その為、設定的におかしかったり、描写が変だったりする可能性が有ります。
「迎撃しろ! 全艦、迎撃!」
司令官の怒声と共に、ガミラス艦隊の砲塔が一斉に旋回し、迫り来るザクⅡへ狙いを定める。
「撃てぇぇぇ!!!」
赤い陽電子ビームが幾筋も宇宙を走り、その間を縫うように多数のミサイルが発射された。
これだけの砲火を浴びせれば、幾ら人型兵器が高速であろうと一溜まりもない。
誰もが、そう思った。
だが。
「なっ……!?」
ザクⅡの群れが、一斉に散る。
ある機体は上へ。
ある機体は下へ。
左右へ大きく旋回する機体もいれば、突然進路を変え、艦隊の側面へ回り込む機体まで存在した。
つい先程まで一直線に突撃していた60機のザクⅡが、まるで爆発でもしたかのように四方八方へ広がる。
その直後、彼らがいた空間を陽電子ビームが通過。
何も捉える事無く、虚空の彼方へ消えていった。
「ば、馬鹿な!?」
「敵機、更に加速!」
「照準が追い付きません!」
ザクⅡが再び進路を変える。
高速で飛び回りながら、時折急停止したかと思えば、次の瞬間には全く別の方向へ猛烈な加速を始める。
人型である事など、何の枷にもなっていない。
むしろ手足まで利用して姿勢を変えながら、常識外れの機動を繰り返していた。
「何なのだ、あの動きは!?」
司令官が叫ぶ。
ガミラス艦隊はドロスを攻撃する為、互いにある程度距離を詰めて布陣していた。
それが完全に裏目となった。
艦隊内部へ入り込まれてしまえば、迂闊に主砲を撃つ事が出来ない。
外れた陽電子ビームが、味方艦へ直撃しかねないのだ。
その隙を突き、ザクⅡは一気に距離を詰める。
巨大なガミラス艦の船体を掠めるように飛び、僅か数十mという至近距離を次々と通過していった。
「近いぞ!」
ブリッジの窓を、薄緑色の巨人が一瞬で横切る。
モノアイの赤い光だけが、残像となって残った。
「右舷! 敵人型兵器!」
「主砲旋回、間に合いません!」
当然だった。
本来、ガミラス艦の陽電子砲は同規模の宇宙艦艇を相手にする為の兵器である。
自らの船体へ張り付くように飛び回る、全高僅か17m程度の敵を撃つようには作られていない。
ミサイルを放っても同じだった。
「ミサイル発射!」
数発のミサイルが、1機のザクⅡを追い掛ける。
だが、ザクⅡはただ真っ直ぐ逃げるだけではない。
機体を横へ滑らせるように移動した直後、急激に進行方向を変えた。
ミサイルが追従する。
更にもう一度急旋回。
そして、一気に加速。
追い縋っていたミサイルは次々と目標を見失い、中には互いに衝突して爆発する物まで現れた。
その爆炎を突き破り、ザクⅡが飛び出す。
そして――。
「左翼! クリピテラ級の下方に敵機3!」
艦隊左端に布陣していた1隻のクリピテラ級航宙駆逐艦。
その船体下方から、3機のザクⅡが急上昇していた。
3機とも、その手には巨大な筒状の武器。
ザク・バズーカが握られている。
「下だ! 撃て!」
だが、遅い。
クリピテラ級の主砲が下方へ向くより早く、3機のザクⅡが一斉に引き金を引いた。
3発の量子弾が、至近距離から放たれる。
1発目は、クリピテラ級の船体中央部へ直撃。
爆発と共に装甲が大きく抉れ、船体内部から炎が噴き出した。
続く2発目が、ほぼ同じ場所へ突き刺さる。
次の瞬間、クリピテラ級の中央部が内側から弾け飛び、船体が大きく折れ曲がった。
そこへ僅かに遅れて飛来した3発目が、後部へ直撃。
巨大な爆発が発生し、艦全体が炎に包まれる。
船体を真っ二つにへし折られたクリピテラ級は、そのまま巨大な火球へと姿を変えた。
「…………」
司令官は言葉を失った。
僅か3発。
たった3発である。
全長数百mにも達するクリピテラ級航宙駆逐艦が、あの小さな人型兵器から3発攻撃を受けただけで撃沈された。
「な……何だ、あの兵器は……」
先程までザクⅡを『玩具』と笑っていた男の口から、乾いた声が漏れる。
だが、戦場は考える時間など与えてはくれない。
「艦隊後方に敵機接近!」
「クリピテラ級は後部速射砲で迎撃を行え!」
大型の陽電子砲よりも、小口径で連射可能な速射砲の方が遥かに敵を捉え易い。
そう判断した司令官が、艦隊内のクリピテラ級へ迎撃命令を下す。
クリピテラ級後部甲板に備えられた速射砲が、一斉に火を噴いた。
多数の赤い光線が、次々と宇宙を走る。
だが、その砲撃すらザクⅡを捉える事は出来ない。
急減速と急加速。
重力制御とAMBAC機動を組み合わせ、ザクⅡは次々とビームを回避していく。
「当たらん!?」
速射砲の射線を、ザクⅡはまるで事前に予測しているかのように躱していた。
その動きには、一切の迷いが無い。
当然である。
それらのザクⅡに、人間など乗っていない。
全機がモビルドールシステムによって制御された無人機。
敵からの攻撃をコンピュータが瞬時に把握し、最適な回避経路を計算。
人間以上の反応速度で、即座に回避行動へ移る。
更に、パイロットへの負荷を気にする必要も無い。
人間なら意識を失いかねない急加速や急旋回すら、無人のザクⅡなら何の躊躇も無く実行出来る。
だが、そんな事をガミラス側が知る筈もない。
彼らに分かるのは、ただ1つ。
速射砲ですら、当たらない。
それだけだった。
そしてザクⅡ側もまた、速射砲が自分達にとって脅威となり得る兵器だと認識した。
2機のザクⅡが、それぞれ別方向からクリピテラ級へ殺到した。
1機が直上へ舞い上がり、ザク・マシンガンを構えた。
猛烈な勢いで放たれた実弾が、後部甲板へ降り注ぎ速射砲やミサイル発射管を破壊する。
更に、次々と弾丸が装甲を貫通し、その内部で炸裂。
爆発が連続して発生し、後部速射砲が根元から吹き飛ぶ。
そこへ、艦尾へ回り込んだもう1機のザクⅡがマシンガンのトリガーを引いた。
無数の弾丸が艦尾へ集中して突き刺さり、装甲を穿つ。
推進機周辺で幾つもの爆発が発生した。
推進力を失ったクリピテラ級が、一気に速度を落とす。
動きの鈍った艦へ、また別の方向からやって来た2機のザクⅡが、ザク・バズーカを向けた。
放たれた量子弾が、船体中央部へ突き刺さる。
次の瞬間、クリピテラ級は大きく膨れ上がるように爆発し、その姿を炎の中へ消した。
「くっ……!」
司令官が歯噛みする。
一方的だった。
余りにも、一方的な戦いだった。
密集していたガミラス艦隊の隙間を、ザクⅡが縦横無尽に飛び回る。
主砲を撃とうにも味方艦が射線を塞ぎ、ミサイルを放ってもザクⅡの機動力に追い付けない。
近距離で対抗出来る速射砲を持つ艦は、逆に脅威と判断され、優先目標として集中攻撃を受けた。
ザク・マシンガンが火を噴く。
ミサイル発射管が爆発。
ブリッジへ弾丸が殺到し、艦橋構造物が穴だらけになる。
艦尾へ回り込まれた艦は推進機を破壊され、その場で動きを止めた。
そこへザク・バズーカを装備した機体が接近し、至近距離から量子弾を叩き込む。
1隻。
また1隻。
次々とガミラス艦が炎に包まれていった。
「デストリア級1隻、轟沈!」
「第7駆逐艦、通信途絶!」
「右舷のケルカピア級、爆発!」
「クリピテラ級、更に2隻轟沈!」
「敵機を止めろ!」
「出来ません!」
「何故だ!」
「速過ぎます!!」
ブリッジへ悲鳴にも似た報告が飛び交う。
30隻存在した筈の艦隊が、見る見る内に減っていく。
それでも司令官は、撤退を命じなかった。
「戦え! 大ガミラスの艦隊が、あのような玩具に敗れるなど許されん!」
だが、現実は何も変わらない。
再び爆発。
また1隻、ガミラス艦が消えた。
「ざ、残存艦……」
通信士の声が震えている。
「本艦を含むメルトリア級1隻……デストリア級2隻……ケルカピア級1隻……」
僅か4隻。
30隻の艦隊が。
僅かな時間で、たった4隻まで減らされた。
ブリッジが静まり返る。
窓の向こうでは味方艦の残骸が燃え、その間を薄緑色の巨人達が悠々と飛び回っていた。
先程まで玩具と嘲笑っていた人型兵器に、自分達の艦隊が蹂躙されている。
「…………撤退だ」
司令官が、絞り出すように呟いた。
「大佐?」
「撤退する! 全残存艦、反転! 直ちにワープ準備!」
遂に。
ようやく。
司令官が撤退命令を下した。
メルトリア級が船体を反転させ、デストリア級とケルカピア級もそれに続く。
「ワープ準備、急げ!」
「了解!」
司令官は大きく息を吐いた。
敗北ではある。
だが、あの人型兵器の情報だけでも持ち帰らなければならない。
あの巨大空母。
正体不明の防御技術。
そして、異常な性能を持つ人型兵器。
何としても総司令部へ。
否。
敬愛するデスラー総統へ、報告しなければならない。
「前方に敵機!」
「何ぃ!?」
司令官が顔を上げる。
丁度、艦が反転を終えた瞬間だった。
ブリッジの窓の向こう。
そこに、1機のザクⅡがいた。
赤く輝くモノアイが、こちらを真っ直ぐ見据えている。
その両手に、ザク・バズーカを構えながら。
「撃てぇぇぇぇぇっ!!」
司令官が絶叫する。
しかし、ザクⅡの方が早かった。
ザク・バズーカの砲口から、量子弾が放たれる。
それは一瞬で距離を駆け抜け――。
メルトリア級のブリッジへ直撃した。
「ガーレ・ガミ――」
メルトリア級の艦橋構造物が、跡形も無く吹き飛ぶ。
制御を失った船体へ次々と爆発が広がり、やがて巨大な火球が宇宙空間へ膨れ上がる。
艦隊司令官を乗せたメルトリア級は、そのまま爆沈した。
「旗艦轟沈!」
残された3隻に混乱が走る。
その内1隻のデストリア級にも、既に数機のザクⅡが迫っていた。
「構うな! ワープしろ!」
「しかし――!」
「このままでは全滅するぞ!」
もう、味方を待っている余裕など無かった。
デストリア級1隻とケルカピア級1隻。
2隻のガミラス艦が、ほぼ同時にワープへ突入する。
逃げ遅れた最後のデストリア級へ、複数の量子弾が殺到した。
閃光と爆発。
そして、静寂。
30隻存在したガミラス艦隊の内、逃げ延びる事が出来たのは僅か2隻。
こうして。
大マゼラン銀河外縁部における、ドロスと大ガミラス帝星の初接触は終わりを迎えた。
そして同時に、ガミラス軍は初めて知る事となった。
宇宙戦艦より遥かに小さく。
戦闘機よりも遥かに強力で。
人の姿をした、異様な兵器の存在を。
人型機動兵器の存在を。
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「イエァァァァァァァァ! 我々の初勝利ィィィィ!!」
やっぱザクは最高だぜ!
2隻取り逃がしたが、まぁ良いや。
寧ろ逃げてもらった方が都合が良い。
MSの有用性を、ガミラス中に宣伝してもらわなくちゃいけないしね!
「マリちゃーん、ザクの帰還数は何機?」
「60機中、51機が無傷で帰還。6機が小破。3機が撃墜されていますね」
「ま、無敵のバリアを張ってる訳じゃないし、多少はやられるか」
ガンダリウム合金で頑丈にはしてあるが、別に無敵という訳ではない。
実際、ガミラス艦の陽電子砲が直撃した3機は、普通に撃破されている。
だが、しかーし!
今回の戦果は28隻撃沈に対して、こちらはザクⅡ3機撃墜。
ガミラス側がMSの存在を知らず、対処法も持っていなかったとは言え、驚異的な戦果である事に変わりはない。
「ともかく! 現状のザクⅡで十分ガミラスに対抗出来ると分かった訳だし、更にジャンジャン生産していくよぉ!」
「既に100機以上作っていますよ? 一体、何機生産するつもりなんです?」
「目指せ10,000機」
「2,000機くらいで止めて、新しいMS作りましょうよ……」
「えぇ~」
まだまだザクを増やしたいんじゃが?
昔、機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙というゲームがあってじゃな。
ワシはこのゲームを、コントローラーのR2ボタンが反応しなくなるまで遊んでたのじゃ。
何?
PS2とは何だじゃと?
ううむ、これも時代か………