ガンプラバトルネクサスオンライン、通称G.B.N。広大に広がる電子世界の海で、自身が持っているガンプラをネット上の相手と競い合わせることができる。
今世紀一と言っても過言でないほど人気のゲームだ。
ガンダムのプラモデル、略してガンプラは機動戦士ガンダムシリーズに登場する架空のロボット(モビルスーツ)を精巧に作り込んだプラスチックモデル玩具であり、長年に続くテレビ機動戦士ガンダムシリーズの放送の影響もあって子供や大人など、幅広い年齢層に愛され続けている。
この二つを掛け合わせたG.B.N.は、まさにファンを超えて愛されるコンテンツとなっていた。
「と、言うのがG.B.N.なんだ、だいたいわかったか?」
俺は目の前の健康的に日焼けをした浅黒い肌の男に声をかける。
「まじっっぱねぇな!おけ!ばっちりっしょ!!」
色黒の男はそう活気のある返事を返してくる。クラスでも少し浮いている俺に話しかけてきたこの男は同じクラスの黒田太陽(くろだたいよう)。
なんでもガンプラに興味があり、クラスメイトの伝手から回って俺に声をかけてきたのだとか。
クガっちにしか頼めないのよ〜!!と口にしながらG.B.N.のことを尋ねにきた黒田だが、悪い噂は聞かない。むしろクラスの美化委員などを率先して引き受けたり、クラスの行事には積極的に参加したりする気のいいやつというイメージがある。
「これで俺もG.B.N.デビューってわけかぁ...くぅ!!」
「ちなみに、黒田は何のガンプラを使うんだ?」
「え?俺ガンプラ持ってないけど...?」
「「え?」」
静寂。お互いに顔を見合わせ、黒田の顔は心なしか青くなっている
「ま、まさか、G.B.N.を遊ぶには実際のガンプラが必要なのかよ!?!?」
「いや当たり前だろ」
今までこいつは俺の説明の何を聞いていたんだ。しかたない、少し助け舟を出してやるか。
「ガンプラなら、この近くのガンダムベースや家電量販店、模型屋でも売ってるよ」
「ま、まじ!?よかったぁ〜〜...とにかく、ガンプラをそこで買って、あとはゲーム機使って遊べばいいわけだな!!サンキュー、めっちゃ助かったぜ」
「いいよ、別に。大したこと教えてないし」
G.B.N.には最近ログインすらしていない。ただ、G.B.N.について知るたびに一喜一憂している黒田の顔を見ると、何だか不思議と心が軽くなった気がした。
「黒田はその、ガンダムのアニメとか、何が好きなんだ...?」
「いや、見たことないけど?ガンダム」
「え?」
ガンダム作品を見たことないのに、G.B.N.を始めるやつは初めて見たかもしれない。呆気に取られている俺を構わず黒田は続けて話す。
「いや、俺小さい頃からサッカーやってたんだけど高校のレベルについていけなくて、結局部活辞めちゃって...そんな時周りの部活入ってない奴らに聞いたら、みんなG.B.N.おもしろいよって声かけてくるわけじゃん?」
「それでめっちゃ気になっちゃってさ。みんなしてヒロト君の方が詳しいよ!とか、クガ君に教えてもらった!っていうから善は急げ!って感じで後はね?」
へへ、と気恥ずかしいそうな顔をしている黒田の顔は何だか少し悲しげにも見えた。
「だから、今までアニメなんかほとんど見てなくて」
「そうだったのか、悪い、変なことを聞いて」
「いやいや、全然へーきよ。むしろ、クガっちのおすすめがあれば教えてくれよ!今日サブスクで見てくるからさ!」
とはいえ、初心者に進めるガンダム作品か...こういう時は自分の主観が入ってくるため、気軽にこの作品が面白かったと伝えることは憚られる。強いていうなら...
「やっぱ宇宙世紀はファースト(初代)からだな」
「宇宙世紀???ファースト???」
周りから見ても分かりやすく、強火の初代オタクであるクガ少年の心には火がついていた。
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