遅咲きのプロゲーマー~W杯優勝GK、36歳からeスポーツへ~   作:タイラー・カイマー

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第12話 ドラゴン

 

【ドラゴン】

川に出現する大型の中立モンスター。倒したチーム全体に強化を与える。両チームが狙うため、ドラゴンの周辺では大きな戦いが起こりやすい。

 

*

 

6月9日、土曜日。

 

 東京都中野にある民間施設、LEVEL(レベル) STUDIO(スタジオ)。

 少し前、ARAKIと小学生たちが対抗戦を行った会場だった。

 

 選手ブースも、大型スクリーンも同じ。

 だが今日は、スポンサーのロゴと配信カメラが並び、あの日とは空気が違う。

 

 大型スクリーンには、先日撮影された宣材写真と対戦カード。

 

〈ARCANA vs BUSTER〉

 

 ARCANA(アルカナ)とBUSTER(バスター)による、SJL Summer(サマー) Split(スプリット)の開幕戦である。

 

 関係者席で、和田はようやく腰を下ろした。

 ARAKIの公式戦デビューとあって、殺到するスポーツ紙やテレビ局からの取材依頼。

 さらにリーグ運営への確認、関係者への挨拶等を終え、ようやく一息ついたところだった。

 

和田「……いやはや」

 

 客席を見渡し、思わず声が漏れる。

 

 目につくのは、BUSTERのチームカラー。

 200席ほどの客席にはFROGのグッズが目立ち、その中に古い日本代表ユニフォームや、サッカー時代の《ARAKI 1》のタオルがちらほらと混じっている。

 

 荒木将を見に来た人間はいる。

 だが、ARCANAを応援しに来た人間は――まだ少ない。

 

榊原「ずいぶん大きな選手を獲得されましたね、和田さん」

 

 声に振り向く。

 紫色の髪に、金のイヤリング。

 

 榊原(さかきばら)佳乃子(かのこ)。

 国内絶対王者、BUSTERのオーナーである。

 

和田「これは榊原さん。ご無沙汰しております」

榊原「ARAKI選手の獲得、おめでとうございます。羨ましいですよ。あれほどの方が、よくARCANAへ」

和田「ワシも時々、不思議に思いますな」

片桐「そこで不思議がっている場合ではないでしょう」

 

 通路を歩いてきた片桐が、会話へ割って入った。

 

片桐「あれほどの大物を獲得できたのですから、コーチの1人くらい雇えないものですかね」

和田「うっ」

榊原「片桐さん。貴方は経営者ではないでしょう」

 

 榊原が穏やかに遮った。

 

榊原「予算もそうですが、コーチは人材が枯渇しているのです。欲しいと言ってすぐ生えるものではありませんよ」

 

 片桐は髭をいじりながら目を細める。

 

片桐「お優しいことで……」

和田「……面目次第もございませんな……」

 

 その時、長身の男が榊原へ近づいた。BUSTERの現場マネージャーだ。

 

マネージャー「榊原さん。試合後の取材、リーグ側との確認が取れました」

榊原「ありがとうございます。予定どおりお願いします」

マネージャー「はい」

 

 男はそれだけ告げると、今度は別の大会スタッフのもとへ向かった。

 

 BUSTERは、コーチが競技を、マネージャーが実務を支え、榊原が経営を見る。

 

 一方のARCANAでは、経営に加え、今のような取材の調整も、スポンサーや大会運営との連絡も和田の仕事だ。

 限られた予算と人手の中で、和田自身が走り回っている。

 

 コーチもアナリストも確保できず、その役割は選手のARAKIとLemonが補っていた。

 

 客席だけではない。

 

 王者との差は、ステージの外にもあった。

 

*

 

 試合開始までは、まだ少し時間があった。

 

 LEVEL STUDIOのバックヤードには、自動販売機と簡単な椅子が置かれた共用休憩スペースがある。

 すぐ脇にはトイレもあり、選手やスタッフが行き交っていた。

 

 押し寄せるような取材を終えたARAKIが、その休憩スペースで一息ついていた。

 ふう、と息を吐いた瞬間、反対側の通路から2人の選手が入ってくる。

 

 1人は、すぐに分かった。

 整えられた黒髪に、柔らかな顔立ち。

 SOLを始める前、takaに見せられた初心者向け動画に映っていた中国人。

 

 国内絶対王者BUSTERのJungleにして、人気ストリーマーでもあるFROG。

 

FROG「……ARAKIさん?」

 

 FROGの方が先に足を止めた。

 

ARAKI「FROG選手だな。初めまして」

FROG「はい。初めまして」

 

 動画で見せる砕けた雰囲気とは違い、声にはわずかな緊張が混じっていた。

 

FROG「お会いできて光栄です。子どもの頃、あのワールドカップを見ていました」

ARAKI「そうなのか……光栄だ」

FROG「まさか同じ競技の選手として対戦することになるとは思いませんでした」

 

 ARAKIは少し笑った。

 

ARAKI「それを言うなら、俺も似たようなものだ」

FROG「え?」

ARAKI「君の動画がきっかけで、このゲームを始めたんだ」

FROG「……僕の?」

ARAKI「ああ。息子に初心者向けの動画を見せられてな。SOLがどういうゲームなのか、最初に教えてもらったのが君だった」

 

 FROGが珍しく言葉を止めた。

 

FROG「……作った甲斐がありました」

 

ARAKI「不思議なものだな。今日はよろしく頼む」

FROG「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 その隣で、もう1人の選手が先ほどからARAKIを凝視していた。

 

ARAKI「ん?」

Trigger「あ、いや! すんません!」

 

 FROGが小さく吹き出した。

 

FROG「さっきからずっと……ミーハーすぎでしょう」

 

 短い濃茶色の髪。太い眉。がっしりした体格。

 

 開幕戦に向けて調べたBUSTERの選手資料を、ARAKIは頭の中で探る。

 

ARAKI(この……ゴツい太眉は確か……)

 

ARAKI「……ADCのTrigger(トリガー)選手だったかな」

Trigger「覚えていてもらえて光栄です! 今日はよろしくお願いします!」

ARAKI「ああ、お手柔らかに頼む」

 

 その時、少し離れた通路から声が飛んできた。

 

RAKU「FROGー! チンタラしてるとマネージャーに怒られるでー!」

 

 灰茶色のセンターパートに、眠たげな一重。

 

ARAKI(あの関西人……確か、MidのRAKU(ラク)、だったか)

 

FROG「すみません。もう行きます!」

RAKU「俺に謝ってもしゃーないでー」

Trigger「ほら行くぞ」

 

FROG「では、また試合で」

ARAKI「ああ」

 

 FROGとTriggerがRAKUの方へ小走りで戻っていく。

 

 国内絶対王者という名前から、もっと張り詰めた集団を想像していた。

 だが今見た3人は、試合前とは思えないほど普段どおりだった。

 

*

 

 ARAKIがARCANAの控室へ戻ると、こちらの空気はまるで違っていた。

 

 静かだった。

 

 今日は、ARAKI加入後初めての公式戦。

 いつも以上の取材陣と視線が、控室の空気まで固くしていた。

 

 ただ1人。

 

Lemon「みんな固すぎません?」

 

 控えのLemonだけは、ソファへ座って妙に気楽そうだった。

 

Zark「そりゃLemonさん今日出ないからでしょ!」

Lemon「いや、ボクだってチームが負けるのは嫌だよ」

Zark「その顔で言われても説得力ねーっす!」

Lemon「じゃあボクも震えた方がいい?」

Zark「そういうことじゃなくて!」

ZERO「控えライフを満喫していますね」

Shadow「何の為に小学生と戦ったのやら……」

 

 ようやく、少しだけ普段の声が戻る。

 ARAKIは5人を見回した。

 

ARAKI「ハァ……さっきFROGに会ったぞ」

ZERO「FROGさんに?」

ARAKI「ああ。ADCのTriggerと一緒に飲み物を買いに来てた」

Pika「試合前に会ったんですカ!」

ARAKI「ずいぶん落ち着いてた。お前らとは大違いだな」

Zark「王者と比べないでくださいよ……」

Shadow「実績が違いすぎますからね……」

 

ARAKI「そうだな」

 

 ARAKIはあっさり認めた。

 4人の視線が集まる。

 

ARAKI「それだけ勝ちたいってことだろ」

 

 誰も否定しなかった。

 

 ARAKIが加入してからここまで。掃除や姿勢改善に始まり、濃密な時間を過ごしてきた。

 

Zark「勝ちたいっす……今までのオレ達とは違う! プロテインまで飲んできたんだぞ……」

Lemon(練習内容とかじゃなくてプロテインなんだ……)

 

 その時、控室の外から、選手の移動を促す声がかかった。

 ARAKIが立ち上がると、4人も続いた。

 

 Lemonだけが、その場に残る。

 

Lemon「いってらっしゃい」

 

 先発5人は、控室を出た。

 

*

 

 スタッフに案内され、ステージ袖の待機位置へ向かう。

 客席から聞こえるざわめきは、先ほどよりも大きい。

 

 やがて、会場の照明が落ちた。

 大型スクリーンにリーグ開幕の映像が流れ、低く響く音楽とともに会場の空気が変わる。

 

HARU「さあ、いよいよ始まります! SOL Japan League、Summer Split!」

 

 小学生との対抗戦でも実況を務めたHARUの声が、会場いっぱいに響いた。

 

HARU「記念すべき開幕カード! まず登場するのは、国内絶対王者――BUSTER!」

 

 選手紹介に合わせて歓声が上がり、BUSTERのメンバーが順に姿を見せる。

 FROGの名が呼ばれると、その声はさらに大きくなった。

 

 ARCANAの面々は、ステージ袖で黙って聞いている。

 

HARU「そして、その王者へ挑むのは――新生ARCANA!」

 

 BUSTERほどではない。

 それでも、拍手と歓声が起こる。

 

HARU「元日本代表GK! ワールドカップ優勝経験を持つ《ARAKI》を迎え、今季から新たな体制で挑みます!」

 

 名前を呼ばれ、ARAKIが照明の下へ出た。

 

観客「……マジで荒木だ」

観客「本物じゃん……」

 

 客席のあちこちからどよめきが漏れ、ステージ脇のカメラも一斉にARAKIへ向いた。

 

 開幕戦に、元日本代表GKの公式戦デビューまで重なっている。

 いつものリーグ戦より、明らかにメディアが多かった。

 

 同じく対抗戦で解説を務めたNAGIが、言葉を添える。

 

NAGI「ARCANAは昨季までとはかなり違うチームになっていますね」

HARU「ARAKI加入、その効果をこの王者相手に見せられるでしょうか!」

 

 5人が選手席へ向かう。

 照明の向こうには、段差をつけて並ぶ200席ほどの観客席。

 やはり目につくのは、BUSTERのチームカラーだった。

 

Pika「……アウェイですネ」

Zark「分かってたけど、こうして見ると結構エグいっすね……」

 

 ARAKIが客席へ目を走らせる。

 見慣れた4人がいた。

 家族たちだ。

 

 そしてtakaが、頭上へタオルを掲げている。

 

 そこに書かれていたのは――。

 

〈Zark〉

 

ARAKI(……俺じゃないのかよ!)

 

 隣で、Zarkも気づいた。

 

Zark「……あれ」

 

 目を凝らす。

 口元がわずかに緩む。

 

 だが、それも一瞬だった。

 Zarkはもう一度タオルを見つめると、ぐっと口を結んだ。

 

Zark「……負けらんねえな」

 

 肩に、先ほどより力が入った。

 

 Pikaも、ZEROも、Shadowも、客席と自分たちの席を何度も見比べている。

 ARAKIはその様子を見て、隣のPikaの肩へ腕を回した。

 

Pika「おっ! アレですネ!?」

 

 それは、ARAKIが以前、小学生たちと試合前に行っていたものだった。

 

Zark「……はあ!? なんでここで!? 恥ずいっすよ!」

ARAKI「緊張をほぐすには、これが1番だ」

Zark「もっと他にあるでしょ!」

Pika「ハハ! いいじゃないですカ! やりまショウ!」

 

 PikaはそのままShadowの肩へ腕を回す。

 

Shadow「本当にやるんですか……」

ZERO「カメラ、こっち向いてますよ」

ARAKI「だから何だ。声を出せば少しはマシになる」

Zark「うわぁ……マジかよ……」

 

 文句を言いながらも、Zarkも輪の中へ入った。

 ぎこちなく、5人で肩を組む。

 その姿を、会場カメラが捉えていた。

 

ARAKI「絶対勝つぞ!」

4人「オーッ!」

 

 輪を解く頃には、4人の表情も少しだけ緩んでいた。

 

 その様子を、反対側から見ている男がいた。

 BUSTERのコーチ、Crest(クレスト)だ。

 

Crest(英雄の加入で何かが変わったということか……)

 

 やがて両チームの選手が、それぞれの席へ着く。

 

HARU「さあ、それではBan(バン) & Pick(ピック)です!」

 

 使用禁止と選択が進み、やがて大型スクリーンへ両チームの編成が表示された。

 

〈ARCANA〉

Pika/Top/レネクト

ZERO/Jungle/セジャニ

Shadow/Mid/オリアネ

Zark/ADC/ジンク

ARAKI/Support/ブラウン

 

〈BUSTER〉

Tetsu(テツ)/Top/マルファ

FROG/Jungle/ニダリ

RAKU/Mid/ヴィクト

Trigger/ADC/ルシオン

Nero(ネロ)/Support/スレイシュ

 

NAGI「ARCANAは、かなり集団戦を意識していますね。5人でまとまって戦う形になれば強い構成です」

HARU「序盤を耐えて、得意の5対5へ持ち込めるか! 対するBUSTERは、やはりFROGの動きに注目です!」

 

 画面が切り替わる。

 

HARU「Game 1、スタートです!」

 

*

 

 最初に牙を剥いたのは、やはりFROGだった。

 

 Topでは、Pikaのレネクト(Top)――刃を持つワニの戦士が、兵士を挟んで相手と睨み合っている。

 

 その横手。

 視界の外から、1本の長槍が飛んだ。

 

HARU「当てた!」

 

 槍は、下がろうとしたレネクト(Top)へ吸い込まれるように突き刺さる。

 次の瞬間には、FROGのニダリ(Jungle)が森から飛び出していた。

 長槍を携えた女狩人。

 

 ニダリは、人と獣の姿を切り替えるChampionだ。

 人の姿では長槍を投げ、獣になれば高い機動力で一気に距離を詰める。

 

 だがFROGの操作には、その忙しさを感じさせる間がなかった。

 槍が命中したのを見てから動いたのではない。

 当たると分かっていたように、次の操作へ入っている。

 

HARU「FROG、速い! Pikaへ一気に詰める!」

 

ZERO「寄れます」

ARAKI「寄るな。Pika、全部捨てて下がれ」

Pika「了解デス!」

 

 Pikaは逃げ切れなかった。

 

 FIRST BLOODの表示と同時に、客席から大きな歓声が上がる。

 

Zark「クソ……この化け物が……」

 

 ARAKIも画面から目を離さない。

 

ARAKI(映像では何度も見た。だが――実際に戦うと、これほどまでの圧か……!)

 

 客席でも、大きな拍手が起きていた。

 

明美「あの中国人の人、すごい人気ね」

taka「このリーグで1番強いからね」

明美「ふうん……」

 

 そのFROGが、今度はBot側へ姿を見せる。

 

 Zarkのジンク(ADC)――銃を構えた青髪の少女が、後ろへ下がる。

 ARAKIのブラウン(Support)――大盾を構えた大男も、その前へ立った。

 

ARAKI「下がるぞ。ここは捨てる」

Zark「了解!」

 

 FROGは深追いしない。

 代わりに、BUSTERがその場で得られる小さな利益を拾っていく。

 

HARU「FROG、各レーンへ圧をかけています! しかしARCANAも、それ以上の被害は許していません!」

NAGI「かなり割り切っていますね。無理に取り返しに行っていません」

 

 大型スクリーンの視点が、下側の川へ切り替わる。

 壁に囲まれた大きなくぼみには、翼をたたんだ巨大なドラゴンが鎮座していた。

 まだ誰も手を出していないが、周囲では互いの牽制が始まっている。

 

HARU「そして両チーム、ドラゴンを強く意識した立ち上がりです!」

 

 客席の明美は首を傾げる。

 

明美「ドラゴン?」

taka「ドラゴンを倒すと、チーム全員が強くなるんだよ。例えば攻撃力が上がったりね」

明美「じゃあ、先に倒しちゃえばいいのね」

taka「そう簡単じゃないよ。相手も取りに来るから、その前で戦いになる」

明美「なるほど……」

 

 明美が、もう一度大型スクリーンへ目を戻す。

 

 画面では、またFROGの槍が飛ぶ。

 命中した瞬間、ニダリ(Jungle)が獣へ変わり、一気に距離を詰める。

 だがARCANAが下がれば、深追いはしない。

 相手を下がらせ、その分だけBUSTERが動ける場所を増やしていく。

 

 それでもARCANAは、追わない。

 

 BUSTERのVC(ボイスチャット)で、RAKUが小さく笑った。

 

RAKU「……前やったら、ここからズルズルいってたんやけどな」

 

RAKU「やるやん、ARAKI」

 

*

 

 ――数日前。

 BUSTER戦へ向けた対策会議。

 

ARAKI『FROGとはやり合わない』

 

ZERO『いいんですか? 彼を野放しにしたら、それこそ終わりでは?』

ARAKI『この化け物が動けば、何かは取られる。残念ながら、今の俺たちはこいつを個人で止められない』

 

 ARAKIがモニターの盤面を指した。

 

ARAKI『だから、1つ取られたら、1つで止める。小さな損は受け入れる』

Lemon『差を広げなければ、集団戦で返せるということですね』

ARAKI『そうだ。序盤でFROGに勝つ必要はない』

Shadow『5人で戦えるところまで、致命傷を避けて……』

ARAKI『そう……その後でひっくり返す』

 

*

 

 そして今。

 

 試合は、その想定から大きく外れていない。

 FROGに有利を渡しながらも、ARCANAはまだ壊れていなかった。

 

 試合時間は、7分を回ろうとしている。

 ドラゴンは、まだ川のくぼみにいた。

 

 そして、その時が来る。

 

ARAKI「全員、ドラゴンだ!」

 

 待っていた。

 このために、序盤の損を受け入れてきた。

 

 ARCANAの5人が、下側の川へ向かう。

 

 判断が遅れたつもりはない。

 それでも、ドラゴンへ続く道へ入った瞬間。

 

ARAKI「……!」

 

 岩石生命体のマルファ(Top)が、くぼみへ続く入口を塞ぐように立っていた。

 その斜め後ろでは、鎖を携えた亡霊のスレイシュ(Support)が、ARCANAの進路へ狙いを定めている。

 

 ARAKIには、その形がすぐに分かった。

 サッカーで、DFが立ち位置だけでシュートコースを潰していくように。

 

 BUSTERはすでに――。

 

 ドラゴンを巡って戦うための位置取りを、終えていた。

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