全身やカットインを、pixivに投稿しておきます。
https://www.pixiv.net/artworks/151338467
「モビルスーツ隊、発艦せよ!」
号令と共に、出撃準備を終えたザクⅡが次々とドロスから飛び立って行く。
その数、500機。
あの程度の艦隊であれば、この数で十分だ。
ゴッグを出すまでも無い。
それに、余りやり過ぎると、彼女の活躍する場を奪ってしまうからな。
「ウィルシェナ、準備は?」
『ん。いつでも良いよ、総帥』
モニターの1つに、黒髪をツインテールに結んだ幼い少女が映し出された。
赤みを帯びた褐色の肌と灰青色の瞳。
その特徴から、オルタリア人である事が分かるだろう。
彼女こそ、ニセールジオン2人目のパイロットにして、この世界初の強化人間。
オルタリア人の少女、ウィルシェナだ。
「よろしい。もう聞いていると思うが、君のやる事は目の前の連中を沈める事だ。シミュレーションでやった通りにすれば良い」
『分かった』
少女は慣れた手付きでMSのシステムチェックを済ませると、コックピットの向こう側に広がる宇宙を真っ直ぐ見つめた。
その瞳は、期待に満ち溢れている。
心底楽しみで仕方が無い、と言った所だろうか。
空を――。
いや、宇宙を自由に飛びたい。
そんな願いを叶える為に、彼女はドロスへと転がり込んで来たのだ。
密航して!
この小娘。
無駄に行動力の有る、空飛びてぇ系バカである。
まさか、お土産に貰った果物を詰めた木箱の中に潜んで居ようとは……。
〜〜以下回想〜〜
約1週間前。
民族主義者達へ、3回目の支援物資を届けた日の事だ。
俺はこの日も、アッガイに乗り込んでザクⅡを届けていた。
「新しいザクⅡが来たぞ! パイロットの集合を急がせろ!」
「56番ハンガーから、116番に向かわせろ!」
元の大きさに戻されたザクⅡへ、オルタリア人のパイロット達が次々と乗り込んで行く。
彼等が機体を所定のハンガーへ移動させる様子を眺めながら、俺は民族主義者達のリーダーと会話を交わしていた。
「騒がしくて申し訳ない。若い連中が、張り切っている様でして」
「元気も無く、士気も低いよりは良いじゃないか。それに、あれ程喜んで貰えるなら、渡した甲斐が有ったと言うものだ」
その時だった。
不意に、1人の少女と目が合ったのは。
(……珍しいな。俺に目を向けて来る奴は)
他の民族主義者達がザクⅡやアッガイに夢中になっている中、その少女だけは真っ直ぐ此方を見つめていた。
(強い意志を感じる。それにあの顔は、必ず何かをやり遂げると誓った者の表情だ)
最初は、少々珍しいと思っただけだった。
この場所には、復讐や独立への強い意志を抱いた連中が、幾らでも居る。
だが、彼女から感じ取れた意志は、それらとは少々異なっていた。
憎悪や復讐心と言った、暗い感情が殆ど感じられなかったのだ。
それが妙に印象に残っていた。
「では、そろそろお暇するとしよう」
「分かりました。ああ、そうだ。支援への感謝として、果樹園を営んでいる者が、是非とも果物を受け取って欲しいと申しておりまして」
リーダーが周囲の者に頼むと、そこそこ大きな木箱が1つ運ばれて来た。
今にして思えば、この時に中身を確認しておけば良かったのかも知れない。
「有難く頂こう」
しかし、この時の俺はさっさと帰りたかった為、特に何も考えず、そのままアッガイに積み込んで持ち帰ってしまったのだ。
そして、ドロスに帰還した直後。
突然、木箱の中から1人の少女が飛び出して来た。
驚きの余り唖然とする俺に対し、少女は開口一番。
「アタシに、モビルスーツくれ!!!」
と、叫んだのだった。
〜〜回想終了〜〜
その後は、MSを1機与えれば満足して帰るだろうと思い、好きな様にさせていたのだが。
「ここの方が自由で良い。いつでも宇宙に出られるし!」
などと言い出し、結局そのまま居付かれてしまった。
まあ、ドロスに1人増えた所で、特に問題は無い。
……問題は無いのだが。
『ねえ、総帥。背中のやつ、アタシも総帥が付けてるのと同じのにしたい』
「阿頼耶識をか? 俺が付けているのは特別仕様だ。やめとけ、今のお前の身体じゃ脳の情報処理が追い付かなくて死ぬぞ」
『良いよ、宇宙で死ねるなら』
コレだ。
彼女は、宇宙を自由に飛びたいと言う猛烈な願望を抱えている。
その為なら、自らの身体を人間と呼べなくなる程に改造する事すら、厭わないのだ。
既に彼女は、様々な肉体改造を受けている。
薬物投与によるニュータイプ能力の獲得。
身体能力を大幅に向上させる肉体強化。
阿頼耶識システムの取り付けに、脳の情報処理速度を向上させるインプラントの埋め込み等々。
その結果、外見こそ普通の少女だが、身体の中身は全くの別物となってしまった。
最早、人間とは違う生物だ。
しかし、此処まで強化されても、彼女は未だに満足していないらしい。
事有る毎に、更なる強化手術を強請って来る。
一体、何処まで飛んで行く気なのやら……。
「ま、彼女が何処まで飛べるのか、見続けるのも悪くは無いか」
モニターに映るウィルシェナは、今も宇宙へ向けて熱い視線を注いでいる。
そんな少女の姿を眺めながら、俺は小さく笑みを浮かべた。
そう簡単に、落ちるなよ?
==========
「網膜投影、スタート」
コックピットに座るウィルシェナの網膜へ、機体の視覚情報や様々なデータが直接映し出される。
「ふふふ、良いね。ビショップも調子良さそう」
機体のモノアイを左右に動かし、最後に頭頂部へ移動させる。
「いつやっても不思議。頭のてっぺんまで目を動かせるなんて」
モノアイを正面へ戻し、今度は異様に巨大な右腕を目の前に持って来る。
先端に穴の開いた5本の指を1本ずつ曲げ、動作を確かめ始めた。
そうして時間を潰していた彼女に、待ちに待った瞬間が訪れる。
『ウィルシェナ、君の番だ。出撃を許可する!』
「はーい」
クトロワから出撃許可が下りた瞬間、灰青色の瞳がギラギラと輝き始めた。
それと同時に、彼女が搭乗するオリーブグリーンに塗装された異形のモビルスーツが動き始める。
頭部こそザクⅡの面影を残しているものの、胴体は重厚な装甲に覆われ、背中には大型の推進装置を搭載。
特に目を引くのは、小型推進機が取り付けられた、異様なまでに巨大な両腕だ。
その5本の指には、それぞれ陽電子ビーム砲が内蔵されている。
更に、両腕を機体から分離させ、遠隔操作する事も可能となっていた。
ニュータイプ専用に開発された試作型MS。
MS-06Z、サイコミュ試験用ザク。
通称――。
「ビショップ。ウィルシェナ、行ってきまーす!」
ドロスのカタパルトから射出された異形のザクは、宇宙空間を自由気ままに飛び始めた。
急加速からの急減速。
円を描く様に宙返りしたかと思えば、両腕を大きく広げ、今度はバレルロールを披露する。
この場所が戦場である事など、全くお構い無しだ。
好き勝手に飛び回り、自由に踊る。
まるでアイススケートでも楽しんでいるかの様に、無重力の宇宙空間を滑り、漆黒の闇を突き進んで行く。
「あははははは! 凄い! 今、アタシは空の上で自由なんだ!!!」
しかし、その自由な時間は長く続かなかった。
突如、何者かの悪意を感じ取ったウィルシェナは、反射的に機体を翻し、その場から素早く飛び退いた。
数秒後、先程までビショップが居た場所を、赤い陽電子ビームが通過して行く。
「邪魔だな、アイツら」
薄紅色に輝くモノアイが、彼女の自由を邪魔する敵を捉えた。
「また、アタシから空を奪う気?」
ウィルシェナは、ガミラスが嫌いだ。
碌に取り調べもせず、反乱の容疑で両親を殺されたからではない。
自分が住んでいた家を、邪魔だからと言う理由で潰されたからでもない。
いつか、自由に飛びたい。
そう願い続けていた、オルタリアの空。
その空を、奪われたからだ。
ガミラスはオルタリア人が空を飛ぶ事を禁じておきながら、自分達は悠々と空を飛び回っている。
そんな連中が、どうしても許せなかった。
だからこそ、ガミラスを追い出せるのならばと思い、彼女は民族主義者のグループに加わり、出来る事なら何でもやって来た。
雑用は勿論、子供の姿を利用してガミラス軍の動向を偵察する事もあった。
時には、男達に都合良く使われる事もあった。
どれ程苦しくとも、空を取り戻せるのならば。
そう自分に言い聞かせ、歯を食いしばって耐えて来たのだ。
だが、ある時気付いてしまった。
例えガミラスを追い出したとしても、今度は目の前の大人達が空を独占するのだと。
子供で、しかも女である自分には、地べたがお似合いだ。
直接言葉にされなくとも、周囲からそう思われている事ぐらいは理解出来た。
故に、彼女は空の上を目指す事にしたのだ。
そして都合の良い事に、その空の上からやって来た人物が、目の前に現れた。
どうなるかは分からない。
だが、とりあえず彼の元へ行ってみよう。
そう考えたウィルシェナは、即座に行動へ移した。
その後、色々とあったものの。
遂に彼女は、自由な空を飛ぶ事が出来たのだ。
しかし。
目の前の連中が、またしても自分から自由な空を奪おうとしている。
ならば、やる事は1つしかない。
彼女の殺意に応えるかの様に、ビショップが全てのスラスターを全開にし、親衛隊艦隊へ向かって急加速を開始した。
その速度は凄まじく、先行していたザクⅡ部隊を瞬く間に追い抜き、更に加速して行く。
「アタシの空から……」
艦隊の目前にまで迫ったビショップが、両腕を前方へ突き出した。
10本の指先から、黄色い光が漏れ始める。
「消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
次の瞬間。
10本の指先から眩い閃光が放たれ、前衛に布陣していたクリピテラ級を次々と貫いて行く。
しかし、閃光はそれだけでは終わらなかった。
未だ、放たれ続けているのだ。
「お前らはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
魔改造が施されたビショップの有線式5連装陽電子ビーム砲は、原型機とは異なり、一定時間の連続照射が可能となっていた。
ウィルシェナは、ビショップの10本の指を限界まで広げると、ビームを照射したまま機体を高速回転させ始めた。
その光景は、正に光の嵐。
黄色い閃光が周囲の艦艇を次々と薙ぎ払い、至る所で爆炎が噴き上がる。
ビームに切り裂かれたガミラス艦艇は、船体を大きく歪ませながら爆散。
ある艦は艦橋を吹き飛ばされ、またある艦は機関部を貫かれ、次々と宇宙の藻屑へと変わって行った。
「邪魔ぁ!」
次の瞬間、ビショップの右腕が本体から分離。
機体と繋がるケーブルを伸ばしながら、小型推進機を噴射し、後方から接近して来た戦闘攻撃機、メランカへと襲い掛かった。
逃げる間も無く、巨大な5本の指が敵を掴み取る。
「返してあげる」
ウィルシェナは、そのままメランカのコックピットを握り潰した。
そして、少し先で呑気に艦載機を発艦させているポルメリア級強襲航宙母艦へ向け、捕まえたメランカを思い切り投げ付けた。
投げ飛ばされた機体は、丁度発艦しようとしていた別のメランカに激突。
2機は絡み合う様に格納庫へと押し戻され、衝撃によって翼下に装着されていた空対空ミサイルが誘爆を起こした。
発艦口から激しい爆炎が噴き上がる。
炎は格納庫内に広がり、次々と周囲の機体や弾薬へ引火し、船体各所で爆発が発生。
ポルメリア級は、内部から装甲を吹き飛ばされ巨大な火球へと姿を変えた。
「邪魔なのが減って来た。後もうちょっと減らせば、自由に飛べそうかなぁ」
ウィルシェナは、そんな事を呑気に呟いていた。
だが、その間にもビショップの左腕が分離し、既に射出されていた右腕と共に、新たな目標へ向かって飛び始める。
彼女の殺意を感じ取ったサイコミュが、敵を捕捉し殺せと両腕に命令を下しているのだ。
機体から伸びる2本のケーブルが宇宙空間を蛇の様に這い回り、巨大な両腕がそれぞれ別の艦艇へと襲い掛かる。
ウィルシェナ自身は、ただ自由に宇宙を飛び回っているだけ。
しかし、その周囲では黄色い閃光が絶え間無く放たれ、ガミラス艦艇が次々と爆散して行った。
少女にとっては、空を自由に飛ぶ為の邪魔者を排除しているだけなのだろう。
だが、攻撃を受ける側からすれば、堪ったものではない。
その数時間後。
デスラー総統の耳に、親衛隊艦隊全滅の報告が届けられる事となった。
☆☆☆人物紹介☆☆☆
(ほぼチャットgptに作ってもらった)
名前:ウィルシェナ
性別:女性
人種:オルタリア人(強化人間)
年齢:地球歴換算で12歳
身長:150cm
体重:44kg
所属:ニセールジオン
搭乗機:MS-06Z サイコミュ試験用ザク(ビショップ)
外見
赤みを帯びた褐色の肌と灰青色の瞳を持つ、オルタリア人の幼い少女。
黒髪を淡いピンク色の髪飾りでツインテールに結んでおり、普段はジオン公国軍のパイロット用ノーマルスーツを着用している。
人物
宇宙を自由に飛ぶ事に、異常なまでの憧れを抱いている少女。
ガミラスによる占領下で両親と住居を失い、民族主義者達の独立運動に参加していた。
しかし、彼女の最大の願いは復讐でも独立でもなく、誰にも邪魔されず自由に空を飛ぶ事であった。
その願いを叶える為、支援物資を届けに来たクトロワの荷物に紛れ込み、ドロスへの密航を敢行。
その後、ニセールジオン2人目のパイロットとなった。
性格は自由奔放で行動力が非常に高く、自分の願望に対して一切の妥協を許さない。
能力
宇宙を自由に飛ぶ為ならば、自らの身体を改造する事すら厭わない
薬物投与によってニュータイプ能力を獲得し、更に肉体強化、阿頼耶識システム、脳の情報処理能力を向上させるインプラント等、様々な強化処置を受けている。
その結果、外見こそ普通の少女だが、身体能力や情報処理能力は常人を大きく上回り、この世界初の強化人間となった。
それでも本人は満足しておらず、更なる強化を望んでいる。
搭乗機は、ニュータイプ専用MSのビショップ。
阿頼耶識とサイコミュを駆使し、機体を自在に操りながら、分離した両腕によるオールレンジ攻撃を行う。
「アタシは、誰にも邪魔されずに自由に飛びたいの!」
ウィルシェナの名前は、チャットgpt君に考えてもらいました。
以下名前制作時の説明。
**「アンデス文化70%:チベット文化20%:独自SF文化10%」**を基に、名前を考えました。
オルタリア人は、山岳信仰や氏族文化、独自の文字体系を持つ異星人なので、ケチュア語・アイマラ語を思わせる発音を中心に、チベット系の響きと架空の音を組み合わせています。
本当は、マリーダさんみたいなキャラにしようと思っていたのですが、エスコン8やってる時に。
「無駄に行動力の有る、空飛びてぇ系馬鹿小娘を書いていた方が面白いぞ」
と、心の中に住んでるコープから言われたので、変更しました。