一日ごとにTSするなら男女二役VTuberになれるんじゃね? 作:ディスコ
なんか受かった件について。
男の状態で面接に行って「俺って1日ごとに性別が入れ替わる病気になってて。男女二役でデビューしたら面白くないですか?」って言ったら大爆笑されながら「じゃあまた明日来て!」と言われた。
言われた通りに翌日、女になった俺は一応診断書を持って再度面接に行くと目ん玉飛び出るくらいビックリされながら「本当だとは思わなかったけど面白そうだから採用!!」って言われた。
これでいて上場してるVTuber事務所の社長なんだから面白いよな。
それからアレやコレやと俺が関与しない事柄が色々決まっていって、何と3ヶ月で電撃デビューするにまで至った。
何やら元々デビュー予定の新人が"飛んだ"せいで1体分のモデルが余っていたらしい。
それを♂の俺が拝借し、♀の俺のアバターはイチから製作したそうだが、イラストレーターもモデラーも大層インスピレーションが刺激されたそうで、秒速の出来上がりだったそう。
「まさか行動してから3ヶ月で形になるとは」
現在の俺は配信待機状態だ。
最初は♂の俺がデビューになった。
「ヤバい、バカ緊張する」
この3ヶ月で薄々思っていたのだが、♀の俺は声も可愛いし歌も上手いし自分じゃない感が凄すぎて無敵のメンタルでいられるのだが、♂の俺は何の魅力もない行動力だけはあるカスだ。
男女二役VTuberでデビューしたら二倍金儲けできるじゃんガハハとか笑っていたが、♂の俺はどう振る舞えば良いのだろうか。
ゲームも別に普通の腕前だ。特技があるわけでもない。
トークもこれだけ緊張していたらどうなるか分からない。
「ど、どうにでもなれ!!」
緊張のままに俺は配信を開始した。
どうにでもなれの諦め精神である。
・お、始まったか?
・普通の青年って感じのアバター
・最近の新人は豊作だからなー
・急に現れた新人だし期待値高い
「あっ、あっ……ども、はじめまして。マリポロからデビューしました、
・ガッチガチで草
・ここまで新人らしい新人も珍しいw
・3秒で分かる陰の性質
・マリポロって陽キャ集団だから珍しいな
・お日柄は良いけど人柄は良くなさそう
酷い言われようである。
く、くそ……めっちゃどもるんだけど……。
こ、こんなはずでは……!!
「え、ええと、めっちゃ緊張してます。人前に出る経験も家から出る経験も無いので部屋も真っ暗だしお先も真っ暗です」
・VTuber人生における辞世の句が早すぎる
・別に声が良いわけでもないけど何で採用したん?w
・ゲームが上手いとかじゃね
・声が無理。ブラバ
「ワ、ワァ……胃が、キリキリすりゅ……」
アンチコメに耐えられるメンタルが養えてない件。
俺は目の前がぐるぐると回るような錯覚を覚えながら何とか1時間ほど話し、初配信を終えた。
当然のように大失敗である。
初日チャンネル登録者数6500人。
☆☆☆
「はいどーも、マリポロからデビューしました、バーチャルアイドル的なヤツをやらせてもらってます、
ワハハ!! ワハハ!! ワハハ!!
俺は今、無敵のメンタルを手にしている!!!
翌日、♀の俺のデビュー日となった。
俺が俺じゃない(物理)感覚を覚えているため、勿論緊張なんてものは粉微塵もなく、終始リラックス状態で配信をつけた。
特にロールプレイなんてものは考えていないが、俺が思う可愛いギャルを演じようと決めていた。
・これは陽キャギャル
・昨日が酷かっただけに心配してたけどめちゃ可愛じゃん
・声かわよ!!
・アレと同期なの可哀想
♂の俺が散々な言われ方をしているが、無敵メンタルの俺には何も響かない。今の俺はただの可愛い女の子だからな。
「んー、アレは私でも矯正ムリー、って感じだから諦めたほうが良いカモ? 同期のよしみで何とかなる範囲じゃないや」
・同期サゲわろたw
・そんなに酷いのか……w
・アレがいるからコレが輝くってことか
・アレコレコンビ
「凸凹コンビみたいに言わんといてもろて。とりあえずアレの話題は置いておいて、まずは軽くジャブ程度に私のことを知ってもらおうと思いまーす!」
俺はそこで事務所から渡された歌配信用のマイクを調節し、一番得意に歌える曲の音源を配信上に流し始めた。
・歌か?
・そっち枠か!
・いやでもマリポロは歌上手枠結構いるからなぁ……
・歌披露は早いんじゃないか
アレコレどれそれそっち何だか言われているが、俺は全てを無視して歌う。
「〜〜♪」
・うっっっっま
・あのカワボでカッコいい系の歌声なのヤバ
・明らかに本職だろこれ
・VTuberに留まる歌の上手さじゃない
俺が歌った瞬間、コメント欄は驚きと歓喜に満ちた。
ふっふっふ、上手かろう。流石に俺も才能に胡座をかくわけにはいかないから結構練習したんだぞ。
「〜〜!!」
にしても人前で思いっきり歌うってのは気持ちいいもんだな。……こんなこと、性転換してなきゃただの一度も思うことが無かったんだろうと考えると、ある意味幸運だったのかもしれない。
・【
……ん? この人って確か先輩だったっけ?
歌ってる最中に見ていたコメ欄に知っている名前を見つけた。VTuberに疎い方の俺でも知ってるビッグネームだったはずだが……わざわざ新人の配信にコメントしてくれるなんて優しいな。
あれ……? 昨日はいたっけ……?
──切り替えるぞ無敵のメンタルの俺!!
「ふぅ……こんなもんかな。どうだったー?」
・最高でした!!
・一瞬でファンにされてしまった……
・これは覇権取るわ
というわけで俺(♀)は大成功に配信を終えた。
初日チャンネル登録者数43000人。