転生したら人生がサクセスモードだった   作:ねるすと

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第26話

 四年生。

 

 九歳。

 

 少年カテゴリ。

 四年目。

 

 そして。

 

 この春から。

 

 俺と玲は。

 リトルリーグでも。

 

 上の年代が中心になる。

 メジャー組へ。

 

 本格的に。

 混ざることになった。

 

「今日から成瀬と水城は、こっちで練習する」

 

「はい!」

 

「はい!」

 

 グラウンドを見る。

 

 四年生。

 

 五年生。

 

 六年生。

 

「……でかいな」

 

 今までの低年齢組とは。

 明らかに違う。

 

 身長。

 

 身体の厚み。

 

 投げる球。

 

 打球。

 

 全部。

 

 一段。

 

 上。

 

「伊織君」

 

「ん?」

 

「楽しそう」

 

「お前がな」

 

 玲が。

 めちゃくちゃ笑っている。

 

「速い球投げる人いるかな」

 

「そこしか見てないのかよ」

 

「伊織君は?」

 

「俺?」

 

 少し考える。

 

「打てるか試したい」

 

 上級生相手に。

 

 今の俺が。

 

 どこまで。

 

 通用するのか。

 

 

 能力画面。

 

【成瀬 伊織】

年齢:9歳

 

【競技カテゴリ:少年】

 

弾道 3

ミート B74

パワー C66

走力  B70

肩力  B72

守備力 B75

捕球  C69

 

【投手能力】

球速     80km/h

コントロール B78

スタミナ   B70

 

【特殊能力】

送球○

アベレージヒッター

チャンス○

 

 カテゴリは。

 

 変わらない。

 

 六歳から十二歳まで。

 

 全部。

 

 同じ少年カテゴリ。

 

 つまり。

 

 このBは。

 

 四年生の中でB。

 

 じゃない。

 

 六年生まで含めた。

 

 少年野球全体で。

 

 B。

 

「……だったら」

 

 通用しないと。

 

 おかしい。

 

 むしろ。

 

 どこまでやれるのか。

 

 確かめたい。

 

 

「まず守備!」

 

「はい!」

 

「成瀬! ショート入れ!」

 

「はい!」

 

 ノック。

 

 最初の打球。

 

 カキン!

 

「……!」

 

 三遊間。

 

 速い。

 

 今までとは。

 

 明らかに。

 

 打球速度が違う。

 

 でも。

 

「届く!」

 

 走る。

 

 逆シングル。

 

 捕る。

 

 身体が。

 

 流れる。

 

 普通なら。

 

 一塁は。

 

 かなり厳しい。

 

 でも。

 

 俺には。

 

【肩力 B72】

【送球○】

 

 踏ん張らない。

 

 そのまま。

 

 投げる。

 

 シュッ!

 

 一塁。

 

 パシン!

 

「アウト!」

 

「……おお」

 

 周りから。

 

 声。

 

「四年だよな?」

 

「今の刺すの?」

 

「肩強っ」

 

「……」

 

 気持ちいい。

 

 次。

 

 正面。

 

 捕る。

 

 一塁。

 

 次。

 

 二遊間。

 

 追いつく。

 

 反転。

 

 二塁。

 

「ナイス!」

 

 次。

 

 深い位置。

 

 捕る。

 

 遠い。

 

 でも。

 

 投げる。

 

 シュッ!

 

「アウト!」

 

 監督が。

 

 少し。

 

 笑う。

 

「成瀬」

 

「はい!」

 

「お前、こっちでもショートいけそうだな」

 

「……はい!」

 

 嬉しい。

 

 めちゃくちゃ。

 

 嬉しい。

 

 能力値。

 

 B75。

 

 まだ。

 

 Aじゃない。

 

 それでも。

 

 九歳で。

 

 少年カテゴリB。

 

 その意味を。

 

 初めて。

 

 実感した。

 

 

「次、バッティング!」

 

 上級生の投手。

 

 六年生。

 

「四年の成瀬?」

 

「はい!」

 

「結構打つって聞いたぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃあ打ってみろ」

 

「お願いします!」

 

 構える。

 

 相手。

 

 大きい。

 

 球速も。

 

 今まで戦ってきた相手より。

 

 明らかに速い。

 

 一球目。

 

 シュッ!

 

「……!」

 

 速い。

 

 でも。

 

 見える。

 

 振る。

 

 カンッ!

 

 ファウル。

 

「お」

 

 二球目。

 

 外。

 

 見送る。

 

 三球目。

 

 内角。

 

 振る。

 

 カキン!

 

 三塁線。

 

「ファウル!」

 

「……」

 

 差し込まれた。

 

 でも。

 

 当たる。

 

 四球目。

 

 高め。

 

 ボール。

 

 五球目。

 

 真ん中。

 

「来た」

 

 振る。

 

 カキィン!

 

「……!」

 

 打球。

 

 センター。

 

 速い。

 

 そのまま。

 

 頭上を越える。

 

「マジか!」

 

 フェンスまで。

 

 転がる。

 

「……よし!」

 

「成瀬、今のいいぞ!」

 

「ありがとうございます!」

 

 六年生。

 

 相手。

 

 普通に。

 

 打てた。

 

 しかも。

 

 長打。

 

「もう一回お願いします!」

 

「いいねえ」

 

 次。

 

 外角。

 

 逆らわない。

 

 ライト前。

 

 次。

 

 低め。

 

 センター返し。

 

「……」

 

 五球。

 

 三本。

 

 安打性。

 

 周りの。

 

 見る目が。

 

 少し変わった。

 

「四年だろ?」

 

「何あれ」

 

「あいつ去年下で四番打ってたやつ?」

 

 そう。

 

 これくらい。

 

 できる。

 

 今の俺は。

 

 もう。

 

 ただ。

 

 野球が上手い四年生。

 

 じゃない。

 

 

「次、水城!」

 

「はい!」

 

 玲。

 

 マウンドへ。

 

 打者。

 

 六年生。

 

 俺は。

 

 ショートから。

 

 見る。

 

 玲。

 

 現在。

 

 八十五キロ前後。

 

 六年生なら。

 

 もっと速い球を投げる奴だっている。

 

 だから。

 

 球速だけなら。

 

 驚くほどじゃない。

 

 一球目。

 

 シュッ!

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 高め。

 

 打者。

 

 振る。

 

 ブンッ!

 

「……!」

 

 空振り。

 

「え?」

 

 三球目。

 

 また。

 

 ストレート。

 

 カンッ!

 

 ファウル。

 

 押されている。

 

「……」

 

 四球目。

 

 玲。

 

 楽しそうに。

 

 投げる。

 

 シュッ!

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「……」

 

 六年生。

 

 三振。

 

 次。

 

 五年生。

 

 ファウル。

 

 空振り。

 

 最後。

 

 また。

 

 空振り。

 

「二人目……」

 

 次。

 

 六年生。

 

 今度は。

 

 なんとか。

 

 センター前。

 

「やった!」

 

 打った本人が。

 

 思わず。

 

 声を出している。

 

「……ヒット一本で喜ばれてるぞ」

 

 おかしいだろ。

 

 九歳だぞ。

 

 玲。

 

 

 練習後。

 

 監督。

 

 コーチ。

 

 何か。

 

 話している。

 

 聞こえる。

 

「成瀬はもう上で使えるな」

 

「守備だけじゃなく打てますね」

 

「水城も……あの真っ直ぐは面白い」

 

「四年二人ですか」

 

「ああ」

 

「かなり飛び抜けてますね」

 

「……」

 

 飛び抜けている。

 

 そう。

 

 俺たちは。

 

 もう。

 

 そのくらい。

 

 強くなっていた。

 

 俺自身。

 

 玲ばかり見ていたから。

 

 気づきにくかっただけ。

 

 

 数週間後。

 

 メジャー組で。

 

 初めての。

 

 練習試合。

 

「スタメン発表するぞ」

 

「はい!」

 

「七番、ショート、成瀬」

 

「はい!」

 

 四年生。

 

 でも。

 

 スタメン。

 

「水城はベンチスタート。途中から投げてもらう」

 

「はい!」

 

 玲。

 

 少し。

 

 残念そう。

 

「先発したかった?」

 

「うん」

 

「そのうちできるだろ」

 

「伊織君はスタメン」

 

「ショートだからな」

 

「僕もショートやればよかった」

 

「お前それは違うだろ」

 

「なんで?」

 

「お前は投げろ」

 

「うん」

 

 納得。

 

 早いな。

 

 

 二回。

 

 俺の。

 

 第一打席。

 

 六年生の投手。

 

 速い。

 

 一球目。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 外。

 

 三球目。

 

 低め。

 

 ファウル。

 

 四球目。

 

 高い。

 

 見送る。

 

 二ボール。

 

 二ストライク。

 

「……」

 

 上級生。

 

 だから何だ。

 

 俺のミートは。

 

【B74】

 

 アベレージヒッターも。

 

 ある。

 

 五球目。

 

 外角。

 

「そこ」

 

 逆方向。

 

 カキン!

 

 ライト前。

 

「抜けた!」

 

 一塁。

 

 セーフ。

 

「ナイス成瀬!」

 

「はい!」

 

 そして。

 

 次の打者。

 

 初球。

 

 俺。

 

 スタート。

 

「走った!」

 

 捕手。

 

 二塁へ。

 

 送球。

 

 滑る。

 

「セーフ!」

 

「……!」

 

 盗塁。

 

 成功。

 

「四年が六年のバッテリーから走ったぞ」

 

「速っ」

 

 俺。

 

【走力 B70】

 

 これも。

 

 少年カテゴリ。

 

 B。

 

 ちゃんと。

 

 武器になる。

 

 

 守備。

 

 三回。

 

 二死。

 

 一、二塁。

 

 打球。

 

 三遊間。

 

「抜ける!」

 

 六年生の。

 

 強いゴロ。

 

「……!」

 

 飛び込む。

 

 捕る。

 

 立てない。

 

 でも。

 

 二塁へ。

 

 トス。

 

「アウト!」

 

「ナイスプレー!」

 

「……よし!」

 

 一点。

 

 防いだ。

 

 ベンチへ戻る。

 

 監督。

 

「成瀬!」

 

「はい!」

 

「ナイス!」

 

「ありがとうございます!」

 

 それだけ。

 

 でも。

 

 嬉しかった。

 

 ヒットより。

 

 今の守備の方が。

 

 ちょっと。

 

 嬉しい。

 

 

 五回。

 

「水城!」

 

「はい!」

 

「行くぞ」

 

「はい!」

 

 玲。

 

 登板。

 

 上級生。

 

 一人目。

 

 ファウル。

 

 空振り。

 

 空振り。

 

 三振。

 

 二人目。

 

 ゴロ。

 

 俺。

 

 ショート。

 

 捕る。

 

 一塁。

 

「アウト!」

 

 三人目。

 

 六年生の四番。

 

「……」

 

 一球目。

 

 ストレート。

 

 空振り。

 

 二球目。

 

 ファウル。

 

 三球目。

 

 ボール。

 

 四球目。

 

 玲。

 

 腕を振る。

 

 シュッ!

 

 打者。

 

 振る。

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「……」

 

 六年生の四番。

 

 三振。

 

「伊織君!」

 

 玲。

 

 マウンドから。

 

 満面の笑み。

 

「前向け!」

 

 試合中。

 

 なのに。

 

 俺も。

 

 笑っていた。

 

 

 試合。

 

 五対二。

 

 勝利。

 

 俺。

 

 三打数。

 

 二安打。

 

 一盗塁。

 

 守備機会。

 

 四。

 

 失策。

 

 ゼロ。

 

 玲。

 

 二回。

 

 無失点。

 

 三奪三振。

 

「……」

 

 四年生。

 

 二人。

 

 上級生中心の試合で。

 

 普通に。

 

 結果を出した。

 

【上位年代との実戦経験を獲得しました】

 

【技術がかなり上がった】

【敏捷がかなり上がった】

【精神がかなり上がった】

 

 でも。

 

 能力値。

 

【ミート B74】

【守備力 B75】

 

 変わらない。

 

「……」

 

 これでいい。

 

 最近。

 

 少し。

 

 分かってきた。

 

 能力値が。

 

 毎回。

 

 上がらなくても。

 

 選手としては。

 

 強くなれる。

 

 上級生の球を見る。

 

 速い打球を処理する。

 

 試合の空気を知る。

 

 それも。

 

 全部。

 

 成長。

 

 

 帰り道。

 

「伊織君」

 

「ん?」

 

「六年生でも三振取れた」

 

「取ってたな」

 

「伊織君も打ってた」

 

「打ったな」

 

「じゃあ僕たち強い?」

 

「……」

 

 少し。

 

 考える。

 

「多分、かなり」

 

「かなり?」

 

「かなり」

 

「じゃあもっと強くなれる?」

 

「なる」

 

「僕も」

 

「知ってる」

 

 玲が。

 

 笑う。

 

 俺も。

 

 笑う。

 

 九歳。

 

 四年生。

 

 俺たちは。

 

 少しずつ。

 

 リトルリーグの中でも。

 

 名前を。

 

 知られ始めた。

 

 打って。

 

 守って。

 

 走る。

 

 成瀬伊織。

 

 そして。

 

 数字以上に。

 

 打者のバットを。

 

 空へ通す。

 

 水城玲。

 

 後になって。

 

 何度も聞くことになる。

 

 この頃から。

 

 周りは。

 

 俺たち二人を。

 

 こう呼び始めていたらしい。

 

 ――あの四年生の。

 

 怪物二人。

 

 と。

 

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