カードもできるギャルゲー世界に転生した(けど気付いてない)男のカードゲームライフ! 作:烏丸英
(やった! やったぞ! 俺は、【エヴォルレジェンズLOVE4】の世界に転生できたんだ!!)
生活に必要な家具だけが置かれている簡素なワンルームの部屋の中で、俺は歓喜に満ちた笑みを浮かべていた。
最高、それ以外に表現できない夢のような状況を喜びながら、俺は転生者の特権とでもいうべきあのワードを口にする。
「ステータス、オープン!」
ピロリンッ! と音がして、俺の目の前に小さなウインドウが浮かび上がった。
そこに記されている名前……
「これがこの世界での俺の名前と姿……! こんなの、絶対モテモテに決まってるじゃん……!!」
元の世界では不細工な男だった俺が、こんなイケメンに生まれ変われるだなんて最高過ぎる。
古臭かった名前も『エヴォルレジェンズ』のアニメ主人公の法則に倣いつつ、格好いいものに変えたし、不満は何一つない。
何より、ここが【エヴォルレジェンズLOVE4】だという点が最高だ。
まさかあの『カードもできるギャルゲー』の世界に転生できるだなんて、思ってもみなかった。
【エヴォルレジェンズLOVE】……俺がいた世界で、カードゲーマーたちからすさまじい人気を誇っていたゲーム。
元は【エヴォルレジェンズ・タッグファイターズ】というアニメと世界観を共有しつつ、登場キャラたちと交流を深めながらストーリーを進めていくゲームがあり、そちらもかなりの人気作だったのだが、それから数年後に発売された本作は大胆な設定変更が爆発的な人気を生んだ。
基本システムはそのままに、舞台は本家アニメとよく似ているが完全オリジナルな世界に変更。
メインキャラは女の子たちが大半を占め、彼女たちと交流を深める……もとい、攻略しながらストーリーを進めていくという、ギャルゲーの要素を大いに盛り込んだ【エヴォルレジェンズLOVE】は、スピンオフ作品でありながら大いに跳ねた。
第一作が売れに売れた結果、続編が作られ続け、その中でも最高傑作と名高い【エヴォルレジェンズLOVE4】には、再登場させた過去作のヒロインを含む、特に人気な女の子たちが揃っている。
そんな女の子たちを攻略するのが
女の子たちの趣味や好み、使用デッキや好感度を上げる選択肢は、ゲームをやり込んだ俺の頭の中に叩き込まれている。
何より、基本的に擁立戦で勝つ姿を見せれば、彼女たちの好感度は勝手に上がっていく。
『エヴォルレジェンズ』歴二十年以上の俺からすれば、そんなのは朝飯前だ。
(いくつかのチートスキルも貰えたし、初期デッキとパックのカードも全部入手済み! おかげで現時点で最高のデッキが組めたぜ!)
テーブルの上には転生時のボーナスとして貰ったストラクチャーデッキ全六種と同時発売のパックの全カードが置かれている。
ゲームと違い、時間が経たないと新しいデッキやパックが発売されない点は残念だが……それを買うためのお金も擁立戦をすればじゃんじゃん手に入るから、資金貯めの期間だと割り切ることにしよう。
これから俺は長きに渡って蓄積した『エヴォルレジェンズ』の経験と大量に手に入るカード、そしてゲームの知識を活かしてヒロインたちを攻略し、時折起きる事件を解決しながらモテモテになる主人公として活躍していく。
だが、懸念点もある。俺と同じ時期に転生したライバルたちの存在がそれだ。
俺と同じような境遇で、チートスキルも持っている連中とは、ヒロインの奪い合いになるだろう。
お目当てのヒロインはもちろん、そうじゃないヒロインも独り占めしたい俺からすれば、奴らの存在は邪魔でしかない。
明日……高校入学を契機に始まるであろう戦争に思いを馳せた俺は、それでも自分が主人公だという自信を一切揺るがすことはなかった。
俺は負けない。クソみたいな人生から一発逆転のチャンスを得たんだ。必ずこれをモノにしてみせる。
どんな奴が相手だって、蹴散らしてやればいい。
ここは擁立戦で勝てば、大体のことは許される世界なのだから。
(マジで最高だよな、この世界は……!!)
かわいい女の子も、名誉も、擁立戦で勝つだけで手に入れられる。
カードゲーマーにとって最高の世界で、明日から始まる最高の人生を想像した俺は、天井を見上げながら喜びに満ちた笑みを浮かべるのであった。