もエースになりたいです」

「……」

 監督が。

 一瞬黙った。

 そして。

 笑った。

「一年生から元気だな」

「ダメですか?」

「ダメとは言ってない」

「じゃあ」

「まず練習で見せろ」

「はい!」

 当然。

 そうなる。

 玲が公式戦で投げたから。

 次は俺。

 そんな簡単な話じゃない。

 なら。

 見せればいい。

 

◇

 

「伊織君」

「ん?」

 玲が。

 すぐ寄ってきた。

「次、投げるの?」

「投げたい」

「僕も」

「お前は前投げたじゃん」

「また投げたい」

「知ってる」

「どっちが投げる?」

「監督が決める」

「じゃあ勝負?」

「何の?」

「ピッチング」

「……いいぞ」

 どうせ。

 そうなると思っていた。

「何で勝負する?」

「ストライク」

「速さは?」

「それ入れたらお前有利だろ」

「じゃあ三振」

「打者いねえよ」

 五歳の頃から。

 こいつは。

 勝負の決め方が雑だ。

「とりあえず狙ったところに投げる」

「分かった」

「十球な」

「うん」

 勝手に。

 俺たちの勝負が始まった。

 

◇

 

 まず。

 俺。

 捕手役は。

 コーチ。

「真ん中だけでいいぞ」

「はい」

 今の投手能力。

 

【球速 55km/h】

【コントロール C62】

【スタミナ E48】

 

 少年カテゴリへ変わって。

 評価は落ちた。

 でも。

 投げられなくなったわけじゃない。

 一球目。

 ストライク。

 二球目。

 少し高い。

 ボール。

 三球目。

 ストライク。

 四球目。

 ストライク。

「いいね」

 コーチが。

 頷く。

 五球目。

 低め。

 ストライク。

 六球目。

 少し外。

 七球目。

 ストライク。

 八球目。

 ストライク。

 九球目。

 高い。

 そして。

 十球目。

 真ん中。

「ストライク!」

 七球。

「七」

 玲が。

 ちゃんと数えていた。

「悪くないだろ」

「次僕」

「どうぞ」

 玲が。

 マウンドへ。

 

◇

 

 一球目。

 ストライク。

 二球目。

 高い。

 三球目。

 外。

 四球目。

 ストライク。

 五球目。

 ストライク。

 六球目。

 ボール。

 七球目。

 ストライク。

 八球目。

 高い。

 九球目。

 ストライク。

 十球目。

 外。

「五」

「……俺の勝ち」

「でも僕の方が速い」

「今回はコントロール勝負」

「次は速さ」

「やらない」

「なんで?」

「勝てないから」

「じゃあ僕の勝ち」

「それとこれとは別」

 玲が。

 納得いかない顔。

 でも。

 数字だけなら。

 今は。

 俺の方が制球は上。

 球速は。

 玲。

 コントロールは。

 俺。

「成瀬」

「はい」

 監督が。

 こっちへ来た。

「次の練習試合、少し投げてみるか」

「本当ですか?」

「ああ。ただし」

「はい」

「ストライク取れなくなったらすぐ替える」

「分かりました!」

「水城も投げるぞ」

「はい!」

 玲。

 嬉しそう。

「二人ともまだ一年生だ。競うのはいいけど無茶はするなよ」

「はい」

「はい!」

 そして。

 俺にも。

 初めて。

 試合で投げる機会が来た。

 

◇

 

 練習試合。

 三回。

 二対二。

「成瀬、いくぞ」

「はい!」

 マウンドへ。

 立つ。

「……」

 思ったより。

 景色が違う。

 ショートから見るのとは。

 全然。

 違う。

 全部が。

 自分の前にある。

 打者。

 捕手。

 審判。

 守備。

 そして。

 ボール。

「プレイ!」

 一人目。

 一球目。

 真ん中。

 ストライク。

 二球目。

 外。

 三球目。

 打たれる。

 カキン!

「ショート!」

 ゴロ。

 玲が。

 ショートに入っていた。

「……!」

 捕る。

 一塁へ。

 シュッ。

「アウト!」

「ナイス玲!」

「うん!」

 マウンドから。

 玲が守っている。

 変な感じ。

 いつもと。

 逆だ。

 でも。

 悪くない。

 

◇

 

 二人目。

 初球。

 ストライク。

 二球目。

 ファウル。

「追い込んだ」

 あと一球。

 三振。

 欲しい。

 玲みたいに。

 取りたい。

 少しだけ。

 力を入れる。

 投げる。

 高い。

「ボール!」

「……」

 四球目。

 今度こそ。

 速く。

 シュッ。

 外。

「ボール!」

 五球目。

 また。

 速く。

 低い。

「ボール!」

「成瀬!」

 監督の声。

「力むな!」

「はい!」

 分かってる。

 でも。

 三振。

 取りたい。

 俺だって。

 ピッチャーとして。

 結果を出したい。

 六球目。

 一度。

 深呼吸。

 速さじゃない。

 ストライク。

 真ん中。

 投げる。

 カキン!

「あ」

 センター前。

 ヒット。

「……」

 三振。

 取れなかった。

「伊織君!」

 ショートの玲が。

 声を出す。

「次!」

「……おう!」

 そうだ。

 まだ。

 終わってない。

 

◇

 

 三人目。

 走者一塁。

 ここで。

 打たれれば。

 ピンチになる。

 一球目。

 ストライク。

 二球目。

 ボール。

 三球目。

 低め。

 ストライク。

「……」

 追い込んだ。

 さっきは。

 三振を欲しがって。

 崩れた。

 今度は。

 いらない。

 打たせればいい。

 四球目。

 外低めを狙う。

 投げる。

 カンッ。

「セカンド!」

 ゴロ。

 二塁へ。

 アウト。

 一塁。

「アウト!」

「ダブルプレー!」

「よし!」

 三アウト。

 無失点。

 マウンドを降りる。

「成瀬」

「はい」

 監督が。

 俺の頭を軽く叩く。

「最後よかったぞ」

「ありがとうございます」

「三振取るだけがピッチャーじゃない」

「……はい」

「ストライク入れて、守ってもらえばいい」

「はい」

 分かっていた。

 前世でも。

 知識としては。

 知っていた。

 でも。

 自分が投げると。

 欲しくなる。

 三振。

 速い球。

 格好いい結果。

「……なるほど」

 ピッチャー。

 思ったより。

 難しい。

 

◇

 

 五回。

 今度は。

 玲。

「水城、いけるか?」

「はい!」

 俺は。

 ショートへ戻る。

 玲が。

 マウンドへ。

 一人目。

 一球目。

 ボール。

 二球目。

 ストライク。

 三球目。

 空振り。

 四球目。

 ファウル。

 五球目。

 シュッ。

 ブンッ。

「ストライク! バッターアウト!」

「……」

 いきなり。

 三振。

「伊織君!」

 玲が。

 こっちを見る。

 嬉しそう。

「こっち見んな!」

「三振!」

「分かってる!」

 こいつ。

 絶対。

 俺が取れなかったの。

 覚えてる。

 二人目。

 ゴロ。

 三人目。

 また。

 三振。

 無失点。

 ベンチへ戻ってきた玲が。

 当然のように言う。

「僕、二個」

「聞いてない」

「伊織君、ゼロ」

「聞いてないって」

「でも伊織君もゼロ点」

「……」

「一緒」

「……そうだな」

 俺も。

 無失点。

 玲も。

 無失点。

 結果だけなら。

 同じ。

 でも。

 内容は。

 全然違った。

 

◇

 

 その日の夜。

 システムを開く。

 

【初登板を確認しました】

 

【登板結果】

1回

被安打1

失点0

奪三振0

 

【投球経験を獲得しました】

 

【技術がかなり上がった】

【精神が上がった】

 

 さらに。

 

【試合中の行動を解析しました】

 

【三振を狙い、投球精度が低下しました】

 

「……そこまで見てんのかよ」

 少し。

 恥ずかしい。

 

【打たせて取る投球を経験しました】

 

【投球に関する特殊能力取得条件が一部進行しました】

 

「お」

 何か。

 進んだ。

 でも。

 まだ。

 取得はない。

「一試合くらいじゃ、そりゃそうか」

 そして。

 玲。

 今日。

 二奪三振。

 前の公式戦でも。

 何個も取っている。

 もしかして。

「……」

 人物解析を開く。

 

【水城 玲】

 

【特殊能力候補】

ノビ

奪三振

 

「増えてる……」

 本当に。

 増えた。

「お前さあ……」

 本人は。

 何も知らない。

 ただ。

 速い球を投げて。

 打者を三振にしたい。

 それだけ。

 なのに。

 結果を出すたび。

 特殊能力の候補が。

 増えていく。

 俺は。

 システムを使って。

 どうすれば強くなれるか。

 考えている。

 玲は。

 ただ。

 好きなことをやっている。

 それなのに。

 強くなる。

「……負けられねえな」

 次。

 俺も。

 三振を取る。

 コントロールも上げる。

 球速も上げる。

 打撃も。

 守備も。

 全部。

 強くなる。

 まだ。

 俺は。

 何も捨てるつもりなんてなかった。

 

◇

 

 そして。

 小学校へ入ってから。

 半年が過ぎた。

 毎週。

 練習。

 試合。

 学校。

 詩織と遊ぶ時間。

 玲と野球をする時間。

 そんな日々を。

 繰り返すうちに。

 俺の能力は。

 少しずつ。

 少年カテゴリにも。

 馴染み始めていた。

 

【成瀬 伊織】

年齢:6歳

 

【競技カテゴリ:少年】

 

弾道 2

ミート C61

パワー D52

走力 D59

肩力 C60

守備力 C63

捕球 D58

 

【投手能力】

球速 61km/h

コントロール C68

スタミナ D54

 

【特殊能力】

送球○

 

「半年で……」

 D中心だった能力が。

 少しずつ。

 Cへ。

 上がり始めている。

 幼児期より。

 成長は。

 明らかに遅い。

 でも。

 ちゃんと。

 育っている。

「六年間あれば」

 やっぱり。

 行ける。

 オールA。

 その時。

 まだ。

 俺は知らなかった。

 六年間という時間が。

 能力を育てるには。

 十分長い。

 でも。

 人生の全部を育てるには。

 思ったより。

 ずっと短いことを。

 

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