だが、何使わせるかは決まってないのだ!
今の所、リーオーとジンが鍔迫り合いしてて、背後からグレイズが迫って来てる。
モチベ維持の為に、高評価、感想をよろしくお願いします。
「フッハッハハハハハハ!!!」
「ゼ、ゼーリック国家元帥!?」
「バンデベル。吾輩は今、夢を見ておるのだ」
「何を言っておられるのですか!?」
突然高笑いを始め、支離滅裂な事を口走るゼーリックに、バンデベルは思わず目を剥いた。
「これは悪い夢だ。そうでなければ、おかしいではないか。何故、大ガミラス帝星が誇る精鋭達が、あのような連中を相手に、手も足も出ぬ醜態を晒しておるのだ」
彼らの眼前では、未だゴッグによる蹂躙が続いていた。
最早、艦隊は壊滅状態。
整然としていた陣形など見る影も無く、各艦が我先にと逃げ回っている。
その艦隊を指揮する筈のゼーリックが、余りの理不尽さに耐え切れず現実逃避を始めたのだから、当然と言えば当然の結果ではあるが。
もし、この艦隊を率いていたのがディッツのような優秀な軍人であれば。
ゴッグから最初の奇襲を受けた時点で、勝ち目が薄いと判断し、ゲシュタムジャンプによる撤退を選択していただろう。
だが、艦隊にとって残念な事に、この場に居るのはゼーリックだった。
政治家としての手腕は確かなものだが、軍人としての能力は壊滅的。
所謂――愚将という奴である。
彼が頼るのは、何よりも数。
ただ大艦隊を密集させ、圧倒的な物量と火力で敵を押し潰す。
最早、戦術と呼んで良いのかすら怪しい指示によって、1231隻もの艦隊は密集陣形のままドロスを目指していた。
その只中へ、次元潜航するゴッグが襲い掛かった。
艦同士の間隔が狭過ぎる為、まともな回避運動すら出来ず、更には混乱した艦艇が、敵の姿を確認するより先に主砲を乱射。
その結果、誤射が多発した。
現在確認されている被害の約40%が、味方の艦砲射撃によるものという、全く笑えない状況である。
「これより、艦隊の指揮は私が引き継ぐ!」
「しかし、バンデベル准将!」
「見て分からんのか!? ゼーリック国家元帥は御乱心である!!!」
「これは夢だ……我輩が、あのような丸っこい化け物共に……」
「ほら見ろ!!!」
このままでは本当に全滅する。
そう判断したバンデベルは、最早ゼーリックの返答を待たず、艦隊へ命令を飛ばした。
「全艦反転! 緊急ゲシュタムジャンプ! 直ちにこの宙域から離脱せよ!!」
その命令を待っていたかのように、ゴッグ達に好き放題蹂躙されていたガミラス艦艇が、一斉に反転を始める。
次々とゲシュタムジャンプで、この地獄のような宙域から逃げ出していく。
「本艦も反転! 直ちに離脱を――」
バンデベルが言い終えるより早く、ゼルグートⅡ世の右舷中央へ、6発の量子魚雷が突き刺さった。
凄まじい爆発で巨大な艦体が激しく揺れ、艦橋内の乗員達が大きく身体を傾ける。
「くっ……何が!?」
バンデベルが体勢を立て直し、周囲の状況を確認する。
そして、絶句した。
「バ、バンデベル准将……」
レーダー手が、絶望に染まった顔で振り返る。
「本艦は……完全に包囲されました」
報告されるまでもなかった。
艦橋の窓から見える宇宙空間の至る所に、赤い光が浮かんでいる。
10や20どころでは無い。
100は超えている。
亜空間から頭部だけを覗かせたゴッグ達が、ゼルグートⅡ世を取り囲み、不気味な単眼で彼らを見つめていた。
「何故……」
バンデベルが呆然と呟く。
「何故、本艦だけが……」
理由は至極簡単。
この宙域に、ゼルグートⅡ世しか残っていなかったからである。
ゼルグート級一等航宙戦闘艦は、強固な装甲に強力な火力を併せ持つ、ガミラス艦艇の中でも屈指の戦闘能力を誇る超弩級戦艦だ。
しかし、その重装甲と重武装の代償として、機動性は他の艦艇より明確に劣っている。
それが、完全に仇となった。
撤退命令が下された瞬間、他の艦は即座に反転し次々とゲシュタムジャンプへ入った。
だが、巨大で鈍重なゼルグートⅡ世だけが、その流れに追従出来なかったのである。
そして当然、獲物が1隻だけ残れば。
ゴッグ達の攻撃は、そこへ集中する。
大量のゴッグ達は、亜空間から次々と上半身全体を通常空間へ晒し、腹部に並ぶ2門の陽電子砲をゼルグートⅡ世へ向ける。
「ジャンプだ!」
バンデベルが叫ぶ。
「座標など何処でも良い! 今すぐジャンプしろ!!」
「は、はい!」
生憎と、ゲシュタム機関の準備が整うより、ゴッグ達の方が早かった。
ゼルグートⅡ世へ向けて、無数の黄色いビームが降り注いだ。
「総員、衝撃に備えろ!!」
激しい振動が艦全体を襲う。
100発、200発と幾度となく陽電子ビームが装甲へ叩き付けられる。
その内の1発が、運悪く艦後部の推進口へ飛び込んだ。
数秒を置いて、内部で爆発。
被害は推進器から機関区画へと拡大していく。
「後部推進器、大破!」
「第2機関区画に損傷!」
「ゲシュタム機関、出力急低下!」
此処で、最悪の報告が続いた。
「損傷により、ゲシュタム機関……停止」
「何だと!?」
艦内照明が明滅し、推進器の光が消え、ゼルグートⅡ世は完全に動きを止めた。
だが、ゴッグ達は容赦しない。
黄色いビームが次々と装甲へ降り注いだ。
ゼルグートⅡ世の分厚い装甲は、その大半を防ぎ切る。
だが、露出した武装までは守れなかった。
主砲塔が吹き飛び、副砲が爆発。
対MS戦用に増設された4連装対空砲も、1基、また1基と破壊され。
遂にはゼルグートⅡ世から、まともに反撃出来る武装が消えた。
「狼狽えるな!」
バンデベルが叫ぶ。
「ゼルグートの装甲ならば、まだ暫くは耐えられる!」
だが。
「…………?」
攻撃が止んだ。
先程まで降り注いでいた黄色いビームが、突然ピタリと止まった。
「何だ……?」
バンデベルが眉を顰める。
「何故、攻撃を止めた?」
ゴッグ達の動きを見て、顔を引き攣らせた。
「……何故」
亜空間に潜んでいた茶褐色の怪物達が、次々と通常空間へ這い出して来る。
「何故、近付いて来ている!?」
その両腕の巨大な爪を、怪しく蠢かせながら。
「ま、まさか……!」
バンデベルの嫌な予感は、見事に的中した。
1機のゴッグが、ゼルグートⅡ世の外装へ取り付くと、腕を振り上げアイアン・ネイルを装甲へ叩き付け始めた。
その爪は、いとも簡単に装甲表面を切り裂く。だが、分厚い装甲を貫くには至らない。
ならば、何度も繰り返せば良い。
同じ場所へ何度もアイアン・ネイルを叩き込み、浅かった傷は巨大な穴へ変わる。
他の機体も次々と船体へ取り付き、ゼルグートⅡ世の装甲へ傷を付け始めた。
艦の至る所で、穴が空き内部が露出する。
「不味い……!」
バンデベルが叫んだ。
「分離だ!! 独立戦闘指揮艦を切り離せ、急げ!!」
ゼルグートⅡ世の艦橋部。
固定機構が解除され、推進器が点火。
独立戦闘指揮艦が、本体から緊急分離し大慌てで離れていく。
それから僅か数秒後。
装甲を引き剥がし終えたゴッグ達が、剥き出しとなった艦内部へ、一斉に陽電子砲を放った。
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ニセールジオン襲撃から、1週間後のガミラス星。
惑星各地で発生していた、二等臣民を中心とする暴動こそ鎮圧されたものの、未だ混乱は収まっていなかった。
無理もない。
これまで他国を征服する側であったガミラスが、本星への直接攻撃を許したのだ。
帝都バレラス上空には、全長40kmを超える敵艦が堂々と居座り、6000機を超える人型兵器が各地の軍事施設を蹂躙。
更には、それを撃退するべくゼーリック国家元帥が集めた1000隻を超える大艦隊までもが、僅か200機ほどの人型兵器によって敗北した。
――軍は、本当に自分達を守れるのか?
そんな疑念が、一等臣民であるガミラス人の間にすら、広がり始めていた。
そんな最中。
総統府バレラスタワーでは、デスラーを始めとするガミラス首脳陣が集まり、今後の対応を決める会議が開かれていた。
だが、集まった者達の表情は一様に暗い。
中には、両手で顔を覆ったまま動かない者まで居る。
それも当然だった。
今のガミラスが抱えている問題は、余りにも多過ぎる。
属領では反乱が相次ぎ、独立運動や破壊工作が活発化。
治安維持に必要な兵力は、日に日に増え続けている。
しかし、反乱を鎮圧しようにも、兵の数が足りない。
本星が直接襲撃された以上、防衛戦力も増強しなければならない。
消息を絶ったドロスを追跡する為の艦隊も、新たに編成する必要がある。
帝国各地からは増援を求める声が殺到していたが、その全てに応えられる余裕など、最早ガミラスには残されていなかった。
情報統制にも限界が来ている。
ニセールジオンはガミラスの放送網を乗っ取り、自らの演説と帝都への攻撃を帝国各地へ見せ付けた。
今更、それを無かった事にするなど不可能だ。
そして軍事面でも、状況は深刻である。
ガミラス自身が未だ試作段階にある次元潜航技術。
それすら、ニセールジオンは僅か18mほどの人型兵器へ搭載し、大量に実戦投入してみせた。
軍内部では、既存の艦隊戦術そのものを根本から見直すべきだとの声が上がっている。
MSの緊急開発。
対MS兵器の開発。
艦隊編成の見直し。
次元潜航兵器への対策。
軍はそれら全てへの対応を、同時に迫られていた。
そして、最も厄介なのは――。
ドロスが、何処へ消えたのか分からない事だった。
襲撃後、ドロスは全てのMSを回収。
そのまま、帝都上空から忽然と姿を消した。
ガミラス軍は動かせる限りの戦力を投入し、周辺宙域の捜索を続けているが、未だその痕跡すら掴めていない。
次は何処に現れるのか?
再びバレラスか。
軍事要塞か。
造船惑星か。
それとも、重要な属領か。
誰にも分からない。
更に、デスラー達は知っている。
ニセールジオンの目的は、ガミラスを滅ぼす事ではない。
大小マゼラン全土へ戦火を広げ、全ての国と民族を巻き込んだ、大戦争を引き起こす事。
その為に。
人型兵器――モビルスーツという存在を、あらゆる国家へ広めようとしている。
もし、反乱勢力や周辺諸国へその技術が渡れば、ガミラスがこれまで築き上げてきた軍事的優位そのものが、根底から崩れかねない。
国内の混乱。
属領の反乱。
兵力不足。
軍の威信失墜。
新兵器への対応。
消息不明のドロス。
そして。
迫り来る軍拡競争。
一体、何から手を付ければ良いのか。
いや、そもそも――。
何をすれば、この流れを止められるのか。
その答えを知る者は、この会議室の中に誰1人として居なかった。
「……何人か、姿が見えませんな」
長い沈黙を破ったのは、ガル・ディッツだった。
会議室を見渡しながら、自身の疑問を口にする。
「ゼーリック国家元帥は精神を病み、現在療養中です」
ディッツの疑問に、セレステラが淡々と答える。
「ギムレー長官は、反乱が発生した惑星へ直接出向かれています」
「……そうか」
ディッツは溜め息を吐きそうになるのを、寸前で堪えた。
今は、それどころではない。
彼は表情を引き締め、本題へ入る。
「デスラー総統」
「何かね、ディッツ提督」
「我々、帝星国防軍は――」
一拍置き、はっきりと告げた。
「ニセールジオンとの和平を模索すべきだと考えます」
その言葉と同時に、卓上へ現在ガミラスが運用可能な戦力が立体映像として表示された。
広大な領宙を誇るガミラスだが、自由に動かせる戦力となれば、その数は驚くほど少ない。
「ご覧の通りです」
ディッツが続ける。
「各方面の艦隊は、反乱鎮圧と領宙防衛で手一杯。自由に動かせる戦力は、既に底を付きつつあります」
デスラーを真っ直ぐ見据えながら。
「この状態で、あのドロスとMSを相手取る事は不可能であると申し上げます」
ディッツの言葉に、参謀総長ネルン・キーリングと、参謀次長ガデル・タランも静かに頷いた。
彼等が関わる警務艦隊もまた、帝国内の治安維持の為、休む暇も無く働き続けている。
これ以上の戦線拡大など、誰も望んではいなかった。
「……無駄だ、ディッツ提督」
だが、ヒスが和平案を否定する。
「ニセールジオンの目的は、我々ガミラスに勝利する事ではない」
「…………」
「奴らの目的は――大戦争を起こす事なのだ」
ヒスの表情が険しくなる。
「そんな者達が、我々からの和平を素直に受け入れるとは、とても思えん」
「……では」
ディッツが苦々しげに呟いた。
「戦い続けるしか、ないと言うのか……」
再び、会議室を重苦しい沈黙が支配した。
それでも。
その空気に、デスラーだけは屈しなかった。
「タラン軍需国防相」
「はっ」
ヴェルテ・タランが顔を上げる。
「引き続き、MSの開発を急ぎたまえ」
「……っ! 承知致しました」
「必要な資金と資材は、他の計画より優先して回す」
亡き兄、マティウスとの約束。
「加えて、新たに研究・開発用の浮遊大陸基地を設営する」
デスラーは、彼と交わした約束を思い出しながら、静かに言葉を続ける。
「同基地は、ドロスによる襲撃を想定し、研究施設であると同時に軍事要塞としても機能するよう設計したまえ」
「はっ!」
――ガミラス民族の存続。
故郷であるこの星には、もう長い時間が残されていない。
ガミラス人が移住出来る新天地を見つけるまで、諦める訳にはいかない。
どれほど追い詰められようとも。
デスラーの青い瞳から。
未だ、その意志は失われていない。
「ディッツ提督」
「はっ」
「ドメル中将を呼んでくれたまえ」
その名を聞き、ディッツが僅かに眉を上げる。
「ドメルを、ですか?」
「ああ」
「彼に、何をさせるおつもりで?」
デスラーは、一瞬だけ目を閉じた。
――平和を願う、愛すべき彼女の為にも。
想いを胸に、再び目を開く。
「彼には――MSの使い方を考えてもらう」
「MSの……使い方を?」
デスラーの口元に。
久しく消えていた、僅かな笑みが戻る。
「新たな時代の戦い方を――」
決意を胸に、静かに言い切った。
「作ってもらう」
――負ける訳にはいかないのだ。
一方その頃ドロスでは。
クト「見たまえ、マリーネ君。これぞ新たに開発されたMS!」
マリ「何この……何?」
クト「ジュリックである!」
マリ「形が余りにもゴリラ過ぎる!?」
何か変なモビルスーツが作られていた。
なお、昨夜バトオペで4回もジュリックにぶん殴られた為、作者はこの機体が嫌いである。