デジモンDワールド-Repair-(ユキアグモンと少女の冒険記)   作:山下敬雄

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第7話 デジモンバトル

「モッモッモ。なるほどのぉ。それでこの子がユキアグモンにまで進化したか。……しかしこのちくわという食べ物、おいしいのぉ。もぐっもぐっもぐ」

 

 モジャモン村長がこたつの近くに座り、飯の輪に加わり、おでんのちくわを美味しそうに頬張っていく。同時に砂雪から進化したというユキアグモンの話を聞き、その老デジモンは納得したように頷いていた。

 

「ええ。ふふ、私もちくわはお気に入りよ」

「モッモッモ。普段は冷たいものばかりじゃからのぉ。おぬしのおでんは、とても温かくて新鮮じゃわい」

「熱いのは平気なのかしら?」

「それなら大丈夫じゃ。このところ、ここら一帯はワシらにとっても幾分肌寒くてのお。おぬしの用意してくれたこのおでんとこたつは、極楽と言ったところじゃな。──おありゃ?」

「あっ。おでんの具がなくなってしまったわ。こんなことならもう少し多めに作っておくべきだったわね?」

 

 モジャモン村長が鍋に入れた箸が、鍋の底を打つ。村の皆で食べると、こたつの上のおでんはあっという間になくなっていた。残ったのは、ほぼスープだけであった。

 父と自分の二人分では、到底食べ盛りのデジモンたちには足りなかったようだ。砂雪は困った様子で顎に手を当てた。

 

「モッモッモ。それならあそこの小屋にある食材を自由に使うがいい」

「あそこ? いいの?」

 

 モジャモンは箸を村の端にある小屋の方へと向けた。その小屋は白いかまくらが立ち並ぶ中で、一つだけ形が角ばっていた。上部に看板のようなものが飾られているようにも見えるが、雪が積もっていて砂雪にはよく分からなかった。

 

「構わん。それにおぬしのおでんを、みんな気に入ったようじゃからな。村の皆からの依頼と思って、やってくれんかのぉ?」

 

 こたつに集ったユキミボタモンたちが元気に跳ねている。モジャモン村長はそんな村の皆の様子を見て、砂雪へとおでんの製作の依頼と小屋にある食材を使用する許可を出した。

 

 箸をちかちかと合わせて待つモジャモン村長からの直々の依頼を、砂雪はもちろん快く引き受けた。

 そして、調理器具をファイルバックから取り出し、ツミレ、トマト、玉ねぎなどを投入し、カセットコンロで沸かしたおでん第二弾を村の皆に振る舞っていると──。

 

 宴会場と化した村の中央広場へと向かい、突然、風を切る危うげな音が横切った。

 

「!? サユキ、あぶなーーっい! ふせてーっ!」

 

 腹一杯になり、こたつに寝転んでいたユキアグモンが突如立ち上がる。そして、少し離れた場所でまな板を出し玉ねぎを切っていた砂雪へと向かい、大声で叫んだ。

 

 回転しながら飛んできた謎の緑の円盤が、料理中の砂雪へと向かう。砂雪は咄嗟に握っていた包丁を顔の前にし、眼前を通過した緑の円盤が真っ二つに分かれた。

 

「わっ! きゅうり?」

 

 砂雪を狙い飛んできたのは【グリーンピクルス】、食材ではなくデジモンが放った技であった。

 

「コラァ、デリバリー中に、おいらのお店の食材を勝手に使うなんて許さないガー!」

 

 そう言い怒りの形相で村の中に現れたのは、食物型のデジモン。トレードマークのバンズの帽子を被ったバーガモンであった。

 

「食材? あなたのお店?」

 

 砂雪は怪訝な表情でバーがモンに問い返し、続いて後ろにいたモジャモン村長の顔を見た。すると、彼女に見つめられたモジャモン村長は白髭の口元からぺろりとお茶目に舌を出した。

 

 おそらく外出中に勝手に小屋(お店)にある食材を使ったため、そのデジモンは玉ねぎを切っていた砂雪を見かけて怒ってしまったのだろう。舌を出したモジャモン村長の態度からも、お店の店主からの許可など得ている訳はなかった。

 

「どろぼうっ! しらけるなんてますます許さないガー! 【デリシャスパティ】!」

「サユキぃ! わぱっ!?」

 

 バーガモンはもう完全に、食材を盗んだ砂雪のことを敵と見做している。砂雪の呟いた一言が火に油を注ぎ、バーガモンは次なる技を容赦なく彼女へと向けて繰り出した。

 砂雪の立つ位置の左右が急に怪しく翳る。すると胸に勢いよく飛び込んできたユキアグモンが、砂雪の体を後ろへと突き飛ばした。

 身を挺して砂雪のことを庇ったユキアグモンが、左右から拍手するように押し寄せた巨大な二枚のパティに挟み込まれてしまった。

 

「あっ。ユキアグモンっ」

「──ぶるぶるぶるぶる……バァー! サユキをいじめるやつ、許さないぞぉ!」

 

 挟み込まれたパティを凍らして砕いた。ユキアグモンはバーガモンの放った技から脱出すると、データ片へとなった残骸を身を震わせ払いながら、バーガモンのことを睨みつけた。

 

「ふぬぬぬぬ……こっちのセリフだガー! 二体まとめて、ヤってやるガーー!」

 

 厚いデリシャスパティを破り抜け出したユキアグモンの強さに狼狽えながらも、バーガモンは依然、怒り心頭。食材の泥棒のグルである砂雪とユキアグモンたちに向かい、さらなる怒りの攻撃を容赦なく繰り出した。

 宴会模様のユキミボタモンの村は一転して、喧嘩模様の荒れ模様。すれ違いの勘違いから理不尽にも勃発したデジモンバトル、果たしてその勝負の行方は────。

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