注意。今作には生理ネタが含まれています。流血等がある訳ではありませんが、苦手な方は閲覧をお控えください。
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「いやまぁ、普通は一か月に一回くらいの頻度で来るらしいよね。でも私、ここ10年以上は全然無いよ?うん、止まっちゃってるんだよね~。まぁ特に問題なさそうだからそのままだけどさ~」
しつこいくらいしつこく、繰り返すようで繰り返し、あえての上にあえてで言わせてもらおう。わたしは決して必要以上に不安を煽ったり、皆に心配事を掛けたりなんて考えてはいないのだ。別に『あれ』が一か月に一回来ることが正常なのは知っていたが、来ないなら来ないで問題ないんだろうな~程度の考えだったのだ。本当にそれ以上の理由はないし、それ以外に説明不要だと思っていただけなのだ。
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「い、いろっぴ~……いろPで~す……なんか此処最近怒られたり泣かれたり病院に連行されたりを繰り返していますが、何とか元気で~す……今日もコラボ配信を行っていこうと思いますので、お暇な方はどうぞ覗いてって下さ~い……」
前回からまた暫く経過した。現在は服薬治療を継続しつつ、病院通いもしつつ、心療内科にもちゃんと通っている。お陰で仕事への復帰は遠のく一方だ。一度研究所の方に連絡してみたところ。
『所長の承認が必要な研究については一時休止しています。この機会に溜まっている雑事を全部片付けていますので寧ろ都合が良いくらいですよ。所長はまずはちゃんと自分の事を考えましょうね』
だそうだ。喜ばしい反面……心配にもなる。『私は果たして、研究所に必要な人材なのだろうか。私無しでも全部回ってしまうのなら必要ないんじゃないのだろうか』と言う不安。しかしあまり不安がっていたら他に皆に『迷惑が掛かる』。ここの所『色々ぶり返してきているのを何とか隠している』状態なのだ。これ以上上乗せさせるわけにはいかない。『頑張って健康アピール』を続けて行かないと。
「どうも~。グルメインフルエンサーのマミマミで~す。今日は長年の親友であるいろPとコラボで~す。よろしくね~」
『グルメインフルエンサー!これは期待できる!』
『頼んますマミマミ!いろPにちゃんと飯を!普段からかぐやちゃんとヤチヨちゃんの旨い飯食っているんだろうけれど!』
かぐや『寧ろ太らせても良いよ!そもそも平均体重を下回っているんだから!』
ヤチヨ『よろしくねマミマミ!』
今回も何時もの研究所の用事で出かけているかぐやとヤチヨにもすでに補足されているようだ。
『本当ならすぐに対処できるように一緒に配信したいけれど。義体だからちゃんと調整しないと不具合が生じたらまずいし』
だそうだ……私が居なくても調整やメンテナンスが出来るのなら……私の意味は……いや、やめだやめだ。余計なことを考えると精神的に良くないと言われたし。今はコラボの方に集中しようっと。てか、なんか私は太らされるようである。いやいや、体重なんて別に大丈夫だって。『標準より下回っている』けれどきちんと動けるし問題ないでしょ?
「ほら、言われているよいろP。あんたはもっと太んないと駄目だよ?てなわけで今日は、最近できたスイーツ店の人気メニューを色々持ってきたよ~、一緒に食べながらお喋りしようね~」
ふむ、スイーツか。これなら問題なかろう。幸い今日は味覚の調子も良いし。食べながらお喋りするぐらいなら何にも起きないに違いない。
「ありがとうマミマミ。いっつもすまないねぇ……」
「それは言わないお約束でしょおっかさん……って何やらせんのよ」
『漫才かよw』
『何でだろう……こんなやり取りだけでもなんか平和で泣けてくる……』
かぐや『めっちゃ美味しそう。かぐやの分も残しておいてね~♡』
ヤチヨ『ヤッチョも~♡』
微笑ましいコメントとかぐやとヤチヨの可愛い発言に心が和む。そうそう、こういう配信で良いんだよこういう配信で。
「ごめんごめん。でもおっかさんか……マミマミってこう見えて二児の母親なんだよね~。ほんと凄いよね。尊敬しちゃうな」
「何急に。いやまぁ二児の母親なのはそうだけど。別に褒められるようなことじゃあないよ」
「ううん、凄いってば。母親をしながらこうやってインフルエンサーもして、私の配信にも協力してくれて。ほんと凄いよ~」
「そ、そんなに褒められると照れちゃうなぁ///」
別に必要以上に褒めちぎっているつもりはない。本当にすごいと思う。たった三日とは言え子育てしたことのある私には、あれが本当に大変なことだと朧げにではあるが理解できる。それを日常的にこなしているのだ。それも、私の時と違って赤ちゃん時代は数日で終わる訳ではない。真実はそれを毎日こなしているのだ。尊敬しかない。
「私も昔、自称キュートな悪童を育ててたけどさ~?もうほんっとすごかったもん。いや、凄いなんてもんじゃなかったよ?あれはもう一種の台風だったね、うん」
『言われているぞかぐやちゃん?』
『台風だってよw』
かぐや『えぇぇぇっ!?そんなぁぁぁっ!?かぐやだって途中からちゃんと家のことしてたじゃ~んっ!?』
ヤチヨ『こっちにも流れ弾が飛んできた不具合……うぐふっ……』
おっとっと。なんかかぐやとヤチヨから苦し気なコメントが。別に怒っているわけじゃないし大丈夫だよ~?それに、『この先もうないだろう子育てを体験できた』のは嬉しかったしさ。気にしなくて良いってば。
「そ、そんなこと言ってくれるけどさ?いろPだって何時かは子育てするかもしれないじゃん?ほら、最近は同性同士の子供だって夢じゃあなくなりつつあるし」
『いろPとかぐヤチの子供……お義母さん!僕に娘さんを下さい!』
『お義母さん!息子さんを!息子さんをどうか私の婿にっ!』
かぐや『はぁぁぁ?かぐやと彩葉の子供との結婚~?許さねぇよ!?』
ヤチヨ『おイタが過ぎるのは駄目だよ~?ヤッチョと彩葉の子供と結婚したいなら、最低ラインで蓬莱の玉の枝くらいは用意してくれないと~♪』
おいおい、何をマジにしているのかね二人とも。コメ欄からの居もしない子供への求婚に敏感に反応して牽制する様は何と言うか……うん、可愛いね。
「いやいや、子供居ないでしょうが。ていうか、『私多分子供出来ない』だろうし、前提が違うよ~?」
「……は?あ、あの、なに言ってんの……?あ、あれかな?やっぱり忙しくて作る余裕がないとかそう言う奴かな?でも何時かは少しくらい余裕出来るでしょ?……え?ちょ、ちょっと待った……いろP……まさかだけど……あんた、『月の物』、ちゃんと来ているよね……?」
もうどれくらいこの失敗を繰り返せば気が済むのだろうか私は。あれかな?私には一般常識が欠如しているのかな?いやいや、きっとそう言うのでは無かろう。ただ単にちょっと考え無しと言うか、そう言うのだろう。それでどうか納得して……くれないんだろうなぁ……難しい話である。
「いやまぁ、普通は一か月に一回くらいの頻度で来るらしいよね。でも私、ここ10年以上は全然無いよ?うん、止まっちゃってるんだよね~。まぁ特に問題なさそうだからそのままだけどさ~」
「じゅ、じゅうっ……っ!?」
限界まで瞳を見開いた真実が言葉を失った。ガタガタ震えて、顔は真っ青だ。
「なに、あんた、え、それ、うそ、い、は、え、いろ、いろはっ!?」
「わわわっ!?ちょ、何さマミマミ?ていうか本名……」
まぁ前にも行ったがもう身バレしているし別にいいんだけどさぁ……皆ネットマナーはちゃんと守ろうよね?こういう場ではネットネームをきちんと使用しましょう。いろPとの約束だ。
「ふざけないでっ!?とま、止まっているってっ!?ずっとっ!?一回も来てないのっ!?」
「え、うん。中学三年の時からもうずっとだよ?初めては二年生頃から始まったけれど、三年の時にごちゃごちゃがあってさ~。それから不定期になって、気が付いたら完全に止まっちゃってた。でも楽だし何も不調も無いから大丈夫じゃない?」
別に子供を作る予定も無かったし、男性とそう言う行為をする予定も無し。何より月の物って色々大変だったし。世の女性は凄いよね、これを毎月乗り越えているんだから。その点私はそう言うのから逃げちゃったとも言える訳で。
『ばか早く医者だ今すぐにっ!』
『マミマミ!産婦人科!こんな配信している場合じゃないっ!』
ひぃぃぃ……さっきまで穏やかだったコメ欄が大混乱って言うか騒然って言うか……うん、やばいねこれ☆
「大丈夫なわけないでしょっ!?だいじょうぶなわけ……ないでじょっ……ひ、ひぐぅっ……」
「ちょ、泣かないでよマミマミっ!?ほんと大丈夫だからっ!全然平気っ!いろP元気っ!だから泣き止んでお願いっ!?」
半ば想定された流れ。この流れなら当然だが……
バタン!ガチャン!ギィィィッ!
「彩葉ぁっ!産婦人科っ!すぐにっ!いますぐにっ!」
「真実まで……本当にごめんなさい……ヤッチョたちが気が付かなきゃいけないのに……ヤッチョたちが馬鹿だから気が付かなくて……ふぐぅぅぅ……」
……なんで私は、迷惑を掛け続けるんだろう。どうしようもない。救えないな……嫌になる……さっきまで食べていたスイーツが床に落ちていた。まるで、今の私の心みたいにぐちゃぐちゃに崩れていた。
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「10年以上止まったまま、と……これは……ちょっと対処が難しいかと……」
産婦人科の先生が困った顔で告げた。どうしよう。良くない状態なのかな?でもこれでも私は『普通』に過ごして来たんだよ?だから……
「なぁ彩葉……お母さんはこの事知ってんのか……?」
「ううん、知らないと思うよ。話してないし。話しても『そないなもん自分に甘いから体調を崩してしまうんや』とか言われて終わりだろうし」
「……」
お兄ちゃんが拳を握り締めていた。力一杯。血が滴るほどに強く。
「まみぃぃぃ……いろはが、いろはがなくなっちゃうよぉぉぉ……」
「やだぁぁぁ……いろは、いなくなっちゃうぅぅぅ……」
芦花と真実もやっぱり泣いている。何時もの様に。そう、何時もの様に。
「離してヤチヨっ!かぐや京都に行くっ!今から彩葉のお母さんを殴ってくるっ!離してぇぇぇっ!」
「駄目だよかぐやっ!そんなことしたって何にもならないのっ!だから落ち着いてっ!おちついてぇぇぇ……」
泣きながら怒り狂うかぐやと、泣きながらかぐやを諫めるヤチヨ。そして。
「……ごめんね、皆?」
やっぱり私に出来るのは、謝ることと頑張ろうと決意することだけ。そうだ、頑張るしかない。悲しませてばかりで、泣かせてばかりで、こんな私じゃ駄目だ。もっともっともっと頑張らないと。がんばってがんばってがんばって、みんなをあんしんさせないと。
「みんな安心してね。私、もっと頑張る。もっと頑張って皆が安心できるように頑張るから。頑張ってかぐやとヤチヨをハッピーエンドに連れて行けるように頑張るから」
決意を口にしても、やっぱり皆は泣くばかりだった。ごめんね?
続く……?
だって必要ない物だから。