隠れ鬱な彩葉さん?   作:レントン

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ドンドン見つかる異常。

雲行きが……?


かぐヤチ『流石にキレても良いかな?』彩葉『か、勘弁してください……』

「へ~。やっぱりそう言うもんなんだね~。まぁ私も昔はしょっちゅうそう言うのあったけど、今は殆ど無くなったし問題無いよね~」

 

どうやら私と言う人間は余計な一言で騒動を引き起こすのが得意らしい。しみじみとそう感じる次第なのである。

 

─────

 

「いろっぴぃ~……どうも、いろPです。突発的な配信ですみません。ちょっとした愚痴配信なので、もしお暇な方が居れば覗いてってくださ~い」

 

今日も今日とて休日。最近休み多くね?仕事してんのかよ酒寄所長って?したいんだよ仕事。ものすごくしたい。だけど無理なのこれが。本当なら今日も出勤の予定だったのだが……

 

『今日のオムレツも美味しいよ。トマトケチャップの濃厚な味わいが……』

『……それ、パプリカソースなんだけど?』

『……彩葉?』

 

って感じでさ。味覚があんまり良くない日だったわけ。それで強制休日となりました☆世の社畜が聞いたらブチキレられそうだよねほんとに……そんなこんなで自室にて休みを取ってた訳だが……暇なのだ。何せかぐやとヤチヨの両名は普通に研究協力のために出勤しちゃったし、『二人が居ないので眠ろうにも眠れない』のだ。だから仕方無しに愚痴でも溢そうと配信に踏み切った訳である。以上説明終了。

 

『お、いろP単独?珍しくね?』

『愚痴って何さ?俺らでよければ話くらい聞くよ?』

『いろPのためならえんやこらだよ。私たちに愚痴を溢して良いんだよ』

 

何とも優しい話である。きっと彼ら彼女らなら、私の置かれた状況が間違っていると、私の意見こそが正しいと理解してくれるに違いないよね、うん。

 

「実はね……」

 

─────

 

「……てことで、今日は自宅軟禁ってわけなの。酷くない?私は別に元気いっぱいだって言うのにさ」

 

個人の情報やら特定されそうなあれそれは省き、私の過去の『軽度の鬱症状』やら、『特に問題ない味覚障害』について愚痴った。きっとコメ欄には今頃、『人権侵害だ』とか、『いろP可哀想』とか、そんな励ましの言葉が溢れかえっていることだろう。

 

『いや残当だろ。寧ろかぐやちゃんもヤチヨちゃんも優しいまであるぞ?』

『なんでそんな状態に成るまで放置したの?』

『聞いてて背筋が凍った。ちゃんと休め?な?』

 

およよ?おかしいな。てっきり私の方に味方してくれると踏んだのだが……コメントは皆かぐや達を正しいと応援してる……何故だ……?

 

「いやいや、これくらい平気だって。こんな感じで10年以上生きてきたんだよ?この先もこのまま大丈夫だってば」

『ただの寿命の前借りだよぉ……』

『配信閉じて寝ろ』

『こんなとこで愚痴ってねぇで意識落とせって』

 

むうう……誰も分かってくれない……いろP悲しいっ!……アラサーのやる仕草じゃねぇなぁ……

 

『ひょっとしたら眠れない理由でもある?』

『俺の友達、鬱で眠れないとかあったよ。意識喪失するみたく眠ってたけど……まさか……?』

 

おお、『同じような』人もやっぱり居るみたいだ。とは言え『今の私』はそんなこと無いし大丈夫だけどね!

なんて、かぐやもヤチヨも仕事に行ってるし、これを聞いてるはず無いから大丈夫だろうと。そんな甘い考えが、やっぱり騒動を引き起こすのである……

 

 

 

「へ~。やっぱりそう言うもんなんだね~。まぁ私も昔はしょっちゅう意識喪失とか、そう言うのあったけど。今は殆ど無くなったし問題無いよね~」

 

ぽこん

 

かぐや『おい、今のどう言うことだ?』

ヤチヨ『説明してくれるかな~』

 

……え?

 

『お、嫁さんズの待ったが入ったよ?』

『これはガチ説教案件だよね?』

『つーかマジ説教してあげて。これ自覚してねぇって』

 

ま、待った待った!?なんでかぐやとヤチヨが見てんのさ!?仕事中でしょうが!?

 

かぐや『休憩時間の所員さんから、『所長が配信してるっぽいってSNSで流れてきました』って報告あったんだよ?』

ヤチヨ『説明していろh……いろP?今、『昔はしょっちゅう意識喪失』って言ってたよね?そして『今は殆ど』って言ったよね?『殆ど』ってなに?詳しく、隠さず全部話して?』

 

さ~て、配信閉じようかな~。何時までもグチっててもしょうがないしね~☆

 

かぐヤチ『ちゃんと説明』

「は、はい……」

 

知らなかったのか?大魔王からは逃げられない。今の私にとってかぐやとヤチヨは大魔王……いや、裏ボスにも等しかった。

 

「あ、あの、その……これは多分お兄ちゃんしか知らないんだろうけれど……わ、私さ、中学生のころ、眠れなくなった時期があったの。うん、殆ど眠れなかった。意識喪失みたいな、所謂『堕ちる』眠り方しか出来なかったんだよ。で、病院に行きたいってお母さんに話したら、『そんなあまっちょろい人間が家から出るなんて思わんかった』みたいなこと言われたの。だから、その……これは、別に病気じゃなくて、私の気の持ち様って言うか、私の心の弱さが原因なんだろうなって、思って。実際、東京に上京したで環境が変わった頃は結構眠れるようになったんだよ、うん。だけどさ、二年に上がる少し前くらいからまた眠れないことも出てきて、なんか意識を堕とすみたいにしないと眠れなかった時期が……ありまして……そ、それがその……今も、偶に……ほんと偶にだよ?あったり、無かったり……するような……しないような……?」

 

いやもうほんと懐かしいのなんの。お母さんに病院に行きたいって頼んだときのあの反応。小馬鹿にするような口調でたんたんと言ってきたもんな~。で、気の持ち様だと思って頑張ったけど結局治んなかったし。今もかぐやとヤチヨがメンテとかで家を一日留守にしたりすると眠れなくて一日起きてることになったりするんだよな~。だから今回の配信に至ったわけだし。いや~弱っちいのなんの。

 

ばたん!ガチャ!ガチャガチャガチャ!

 

「「いろはっ!ここあけてっ!あけろっ!あけろっていってんのっ!なにかぎかけてんのっ!?」」

 

ひいっ!?な、何々っ!?かぐやとヤチヨの声っ!?嘘でしょ、研究所から此処までもう帰ってきたのっ!?どんだけ離れてると……

 

ガチャガチャガチャ!バキャッ!ギィィィッ!

 

「はぁ、はぁ、はぁ、いろはぁぁぁ……」

「なんでかぎなんてしめてるのぉぉぉ……」

 

怖いよ怖い。ホラー映画も真っ青。恐らく義体の性能の限界を越えたみたいなことしたんだろう。ヒート状態にはなってないが、蒸気みたいなのが噴出してる。うわぁ凄い。格好良いよ~♡

 

「ふざけてないで」

「彩葉、隠さないで教えて。ひょっとして、今も眠れなかったから配信してたの?」

 

流石は私の最愛のお嫁さん両名は勘が鋭い。私の状態を簡単に把握してしまった。つまり誤魔化せんと言うことだね、はは☆

 

「あ、の、その……ふ、二人が、留守の日とか……私の、単独出張の時とかは……あんまり……」

「「あんまり?」」

「すみません嘘です。二人が居ない時は基本眠れません」

 

どうも寂しがりなのか、あるいはやはり心が弱っちいのか。一人で寝れないなんて子供じゃあるまいし恥ずかしいよね~ほんと。だけど別に大丈夫だよ。実際二人が居る時は眠れているんだし、問題ないって。

 

「問題しか無いよう……」

「もっと早く言って欲しかったよう……」

 

いやだってねぇ?あまっちょろいらしいよ、これ?私のお母さんなんてもっとヤバい苦労したらしいけれど、普通に生活してるし。これは私の弱さが原因であって、決して病気じゃあないよ?

 

「ヤチヨぉ……かぐや、もうどうしたら良いのか分かんなくなってきたよぉ……」

「ヤッチョも……怒るべきなの?慰めるべきなの……どっちなのぉ……?」

 

やべ、やっぱり泣かせてしまった……な、泣かないで二人とも~?ほらこんな元気だよ~☆いろP元気いっぱいだよ~☆

 

『いいからはよ病院に行け。今すぐにだ』

『躊躇すんな。連行しろ』

帝『かぐやちゃんヤチヨちゃん、俺もすぐそっち行くわ。悪いけど縛りあげてでも病院に連れてってくれ』

ROKA『いい加減にしてよぉ……なんで辛いときに辛いって言ってくんなかったのぉ……私たち、親友だよねぇ……?』

まみまみ『もうほんとに……なんでだよいろP……私まで泣けてくんじゃんさぁ……』

 

うわぁ……お兄ちゃんに芦花に真実まで見てたのかよ……なんだって毎回毎回、私の些細な過去に此処まで大事になってしまうのか……これが分からない……

 

「やだぁ……このままじゃ、いろは、かぐやたちのしらないとこで、しんじゃうよぉ……」

「おねがい、おねがいだから……もっとじぶんをいたわってぇ……」

 

二人ともギャン泣きだよ……ほんと今回こそ大袈裟だって……ちょっと寝つきが悪いだけって医者に言われておしまいだよきっと……

 

─────

 

「あのですね?三大欲求ってご存知ですよね?高名な酒寄博士なら当然ご存知ですよね?食欲、睡眠欲、性欲。今のあなたはその内の二つに異常が出てるんですよ?本当なら強制入院させたいくらいなんですよ?分かりますか?」

 

前回を遥かに超える怒りっぷりだった。笑顔すらなくたんたんとお説教。ちゃんと休め、飯食えと口を酸っぱくして言われた。結果、睡眠外来への受診が追加されてしまった……

 

「なあ彩葉。俺も悪かったよ。お前を置いて出てったもんな。信用出来んのかもしれん。だけどな?かぐやちゃんとヤチヨちゃんにだけは本当に隠し事をしないでくれ。母さんの言ったことは全部忘れろ。な?」

「ぐすっ、ぐすっ、ぐすっ……彩葉……頼りない親友で……ごめんねぇ……」

「あんたの辛いとこ……分かってあげられて無かったんだね……情けなくて泣けてくる……うぐっ……」

 

めっちゃ悲壮感に満ちたお兄ちゃんたち……なんかもうお葬式かな?ってレベルだ。

 

「うわぁぁぁんっ!いろはがおそうしきとかいうぅぅぅっ!」

「やめてよぉぉぉっ!そんなこといわないでぇぇぇっ!」

「はいごめんなさい言いません言いませんから泣き止んでお願いっ!?」

 

この日以降、私は一人寝禁止令を出された。まぁそもそも一人じゃ寝れないんだけどね?はっはっはっ!……そんな睨まないでごめんなさい……後、研究所からは早出勤禁止、残業禁止、泊まり込み禁止。それから有給のほかに特別休暇も利用しろと勝手に申請された。

 

「このアホはほんと……我々の忍耐を試していらっしゃるのですか?それならそうと言ってくださいませんかね?」

 

研究主任さんを筆頭にバチくそキレてた……私の威厳はズタボロだよぉ……くすん……

 

「さ、彩葉。三人で寝ようね?」

「子守り歌でも歌おうか?それともぎゅって抱き締めた方が安心する?」

 

私は赤ちゃんかな?もう良い歳の大人なんだが?

 

「赤ちゃんの方がましかもしれないよぅ……」

「ほら、ねんねしようねぇ?」

「はい……」




まだ笑い話……まだね……
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