クトロワ「来ちゃった! 見て、俺のモビルスーツ」
デスラー「イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
スターシャ「オイオイオイオイオイオイ!?」
モチベ維持の為に、高評価、感想をよろしくお願いします。
「待な! 私を出せ。そうすれば、この小説はもっと面白くなる!!」
アンタの出番は、1話冒頭で終わったでしょう。
記憶の中で静かにしていてくれ。
「私も人気が欲しいんだよォー!! ユニバァァァス!!」
『ご機嫌よう、大ガミラス帝星の諸君!』
突如として帝都バレラス上空に出現した、超巨大な船。
その存在によって大混乱に陥っていた帝都を、更なる混乱が襲った。
『私は、ニセールジオン総帥――クトロワである』
ガミラス全土の放送網が一斉に乗っ取られた。
帝都の街頭スクリーン。
各家庭の映像端末。
軍施設のモニター。
ありとあらゆる画面に、仮面を被った1人の男が映し出される。
『まずは、突然の訪問で諸君らを騒がせてしまった事に謝罪しよう。さて、今回我々がガミラスへやって来た理由だが――改めて、諸君らに宣言する為である!』
仮面の男――クトロワは、大袈裟に両手を広げた。
映像を見上げるガミラス人達が、ざわめき始める。
『現在、我々ニセールジオンと、諸君ら大ガミラス帝星は戦争状態にある』
クトロワは、ゆっくりと言葉を続けた。
『この戦争が始まった理由は至って単純だ。諸君らが我々へ服従を要求し――我々がそれを拒否した。それに対し、ガミラス艦隊が攻撃を仕掛けて来た事が、戦争の発端である!』
それを聞いた大半のガミラス人達は、不快そうに表情を歪めた。
総統の慈悲を無碍にした。
大ガミラス帝星から差し伸べられた手を、自ら振り払った。
ならば戦争になったのは、お前達自身の責任ではないか。
そう考える者が殆どだった。
だが。
『この場で明言しておく!』
クトロワが声を張り上げる。
『我々は――』
一呼吸置き。
そして、断言した。
『決してガミラスには服従しない!!』
その言葉に、多くのガミラス人が怒りを露わにした。
なんと傲慢な。
なんと無礼な。
そう思った。
だからこそ。
彼らは気付かなかった。
自分達が普段『二等臣民』と呼び、見下してきた者達。
征服され。
服従を強いられ。
ガミラスという巨大な国家の中で生きる事を余儀なくされた者達。
その者達の目付きが――。
僅かに変わった事に。
『諸君らが大小マゼランへ抱く野望は――』
クトロワが片手を高々と掲げる。
『我がニセールジオンが誇る!』
そこで映像が切り替わった。
映し出されたのは、巨大なドロスの格納庫。
数え切れない程のザクⅡが、整然と並んでいる。
薄緑色の巨人達が、何列も。
格納庫の遥か奥まで続いている。
『モビルスーツの力によって、潰えるであろう!!!』
ザクⅡのモノアイに光が点る。
『心せよ、ガミラス人よ!』
駆動音と共に、停止していた無数のザクⅡが一斉に動き始めた。
『これより始まるのは――』
ザクⅡが次々と発進口へ向かう。
無数の人型兵器が、ドロスの巨大な格納庫から飛び立っていく。
その進行方向は――。
帝都バレラス。
『大小マゼランを混沌へと叩き込む――』
クトロワが両腕を大きく広げ、叫んだ。
『大戦争である!!!』
薄緑色の巨人達が、帝都の空へ向かって降下を開始した。
==========
「どうだった、俺の初演説は!」
ふぅ~。
緊張したぁ~。
何回か練習しといて正解だったぜ!
「上出来でしたよ。現在、ガミラス全土が大混乱です」
そらまあ。
帝都上空に、クソデカ空母が突然現れて。
変な仮面(ラウ・ル・クルーゼの物と同じヤツ)被ったのが、演説ぶちかまして。
6000機のザクⅡが降下して来るの見たら、大混乱だわな。
「あ、そうだ。作っちゃったグフも、勿体ないから全部下ろしちゃって」
せっかく作ったんだから、使っとこう。
「それは、分かりましたけど。何故、パイロットスーツ着てるんです?」
「んふ」
「いや、そんな満面の笑み浮かべられましても」
何故って、そんなん決まっとるじゃろ。
せっかく、ガミラスに来たんだからさ!
「ちょっと、生のデスラー総統に挨拶しに行って来る!」
「可哀想だから、やめてあげましょうよ……」
嫌にゴワス!
「そもそも、戦争仕掛けてきたのはガミラス側、遠慮してやる必要はねぇ!」
待っとれよ、生デスラー!!!
今、会いに行くからねぇぇぇぇ!!!
「………デスラー総統。ストレスで胃に穴開くんじゃ」
==========
帝都バレラスへ降下した6000機のザクⅡは、そのまま最寄りの軍事施設へ向けて進撃を開始した。
特に狙われたのは、戦力が集中している陸軍基地と空軍基地。
そして、数多くの軍艦が停泊する宇宙軍港である。
「航空隊はまだ来ないのか!?」
「向こうの基地も襲撃を受けているんだ! 直ぐには来られん!」
陸軍基地では、数十両のサルバーS-VI型重戦車が施設や格納庫を遮蔽物として利用しながら、上空を飛び回るザクⅡへ砲撃を続けていた。
砲塔に備えられた99mm3連装陽電子カノン砲が、四方八方へ赤い光線を放つ。
だが、当たらない。
ザクⅡは足裏のスラスターを噴射し、まるで空中そのものを蹴るかのように軌道を変更。
巨体とは思えない機動で陽電子ビームを次々と回避していく。
いくらサルバーの砲塔を旋回させても、その動きを捉え切れないでいた。
「チッ! 駄目だ、速過ぎる! 99mmじゃ当たりゃしない!」
「当てなくて良い! 牽制を続けろ!」
戦車大隊を指揮する隊長が、通信機越しに怒鳴る。
「7号車! 足を止めるな! 狙われているぞ!」
警告は僅かに遅かった。
照準を安定させる為、不用意に停止したサルバーへ1機のザクⅡがザク・マシンガンを向ける。
砲口が火を噴き、120mm徹甲榴弾が降り注ぐ。
超高密度素材を弾芯とした砲弾は、サルバーの装甲を容易く貫通。
車内へ飛び込んだ直後に炸裂し、内部の機器や構造材を纏めて破壊した。
「7号車がやられた!」
「ガミロイドが操縦している車両を前へ出せ! 囮にするんだ!」
隊長は即座に次の指示を飛ばす。
このまま正面から撃ち合っても勝ち目は無い。
ならば、相手の機動力を封じ、一瞬でも足を止めさせるしかない。
「各車、やたら滅多に撃つな! 1機に火力を集中させろ!」
命令を受けた1両のサルバーが、基地内の開けた場所へ飛び出した。
わざと目立つように走り回り、上空のザクⅡを誘い込む。
案の定、1機のザクⅡがモノアイに逃げ回るサルバーを捉え、ザク・マシンガンを構えた。
「背中を見せたな?」
隊長の口元が僅かに歪む。
「今だ! 行け!」
施設の陰に潜んでいたサルバーが、一斉に飛び出した。
右から。
左から。
そして、後方から。
マシンガンを構えていたザクⅡは反応が僅かに遅れ、完全に背後を取られる形となる。
「撃てぇ!!」
12両のサルバーが、一斉に射撃を開始。
3本の砲身から、赤い陽電子ビームが放たれた。
合計36本もの光線が、ザクⅡの逃げ道を塞ぐように殺到する。
点ではなく、面で押さえ込む様な集中砲火。
如何に機動力の高いザクⅡであっても、全てを回避する事は出来なかった。
1発が左脚を貫き、続いて右肩。
更に頭部へ陽電子ビームが直撃した。
装甲が吹き飛び、左脚を失ったザクⅡが空中で大きく姿勢を崩し、そのまま地面へ墜落。
土煙を巻き上げながら、基地の舗装路へ叩き付けられた。
モノアイから、光が消える。
「やったぞ!」
「敵人型兵器、撃破!」
ガミラス軍人達から歓声が上がった。
今の今まで基地上空を我が物顔で飛び回り、好き勝手に攻撃を繰り返していた人型兵器。
そのザクⅡを、自分達の力で撃破した。
戦車兵達の士気が一気に高まる。
「行けるぞ!」
「連携すれば、奴らだって倒せる!」
だが。
その歓喜は、長く続かなかった。
『警告! 6時方向より敵機接近!』
「何!?」
1両のサルバーが、後方から高速で迫る新たな反応を捉えた。
『速い! こちらへ一直線に――』
通信が途切れた。
隊長が後方を確認すると、基地施設の間を縫うようにして、青い人型兵器が猛烈な速度で迫っていた。
「青い……?」
ザクⅡではない。
深い青色に塗られた装甲に、両肩から突き出した鋭いスパイク。
そして、右手には赤く光る巨大な高熱の剣を携えている。
帝都へ投入されたMS部隊の中に、これまでガミラス軍が1度も確認した事のない機体が混じっていた。
その名は――。
MS-07B グフ。
本来ならお蔵入りになる筈だった、陸戦用格闘特化型MS。
だが今回の戦場は、正真正銘の地上。
正に、グフの独壇場である。
「全車後退! 距離を取れ!」
青いMSの姿を確認した瞬間、隊長は迷わず命令を下した。
正体不明の敵。
しかも、先程まで戦っていたザクⅡより明らかに速い。
そんな相手に、接近を許してはならない。
「後退しながら撃て! 奴を近付けるな!」
12両のサルバーS-VI型重戦車が一斉に後退を開始する。
砲塔だけをグフへ向け、99mm 3連装陽電子カノン砲を次々と発射。
赤い陽電子ビームが、猛烈な勢いで迫るグフへ殺到した。
対するグフは左腕を前へ突き出し、シールドを構える。
「なっ!?」
直撃する筈だった陽電子ビームが、盾の目前で軌道を捻じ曲げられる。
まるで見えない壁へ弾かれたかのように、全く別の方向へ飛んで行く。
魔改造グフの専用シールド。
内部には小型の重力制御装置が組み込まれており、シールド前方へ局所的な重力壁を形成する事が出来る。
実弾なら軌道を逸らし、ビームならば空間そのものを歪める事で、強引に偏向させる。
全身を守れる訳ではないが、真正面から敵陣へ殴り込むグフにとっては、それで十分だった。
「効いていない!? 砲撃を続けろ!」
赤い光線が、次々とグフへ襲い掛かる。
その全てをシールドで弾きながら、グフは尚も加速。
足裏のスラスターが地面を焼き、巨体が低空を滑るように突き進む。
「速い……!」
隊長が目を見開いた。
この機体は、基本性能の時点でザクⅡを上回っている。
更に陸戦と近接戦闘へ特化した結果、地上における瞬間的な加速力では、ザクⅡ以上の性能を発揮する。
12両のサルバーが必死に後退するも、その距離は見る見る内に縮まっていった。
「最後尾! 追い付かれるぞ!」
『分かって――』
通信が途切れた。
最後尾を走っていたサルバーの真横へ、グフが並ぶ。
赤熱したヒート・ソードが振り上げられ――。
一閃。
サルバーの車体が、砲塔ごと斜めに両断された。
「11号車!」
グフは止まらない。
ヒート・ソードを振り抜いた勢いのまま身体を捻る。
右腕から、紐状の長い何かが勢い良く射出された。
ヒート・ロッド。
赤熱した鞭が、左側を走っていたサルバーへ叩き付けられる。
強烈な衝撃と共に、高圧電流が車体内部へ流れ込み、計器類が一斉に火花を散らした。
動力系が沈黙し、サルバーが急停止する。
そして、グフはヒート・ロッドを、その車体へ巻き付けた。
「何をする気だ!?」
答えは直ぐに分かった。
グフが右腕を大きく振るう。
重力制御による補助も加わり、10mを超える重戦車の巨体が――。
宙を舞った。
「はぁ!?」
放り投げられたサルバーが、少し前方を走っていた別の車両へ激突。
2両の重戦車が絡み合いながら横転し、爆炎に包まれた。
「全車停止!」
隊長が叫ぶ。
「これ以上逃げても追い付かれる! ここで仕留めるぞ!」
残る9両のサルバーが急停止し、一斉に砲塔を旋回させる。
狙うのは、ヒート・ロッドを振り抜き、一瞬動きを止めたグフ。
「撃てぇぇぇ!!」
99mm陽電子カノン砲から飛び出した赤い閃光が、地面を照らしグフへ向かう。
合計27本のビームを、避け切るのは不可能。
戦車兵達の誰もが、そう思った。
しかし、砲撃が直撃する寸前。
グフの姿が、消えた。
「何処に!?」
「上だ!!」
グフは大地を蹴り、遥か上空へ跳躍していた。
重力制御装置と脚部スラスターによる大跳躍。
赤い陽電子ビームが、その足元を虚しく通過していく。
上空のグフが左腕を向けた。
5本の指先、その全ての砲口が眼下のサルバーを捉える。
5連装フィンガー・バルカン。
本来のグフが装備していた物とは、中身が全く違う。
使用する砲弾は、ザク・マシンガンと同系統の超高密度素材を弾芯とした徹甲榴弾である。
5本の指から、一斉に砲弾が放たれる。
「散開――!」
猛烈な弾雨が、真上から戦車部隊へ降り注ぐ。
僅か数秒で、3両のサルバーが炎に包まれた。
「馬鹿な……」
先頭車両。
大隊長が乗るサルバーの車内では、皆が驚愕と恐怖から顔を引き攣らせ、呆然としていた。
その為、自分達が乗っている戦車に影が差している事に、気付くのが遅れた。
「クッソ、退――!」
18mを超えるグフの巨体が、隊長車の真上へ着地。
車体が凄まじい重量と衝撃によって押し潰される。
履帯が弾け飛び、装甲が歪み、砲塔が根元から傾いた。
土煙が周囲を覆い尽くす、その中心。
原形を失ったサルバーを足元に、青い巨人がゆっくりと立ち上がる。
赤く光るモノアイは、残された5両のサルバーを捉えていた。
ニセールジオン
↓
ニセーノジオン
↓
ニセノジオン
↓
偽のジオン!