……何すか?
「この前、オルタリアのリーダーにウィルシェナが使われてたって話したら、あの人その事知らなかったらしくてね。超ブチギレちゃってさ。使った奴全員集めて、高台から熱したヒートホークに飛び込ませたらしいよ」
えぇ……。
ドロスの一室。
学校の教室を再現した部屋で、2人と1体が何やら解説動画の様な事をしていた。
「で、総帥。今日は、何に付いて教えてくれるの?」
「今回は、サイコミュの仕組みに付いて解説していくのぜ!」
「解説役は声的に、私じゃないんです?」
やあ、読者の皆んな。
サイコミュ兵器って、ミノフスキー通信を利用しているから、ミノ粉の無いヤマト宇宙じゃ使えないんじゃないの?
そんな疑問にお答えするべく!
今回はウィルシェナに教えながら、読者の皆んなにもニセールジオン製サイコミュの仕組みに付いて解説して行くよ!
「さて、まずは基本的な仕組みから説明しよう」
俺の背後に設置された黒板型の大型モニターに、サイコミュの構造図が表示される。
「正式名称はサイコ・コミュニケーター。略してサイコミュ。この装置は、我々の様なニュータイプ能力を持つ者が発する特殊な脳波、感応波を受信・増幅し、機械言語へ翻訳する装置だ」
ここら辺は、ファーストガンダムと同じだな。
「んで、機械言語へ変換された情報を、コスモウェーブを利用した高次元通信でサイコミュ兵装へ送信する訳だ」
コスモウェーブ。
『宇宙戦艦ヤマト2202』で、ガトランティスやテレサが使用していたアレだな。
「こすもうぇーぶ? こうじげんつうしん?」
あぁ、ウィルシェナの顔が溶け始めてる。
当然ちゃ、当然か。
小難しい専門用語を並べられても、何が何だかサッパリだろう。
「マリ美ちゃん、解説よろしく」
「へ? ああ、はい」
コイツ。
自分の出番は無いと思って、別の区画へ意識を飛ばしてやがったな?
「では、私から説明しましょう。まず、コスモウェーブとは、高次元を介して意思や情報を伝達する特殊な波動です」
モニターの右端に、ウェーブの掛かった金髪ロングヘアの生首が現れた。
コイツ。
黒いとんがり帽子じゃなくて、デフォルメしたドロスを頭に乗せてやがる。
「通常の無線通信では、電磁波を利用して情報を送受信します。しかし、電磁波には光速による速度制限が存在します」
「もっとも、この世界には超空間通信と呼ばれる、光速を超えた通信技術が既に存在している」
「じゃあ、ソレを使えば良いんじゃない?」
「勿論、遠隔兵器の制御に応用する事も可能だ。だが今回は、ニュータイプ特有の感応波との親和性を重視して、コスモウェーブを採用したのさ」
「ふーん。つまり、アタシが考えた事を遠くに送れるんだ?」
ウィルシェナが、机の上に頬杖を突く。
……全く理解してなさそうだ。
まあ、そう言う技術が存在していると分かってくれれば、それで良い。
「コスモウェーブは、我々が生活している通常空間とは異なる、高次元を介して情報を伝達します。その為、通常の電波通信では難しい、遥か遠方との精神感応通信が可能なのです」
「……?」
「簡単に言えば、宇宙の裏道を使って情報を届ける様なものですね」
「あ、近道か」
「大体合っています」
流石はドロスの教育型AI、マリエモン。
小難しい説明を、子供にも理解出来る様に噛み砕いてくれる。
……最初から、全部任せれば良かったのにって?
ワシの出番が無くなるじゃろがい。
ちなみに、このコスモウェーブは2202本編でも、様々な場面で使用されている。
有名なのは、テレザート星のテレサが地球へ向けて送ったメッセージだろうか。
他にも、ガトランティスの大帝ズォーダーが、他のガトランティス人と意識を共有する際にも使用していた。
更には、桂木透子が高次元微細レーダーを利用し、ガトランティス艦艇の制御に干渉した事例も有る。
つまり、精神感応だけでなく、機械の制御にも応用出来るって訳だ。
勿論、原作では特殊な能力を持つ人物が使用するものであり、誰でも自由に使える通信装置では無い。
そこで!
我等がドロスの出番な訳よ!
「ドロスに搭載されていた高次元関連の技術を利用し、コスモウェーブを機械的に送受信出来る装置を開発した。これをサイコミュに組み込んだのが、ニセールジオン製サイコミュだ!」
「つまり、凄い通信機を作ったって事?」
「まあ、概ねそんな感じだ」
今度はモニターに、ウィルシェナが搭乗するビショップの画像を表示させる。
「さて、ここまで説明した所で、サイコミュの仕組みを纏めてみよう」
ビショップの画像の横には、人間の脳、サイコミュ、コスモウェーブ送受信装置、分離した腕部の構造図が並んでいた。
「まず、ニュータイプが敵を攻撃したいと考える」
「うん」
「その際に発生する特殊な感応波を、サイコミュが受信して解析する」
「うんうん」
「次に、解析した情報を機械の制御命令へ変換。それをコスモウェーブによって、離れた場所にある兵器へ送信する。そして、命令を受け取った兵器が動く。これが基本的な仕組みだ」
「へぇ〜、そうなってたんだ」
この小娘、MSを完全に直感と感覚だけで動かしてやがったからな。
今日まで、ビショップの腕がどうやって飛んで行くのかすら理解していなかったのだ。
以前から教えようとはしていたのだが、習うより慣れろの精神で、シミュレーションから出て来やしない。
「ちなみに、実際の制御はもう少し複雑です。遠隔兵器から送られて来る情報の処理や、姿勢制御等も必要となります」
「とは言え、殆どの操作は機体に搭載された制御システムが補助してくれる。パイロットが細かな操作まで全て行う必要は無いぞ」
ちなみに、この制御補助を切り、自分で全て操作する事も可能だ。
この場合、兵器の姿勢制御や推進機の操作等、ほぼ全てを自分で判断しなければならない。
その分、パイロットの技量次第では、制御システムの補助を受けている時よりも機敏で複雑な動きを実現出来る。
ただし、当然ながら操縦者への負担は大幅に増加する。
まあ、普通は補助を使った方が良いだろうな。
「ところで総帥」
「ん?」
「サイコミュって、誰でも使えるの?」
お、良い質問だ。
「残念ながら、現状では無理だな」
「そうなの?」
「サイコミュは、ニュータイプ特有の感応波を利用しているからな。そもそも感応波を発する能力が無ければ、装置が命令を読み取れない」
つまり、ニュータイプ能力を持たないオールドタイプでは、現在のサイコミュを使用する事は出来ない。
勿論、薬物投与や肉体改造等によってニュータイプ能力を獲得した強化人間であれば、話は別だ。
実際、ウィルシェナもその1人である。
「コンピュータが全部操作すれば良いんじゃないの?」
「それだと、ただの自律兵器になっちまう」
それでは、俺の求めるサイコミュ兵器とは少々違う。
ニュータイプの意思を直接兵器へ反映させる。
あの独特な操作感覚こそ、サイコミュの醍醐味!
それに、単純な自律兵器は対策され易いと言う問題も有る。
え?
じゃあ、モビルドールシステムも駄目だろ、だって?
良いんだよ、アレは。
俺のデータをぶち込んで有るし。
最悪、俺がサイコミュを使ってドロスから直接操作すれば良いからな。
「まあ、将来的にはニュータイプ能力を持たない人間でも使える、準サイコミュの様な物を開発するかも知れんがな」
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サレザー恒星系、第5惑星エピドラ。
赤いガス層に覆われ、巨大な環を持つその惑星は、土星を彷彿とさせる姿をしていた。
そんなエピドラの上層大気には、巨大な大陸が浮遊している。
ガミラスの重力制御技術によって維持されたその大陸には、無数の研究施設や工場、そして広大な兵器試験場が建設されていた。
此処は、大ガミラス帝星が新たに設営した研究・開発用浮遊大陸基地。
従来のガミラス軍には存在しなかった、全く新しい兵器。
人型機動兵器――モビルスーツの研究・開発を進める為の施設である。
そんな浮遊大陸の一角。
草木が生えず、岩山が点在する荒れ地では、ザクⅡによく似た2機の機体が戦闘を繰り広げていた。
どちらも両肩にザクⅠと同じ球形のアーマーを装備しており、所謂ザクⅡA型と呼ばれる機体に酷似している。
胴体とランドセルを黒色に、それ以外を紫色に塗装した機体が、ザク・マシンガンを乱射しながらバックステップで後退する。
それを追撃するのは、両肩だけをオレンジ色に塗装した白灰色の機体。
左腕に装着したグフのシールドを掲げ、マシンガンの銃弾を防ぎながら距離を詰めていく。
『迂闊だな、バーガー。そう言う時は、左右に跳びながら後退するべきだ』
『無茶言うな! こっちは元爆撃機乗りだぞ!』
『私だって元戦闘機乗りだ』
両肩がオレンジ色のザク。
ライル・ゲットーが操縦する機体が、シールドの裏側に収納されていたヒートサーベルを引き抜く。
対する紫色のザク。
フォムト・バーガーの機体は、左手のザク・マシンガンでゲットー機を牽制しながら、右手にヒートホークを構えた。
『こなくそぉ!』
『甘いな』
ゲットーがヒートサーベルを構え、突進して来る。
刺突攻撃が来ると予測したバーガーは、迎え撃とうとヒートホークを上段に振りかぶった。
だが、ゲットー機は咄嗟に機体を屈め、右肩を突き出しながらバーガー機へ突っ込んだ。
『ぐぅお!?』
まさかタックルを仕掛けて来るとは思っていなかったバーガーは、まともに攻撃を喰らってしまう。
激突した2機は激しくもつれ合いながら、至近距離での格闘戦へ移行。
ヒートホークとヒートサーベルが激しくぶつかり合い、接触部分から眩い火花が迸る。
そんな光景を、研究施設内の一室でモニター越しに眺めている者達が居た。
「凄まじいな。たった10時間程度の訓練で、あそこまでMSを操れるとは!」
MSの研究・開発を任されているヴェルテ・タランは、予想を遥かに超える戦闘に興奮した様子で呟いた。
「君の人選は、間違い無かった様だよ」
「我が艦隊でも、指折りの腕前を持つパイロット達です」
タランの言葉に、隣に立っていた鋭い眼差しの男が、口元に笑みを浮かべた。
彼こそが、【宇宙の狼】の異名を持つ、大ガミラス帝星屈指の名将。
エルク・ドメルである。
この度、デスラー総統から直々にMSを使用した戦術の立案を命じられた彼は、浮遊大陸基地を訪れ、数々の試験を自らの目で確かめていた。
「エルク。君は、あの兵器をどう見る?」
「新たな時代の幕開け。そう感じます」
百戦錬磨のドメルも、MSが従来の兵器とは一線を画す、極めて大きな脅威である事を認識していた。
戦闘機並みの速度に、対空砲火を掻い潜る機動性。
数発で艦艇を沈められる強力な武装に、状況に応じて武器を持ち替え、対空戦闘までこなせる万能性。
更に、約1光年という短距離とは言え、ゲシュタムジャンプまで使用して来るのだ。
これを脅威では無いと断言出来る者が居るとすれば、余程の愚か者だろう。
もっとも、デスラー総統の前でそんな事を口にすれば、眉間に銃弾を叩き込まれる事になるだろうが。
(実際、MSなど大した兵器では無いと豪語した将官が、激怒したデスラーに射殺されている)
「その言葉を聞いて安心したよ。軍内では、未だにMSなどただの玩具だと言う者が多くてね。特に大艦巨砲主義者には、その傾向が強い」
「仕方がありません。脅威とは、自らの目で見て初めて正しく認識出来るものです」
事実、ドメル自身も戦闘記録を見るまでは、MSの恐ろしさを正しく理解していなかった。
初めて噂を耳にした時など、変わった兵器が出て来た程度の認識だったのだ。
しかし、実際の戦闘記録は、そんな認識を根底から覆すものであった。
「お、どうやら終わったみたいだね」
タランの言葉に、ドメルが再びモニターへ視線を向ける。
そこには、仰向けに倒れた紫色のバーガー機と、そのコックピットにヒートサーベルを突き立てたゲットー機の姿が映し出されていた。
『クッソ……これで5戦4敗かよ』
『惜しかったな、バーガー』
もっとも、勝利したゲットー機も無傷ではない。
左肩のアーマーは吹き飛び、頭部にはヒートホークが深々と突き刺さっていた。
一見すると、バーガー機のコックピットは完全に破壊され、パイロットも死亡している様に見える。
しかし、これはあくまで演習。
そもそも、両機が使用していたヒートホークやヒートサーベルは実物ではなく、コンピュータが作り出した仮想映像だ。
武器同士の衝突や攻撃による損傷も、演習の判定結果を基に再現されたものである。
また、実機同士でタックルを仕掛けても、ガンダリウム合金製の装甲は、その程度の衝撃では損傷しない。
その為、モニターでは激しい格闘戦が繰り広げられていたものの、実際の2機に大した損傷は発生していなかった。
「2人とも、実機での試験ご苦労だった。帰還してくれ」
『『了解』』
ドメルの命令に従い、2機のザクは研究施設へ向けて飛び立って行った。
「良い機体です。これなら、ニセールジオンとも渡り合えるでしょう」
「そうでもない。アレは所詮、ザクⅡの劣化コピー品だ」
「カタログスペックでは、ほぼ同等の性能を発揮していると聞いていますが?」
ドメルの疑問に、タランは不満げな表情で首を横に振った。
「小型ゲシュタムジャンプ装置の再現が、出来なかったんだ」
小型縮退炉、ガンダリウム合金、ビームコーティング、各種武装。
鹵獲したザクⅡに搭載されていた数々の技術を解析した研究・開発チームは、その成果を確認する為、ひとまずコピー品を製造する事にした。
それが先程、戦闘試験を行っていた2機のザクである。
カタログスペックや外見こそ本家ザクⅡと殆ど変わらないが、未だ解析が終わっていない装置や部品については、搭載する事が出来ていない。
その為、タラン達からすれば、ザクⅡの劣化コピー品としか言いようがない代物だった。
「エルク。私は、MSが戦闘で最大限の能力を発揮する為には、ゲシュタムジャンプが必要不可欠だと考えている」
そこでタランは、一度言葉を区切った。
「宇宙は広い。広過ぎるんだ」
その言葉に、ドメルも静かに頷く。
MSは決して無敵の兵器ではない。
艦砲射撃の直撃を受けたり、魚雷やミサイルの爆発に巻き込まれたりすれば、容易に撃墜されてしまう。
如何に優れた機動性能を持っていようと、限界は存在するのだ。
例えば、目視すら出来ない遥か彼方から、MSがワープを使用せずに敵艦隊へ接近しようとした場合。
当然ながら、その接近は艦隊のレーダーによって捕捉される。
後は予測進路上に主砲の火線を集中させ、魚雷やミサイルで弾幕を展開しておくだけで、接近するMSの大半を撃墜する事が出来るだろう。
どれだけ高性能な兵器であろうと、敵の射程内を延々と飛び続けていれば、いずれは攻撃を受けてしまう。
それを回避する為に必要となるのが、短距離ワープである。
敵艦隊の警戒網を飛び越え、一瞬で懐へと飛び込む。
そして、迎撃態勢が整うよりも早く攻撃を仕掛ける。
ニセールジオンのMSが圧倒的な戦果を挙げている理由の1つが、この短距離ワープを駆使した戦法なのだ。
「ひとまずは、このコピーザクを使っていくしかない訳ですか」
「そうなるな。だが、艦隊の直掩には十分使える。これでMSに好き勝手やられる事も無くなるだろう」
「ですが、それも今だけでしょう。ニセールジオンは次々と新型機を投入して来ています」
ゼーリックが集めた大艦隊を、全て宇宙の残骸へと変えた次元潜航型MS。
未だ確認されていないものの、その存在が推測されているステルス型MS。
オルタリアで確認された指揮官機や狙撃型MS。
そして、親衛隊艦隊の3分の1をたった1機で壊滅させた、両腕を切り離して自在に操り、宇宙を縦横無尽に飛び回るMS。
「……開発を急がなければ、同じ土俵にすら立たせてもらえないか。難儀なものだ」
「しかし、やらなければガミラスは持ちません」
事実、既に何処からかMSを入手した4つの惑星が、ガミラスからの独立を成し遂げていた。
その背後でニセールジオンが暗躍している事は、まず間違いないだろう。
そして恐らく、現在も他の惑星へMSを配り歩いている筈だ。
ドメルは、そう確信していた。
このままでは、独立を宣言する惑星が次々と現れ、やがて支配体制そのものが揺らぎかねない。
そうなれば、大ガミラス帝星は崩れる事になる。
1日でも早く、ニセールジオンに対抗出来る戦力を整える必要がある。
しかし、敵も立ち止まってくれる訳ではない。
ガミラスに残された時間は、決して多くなかった。
自信過剰な大艦巨砲主義将官
「MSなど恐るに足りません! あの様な粗末な玩具なんぞ、ワタクシめに任して頂ければ簡単に蹴散らせますでしょう!」
仕事忙しくて寝不足ブチギレ寸前デスラー
「つまり君は、私がその粗末な玩具に良い様にやられた、無様な男だと言いたいのだな?」
この時点で死の運命が決まった大艦巨砲主義将官
「い、いえ! 決してそう言う訳では!」
拳銃を抜いたブチギレデスラー
「不敬だ。死にたまえ」