8日目の朝、酒場の掲示板に、ケンが紙を1枚足していた。
《夜のネペントは、昼より湧きが落ち着くらしい》
「これ、誰から聞いたんですか」
コタが指さすと、ケンは冊子をめくった。
「昨日の夜、宿の廊下で誰かが話してた。夜は人が少ないし、湧きも落ち着くから逆に狙い目だって」
「落ち着くって、本当なんですか」
「わかんねえ。だから、らしいって書いてるんだよ」
《らしい》と書いてあるなら、読む側にも伝聞だと分かる。その程度に考えて、俺は森へ行く準備に戻った。
その日は、朝から夕方まで森にいた。
蔓を受けて、スイッチして、斬って、下がる。それを40回以上繰り返した。花付きは、一度も出なかった。
村へ戻ると、入口のあたりが騒がしかった。
「なんかあったんですかね」
コタが背伸びをする。
人だかりの真ん中に、4人組が座り込んでいた。全員、装備があちこち溶けている。
「実だ! 誰かが実を割ったんだよ!」
そのうちの1人が、声を張り上げていた。
「俺らが花付きを削ってる最中だぞ。真上の斜面で、パンって音がして。そのあと、森じゅうから湧いてきた。30、いや40近くはいた。俺ら、沢まで転がり落ちて、逃げ回って、それで、ようやく——」
言葉が詰まった。
「ようやく、生きてた」
俺の隣で、ケンが足を止めた。
「……MPKだ」
「その花付きは」
俺が聞くと、4人組のリーダーが、拳で地面を叩いた。
「取られたよ。混乱してる間に、横から持っていかれた。胚珠だけ」
「取ったやつは、どこに」
「もういねえよ! その足で剣もらって、村を出てったってさ! マジで、ふざけんなよあいつら!」
酒場に入ると、もう言い合いが始まっていた。
「だから言ったろ。そういうやつは絶対いるって」
「信じらんない。剣1本のために人殺すの?」
「殺してねえだろ。誰も死んでねえ」
「死ななかっただけでしょ!」
テーブルを挟んで、怒鳴り声が行き交う。
昨日の夜、俺たちは同じテーブルで、普通ならそこまでしないだろうと話していた。二十四時間で、その見立ては崩れた。
「——だから俺は、誰が悪いとは言ってねえよ」
酒場の奥から、よく通る声が飛んだ。
4人がけのテーブルに、7人が座っている。空いた椅子を近くから引っぱってきて、輪を広げたらしい。
その輪の中心に、大柄な男がいた。30くらいで、眼鏡をかけている。肩幅は俺の倍はありそうなのに、声を荒らげない。そのせいで、かえって部屋じゅうの耳がそっちへ向く。
「ただ、変だと思わねえか。ベータのやつらは、初日の夜にはもう森の奥まで行ってたんだぜ。なんで道を知ってんだ」
「そりゃ、ベータで来てんだから当たり前だろ」
言い返したのは、痩せた若い男だった。
「そうだよ。知ってたんだ」
眼鏡の大男は、その返事を待っていたような顔をした。
「知っててな、俺らが草原でイノシシに転がされてる間に、いい剣もいい狩場も、先に全部押さえてったわけだ。……今日、実を割ったやつも、たぶん知ってた側だろ。実を割れば群れが来るってのを、最初から知ってたやつだ」
輪の何人かが、うなずいた。
コタが立ち上がりかけて、ダイチに肩を押さえられた。
「やめとけ。今あそこに入ったら、こっちが標的になる」
夜、10時を過ぎたころ。村の入口のほうで再び悲鳴が上がった。
「皆聞いてくれ!」
外へ出ると、3人の男が肩を貸し合って立っていた。服も装備も、あちこちが溶けている。
「夜は違うんだよ」
そのうちの1人が、地面に座り込んだまま同じ言葉を繰り返していた。
「昼と違う。湧く数が全然違うんだ。夜はモブの数が落ち着くって書いてあったから、行ったのに」
その言葉を聞いた瞬間、隣にいたケンの顔から、すっと色が抜けた。
「……おい」
「ケンさん?」
ケンは答えずに、人垣をかき分けて前へ出た。
「あんたら、何人で行った」
「6人だよ」
「残りの3人は」
「散り散りになった。俺らは、走って、走って……気づいたら3人になってた」
3人のうちの1人がメニューを開いて、パーティ欄を確かめた。仲間のHPが表示される欄だ。しばらく見て、唇を噛んだ。
「……3人とも、まだ生きてる。でも、全員もうほとんど赤だ」
「連絡は」
俺が聞くと、男はチャットの画面をこっちに向けた。
《今どこ》《返事しろ》《生きてるなら何か送れ》
自分たちが送ったメッセージが、何本も並んでいる。その下に、1件だけ返事があった。
《北のほうの斜面。暗くて道がわからない。動くと寄ってくる、敵のレベルが高い》
それきり、何も来ていなかった。
「北のほうって、どこだよ……」
男は、画面を握りしめるようにして言った。
「森の北なんて、誰も地図持ってねえよ。夜に探しに行ったら、今度は俺らが死ぬ。わかってんだよ、そんなこと」
男は返事の途切れたチャット画面を開いたまま、俯いた。
人垣の中で、「探しに行く」と言う者はいなかった。俺も、夜の森へ入れるとは言えなかった。
そのとき、後ろから低い声が飛んだ。
さっきの、眼鏡の大男だった。
「……で、誰だ。夜は湧きが落ち着く。そう言ったのは、誰だ」
1時間後には、酒場がそのまま集会場になっていた。
真っ先に名前が挙がったのは、細身の若い男だった。昨日の夜、ケンに1,000コルで情報を売れと言ってきた、あの男だ。今日の昼、掲示板に《西の森 夜狩りのすすめ 500コル》という紙を貼って、その中身を売っていたらしい。
「だから、俺は聞いた話を書いて売っただけだって!」
「3人戻ってねえんだぞ!」
「戻ってこないだけだろ! 死んだって決まったわけじゃねえ!」
「じゃあ今すぐ連れて帰ってこいよ!」
椅子が倒れる。圏内だから、殴り合いにはならない。拳を振り上げた男の腕が、見えない壁に弾かれて止まる。それでも、20人近いプレイヤーが1人を囲んで怒鳴る光景は、十分に怖かった。
「その夜狩りの話、誰から聞いた」
さきほどの眼鏡の男が、静かに言った。それだけで周りが黙る。人を静める言い方を知っている人だった。
「……この酒場で、知らないやつから聞いた!」
細身の男の声は、ほとんど悲鳴だった。
「夜は人がいないし、湧きも落ち着くって。俺はそれを、ちょっと整理して、地図つけて——」
「整理して、地図つけて、500コル取った」
「そいつはベータか」
「知らねえよ! 名前も聞いてねえし!」
「知らない、で済むのか?」
男は周りをぐるっと見回した。
「なあ、みんな。俺が言いたいのはな、こういうことだよ。この村じゃ、誰も責任を取らない情報が金になる」
口を挟ませないようなしゃべり方だった。
「書いたやつは『聞いた話だ』で逃げる。売ったやつは『買うほうの自由だ』で逃げる。で、死ぬのは、金を払って信じたやつだ」
「買ったほうにも責任はあるだろ」
奥から声が上がった。
「そうだ。だから、売ったやつだけが悪いとは言ってねえ」
眼鏡の男はそちらを向いた。
「それでも、誰が書いたかも、どこから来た話かも分からない紙を、このまま放っておいていいのか?」
今度は、反対する声が続かなかった。
「だから、もう一度聞くぞ。この村で情報を配ってるのは、ほかに誰だ」
「そっちの人が売ってくれなかったから!」
細身の男が、指を突き出した。
その先に、ケンがいた。
酒場じゅうの視線が、一斉にこっちを向いた。
「昨日、あの人に1000コルで売ってくれって言ったんだよ。断られたから、ほかで仕入れるしかなかったんだ!」
眼鏡の男が、ゆっくりケンのほうを見た。
「……本当か」
ケンは、答えるかわりに立ち上がった。
「本当だ。昨日、断った」
それから、掲示板を指した。
「それと、俺も書いた。今朝、あそこに。夜は湧きが落ち着くらしい、って。俺は宿の廊下で、同じ話が偶然耳に入っただけだ」
酒場が、静まり返った。
「お前、金取ってねえだろ」
誰かが、ぼそっと言う。
「取ってねえよ」
ケンの声が、揺れていた。
「取ってねえけど、同じだ。俺は昨日、あれを売ったら俺が保証したことになるって言って断った。なのに今朝、確かめもしないで、らしいって一言付けて貼った。売らなきゃ責任がないって、どっかで思ってたんだよ。あれを読んで森に入ったやつがいたら、タダでも500コルでも、同じだろ」
「同じじゃねえよ!」
「同じだって言ってんだよ、俺が!」
ケンの声が、初めて裏返った。
その瞬間、部屋の空気が完全にケンのほうを向いた。20人近い視線が、細身の男からケンへ、ゆっくり移っていくのがわかった。
眼鏡の男が、口を開きかけた。
俺は立ち上がろうとした。何を言うかも決まっていなかった。ただ、このまま座っていたら、昨日の夜にケンの隣で「そんなやつはいない」とうなずいた自分と、今朝あの紙を読んで何も言わなかった自分を、一生許せない気がした。
「ここです」
入口から、女の人の声がした。
片手剣を下げて、フードを背中に落としている。20代半ばくらいで、髪を後ろで一つにまとめていた。布の服の肩から袖にかけて、ざっくりと裂けている。
彼女は20人近い視線の真ん中を、まっすぐ歩いてきた。テーブルの前で足を止めて、折りたたんだ紙を広げて置く。
「その夜狩りの情報、私も買いました。これが、そのとき渡された紙です」
近くの何人かが、身を乗り出して覗き込んだ。紙には、森の東側の略図と、時間帯ごとの湧きの数らしい数字が書き込んであった。
「……あんた、あの6人と一緒に行ったのか」
眼鏡の男が聞いた。
「いえ。ただ、ここに書いてあることが本当かどうかは、知りたかったので」
彼女は紙を指で押さえた。
「今日の日暮れに、1人で森の東の縁まで行ってみました」
「1人でかよ!」
「はい。20分だけ。それ以上いたら死ぬなと思ったので、戻りました」
彼女は、自分の袖の裂け目をつまんで見せた。
「私が見たのは、東の縁の、この略図で言うとこのあたりだけです」
彼女は紙の端を指でなぞった。
「そこでは、昼より明らかに多かった。倒しても、次がすぐ湧いた。3倍くらいに見えました。湧いてきた場所も、この紙に描いてある位置とは違っていました」
そこで、彼女は一度言葉を切った。
「でも、私が見たのは、森の縁のほんの一部を20分だけです。森の奥がどうなってるかも、正確にどれくらい多いのかも、私にはわかりません。……だから、この紙の『夜は落ち着く』っていうのは、少なくとも私が見た場所では嘘でした。言えるのは、そこまでです」
「だったら、なんで先に言わなかったんだ!」
「言いましたよ。戻ってきてすぐ、この人に」
彼女は、細身の男のほうを見た。
「返金しろとは言ってません。売るのをやめて、少なくとも東の縁では違ったって掲示板に貼ってくださいって、お願いしました。でも、そのときにはもう、6人は森に入ってたんです」
細身の男は、答えなかった。
「……だから」
彼女は、少しだけ声を落とした。
「私は、この人を吊るしに来たわけじゃないんです。そっちの情報屋さんを吊るしに来たわけでもない。私が森を見に行ったのは、日暮れのあとです。戻ってこの人に伝えたときには、もう六人が森へ入ったあとでした」
女の人は裂けた袖から手を離した。
「だから、今から責める相手を増やすより、次の紙を直せる形にしたほうがいいと思います」
先に口を開いたのは、眼鏡の男だった。
「いい度胸だ。……で、あんたはそれでも、情報屋を庇うのか」
「庇ってないです」
「じゃあ、どうしろってんだよ」
彼女は、少し考えてから言った。
「売る紙にも、貼る紙にも、書いた人の名前を入れればいいんじゃないですか」
「は?」
「タダでも、お金を取っても、どっちでもいいんです。誰が書いたか、どこで聞いたか、いつの話か。それから、自分で見たのか、人から聞いたのか。それがわかるなら、間違ってたときに、直してくださいって言いに行ける。今日、私がこの人に言いに行けたのは、この紙を売った人の顔を覚えてたからです」
彼女は、テーブルの紙を指で軽く弾いた。
「でも、この紙そのものには、名前がないんですよ。だから、この紙を見ただけの人は、誰にも言いに行けない。廊下で喋ってた誰かと同じで」
眼鏡の男は、掲示板に貼られた紙を見た。
「なら、まず今ある紙からだ。書いたやつの名前と、いつ、どこで聞いた話なのかを足す。それでいいな」
反対する声は上がらなかった。
集まりが解けたあと、俺は酒場の隅に座り込んでいる3人のところへ行った。
夜狩りから戻ってきた3人だ。さっきまで囲まれていた細身の男のほうではなく、この人たちに声をかけた人は、たぶんまだ誰もいなかった。
「あの」
3人が、ぼんやりと顔を上げた。
「残りの3人、まだ生きてるんですよね」
「……ああ。さっき見たときは」
「明日、明るくなったら、探しに行きませんか」
言ってから、自分の声が少し震えていたのに気づいた。
「……お前も来るのか」
「俺は行きます。仲間にも相談します。夜には入らないで、昼に行けるところまで行って、決めた時刻になったら戻る。それでもよければ」
振り返ると、ダイチが腕を組んでいた。
「相談する前に、だいたい決めてんじゃねえか」
「すみません」
「でも、俺も行く。ほかのやつにも今から話すぞ」
三人のうちの一人が、俺をじっと見た。
「……北の斜面だぞ。地図もねえし、レベルの高いやつも来てた」
「分かってます」
男はダイチと俺を見比べてから、小さくうなずいた。
「……頼む」
ケンは掲示板の前に立っていた。
自分の貼った紙を剥がすか剥がさないかで、手が迷っている。
「剥がすなよ」
とダイチが言った。
「剥がしたら、書いてなかったことになる」
「……剥がさねえよ」
ケンは紙の隅に、自分の名前を書いた。
《Ken》
それから、その下に、何度も書き直しながら数行を足した。
《Day8朝に貼った「夜は落ち着く」は、私が確かめていない伝聞でした。誤りです》
《Day8日暮れ 森の東の縁で、昼より明らかに多く湧いていたとの証言あり(証言者本人の目視・氏名未確認・約20分)。森の奥・正確な数は未確認》
「日付も入れましょうよ」
コタが横から言う。
「何日目に聞いた話かわからないと、古い情報のまま行って死んじゃいます」
「……入ってるだろ、もう」
「あ、ほんとだ」
「お前、そういうとこ賢いよな」
「そういうとこって、どういうとこですか」
「怖えとこだよ」
外に出ると、井戸のところに、さっきの女の人がいた。
「あの、さっきはありがとうございました」
「別に。見たことを言っただけなので、気にしないでください」
「でも、あのままだったら、うちのケンさんが囲まれてました」
彼女は少しだけ笑った。笑うと、年相応の顔になる人だった。
「名前を書けって言ったやつ、たぶん、いい提案じゃないんですけどね」
「え。みんなの前で言ったやつですか」
「うん。だって、書いた人の名前が紙に入ってたら、次に何かあったとき、恨まれるのはその人だけになるでしょ。売った人も、買った人も、読んだだけの人も、それで楽になっちゃう。あの情報屋さん、たぶん明日から、1人で全部背負うことになりますよ」
「……わかってて、言ったんですか」
「あの場でね、誰か1人を吊るして終わりにしない方法が、それしか思いつかなかったから」
桶を持ち上げながら、彼女は酒場のほうをちらっと見た。
「あの眼鏡の人、上手だったな」
「はい」
「3人が戻らないって話を、知らないうちにベータの話にすり替えてたでしょ。ああいう人が、たぶん一番危ないと思う」
「あの人、何がしたいんでしょうね」
「さあ。何もしたくないのかもよ。腹が立ってる人が、一番大きい声で喋れる場所を見つけただけかもしれないし」
そこで彼女は、自分の袖の裂け目に目をやった。
「あとね、ひとつだけ言っとく。私が夜の森に行ったの、紙を確かめるためだけじゃないの」
「そうなんですか」
「私も、あの剣が欲しいから。でも昼の森は人が多くて、1人だと取り合いに勝てないんですよね。花付きを見つけて、削り始めて、半分まで減らしたところで、別のパーティーが走ってくる。花付きだけ取って消えちゃうので、顔もわかんなかったです。そういうのを、この村に来てから何回もやられました」
彼女の剣は、俺たちのスモールソードより、ずっと刃こぼれがひどかった。この村に来てから、これ1本でやってきたのだとわかった。
「何回も、取られたんですか」
「1回目は文句言いましたよ。でも2回目はもう黙ってました。3回目は、相手が6人だったから、離れて」
軽い言い方だった。そのぶん、かえって嫌な感じが残った。
「みんながいいって言ったら、明日の午後、俺たちと同じ区画で狩りませんか」
言ってから、慌てて付け足した。
「あ、パーティを組もうって話じゃないです。同じ区画にいるだけで。花付きが湧いたら、先に見つけたほうのものにしましょう。俺たちは横から手を出しませんから。……午前中は、戻らない3人を探しに行くので」
彼女の目が、少しだけ変わった。
「探しに行くんですか」
「はい。北の斜面らしいです。昼に、行けるところまで」
彼女は、しばらく黙っていた。
「……私、東の縁から北のほうを少しだけ見た。夜だったから、ちゃんとは見えなかったけど」
「明日、それを教えてもらえますか」
「……いいよ」
それから、桶を持ち直した。
「ハル」
「え」
「私の名前。……名無しの情報は信用しないって、さっき自分で言っちゃったしね」
パーティを組んでいないから、頭の上に名前は出ない。
「カイです」
俺は、そう言って頭を下げた。
「掲示板のところで名前を書いてたのがケンさん。あそこで一番大声出してたのがダイチさん。でかい盾の人がソラさんで、その妹さんがナナ。槍を持ってるのが、コタです」
「一気に6人は、覚えられないよ」
ハルさんは笑って、宿のほうへ歩いていった。
その夜、宿の相部屋で、コタがなかなか寝つかなかった。
「カイお兄さん」
「うん」
「戻ってこない3人、明日、見つかりますかね」
「わかんない。けど、探しに行く」
「待ってたら、帰ってきますか」
一週間前の夜、俺ははじまりの街の西門で、一人の帰りを待っていた。ケンさんは帰ってきた。モッチさんは帰ってこなかった。
「……分かんない。でも明日、名前を呼んでみよう。近くまで行けたら、聞こえるかもしれない」
「でも、俺、三人の名前知らないです」
「朝、仲間の人に聞こう」
コタは小さくうなずき、ようやく目を閉じた。
隣の寝台では、ケンが天井を見たまま起きていた。