いよいよ無視できない状況!?
「でもさ~。万が一、万が一だよ?私がもしも万が一、何かの理由で居なくなったりした時の事を考えておくのも、必要なんじゃないかな~って。最近は特にそう思ったりもするわけだしさ~」
別に必要以上に騒ぎを煽ったつもりはないのだ。極々一般的に、単純に、そう言うこともあるよねと。世間話の延長みたいや、そんなつもりだったのだ。毎度言うが、断じて大事にしたかった訳ではないのだ。
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「いろっぴぃ~……どうも、いろPで~す……え~、今日はちょっとした配信をしたいと思いま~す。お手すきの方は作業用BGMにでもどうぞ~」
心療内科受診後、自宅療養を強制されてしまった私。かぐやとヤチヨは可能な限り二人とも、そうでなくともどちらか一人は私の傍を離れようとはしなかった。
『お願い、お願いだから、かぐやたちから離れていかないで……』
なんて泣かれてしまっては反論も出来ず、と言うやつだ。しかし、あれから一週間ほどが経過した今日、二人は研究所にどうしても外せない用事……具体的に言えば簡易メンテナンスの必要があり、二人とも赴く必要があった。
『昼には終わる。早く帰ってくるからね?』
『ツクヨミに意識を跳ばしておく予定だから、何かあればそっちに相談にきてね』
だそうだ。未だ赤ちゃんか子供扱いのようである。もうアラサーなんだけどなぁ……
と言うわけで、時間を持て余した私のやることは勿論決まっていた。そう、配信である。とは言え前回のような愚痴配信は御法度だ。また余計な事を言って皆を困らせちゃうかもしれないし。だから今回は違う趣向で進めようと考えていた。
『お、いろPだ。具合どうなん?』
『無理せんで……な?』
『身体第一だからね?』
コメ欄にはそんな心配の言葉が無数に寄せられてしまった。やはり心配を掛けてしまっているようだ。今日はそんな皆の心配を解消させると言う意味でも頑張ろうと思う次第なのだ、うん。
「ごめんねみんな。前回はものすごく心配描けちゃったみたいで。深く反省してる次第です。現在はお医者さんにも通ってちゃんと経過観察してるから安心して欲しいです。で、今回はそんな皆の心配を少しでも払拭しようと考えています」
『お?なんだなんだ?』
『何するのさいろP?』
私が何をしようとしているのか皆興味津々と言うか、やはり心配してると言うか。しかし大丈夫。今回のこれは至極全うな規格なんだから!
「え~。今回は、『お片付け配信』と題してですね。私の私室の片付けを公開しようかなと。あ、勿論機密的なやつとかはお見せ出来ませんので。そこはご了承くださいね~」
そう、片付け配信。私自身の精神が安定してるのを知らしめるにはこれ以上ない企画では無いだろうか?常日頃忙しくて結構散らかってるのもあるし、丁度良いだろうと判断してのことである。
『片付け配信か~』
『良いんじゃないかな。リハビリって言うか、心を落ち着けるのには最適だと思う』
『いろPの私室も見れるし大歓迎だよ!』
概ね好意的なコメントが返って来た。うんうん、そうだよね。整理整頓は心の乱れも整える。うってつけだよね~。
「じゃあ早速始めていこうかな~っと。とは言えめっちゃ散らかってんな~……」
改めて確認すると、寝具……因みに三人で寝る用の寝具はまた別にあり、此処は一人で過ごすとき用の簡易寝具しか置かれていない……の周りを除いて、資料だの書類だのが散乱しっぱなしだ。此処の掃除は個人的な私物があるから、基本的にかぐややヤチヨにもさせないからね。仕方ないと言えば仕方ない。
「え~……書類、参考資料、書類、書類、予算申請書、書類、参考資料……」
『紙ばっかじゃん』
『もうちょい整理しな~?』
うん、それはそう。昔は私物も少なかったし、もう少し整頓整頓してたんだけどな~……やっぱり物が増えると不味いよね~。
「え~……書類、参考資料、書類、書類……おっと、これ、こんなとこにあったか~」
『何かお宝でも発掘した?』
『もしや下着かな?』
『↑通報した』
不埒なコメント止めな~?かぐやとヤチヨが見てないとも限んないよ~?
「下着なんか見せないっての。えっとね~これはね~……」
「遺言書だね」
『は?』
『なにいってんの?』
『これまずいやつじゃね?』
……ん?お、可笑しいな?なんかコメント欄から不穏な空気が……い、いやいや、可笑しくないよねうん。私は普通の事しか言ってない。よって今回は何も悪くない、はず……?
「え?なんか変なこと言ったかな?別に可笑しなやつじゃないよ?普通に、普通に遺言書だよ?ほら私は研究所の所長だし?こう言うのも必要だって」
『いやでも、それの存在忘れてたんだろ……?』
『つまり忘れるくらいには意識せず書いてたってことだよな……?』
『無意識に遺言書書いてたの……こわ……』
う、ヤバい空気が漂ってきたぞ……こ、このままではマズい!またかぐやとヤチヨに特定されるっ!えっと、えっと……
「でもさ~。万が一、万が一だよ?私がもしも万が一、何かの理由で居なくなったりした時の事を考えておくのも、必要なんじゃないかな~って。最近は特にそう思ったりもするわけだしさ~」
もう何度目かも知れないがそれでも言おう。私には別に悪意はないのだ。本当に思ったことを言ったまでで、誰かを焦らせたり傷つける意図はまるで無いのだ。が……やっぱり今回も駄目だったらしい。
ぽこん
かぐや『今のどう言うこと』
ヤチヨ『ちゃんと説明して』
ほらね?またやっちまったよ……なんだって私は片付けですら迷惑を掛けちゃうかねぇ?救えないったらないよ。
「や、やぁ、かぐや、ヤチヨ?お元気かな?メンテナンスはそろそろ終わりそう?」
かぐや『もうすぐ終わる。それより話を逸らすな』
ヤチヨ『万が一居なくなったりしたらってなに?』
『かぐやちゃん!ヤチヨちゃん!もっと言ってやって!』
『なんかやっぱりヤバいっていろP!』
さっきまで味方だったはずのコメント欄から裏切られた……悲しいなぁ……なんて言ってる場合ではないな。また大事になる前になんとかしないと。
「ほ、ほら、私ってば責任ある立場だし?必要なことなんだよ。別に深い意味があるとかそう言うのじゃないよ?準備、そう準備だよ。心配しなくて良いよ~?」
かぐや『……本当に……?』
ヤチヨ『……大丈夫なの……?』
お、やったか?今回は上手く説得できそうじゃない?そう何度も何度も迷惑を掛けたくないし、これでなんとか……
『……あのさ~……もしかして、なんだけどさ~……いろPの片付けって、さ~……』
と、なんとか話が纏まりそうだったのに……あろうことかコメント欄から爆弾が投下されてしまったのであった……
『身辺整理だったり……しないよな~?』
「……は?」
しんぺんせいり……身辺整理?それってあれですかね?主に間も無くこの世を去ろうとか考えている人がやるあれのことですかね?いやだな、そんなわけないじゃん?てか、そんなことを言ったら……
バタン!ガチャン!ギィィィッ!
「いろはっ!いろはだめっ!しんだらだめなんだからぁぁぁっ!」
「うぇぇぇんっ!おねがいだからやめてぇぇぇっ!」
うん知ってた。こうなるよね~……はぁぁ……
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「だ、だから、ただの片付けで……し、身辺整理のつもりなんて……」
「ぐすっ、ぐすっ、じゃあなんでゆいごんしょのこと、かぐやたちにかくしてたの……?」
「そ、それはほら、わざわざ言うほどのことじゃないと思って……」
「ひぐっ、ひぐっ、うそだぁぁぁ……ほんとはひとりで……びゃぁぁぁっ!」
「だ、大丈夫です大丈夫ですから泣かないでっ!?」
「おいおい……これ……遺言書ってか……遺書じゃねぇかよ……」
『皆様にご迷惑ばかりをお掛けしましたことは詫びても詫びきれるものではございません。本当に申し訳ございませんでした』
「迷惑ってなにっ!?私や真実がっ!彩葉にそんな迷惑を掛けられたことなんてないよっ!」
「ぅっ……ぅっ……こんなの書いて……ひどいよ彩葉ぁ……」
うそ、私そんなの書いてたの……き、記憶にないなぁ……なんちゃって……あは、あはは……
「おぼえてないようなかきかたしたんだぁぁぁ……やっばりいろばじぬづもりなんだぁぁぁっ!」
「おいでがないでいろばぁぁぁっ!」
「置いてかない置いてかないから落ち着こうねっ!?」
しかしこの後……いつ書いたのか覚えていない遺言書やらが山程私の部屋から姿を現し……更なる騒動に発展するとは、想像もしてなかったのだった……ははは☆皆も遺言書を書くときは気を付けて書こうね?
「「うぇぇぇんっ!いろばがびどいごどいぅぅぅっ!」」
「はいすみませんもう言いませんっ!」
自身の異常を認知できない彩葉の明日はどっちだ……?