pixivでも投稿済みですが、こっちにも投稿してみます。
「そう言えば、私もしようとしたことあったっけな~」
その一言が騒動の幕開けだなんて、その時の私には想像できてはいなかったのだ。
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『……と、言う訳でして、昨今の日本における失踪のリスクはまだまだ油断の出来るものではなく……』
「ねぇ~、チャンネル換えよ~。暗い話やだ~」
「あ、ごめんごめん」
休みの昼食時、テレビから流れてくる報道の無いように顔をしかめたかぐやの提案に苦笑しながらチャンネルを換える。まぁたまの休みだと言うのにあんな暗い話を聞かされるのは良い気分ではないのが普通だろう。
「何時の時代、どんな時代になっても人って言うのは病んじゃう時は一瞬だしね~。そうならないようにって息抜きの意味も込められているんだよ、ツクヨミって言う空間はさ」
「それはほんと感謝しています。あそこが無かったら私だって割とギリギリ一杯だったしね~」
ほんと、高校生の頃はマジでギリギリだった。切り詰めた食生活、限界な睡眠時間、バイトに学業、でも皆との時間も欲しい。そんな生活が良く続いたものだと当時の自分を褒め称えたい気分だようん。
「でもこうして今はかぐやとヤチヨを侍らせてるし~♡幸せいっぱいでしょ~?」
「そうそう~♡ヤッチョたちに囲まれるなんてこの上ない幸運なり~♡」
「はいはい、そうだね~。それは間違いないよ」
実際、この二人を同時に……その、こ、恋人に出来るだなんて言うのは、前世でどんな徳を積んだのか?と言うレベルなのはその通りだ。まぁどちらの身体も私が作ったものだけどね?良いんだよ!心と精神は二人自身のもので、私を選んでくれたんだから!
「しかし……失踪か~……」
「お、どしたの彩葉?まさか……かぐやとヤチヨを置いて失踪するつもりじゃないよね~?」
「ヨヨヨ~……そんなことになったら悲しくて泣いちゃうよ~……」
「いやいや、『今』はそんなことしないってば~」
「「……ん?」」
めっちゃ軽い気持ちだったのだ。ほんとにちょっとした過去の黒歴史を話したつもりだったのだ。決して、けっして二人にむやみやたらな心配を掛けたかったわけじゃあないのだ。
「そう言えば、昔は私もしようとしたことあったっけな~」
「「は?」」
一瞬で、暖かい空間に冷気が流れ込んできたのが分かった。だって二人の声から温度が消えたんだもん。もうね、すっごい強烈なプレッシャー感じたわけよ、うん。
「……お?な、なに?どしたの?二人ともなんか怒ってない?」
「怒ってない。それよりも何、今の」
「今の、とは?」
「『昔は私もしようとしたことあった』って、どういう事?」
ど、どう言う事って言われても……?
「まんまその通りの意味だけど……ほら、多分ヤチヨは知っているかもだけど、ギリギリ一杯一杯だった時期があったじゃん?私ってさ。で、ちょっと月が奇麗な夜に、ふらふら~って。スマホもスマコンも財布も持たず出て行っちゃったことあってさ~。正気に戻ったらなんか徒歩で隣町まで歩いてたんだよね~。いや~、若かったな~」
詳しく話せば話すほど黒歴史である。なんかその時の記憶、今一無いんだよねぇ。ほんと気が付いたらって感じだったし。今にして思うと結構危なかったりしたんだろうか?
「「……か……」」
「か?」
「「確保~っ!」」
「お、おぉぉぉっ!?」
話し終えたと同時くらい。私は二人によって拘束され、私室に押し込まれ、鍵を掛けられてしまった……え?な、何?
「彩葉、その話、かぐやたち知らない」
「あ、うん。誰にも話したこと無かったし」
「その、隣町に着いた後は、どうしたの?」
「そりゃあまた徒歩で家まで帰ったよ?スマホも無いから迷いながらだったけれど、夜が明ける前に帰れたっけな~」
何をそんなに焦っているのか?大丈夫だって。もうあんなことしないからさ~。
「あのね彩葉?それ、完全に鬱症状だよね?」
「え、あ、そうだね、そうかも。いやでももう大丈夫だって。その一回きりだし。それ以降はそんなことも無かったよ」
「あったら困るよ!?」
いやもう過去の話だよ?流せる話だよ?全然大したこと無いじゃん?何なら情けないって笑われて然るべきな話じゃん?
「自覚症状無し……これマジやべぇよヤチヨ……」
「ちょっと矯正しないとまずいね……」
矯正て。まるで人を人格異常者みたいに言わんでくれんかな?私はまともだって。
「まともじゃない人ほどそう言うんだよなぁ……取り合えずその件は朝日たちと芦花たちに報せるから」
「ええ……?止めてよ恥ずかしい。そんな失踪未遂事件の事なんて話したらマジで笑い飛ばされるって……」
「ほんと彩葉の自己肯定感を何とかしないと……この先エライ事になる気がする……」
真剣な表情の二人に疑問符が鳴りやまない。なんて考えていると。
ぴぴぴろん
おっと?なんか端末にメッセージが一気に来たな。何だ何だ……?
『彩葉。話がある。絶対に逃げんな。今からそっち行くわ』
『彩葉、今そちらに向かっています。詳しい話を全部聞かせてもらうからね』
『まじでさぁ、他に隠していることあるならちゃんと説明の準備しててよね。激怒りだからねこっちは』
「え?」
な、何か大事になってない?だ、大丈夫だって。もう元気いっぱいだよほんと!順風満帆、精神安定!何一つ不安なんてないよ!
「問答無用。今日はマジでお説教だから。その後皆で愛でまくるから覚悟しててよね?」
「ヤッチョたちだけじゃない。朝日や芦花達からもたっぷり愛情を注いでもらうから」
マジか~……なんだってこんなことになってしまったんだ……私が一体何をしたと言うのだ……?
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「だからな?お兄ちゃんはただ心配なだけやから。だから悩み事があるときはすぐに相談すること。ええな?」
「は、はい……」
「私や真実にもだよ?特にかぐやちゃんたちには絶対に隠し事はしないこと」
「二度目は無いからねぇ?」
「き、気を付けます……」
「彩葉、絶対に何処かに居なくなっちゃったらいやだよ……?そんなことになったら……ぞんなごどになっだらぁ……」
「やめてよかぐや……ながないでよぉ……やっぢょまでなげでぎだじゃん……」
「マジでごめんなさいほんと反省してますから泣かんで!?」
結局この後、お兄ちゃんや芦花たちにはガチ心配されちゃうし、かぐやとヤチヨには一日引っ付かれたままだった。おまけに研究所にでもなんか二人の監視の目がめっちゃ強くなっちゃったんだよ……反省反省♪
「いろは?」
「つぎはないよ?」
「はい……」
続く♡
前回のシリーズが行き詰って途中で終わってしまったので別のやつも投稿してみます。大体四日~一週間程度に一話ずつ投稿したい……