多分その内、S型もシレッと混ざってるかもです。
後、J型は出て来ません。
理由は宇宙で溺れるからです。
その日。
惑星オルタリアの至る場所で、火の手が上がった。
オルタリアの民族主義グループが、ガミラスからの独立を宣言したのである。
それと同時に、赤褐色に塗装された多数のザクⅡが、惑星各地に点在するガミラス軍基地へ突如襲来した。
戦闘は、ほぼ一方的だった。
基地上空に突如ワープして来たMSに対し、不意を突かれたガミラス軍は、まともに応戦する事すら出来ていない。
戦車、航空機、艦船。
あらゆる兵器が、起動や発進をする間も無く、次々と破壊されて行く。
とある空軍基地では、6機のザクⅡが基地上空に出現。
手にしたザク・マシンガンを格納庫へ向け、一斉に撃ち始めた。
一部のマゼラ・トップ砲を装備した機体は、管制塔や通信施設等を砲撃し、基地機能を的確に無力化して行く。
(ちなみに、この世界ではマゼラ・アタックは製造されていない)
民族主義者達が保有するMSは、追加生産された物を含め、総数500機程度。
惑星全土へ同時に展開するには、余りにも少ない戦力である。
だが、彼等はMSに搭載された短距離ワープ機能を駆使する事で、その数の少なさを補っていた。
基地を手早く制圧した部隊は、即座に別の基地へワープ。
再び奇襲を仕掛け、敵戦力を壊滅させる。
それを何十回と繰り返し、電撃的な攻撃によって、オルタリアに駐留するガミラス軍を追い詰めて行った。
奇襲への準備不足に加え、そもそもMSとの戦闘等想定すらしていなかったガミラス軍は、各地で敗走を重ね続けている。
頼みの綱であった駐留艦隊も、地上に停泊していた所を襲撃され、艦艇の大半を喪失。
事実上の壊滅状態となっていた。
最早、戦況は完全に民族主義者達へと傾いていたのである。
「行けぇ! オルタリア解放の時は近い!」
民族主義者達のリーダーもまた、仲間を鼓舞しながら戦場を駆け回っていた。
彼が搭乗するのは、通常のザクⅡとは少々異なる機体である。
頭部には指揮官機特有のブレードアンテナが伸び、その周囲には4門のバルカン砲が埋め込まれている。
一見すると普通のザクⅡと大差無いが、細部に様々な改良が施されている。
その機体こそ、指揮官用に開発されたMS。
ザクⅡFS型であった。
ガルマ・ザビ専用機が、最も有名だろうか。
ザクⅡF型を基に開発された、指揮官用、あるいは近接戦闘向けの機体である。
頭部には4門の30mmバルカン砲が追加され、通信能力の強化等、様々なカスタマイズが施されている。
そして、リーダーに与えられた機体には、更なる改良が加えられていた。
索敵能力や通信能力を大幅に強化し、大軍を指揮する為に必要な機能を充実させた、特別仕様となっているのだ。
「退けぇ! ガミラスの狗共め!」
リーダーが操るFS型は、首都へと続く幹線道路を疾走。
行く手を阻むサルバー重戦車に急接近すると、右手に握った大型ヒート・ホークを真上から振り下ろした。
次の瞬間。
高熱を帯びた刃が重厚な装甲を切り裂き、サルバー重戦車の車体を両断する。
更に、後退するメルバー装甲兵員輸送車へ頭部のバルカン砲を発射。
4門の砲口から吐き出された30mmの超高密度砲弾は、輸送車の装甲を容易く貫通。
内部の機器や構造物を、無惨な鉄屑へと変えて行った。
「むっ、上か!」
突然、コックピットに攻撃を知らせる警報が鳴り響いた。
それを聞いたリーダーは、反射的に機体を後方へ飛び退かせる。
その数秒後。
先程までFS型が立っていた場所に、赤い陽電子ビームが着弾した。
「あそこか……少々、遠いな」
リーダーが視線を向けた先には、遥か遠方から此方に砲口を向ける3隻のデラメヤ級強襲揚陸艦が居た。
ザクⅡの機動力であれば、10秒程度で到達出来る距離だ。
しかし、その10秒が問題であった。
デラメヤ級が何発もビームを撃ち込むには十分な時間であり、此方の接近に気付いて反転、逃走する事も可能だからだ。
「ザク・マシンガンは、捨てない方が良かったか……」
リーダーは、此処に来る途中で弾切れとなり、ザク・マシンガンを投棄してしまった事を後悔した。
弾薬が尽きたとは言え、武器そのものが使用不能になった訳では無い。
味方部隊と合流し、弾薬の補給さえ受ければ、再び使用する事が出来た筈なのだ。
しかし、今更後悔しても遅い。
現在の手持ち武装は、大型ヒート・ホークのみ。
遠方の敵艦を攻撃するには、少々厳しい状況である。
「まだまだ鍛錬が足りんな、俺も」
降り注ぐビームをバックステップで回避しながら、如何に対処するべきか考えていた、その時だった。
『まるで、鴨撃ちだのう』
突如として、通信機から聞き慣れた声が響いた。
それと同時に、FS型の後方から1本の黄色いビームが一直線に伸びて行く。
ビームは中央に布陣していたデラメヤ級の船体中央を、見事に貫通した。
『リーダー。味方の士気を高める為とは言え、先行し過ぎですぞ。後ろの者達が付いて来られませんわい』
「文句なら総帥に言ってくれ。このザクの性能が良過ぎるんだ」
そんな会話を交わしている間にも、更に後方から2本のビームが放たれた。
立て続けに放たれたそれは、残る2隻のデラメヤ級を正確に撃ち抜く。
船体から激しい爆炎が噴き上がり、3隻の強襲揚陸艦は次々と地上へ墜落して行った。
「流石の腕前だ。シミュレーションに300時間も籠もっていただけはある」
そう言って背後を振り向いたFS型のモノアイに、砂色に塗装された異質なザクⅠの姿が映った。
頭部には大型のモノアイが露出し、背中には巨大なバックパックを装備。
そこから伸びる太いケーブルは、両手に構えた長大な狙撃銃へと接続されている。
その機体こそ、長距離狙撃に特化したMS。
ザクⅠ・スナイパータイプである。
さて。
何故、今更ザクⅠを素体に?
そう思われるかも知れない。
『旧式機を魔改造して使うのはロマンが有る!』
と言う理由も、あるにはある。
しかし、別にロマンだけで旧ザクが選ばれた訳では無い。
ちゃんとした理由が存在するのだ。
そもそも狙撃手と言うものは、基本的に敵から姿を隠し、遠距離から攻撃するものである。
そして、隠れる場所と言えば、森林や市街地等の障害物が多い場所。
宇宙空間であれば、小惑星帯等が該当するだろう。
そんな場所で、肩にシールドやスパイクアーマー、更には動力パイプと言った、周囲に引っ掛かり易い物が大量に付いているザクⅡでは、何かと運用に不便が生じる。
その点、ザクⅠは機体表面の突起物が比較的少なく、狭い場所でも取り回しが良い。
また、露出した動力パイプが無い為、機体の可動域を妨げられず、様々な狙撃姿勢を取り易いと言う利点も有る。
こうした理由から、ザクⅠが引っ張り出され、狙撃専用機へと改造されたのである。
ちなみに、装甲は当然ながらガンダリウム合金製に変更されている。
その為、第1話の時の様に、宇宙空間に盛大な花火を咲かせる心配は無い。
……恐らく。
「首都を落とせば、勝敗は決まる。しかし、急いては事を仕損じるか……」
リーダーは、遠方に見える首都の方向へ視線を向けながら呟いた。
『焦らず、他の部隊が集結するのを待ちましょう』
「もどかしいな」
『それが人生と言うものでしょうや』
副リーダーの言葉に、リーダーは小さく溜息を吐いた。
その後、先行し過ぎていた2機は、後続の味方部隊と合流する為に後退を開始した。
そして。
オルタリアの首都が陥落したのは、それから僅か3時間後の事であった。
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「中々やるじゃない。ちょっと時間掛かったけどね」
惑星オルタリアの各地に潜伏させたアッガイから送られて来る情報が、ドロス艦橋の馬鹿デカいモニターに表示されている。
半次元潜航を利用し、地面や空中から頭部だけを突き出して監視しているアッガイの姿は、何ともシュールである。
「ま、丁度良い腕前かな。ゴミ虫の相手にはさぁ」
「いや、アレ相当な上澄みですよ! 何でビームを撃たれてから回避出来るんです、あの人?」
「まあ、確かに」
向こうのリーダーは、通常のザクⅡよりも強化された専用仕様のFS型を短期間で乗りこなし、シミュレーションでは無敗。
実戦でも、大型ヒート・ホークだけで首都へ続く分厚いの防衛線を単騎で突破。
しかも、民族主義者達への指揮を執りながら、だ。
……何だお前は、野生のニュータイプか。
「どの世界、どの星にも、ああ言う奴は居るのか」
原作じゃあ、ちょっとしか登場しなかったのに。
「ん? 本星系内に多数のワープアウト反応を検知」
「お、来たか。思ったより早かったな」
「単なる反乱ではなく、MSが使用されていますからね」
「だからこそ、もっと準備に時間を掛けると思ってたんだが」
モニターの映像が切り替わり、ワープアウト反応が検知された宙域が映し出される。
そこには、青く塗装された多数のガミラス艦艇が展開していた。
「青い艦ばかりって事は、親衛隊の艦隊か」
「艦艇数は200隻。更に、艦隊後方に惑星間弾道弾を500発検知しました」
おっと。
オルタリアを焼き払う気だなぁ?
それも、惑星間弾道弾を使って、遥か遠方から一方的に攻撃するつもりだなぁ?
いけないなぁ。
ズルは駄目だ。
「ドロス、戦闘用意!」
「介入はしないのでは、なかったので?」
「親衛隊はまだオルタリアに到着していないから、ノーカン!」
俺の命令を受け、ドロスが亜空間からゆっくりと浮上を開始した。
出現位置は、親衛隊艦隊の前方20万km。
一見すると随分離れている様に感じるが、恒星間航行を行う宇宙船にとっては、目と鼻の先である。
そんな場所に、大小マゼラン銀河を混沌の渦へ叩き込んだ馬鹿デカい船が、亜空間からぬぅ〜っと現れたら、どうなるか!
まあ、思考停止するよね!
実際、親衛隊艦隊の動きが止まり、明らかに狼狽しているのが此処からでも分かった。
この星系に俺達が居る可能性は考えていても、こんな形で目の前に出現するとは思わなかったのだろう。
「ドロスAI、マリ。主砲の使用を許可する」
「了解。全主砲、起動」
「狙うのは後方の惑星間弾道弾のみ。エネルギー充填率5%で撃て」
普段、ドロスの主砲は封印している。
何故なら、余りにも強過ぎるからだ。
出力を5%に抑えた状態ですら、ヤマトの波動砲と同等の威力を発揮する。
しかも、それを両舷合わせて6基、艦尾上部に2基搭載された連装主砲から、僅か6秒間隔で発射出来るのだ。
どれ程の大艦隊が押し寄せようとも、容易く殲滅出来てしまう。
だが、それは俺の求める物では無い。
大量破壊兵器を撃ち合うだけの戦場なんて、面白くないだろう?
とは言え、今回の様な状況であれば話は別。
惑星間弾道弾をMSだけで迎撃するのは、流石に骨が折れる。
「右舷主砲で狙います」
「全ての弾道弾を破壊した後、MSを発艦させろ。それと、彼女にも声を掛けておいてくれ」
今回の戦場は、あの子の晴れ舞台として使わせて貰おう。
ニセールジオン2人目のパイロットにして、世界初の強化人間の御登場だ。
「照準完了。何時でも発射可能です」
「撃ち方、始め!」
次の瞬間、ドロス右舷に並ぶ巨大な連装砲の内、1基から眩い黄色の閃光が放たれた。
極太のビームは、親衛隊艦隊の遥か上方を通過。
その後方を進む、500発もの惑星間弾道弾の群れへと突き刺さった。
直撃した弾道弾は、一瞬にして融解。
直撃を免れた物も、ビームの余波によって外装が溶け落ち誘爆を起こす。
巨大な火球が宇宙空間に出現し、瞬く間に周囲へと広がって行った。
更に、その爆発に巻き込まれた別の弾道弾が炸裂。
新たな火球が生まれ、周囲の弾道弾を次々と巻き込んで行く。
正に、連鎖爆発である。
「第2射、続けて撃て」
俺の命令に従い、再び巨大な砲口から黄色い閃光が放たれた。
6秒間隔で撃ち出される、極太のビーム。
その度に惑星間弾道弾が消滅し、宇宙空間に巨大な火球が咲き乱れる。
僅か数発の砲撃で、500発もの惑星間弾道弾はほぼ消滅してしまった。
その光景を目の当たりにした親衛隊艦隊は、完全に混乱状態に陥っている。
まあ、当然だろう。
一方的に惑星を焼き払うつもりで来たのに、その為の兵器が目の前で次々と消し飛ばされているのだから。
しかし、改めて思うが。
やはり、好きにはなれんな……。
大量破壊兵器を、撃ち合うだけの戦場と言うのは。
民族主義者のリーダーは、ちゃんと2199本編に登場してるよ!
(オルタリアが親衛隊に焼かれる時に、マイク握って驚いてる長髪の男性)
2199公式設定資料集に記載。
ちな、リーダーは上からのビーム避けてたけど、一般兵なら普通に反応出来なくて死んでるぞ!
Q じゃあ何で、リーダーはビーム避けられたの?
A 反射神経と感が馬鹿高いから。(ニュータイプではない)