ペニー・パーカーとヴィランのオリ主がイチャイチャする話 作:チャイナドレス先輩
俺の名前は夜摩翔(やま かける)。18歳、普通のフリーターだ。
俺は日本生まれ日本育ちの日本人だが両親という存在はいなかった。児童養護施設で育ち、そこで生活をしたみんなが家族かな?
……おい、誰だ、山を走り回ってそうだと言った奴は。誰も言っていない?そうか、気にしすぎたか。
……あ?普通って自称する奴は普通じゃない?そうか、よろしい。それなら俺がどれだけ普通か俺の一日を見せて証明してやるよ。
朝6時に起きたらランニングに出かけて体力作りをする。ランニングから帰ったら朝の筋トレをしてシャワーで汗を流す。シャワーの後は朝食のバナナを牛乳で流し込み身支度を整え仕事に出かける。ああ、大事な仕事道具が入っているアタッシュケースとバイクの鍵を忘れずにな。愛用のバイクに乗り夏のカラッとした空気を切り裂きながら目的地に移動する。
信号で止まったついでにチラリといつもの公園のベンチを見る。そこに座っていると声をかけてくる彼女――ペニー・パーカーの事を少しだけ考えたが、今日は時間がないので俺はそのまま公園を通り過ぎた。彼女の登校時間はあと1時間はかかる。そんな時間待つ余裕は今日はないと冷静に考える。
俺は少しの名残おしさを感じたが、それを振り払って今日の仕事場に移動する。
長時間運転をし仕事場の近くにバイクを止め、ちょっと特殊な移動をする。
(俺はこれでもシャイだからな。カメラとか他の人に見られるのが苦手なんだ)
そんな言い訳を心の中でしつつ、無事に依頼人にところまで移動ができたので、依頼内容と報酬などの条件の確認を行う。事前に話をしていた内容と同じ条件であることを確認をし、仕事を始める。
ああ、俺がなんの仕事をしているのか話をしていなかったな。俺は要人警備や護衛の仕事をしている。最近の日本の治安は悪くなる一方でヴィランや敵対組織からの襲撃や暗殺から守るために職に需要が出て来た。爆弾を投げ込まれたり、密室で襲われたりする対象を守るというかなり危ない仕事なのでペニーには心配をされないように警備員の仕事をしていると嘘を吐いている。
今日の仕事の内容は簡単だ。依頼人の後ろをスーツ姿でくっついて歩くだけ。移動中に怪しい奴は近づいてこないか?依頼人が座っている際に狙撃されないか?などを注意して午前中の仕事は終わり。
いったん、昼食などを取るため時間になったが気は抜けない。仕事中に食事を理由に依頼人から離れるなんて危険すぎるので、昼食と夕食は依頼人と一緒に食事を取ることになった。
……お、ウナ重じゃん、いいね。
昼食を食べ終えた後も普通に護衛をした。特にこれといった事は起きなかった。依頼人は部外者の俺に聞かれたらまずい話をするので、俺を外して身内だけでの話を始めた。
このように俺が護衛を外れる時間は事前に伝えられていたので、実質これが俺の休憩時間になる。俺は仕事が再開されるまでの暇を潰すためにスマホを取り出して、気に入っているレトルトカレーのメーカーを調べた。そしたら夏に向けた冷製スープがおすすめとして表示された。
(……このスープ、美味しかったからペニーにも渡してみるか)
あの娘は朝はゼリー、昼は総菜パン、夜はケーキという健康や食事というものに喧嘩を売っている生活をしているからな。俺はそう思いながら彼女の為にも冷製スープの注文をすることを決める。
……ほらな?ここまでの俺を見れば普通に仕事をしていて、ちょっと年下の女の子に気にかけている、どこにでもいる普通の男だ。
……すまん、嘘ついた。
俺は普通の男ではない。
気に入った冷製スープの注文をしていると、後ろから声をかけられた。
「夜摩様、仕事の時間です。着替えてください」
「……OK」
よし、これからが本番だな。俺はそう言ってスマホを投げ出し、持ってきたアタッシュケースを開き、中に入っていた黒いスーツを着る。
これはスパイダーガールのような特別なパワードスーツなどではない。ただ顔を隠し丈夫なだけのスーツだ。
俺は8歳の頃、放射能汚染をされたコオロギの成分が入った薬を用いた改造手術を受けた結果、コオロギの特性を持った人間――コオロギ人間に変身できる能力を身につけた。ちなみに俺が育った児童養護施設は元々はヴィランが運営をしていて、人体実験を目的に孤児たちを集めていた。将来的に改造人間達を量産して、その改造人間を提供するビジネスを考えていたらしい。それに気付いた俺や同じ施設の仲間は手にした能力でヴィランを倒し、健全化した児童養護施設には仕事で得た報酬の大半を寄付をしている。
非合法な稼ぎで寄付するのは大変心苦しいが、自分の能力を最大限活かせる仕事は基本的に非合法だから仕方ないと割り切ることにしている。
何より――
「ただ戦いたい」
「……?何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない」
他人とは違う特別な力を手にし、児童養護施設を支配していたヴィランに抗うために俺は戦った。その戦いの中で俺は、戦いの快楽に目覚めた。俺と同じ改造人間と戦ったあの時の死闘が忘れられない。
改造手術をする際の生物のベースによっては性格も変わることがあるらしいが、コオロギが凶暴だとか好戦的だなどという話は聞いたことがない。
何が言いたいか?……そう、俺は手に入れた能力とは別に戦いに憑りつかれた戦闘狂となった。
この10年間、戦い続けた。ヒーローとも戦った、ヴィランとも戦った。日本に視察に来ていたアヴェンジャーと戦ったこともある……決着はつかなかったけどさ。そして、戦えば戦うほど……おっと、考え事に集中しすぎた。とにかく俺は、自分の特性を生かす仕事として、用心棒や護衛を選んだ。
依頼主――裏でかなり暗い事をしている悪人のすぐ近くに立ち、護衛の仕事を再開する。昼と違い夜は武装した奴とか、超能力を持った奴の襲撃が何度かあったがレベルが低い相手だったが……レベルが低すぎて変身しなくても対処できたので詳細を話す価値なし。
今日来た敵にガッカリしながらあくびをこらえていると――
「なに?それは、本当か?……おい、追加の仕事だ」
「へいへい、それで内容は?」
「スパイダーガールだ。これからの取引に万が一にも奴を関わらせたくない。陽動兼足止めをしろ」
「へぇ……楽しくなってきたな」
眠気が消えるのを感じた。そうだよ、俺はそういう相手を求めているんだよ。
「変身」
そう言って俺は、今日初めての変身を――
「あ、靴脱ぐの忘れてた……ちょっと失礼――改めて変身」
……靴を脱いでから今日初めての変身をする。周りからなんなんだコイツっていう視線を感じるが気にしない気にしない。
足の筋肉が異常発達し指や脚の爪が鋭くなる。
「――フンッ!!」
そして後頭部よりコオロギ特有の二本の尾葉が突き出て伸びる。
「それじゃあ、いってきます♪」
そう言って俺は窓から外に出た。ビルの壁やガラスをしっかりと足で掴み、ジャンプしてビルとビルの間を移動し始めた。暫くすると特徴的な赤くて丸いフォルムのロボットがビルの壁に張り付いているのが見えた。俺はマスクの下で笑みを浮かべながら、奴のいるビル目掛けて跳ぶ。
ダンッ!と大きな音を立てながら俺は足でビルの壁を掴み、ビルの壁に立つ。……予想以上に強い音が出て、ビルの壁が壊れなかったか心配になったのは内緒だ。
「また私の邪魔をするのね、コオロギ男」
「つれないな、俺はお前と遊ぶのが大好きなのに」
正面に見えるロボットは、赤を基本色としているが腕部などの一部に青色が配色されている丸い四本腕の蜘蛛みたいなパワードスーツだ。人でいう頭頂部の部分がディスプレイとなっており顔や目のように変化することがある。恐らく操縦者とは別にいる存在の感情表現の為に使うのだろう。
結構、ディスプレイを見ていると面白い。
「どうせ私を邪魔しろって命令を受けたんでしょ?他にもいろいろ仕事があるのにわざわざ悪人の護衛だなんて……仕事変えたら?ハローワークに行けばいい仕事勧めてくれるかもよ?」
「残念ながら、好きでこの仕事してるんでね!!」
俺はビルの壁を蹴り、スパイダーガールに一直線に近づく……と見せかけて、左方向(ビルの上部)急転換。スパイダーガールを中心に左右上下と何度も移動をし彼女を翻弄する。コオロギはバッタの仲間に分類をされている。バッタと言えば、ジャンプ
また、バッタとの大きな違いは腹部から生える尾葉で、これは高性能な空気センサーだ。コオロギの尾葉は、空気中の分子の動きを把握する。その感度は、可視光フォトン1個に反応する『視細胞』の100倍近い。これは常温で分子が動いている動きすら、感知できる計算で、コウロギの尾葉は全生物最高の空気センサーで、変身時の俺はその尾葉が後頭部から生えている。
そんな特性を持つコオロギが、もし人間大のスケールであれば……一度のジャンプはビル6階分(約20m)に届く脚力で縦横無尽に飛び回り、しかも全生物中最高の空気センサーで把握した空間の情報により攻撃は当たらない。そして、強力な脚力から繰り出される蹴りは人の頭などザクロのように潰せる威力だ。
基本的に彼は相手を一方的に攻撃できる能力を持っているの――だが……反応が遅れた瞬間を狙って攻撃をしたはずが、ギリギリとはいえ防がれた事に気分が高揚する。
「ハハハ、いい、いいぞ!!お前との戦いは格別だぜぇ!!」
「このぉ……戦闘狂がぁ!!」
確かその丸くて赤いパワードスーツは特別だが、五感の感知では説明がつかない行動をするよな?俺みたく何かしらの感知器官があるのか、それとも第六感みたいなもので危険を察知してるのか?ああ、最近はパワードスーツ側の行動予測で結構俺の動きを把握されたりしているな……
そんな事を考えていると、俺はスパイダーガールから放たれる糸に絡み取られてしまった。
「しまった」
「やっと捕まえた!」
スパイダーガールとクリケットの移動能力には大きな違いがある。スパイダーガールもクリケットも直接飛行をする能力がなく、ビルや電柱などのウェブをひっかけたり蹴る場所がないと高速移動をすることができない。しかもクリケットは一度空中に放りだされれば、蹴る場所が無くなって無防備となる。移動手段がなければ、いくら高性能な空気センサーを持っていても意味はない。
「ふっふっふっ、喰らえ私たちの新技……」
「待て、それ新技じゃなくて、ただ単純にパワードスーツに機能追加しただけ――」
「うるさいな!喰らえ、ビリビリ!」
一瞬で視界が白く染まったように錯覚した。糸から強力な電気が流されたということを認識することもできず電撃を浴びせられ続けた。
「いくらコオロギの特性を持っていようが、電気ウナギみたいな電気耐性がある訳がじゃない……だけど、ちょっと電気強かったかな?」
ブスブスと身体から黒い煙を出しながら俺は倒れた。スパイダーガールはやりすぎたという雰囲気を出しながら俺の事を拘束をしようと近づいてくるのが分かる。電撃を受けたこと、その電撃から解放された事を認識した俺は無理やり立ち上がった。
「え、なんで――」
俺が立ち上がったことに驚いたスパイダーガールは反応できなく、俺の蹴りは見事クリーンヒットした。
「電気マッサージにしては、ちょっと過剰だったな?」
「いった……ねえ、なんで気絶していないの?コオロギは電気に強いって
「そんな
「……やせ我慢」
「うっさい」
俺は自分の身体のダメージを無視して、今日この時の戦いに感謝をしながら、目の前の敵に挑む。そんな楽しい時間を過ごしていたら、今日の仕事時間が終わり残念に思いながら撤退する。仕事の最後に依頼人に合い報酬を受け取り帰宅する。家で今日一日分の汗をシャワーで流した後、また外に出てバイクに跨る。そして、いつもの公園に行きいつものベンチに座る。
暫くの間待っていると公園に1人の少女がやって来たので声をかける。
「お?こんばんはペニー、こんな遅い時間に出歩くのは危ないぞ?」
彼女は黒いショートカットで茶色い目、身長は145センチでだいぶ小柄。日系アメリカ人で母親が日本人だったと言っていた。彼女の名前はペニー・パーカー。数か月前にナンパされていた彼女を助けてからの付き合いになる。
俺は彼女の事が――
「翔さん!」
「はぁ、夜遅くだ。あまり大きな声を出すな」
「はーい」
そう言いながら彼女は俺の隣に座ってきた。彼女の元気な声を聞いて少しだけ幸せな気分になり、思考を中断する。一応、年上として深夜徘徊についてを注意した後、いつも通り雑談をする。
「そういえば今日食べたケーキおいしかったから、今度一緒に――」
「お前、また夕食がケーキだったのか?この間食べた冷製スープが美味しかったからそれでも食べて――」
お互いに相手の事を考えて食べ物を勧めて来たことがおかしくてお互いに笑いあった。そして雑談をある程度した後に彼女を家まで送る。……あえてバイクで送らずに時間をかけて話すために歩きで彼女を送った。
「Bay、またな」
「うん、Bay!!また明日!!」
「それは約束できないな」
そう言って俺は彼女の家から離れて、また公園への道を歩く。
「……俺、変な事を言ってないよな?変なところに目を向けてないよな?」
ちゃんと彼女よりも年上の男として、紳士として接することが出来たのか悩んでいたがお互いに笑いあえていたからそこまで気にすることはないと思い直す。
俺は、夜摩翔。
年下の女の子に恋をしているが、戦うのが好きで好きでたまらない戦闘狂のヴィラン――クリケットだ。
「そろそろ学生は夏休みか……」
ペニーはプールや海で夏の思い出を作るのだろうか……彼女はどんな水着を――
俺は自分の顔面を殴り