転生したら人生がサクセスモードだった   作:ねるすと

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第28話

 全国ベスト8。

 

 それが。

 

 今の俺たちより。

 

 明確に。

 

 上にいる相手だった。

 

 六年生のエース。

 

 百キロを超えるストレート。

 

 全国でも有名な四番。

 

 強い守備。

 

 速い走塁。

 

 俺は。

 

 三打数一安打。

 

 玲は。

 

 一回一失点。

 

 二奪三振。

 

 負けた。

 

 でも。

 

 あの試合で。

 

 一つ。

 

 分かったこともある。

 

 全国トップクラスは。

 

 強い。

 

 じゃあ。

 

 普通の相手なら?

 

 

 翌週。

 

 地区大会。

 

 相手は。

 

 毎年一、二回戦を突破する程度の。

 

 ごく普通のチーム。

 

「四番、ショート、成瀬」

 

「はい!」

 

「先発、水城」

 

「はい!」

 

 全国クラスとの試合では。

 

 八番だった俺も。

 

 こっちへ戻れば。

 

 四番。

 

 玲も。

 

 先発。

 

「伊織君」

 

「何?」

 

「今日も強い?」

 

「相手?」

 

「うん」

 

「普通だと思う」

 

「じゃあ三振いっぱい取れる?」

 

「知らん」

 

「取る」

 

「勝手にしろ」

 

 試合開始。

 

 

 一回表。

 

 玲。

 

 先頭打者。

 

 一球目。

 

 ストレート。

 

 ブンッ!

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 ファウル。

 

 三球目。

 

 高め。

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 二人目。

 

 一球目。

 

 空振り。

 

 二球目。

 

 ボール。

 

 三球目。

 

 空振り。

 

 四球目。

 

 ファウル。

 

 五球目。

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「……」

 

 三人目。

 

 初球。

 

 ファウル。

 

 二球目。

 

 ストライク。

 

 三球目。

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 三者連続三振。

 

「……やっぱり」

 

 全国クラスの六年生には。

 

 打たれた。

 

 でも。

 

 普通の少年野球選手にとって。

 

 玲のストレートは。

 

 もう。

 

 明らかに。

 

 異常だった。

 

 

 一回裏。

 

 二死。

 

 一塁。

 

「四番、成瀬!」

 

「はい!」

 

 打席。

 

 相手投手。

 

 六年生。

 

 さっきの全国クラスと比べれば。

 

 球速も。

 

 コントロールも。

 

 下。

 

 でも。

 

 普通に。

 

 少年野球では。

 

 いい投手なんだと思う。

 

 一球目。

 

 外。

 

 ボール。

 

 二球目。

 

 ストライク。

 

 三球目。

 

 真ん中低め。

 

「……見える」

 

 全国クラス。

 

 百キロを超える球。

 

 あれを。

 

 三打席。

 

 見た。

 

 その後だから。

 

 余計に。

 

 遅く感じる。

 

「そこ」

 

 振る。

 

 カキィン!

 

「……!」

 

 打球。

 

 右中間。

 

 外野。

 

 追う。

 

 でも。

 

 越える。

 

「走れ!」

 

 一塁。

 

 二塁。

 

 走者。

 

 ホーム。

 

 俺。

 

 三塁。

 

「セーフ!」

 

 三塁打。

 

「ナイス成瀬!」

 

「はい!」

 

 一点。

 

 先制。

 

【上位レベルとの対戦経験が打撃判断へ反映されています】

 

「……」

 

 なるほど。

 

 能力値は。

 

 変わってない。

 

【ミート B74】

 

 でも。

 

 経験。

 

 ちゃんと。

 

 残ってる。

 

 

 三回。

 

 第二打席。

 

 走者。

 

 二、三塁。

 

【チャンス○】

 

 一球目。

 

 外。

 

 二球目。

 

 内角。

 

 甘い。

 

「……!」

 

 振る。

 

 カキィン!

 

 レフト。

 

 頭を越える。

 

 二人。

 

 ホーム。

 

「回れ!」

 

 二塁。

 

「セーフ!」

 

 二点タイムリー。

 

「……」

 

 簡単。

 

 とまでは言わない。

 

 でも。

 

 全国クラスの投手を見た後。

 

 普通の相手の球には。

 

 明らかに。

 

 余裕がある。

 

「成瀬、また打ったぞ!」

 

「四年だろ、あいつ?」

 

「なんで六年の球あんな普通に打てるんだよ」

 

 相手ベンチ。

 

 声。

 

「……」

 

 これ。

 

 多分。

 

 今の俺の。

 

 本当の位置。

 

 全国トップ。

 

 じゃない。

 

 でも。

 

 普通の少年野球の中なら。

 

 もう。

 

 かなり。

 

 上。

 

 

 守備。

 

 四回。

 

 一死。

 

 一塁。

 

 打球。

 

 三遊間。

 

「ショート!」

 

 走る。

 

 捕る。

 

 深い。

 

 でも。

 

 慌てない。

 

 握り替え。

 

 二塁。

 

「アウト!」

 

 そのまま。

 

 一塁。

 

 シュッ!

 

「アウト!」

 

「ダブルプレー!」

 

「……よし」

 

 六年生走者。

 

 でも。

 

 普通の走力なら。

 

 刺せる。

 

【守備力 B75】

【肩力 B72】

【送球○】

 

 全国クラス。

 

 相手。

 

 ギリギリ。

 

 普通の相手。

 

 余裕が生まれる。

 

 同じ。

 

 B。

 

 でも。

 

 誰と戦うかで。

 

 見え方が。

 

 全然違う。

 

 

 玲。

 

 四回。

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 十個目。

 

「……十?」

 

 十二アウト。

 

 そのうち。

 

 十。

 

 三振。

 

「玲!」

 

「なに?」

 

「守備暇なんだけど!」

 

「ごめん!」

 

「謝るな!」

 

 次。

 

 五回。

 

 先頭。

 

 ゴロ。

 

「やっと来た!」

 

 俺。

 

 捕る。

 

 一塁。

 

「アウト!」

 

 玲。

 

 振り返る。

 

「伊織君」

 

「何?」

 

「取ったね」

 

「誰のせいで久しぶりだと思ってんだ」

 

「僕?」

 

「お前だよ」

 

 玲が。

 

 笑う。

 

 

 結局。

 

 試合。

 

 九対〇。

 

 五回終了。

 

 俺。

 

 四打数。

 

 三安打。

 

 三塁打一。

 

 二塁打一。

 

 三打点。

 

 一盗塁。

 

 守備。

 

 失策ゼロ。

 

 玲。

 

 五回。

 

 被安打一。

 

 無失点。

 

 十二奪三振。

 

「十二……」

 

「いっぱい」

 

「いっぱいじゃねえよ」

 

 十五個のアウト。

 

 十二個。

 

 三振。

 

「お前、野手の仕事取るなよ」

 

「でも伊織君打った」

 

「そういう問題じゃない」

 

 監督が。

 

 俺たちを見る。

 

「お前ら」

 

「はい」

 

「はい!」

 

「全国クラスとやった後だからって、調子に乗るなよ」

 

「……はい」

 

「はい!」

 

「ただ」

 

 監督が。

 

 少し笑う。

 

「今日くらいできるなら、もう四年生だからって遠慮する必要はないな」

 

「……!」

 

「上級生相手でも、結果出せる奴を使う」

 

「はい!」

 

「水城も」

 

「はい!」

 

「今後はメジャーの試合でも登板増やすぞ」

 

「ほんと?」

 

「本当だ」

 

「やった!」

 

 玲。

 

 分かりやすく。

 

 喜ぶ。

 

 俺も。

 

 嬉しかった。

 

 四年生だから。

 

 じゃない。

 

 実力で。

 

 試合に出る。

 

 そう。

 

 言われた。

 

 

 そして。

 

 地区大会。

 

 二回戦。

 

 俺。

 

 三打数二安打。

 

 玲。

 

 四回九奪三振。

 

 三回戦。

 

 俺。

 

 四打数三安打。

 

 一本塁打。

 

 玲。

 

 五回十一奪三振。

 

 準決勝。

 

 俺。

 

 三打数二安打。

 

 二打点。

 

 玲。

 

 四回。

 

 被安打二。

 

 無失点。

 

 八奪三振。

 

「……」

 

 勝つ。

 

 普通に。

 

 勝つ。

 

 上級生中心の大会。

 

 なのに。

 

 俺と玲が。

 

 チームの中心に。

 

 なり始めている。

 

 

 そして。

 

 決勝。

 

「成瀬」

 

「はい!」

 

「今日は三番」

 

「……三番?」

 

「ああ」

 

 八番。

 

 七番。

 

 そこから。

 

 三番。

 

「水城、先発」

 

「はい!」

 

 四年生。

 

 二人。

 

 メジャー組。

 

 決勝。

 

 中心選手。

 

 試合前。

 

 相手チーム。

 

 声が聞こえる。

 

「三番の成瀬気をつけろ!」

 

「あいつ四年だけど一番打ってるぞ!」

 

「水城の真っ直ぐ、上振れ!」

 

「球速だけで合わせるな!」

 

「……」

 

 対策。

 

 されている。

 

「玲」

 

「なに?」

 

「俺たち、警戒されてるぞ」

 

「うん」

 

「四年生なのに」

 

「うん」

 

「なんかないの?」

 

「嬉しい」

 

「……俺も」

 

 笑う。

 

 俺たちは。

 

 もう。

 

 年下だから。

 

 相手にされる選手じゃない。

 

 年下なのに。

 

 対策される選手に。

 

 なっていた。

 

 

 決勝。

 

 一回。

 

 玲。

 

 三者凡退。

 

 二奪三振。

 

 一回裏。

 

 一死二塁。

 

 俺。

 

 第一打席。

 

 相手。

 

 六年生投手。

 

 一球目。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 外。

 

 三球目。

 

 内角。

 

「……!」

 

 カキン!

 

 レフト前。

 

 二塁走者。

 

 ホーム。

 

「セーフ!」

 

 先制。

 

 二打席目。

 

 四球。

 

 三打席目。

 

 センター前。

 

 四打席目。

 

 右中間。

 

 二塁打。

 

「……」

 

 四打席。

 

 三出塁。

 

 三安打。

 

 六年生相手。

 

 普通に。

 

 打てる。

 

 

 玲。

 

 六回。

 

 最後の打者。

 

 二死。

 

 走者なし。

 

 五対一。

 

 一球目。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 空振り。

 

 三球目。

 

 玲。

 

 投げる。

 

 シュッ!

 

 打者。

 

 振る。

 

 ブンッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

「ゲームセット!」

 

「やった!」

 

 優勝。

 

 玲。

 

 六回。

 

 一失点。

 

 十四奪三振。

 

「十四!?」

 

「いっぱい」

 

「その感想やめろ!」

 

 チームメイト。

 

 玲のところへ。

 

 集まる。

 

「水城すげえ!」

 

「十四ってなんだよ!」

 

「ほとんど三振じゃん!」

 

 そして。

 

「成瀬も今日三本!」

 

「四年二人、どうなってんだよ!」

 

 笑う。

 

 周りも。

 

 笑っている。

 

 

 表彰。

 

「最優秀選手」

 

 呼ばれたのは。

 

 六年生の主将。

 

 当然。

 

 大会全体。

 

 攻守。

 

 チームを。

 

 引っ張った。

 

 でも。

 

「優秀選手、水城玲」

 

「はい!」

 

「優秀選手、成瀬伊織」

 

「……!」

 

 一瞬。

 

 遅れる。

 

「成瀬!」

 

「はい!」

 

 前へ。

 

 賞状。

 

 受け取る。

 

「……」

 

 嬉しい。

 

 前。

 

 玲だけが。

 

 優秀選手で。

 

 俺は。

 

 拍手していた。

 

 あの時。

 

 思った。

 

 次は。

 

 俺も。

 

 そこへ。

 

 そして。

 

 来た。

 

 四年生。

 

 上級生中心の大会。

 

 そこで。

 

 選ばれた。

 

「伊織君」

 

 玲。

 

 隣。

 

「一緒」

 

「そうだな」

 

「僕の方が三振多い」

 

「そこで張り合うな」

 

「伊織君の方がヒット多い」

 

「だから競技が違うんだよ」

 

 二人。

 

 笑う。

 

 

 夜。

 

 システム。

 

【大会成績】

 

【成瀬伊織】

 

打率 .563

本塁打 1

打点 9

盗塁 5

 

【守備】

失策 0

 

「……五割六分」

 

 自分でも。

 

 ちょっと。

 

 引く。

 

 上級生。

 

 含む。

 

 大会。

 

 それで。

 

 この数字。

 

【高い打率を継続しています】

 

【アベレージヒッターの習熟が進行しました】

 

 そして。

 

 玲。

 

【水城玲】

 

【大会投手成績】

防御率 極めて良好

奪三振率 極めて高い

 

【特殊能力候補】

奪三振

 

【取得条件が大きく進行しました】

 

「……」

 

 まだ。

 

 候補。

 

 でも。

 

 もう。

 

 時間の問題。

 

 そんな気がする。

 

 

 俺は。

 

 自分の能力を見る。

 

【ミート B74】

【パワー C66】

【走力  B70】

【肩力  B72】

【守備力 B75】

【捕球  C69】

 

 大会を。

 

 あれだけ。

 

 打った。

 

 それでも。

 

 数値は。

 

 ほとんど。

 

 変わっていない。

 

「……Bって」

 

 強い。

 

 改めて。

 

 思う。

 

 普通の相手なら。

 

 上級生でも。

 

 無双できる。

 

 それくらい。

 

 Bは。

 

 強い。

 

 じゃあ。

 

 Aは?

 

 全国トップクラス。

 

 誰にも。

 

 負けないくらい。

 

 優れている。

 

「……Sは?」

 

 怪物。

 

 カテゴリの。

 

 常識から。

 

 外れる。

 

「行ってみたいな」

 

 その先。

 

 まだ。

 

 少年カテゴリ。

 

 残り三年近く。

 

 俺は。

 

 画面を。

 

 閉じる。

 

 全国には。

 

 まだ。

 

 俺たちより。

 

 強い奴がいる。

 

 でも。

 

 地区では。

 

 俺たちは。

 

 すでに。

 

 追う側だけじゃなくなった。

 

 ――成瀬伊織。

 

 ――水城玲。

 

 怪物二人。

 

 その呼び名が。

 

 少しずつ。

 

 冗談では。

 

 なくなり始めていた。

 

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