人型機動兵器を流行らせたい   作:マイmk3

9 / 14
自分で書いといて何だが、ガミラスが可哀想に思えてくる。



第8話

大ガミラス帝星より、約0.2光年。

何も無い宇宙空間に、無数の艦影が浮かんでいた。

 

駆逐艦から重巡洋艦。

そして、それらを率いる戦艦、或いは空母。

少数しか建造されていない、ゲルバデス級すら存在していた。

 

これらの艦艇は、ヘルム・ゼーリック国家元帥の集結命令を受け、周辺宙域から駆け付けたガミラス艦隊である。

 

その数――1231隻。

 

通常であれば、一国家を滅ぼすにも十分過ぎる大艦隊。

しかし、この艦隊を集めたゼーリックは、不満気であった。

 

「……何と嘆かわしい」

 

赤く塗装された超弩級戦艦、ゼルグートⅡ世。

その巨大な艦橋中央で、ゼーリックは集まった艦隊を前に腕を組み、まさしく不満と言った顔で呟く。

 

「少ない。余りにも少ないではないか!」

 

艦橋のスクリーンには、周囲へ展開する1231隻の大艦隊が映し出されている。

それでも、ゼーリックの表情が晴れる事は無かった。

 

「我らが大ガミラス帝星、その本星が直接攻撃を受けているのだぞ! だと言うのに、集まったのが僅か1231隻とは、一体どういう事なのであるか!」

 

彼の叫びにより、艦橋の空気が僅かに重くなる。

 

その言葉に答えたのは、ゼルグートⅡ世艦長。

バシブ・バンデベル准将だった。

 

「ゼーリック国家元帥。現在、各方面の主力艦隊は、相次いで発生している反乱の鎮圧へ投入されております」

「分かっておる!」

「加えて、辺境宙域の防衛戦力まで引き抜けば、蛮族共に隙を晒す事になります」

 

バンデベルは淡々と現状の説明を続ける。

 

「現時点で、短時間のうちにサレザー恒星系へ集結可能な艦艇は、ほぼ全て招集致しました」

「…………」

 

ゼーリックが鼻を鳴らした。

 

「つまり、これ以上は望めぬという事かね?」

「少なくとも、直ちには」

「……嘆かわしい事だ」

 

ゼーリックは大きく息を吐く。

 

「本国が攻撃を受けているというのに、我が精強なる艦隊の大半が、属領の反乱如きに手を取られているとは」

 

バンデベルには、何も答えられなかった。

 

そもそも、今回の事態そのものがその反乱と無関係ではない。

ここ数ヶ月。

正体不明の敵、超巨大空母ドロスと、その人型兵器によってガミラス艦隊は幾度となく敗北を重ねてきた。

 

その情報が各地へ広がり、絶対と思われていたガミラスの威信に、僅かな亀裂が入り始めた。

 

そして今。

 

そのドロスが、遂に大ガミラス帝星の上空へ出現。

帝都バレラスへ、6000機を超える人型兵器を降下させた。

 

本国そのものが攻撃を受けている。

その事実は、既に帝星各地へ伝わりつつあった。

 

「……まあ良い」

 

ゼーリックは不満を口にするのを止め、改めて周囲の艦隊を見渡した。

 

「無い物を数えていても仕方あるまい」

 

そして、口元へ不敵な笑みを浮かべる。

 

「1231隻!」

 

ゼーリックが、立体映像に映し出された艦隊を見渡す。

 

「十分ではないか」

「ゼーリック国家元帥?」

「如何にあのドロスとやらが巨大であろうとも、所詮は1隻!」

 

ゼーリックが力強く腕を振る。

 

「こちらには、1000を超す精鋭が居るのだ!」

 

物量。

火力。

艦隊戦。

 

それこそが、ゼーリックの最も信頼する力だった。

 

「直ちに、全艦へ通信回線を開け!」

「はっ」

 

バンデベルが命令を下す。

 

「全艦へ通達! ゼーリック国家元帥閣下より訓示がある!」

 

間もなく、ゼルグートⅡ世から発せられた通信が、集結した全艦へと繋がった。

 

各艦の艦橋から各部署。

そこに居る数万人ものガミラス将兵へ、ヘルム・ゼーリック国家元帥の姿が映し出される。

 

ゼーリックは胸を張り、堂々と口を開いた。

 

『勇敢なるガミラス将兵諸君! 諸君らも既に知っているであろう!』

 

ゼーリックの声に、次第に熱が籠もる。

 

『今この時、我らが偉大なる大ガミラス帝星は、未曾有の危機に晒されているのである!』

 

艦橋の大型スクリーンへ、ガミラスの映像が映し出された。

 

バレラス上空を覆う、40kmを超える異形の船。

その巨船が、帝都へ降下させた無数の人型兵器の姿。

 

『敵は我らが聖なる本星へ土足で踏み入り! 卑劣にも帝都を蹂躙し! 我々ガミラスの誇りを踏みにじった!』

 

ゼーリックが拳を握る。

 

『この蛮行を――許して良い筈がない!!』

 

各艦で、将兵達の視線が画面へ集中する。

 

『我らの背後には大ガミラス帝星がある!』

『我らの家族が! 同胞が!そして、偉大なるガミラスの未来がある!』

『ならば、我々が為すべき事はただ1つ! 侵略者を討ち払い、帝都を救うのだ!』

 

ゼーリックは一度言葉を切り、集結した大艦隊を見渡すように、ゆっくりと視線を動かす。

 

『諸君!』

 

更に、声を張り上げた。

 

『今こそ、ガミラス軍人としての忠誠を示す時なのだ! 敵が如何に巨大であろうとも、恐れる必要は無い! 我らには、圧倒的な艦隊がある! 圧倒的な火力がある! そして何より――』

 

ゼーリックが、力強く拳を突き出した。

 

『ガミラス軍人としての誇りがある!!』

 

その言葉と共に、1231隻の艦隊が一斉に進路を変え始めた。

 

目指す先は、大ガミラス帝星。

 

その上空に居座る――超巨大空母ドロス。

 

ゼーリックは、不敵な笑みを浮かべる。

 

「さあ、行くのだ!」

 

その瞳には、微塵の疑いも無かった。

 

「我らガミラスの力というものを――」

 

勝利する事を、一切疑っていない。

 

「奴らへ思い知らせてやるのだ! ガーレ・ガミロン!!!」

 

ゼーリックの号令と共に、大艦隊が動き始める。

 

――筈だった。

 

突如、ゼルグートⅡ世の真横を航行していたクリピテラ級航宙駆逐艦が、下方から伸びた黄色い閃光に貫かれた。

 

次の瞬間、艦体が内部から弾け飛び巨大な火球へと変わる。

 

「何事だ!?」

 

ゼーリックが叫ぶ。

 

それは始まりに過ぎなかった。

 

「右舷艦隊に被弾!」

「左翼でも爆発を確認!」

「敵影、見当たりません!」

 

上下左右、ありとあらゆる方向から、黄色いビームが飛来し始めた。

一体、何処から撃たれているのか、誰にも分からない。

 

迎撃する暇すら与えられぬまま、ビームは次々とガミラス艦を捉え、艦体を一直線に貫いていく。

 

前方を航行していたデストリア級航宙重巡洋艦が、正面から黄色いビームを受けた。

 

分厚い艦首装甲を貫通し、ビームは艦体中央を突き抜けそのまま後方へ抜ける。

僅かな間を置きデストリア級が、巨大な火球へと変わった。

 

「馬鹿な……」

 

その光景を目の当たりにしたバンデベルが、思わず呟く。

 

「デストリア級が……たった一撃で……」

「何なのだ……!」

 

ゼーリックが、スクリーンへ食い入るように身を乗り出した。

 

「我々は一体、何に攻撃されている!?」

 

その疑問への答えは、直ぐに姿を現した。

 

「艦首正面! 空間に異常反応!」

 

オペレーターの声と同時に、ゼルグートⅡ世の目前、何も無かった宇宙空間が青白く波打ち始める。

 

水面のように揺れる空間、その歪みが徐々に大きくなり。

やがて、その奥から――巨大な人影が浮かび上がった。

 

茶褐色の、丸みを帯びた分厚い胴体。

首らしい首は存在せず、傾斜した細長いモノアイレールが目立つ頭部は、巨大な装甲の中へ埋め込まれている。

 

異様なほど太い両腕。

その先端には、軍艦の装甲すら容易く引き裂けそうな、巨大な鉤爪が備わっていた。

 

まるで、亜空間という海の底から浮かび上がって来た、異形の怪物。

その姿を見たガミラス兵達の脳裏に、自然とそんな言葉が浮かんだ。

 

「げ、迎撃だ!」

 

我に返ったバンデベルが叫ぶ。

 

「対空戦闘! 正面の化け物を撃て!」

 

ゼルグートⅡ世の艦橋周辺に、対MS戦を想定して新たに増設された4連装対空砲が、一斉に旋回し射撃を開始する。

無数の光弾が、茶褐色の人型兵器――。

 

MSM-03 ゴッグへ殺到した。

 

だが命中する寸前、ゴッグの姿が空間の歪みへ沈み、そのまま消失。

放たれた対空砲火は、虚しく空を切る。

 

「敵機、消失!」

「何処へ行った!?」

「左舷後方に反応!」

 

青白い歪みが出現。

そこから再びゴッグが浮かび上がった。

 

下半身を通常空間へ出さず、腹部の魚雷発射管から量子魚雷を射出。

短い距離を瞬く間に駆け抜け、ゼルグートⅡ世の左舷へ着弾し、凄まじい爆発が巻き起こした。

 

「ぐおっ!?」

 

巨大なゼルグートⅡ世が、大きく揺さぶられる。

 

「左舷に被弾!」

「被害状況は!?」

「装甲に損傷! 艦内に致命的な被害はありません!」

 

ゼルグート級が誇る分厚い装甲によって致命傷こそ免れた。

それでも、艦橋を襲った衝撃は凄まじく、立っていた乗員の何人かが床へ投げ出される。

 

攻撃を終えると同時に、ゴッグは再び亜空間へ姿を消しす。

 

「敵影、再び消失!」

「巡洋艦ベルザル爆発!」

「艦隊後方にも、敵人型兵器出現!」

「敵の数は不明!」

 

次々と舞い込む報告。

 

ほんの数秒前まで、整然と陣形を組んでいた大艦隊が、今や至る所で爆発を起こし、混乱し始めている。

 

何処から現れるか分からない人型兵器からの攻撃により、1231隻の大艦隊は一瞬にして、混乱の渦へ叩き込まれていた。

 

「アレは……まさか……」

 

その中で、ただ1人ゼーリックだけが目の前で起きている現象に、心当たりがあった。

 

「次元……潜航艦……」

 

現在、大ガミラス帝星では、ある特殊艦艇の研究開発が秘密裏に進められている。

 

通常空間から亜空間へ潜航。

敵の探知網を潜り抜け、任意の位置から再び通常空間へ浮上する。

既存の戦術を根底から覆しかねない、新兵器。

 

次元潜航艦。

 

その能力を。

 

今、敵の人型兵器が使っている。

 

しかも――。

 

1機や2機ではない、200機以上の機体がである。

 

ゼーリックは愕然とした。

ガミラスですら未だ試作段階にある技術を、敵は18m程度の人型兵器へ搭載し、200機以上を実戦投入している事実に。

 

「何故だ……」

 

ゼーリックの顔から血の気が引いていく。

 

「何故、奴らが……!」

 

彼が狼狽えている間にも、艦隊の被害は拡大する。

 

ケルカピア級航宙高速巡洋艦の後方。

突如、空間が波打ったかと思えば、その中からゴッグの上半身が浮上。

腹部中央に並列に搭載された2門の砲口、連装陽電子砲からビームが伸びる。

2本の黄色い閃光は、ケルカピア級へ突き刺さり艦橋から艦体中央を纏めて吹き飛ばす。

 

クリピテラ級の艦底直下に空間の歪みが発生。

そこから、腕だけが現れた。

巨大なアイアン・ネイルが艦底装甲へ突き刺さり、腕が猛烈な勢いで艦首から艦尾へ走る。

装甲板が捲れ上がり、内部区画が次々と露出。

艦首から艦尾まで、一直線に巨大な裂け目が刻まれた。

 

更に別の場所。

 

ゲルバデス級航宙戦闘母艦が砲戦甲板を展開。

多数の陽電子砲が、周囲へ猛烈な砲撃を始めた。

とにかく敵を近付けさせない。

それ自体は、間違った判断ではない。

 

だが、余りにも――目立ち過ぎた。

 

ゲルバデス級の真上の空間が歪み、ゴッグが飛び出す。

 

スラスターを全開で降下。

勢いを付け、両脚でゲルバデス級の艦橋前に配置された主砲塔を踏み潰した。

装甲と砲塔が押し潰され、破片が周囲へ飛び散る。

 

そしてそのまま、両腕を大きく振り上げ巨大な爪を、ゲルバデス級の艦橋へ叩き付けた。

装甲が砕け、巨大な爪が艦橋へ深々と食い込む。

 

更にゴッグは、展開したままの砲戦甲板へ振り返ると、腹部から量子魚雷を放つ。

着弾と同時に、砲戦甲板を埋め尽くしていた砲塔が吹き飛び、連鎖的な誘爆が艦体を駆け抜けていく。

 

ほんの少し前まで、1231隻という圧倒的な物量を誇っていたガミラス艦隊。

 

その只中を、僅か18mほどの茶褐色の怪物達が――。

 

我が物顔で、蹂躙していた。




追加のオリキャラどうしよっかなぁ。
登場キャラをあんまり、増やしたくはない。

しかし、10代の少年少女を出した方が、とってもソレスタルビーイング。

オルガでも転生させるかぁ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。