オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル
タグ:R-15 オリ主 転生 AI本文利用 #異世界スローライフ #地味スキル #無覚醒系主人公 #チート隠し #安全地帯 #異世界転移 #男主人公 #女騎士 #じれったい距離感 #Web小説
二次創作ではないですがキャラクターの設定を寄せてます。
元の話は長いですが文章を圧縮しているので展開が速いです。
プロットのような物と思ってください。
主人公:名前はあえて書きませんので男で統一します。
キャラクターのイメージとして
セリス:fateの騎士王っぽい人
エレナ:fateの皇帝陛下っぽい人
シルフ:副ギルド長っぽい人
フィオナ:fateのモーさんっぽい人
という感じです。見た目と性格がそんな感じというだけです。
第一話 異世界での目覚め
目を覚ましたとき、男は見知らぬ草原に立っていた。
「……ここ、どこだ?」
空は青い。
雲もある。
遠くには森があり、そのさらに向こうには、巨大な山脈が見える。
少なくとも、日本ではない。
男はしばらく周囲を眺め、それから自分自身を確認した。
「服は……普通。怪我もなし」
ポケットを探る。
何もない。
財布も、スマートフォンも、鍵もない。
だが、不思議なことに混乱はそれほどなかった。
自分が令和の日本で暮らしていたことは覚えている。
日本語も覚えている。
学校や仕事、テレビ、ネット、コンビニ、電車。
そうした知識は残っている。
なのに、自分の名前だけが思い出せない。
何歳だったのかも分からない。
両親の顔も、友人の顔も浮かばない。
「……まあ、いいか」
悲しくないと言えば嘘になる。
だが、不思議なほど執着もなかった。
失ったものを思い出せないのだから、喪失感そのものが薄いのだろう。
そのときだった。
頭の中に、いくつかの情報が浮かんだ。
「これが異世界特典ってやつか」
男は苦笑した。
まずはアイテムボックス。
容量はかなり大きい。
だが無限ではない。
広さにすれば、およそ百坪。
高さは三階建て程度。
時間は停止する。
生き物は入れられない。
「……ガチャならレアじゃなくて、コモン上位ってところか」
次に、前世の品を取り寄せる能力。
ただし、何でも無限に取り出せるわけではない。
使うたびに精神的な疲労がある。
「金儲けには使えないな」
そして、異常状態無効。
毒、麻痺、石化、盲目、威圧など。
どうやら身体に悪影響を与える状態異常は、ほぼ無効化されるらしい。
「これは……地味に便利だな」
さらに錬金術。
この世界では魔法におけるイメージが重要らしい。
科学知識や映像で見た現象を思い浮かべることで、普通の魔法使いには難しい現象も再現できる。
とはいえ、何でもできるわけではない。
金を作ることもできる。
しかし、純度や魔力効率を考えると、大金を稼げるほどではない。
「結局、生活用か」
そして最後。
男が最も価値を感じた能力。
――安全地帯。
最大でアイテムボックスと同程度の空間を作り出せる。
外部から認識できない。
内部からは自由に出入りできる。
入口を閉じれば、外からは何もない場所にしか見えない。
「……これ、野営では滅茶苦茶強いんじゃないか?」
男はしばらく考えた。
知識を確かめ、そして笑った。
「まあ、いい。派手じゃないなら、それに越したことはない」
英雄になるつもりはない。
王になるつもりもない。
世界を救うつもりもない。
ただ、生きていければいい。
そう考えた。
それが、この世界での男の最初の目標になった。
第二話 冒険者という仕事
都市へ向かう道中で、男は一つの結論に達した。
「とりあえず冒険者だな」
この世界で身元のない人間が生活するなら、それが一番手っ取り早い。
幸い、言葉も文字も問題ない。
都市へ入ると、男は冒険者ギルドへ向かった。
「冒険者登録をお願いします」
受付嬢が顔を上げた。
「ソロですか?」
「はい」
「得意分野は?」
「土魔法です」
「攻撃系ですか?」
「……まあ、そこそこ」
「自己評価は?」
「死なない程度には」
受付嬢が少し困った顔をした。
「珍しい答えですね」
「安全第一の冒険者なので」
結果として、男は平均的なランクから始めることになった。
能力については最低限しか申告していない。
この世界では、自分の手札を他人に全部教える人間のほうが珍しい。
男は土魔法使い。
それだけでいい。
安全地帯のことも。
索敵能力も。
異常状態無効も。
アイテムボックスの容量も。
何も言わない。
そして数か月が経った。
「お前、またソロか?」
ギルドの酒場で、顔見知りの冒険者が声をかけてきた。
「そうだな」
「パーティ組まないのか?」
「面倒だから」
「理由が地味だな……」
「冒険者生活そのものが地味なんだよ」
「お前の場合はそうかもしれん」
男は笑って酒を飲んだ。
実際、その通りだった。
昼間は依頼を受ける。
薬草を採る。
魔物を狩る。
護衛をする。
遺跡を調査する。
夜になる。
安全地帯を展開する。
その中に家を出す。
風呂に入る。
食事をする。
寝る。
「……最高だな」
誰にも見張られることなく眠れる。
盗賊も魔物も関係ない。
野営中に交代で見張る必要もない。
朝になれば片付けて外へ出る。
ただ、それを知られるわけにはいかなかった。
「便利な土魔法使い」
周囲からは、そう思われていた。
男にとって、それが一番都合がよかった。
第三話 小さなクエスト
「依頼を三つ受けたい」
男が言うと、受付嬢が依頼書を並べた。
「薬草採取、街道確認、そしてゴブリン討伐ですね。……全部お一人で?」
「はい」
「……本当に?」
「本当に」
最初の依頼は薬草採取だった。
指定された森へ入り、必要な薬草を集める。
ついでに魔物も数匹倒す。
帰る。
それだけだった。
次の街道確認では、崖崩れを発見した。
「これは通れないな」
男は土魔法で崩れた土砂を片付けた。
さらに道を補修する。
「土魔法って便利だな」
自分で言っておいて、男は少し笑った。
三つ目のゴブリン討伐では、巣穴を発見した。
数は二十。
「……多いな」
男は巣穴の入口を土で塞いだ。
別の出口を探す。
なければ終わり。
あれば塞ぐ。
最後に煙を流し込む。
「冒険者って、もっと剣と魔法で戦うものだと思ってたんだけどな」
誰も見ていないので、男は遠慮なく効率を優先した。
その結果、依頼は予定より早く終わった。
第四話 セリス
数年が過ぎた。
男はすっかり都市の冒険者ギルドに馴染んでいた。
「おい、地味男」
「なんだ」
「明日の護衛、空いてるか?」
「内容は?」
「商隊。三日」
「報酬は?」
「普通」
「じゃあ受ける」
「相変わらず決断が早いな」
そんな日常だった。
そんなある日のこと。
男はギルドの掲示板を眺めていた。
「遺跡調査……」
報酬は普通。
危険度も普通。
人気はない。
「これでいいか」
必要人数は二人。
男は参加を申し込んだ。
翌朝。
「……あ」
集合場所に立っていた女を見て、男は固まった。
金髪。
青い瞳。
凛とした立ち姿。
ブレストメイル。
ロングスカート。
腰には大剣。
「セリスだ」
「……知ってる」
「そうか」
「よろしく」
「よろしく頼む」
セリスは小さく頷いた。
「昨日、あなたが参加したと聞いた」
「そうだな」
「土魔法使いだったな」
「そう」
「以前、護衛で一緒になったことがある」
「覚えてる」
「野営が楽だった」
「それは良かった」
「……あなたは、本当に地味だな」
「褒め言葉として受け取っておく」
セリスは少しだけ口元を緩めた。
「では行こう」
「ああ」
第五話 遺跡の奥
最寄りの町まで馬車で移動した。
男は商人から余った荷物を預かっていた。
「帰り道、空荷になるのが嫌なんだ」
セリスが首を傾げる。
「冒険者が商人の真似をするのか?」
「損をするよりいいだろ」
「……合理的だな」
「日本人だからな」
「ニホンジン?」
「独り言だ」
遺跡に到着すると、二人は調査を始めた。
昼過ぎ。
男の索敵能力が反応した。
「待って」
セリスが振り返る。
「何かいるのか?」
「人間。二十人くらい」
「盗賊か?」
「たぶん」
二人は身を隠した。
しばらくすると、武装した男たちが遺跡へ入ってきた。
「……あれは」
セリスの表情が変わった。
盗賊たちは遺跡の奥へ進む。
二人も後を追う。
やがて盗賊たちは、大きな石箱の前で止まった。
石箱には紋章が刻まれている。
国章。
そして神殿の紋章。
セリスが息を呑んだ。
「どうした?」
男が小声で聞く。
「知っているのか?」
「国家秘匿級の紋章だ」
「なるほど」
その瞬間だった。
セリスがわずかに声を漏らした。
「っ……!」
盗賊たちが振り返る。
「誰だ!」
セリスが剣を抜いた。
「逃げるぞ」
「分かった」
「……え?」
男の言葉をよそに、セリスが走り出した。
「おい!」
「戦う!」
「話が違う!」
大剣が振り下ろされる。
盗賊が吹き飛ぶ。
「強いな!」
「今さらか!」
男は土壁を作り、盗賊たちの動きを制限した。
その直後。
石箱から光が漏れた。
「……何だ?」
次の瞬間。
石箱の蓋がゆっくりと開いた。
黒い影が立ち上がった。
人間の上半身に似ている。
だが、人間ではない。
禍々しい。
見た瞬間に、身体が凍りつく。
セリスの手が止まった。
「……っ」
男だけが動けた。
「これは……まずい」
男はセリスの腕を掴んだ。
「セリス!」
「……」
「逃げるぞ!」
セリスは動かない。
男はそのまま彼女を引きずった。
「失礼!」
安全地帯を展開する。
二人は内部へ飛び込んだ。
入口が消える。
静寂。
男は仰向けに倒れた。
その上にセリスが倒れていた。
「……」
「……」
二人とも何も言わない。
セリスの身体が震えている。
「大丈夫だ」
男は背中をゆっくり撫でた。
「ここは安全だから」
「……怖い」
セリスが小さく呟いた。
「うん」
「……身体が動かない」
「無理に動かなくていい」
男は何度も同じ言葉を繰り返した。
「大丈夫だ」
しばらくすると、セリスの呼吸が少しずつ落ち着いていった。
第六話 安全地帯
セリスがようやく身体を動かせるようになった。
「……すまない」
「何が?」
「その……」
「気にしなくていい」
「だが……」
「冒険者なら、こういうこともある」
セリスは顔を伏せた。
「……優しいな」
「普通だろ」
「普通ではない」
男は返家に困った。
「とりあえず、休もう」
アイテムボックスからテーブルを出す。
椅子を出す。
紅茶を淹れる。
「……」
セリスがじっと見ている。
「何?」
「あなたの荷物は、どうなっている?」
「色々入ってる」
「色々とは?」
「色々」
「……そうか」
セリスは追及しなかった。
それが男にはありがたかった。
食事も作った。
「これは?」
「シチュー」
「……美味しい」
「それならよかった」
「こんなものを野営で食べているのか?」
「できるときだけ」
「羨ましいな」
「そう?」
「そうだ」
食事が終わる。
二人は別々のテントで休んだ。
男はすぐに眠った。
セリスはなかなか眠れなかった。
何度も男のことを考えてしまう。
怖かった。
だが、その恐怖から自分を救ってくれたのは男だった。
「……どうして、こんなに気になるんだ」
答えは出なかった。
第七話 遺跡の調査
数時間後。
男は起きた。
「おはよう」
セリスもテントから出てきた。
「おはよう」
男は紅茶を渡した。
「ありがとう」
「外を確認する」
男が索敵する。
「……動きなし」
「本当に?」
「ああ」
二人は外へ出た。
盗賊たちは全員倒れていた。
石箱は閉じている。
「触らない方がいいな」
「同感だ」
男は盗賊たちの装備と石箱を収納した。
セリスが目を丸くする。
「全部入るのか?」
「入る」
「……便利だな」
「そう?」
「そうだ」
その後、遺跡を調査した。
隠し部屋。
古い武器。
魔導具。
資料。
小さな宝箱。
それなりの収穫になった。
「これなら依頼料以上だな」
「そうだな」
二人は遺跡を出た。
外には盗賊たちが使っていた馬車と馬が残っていた。
「これも戦利品だな」
「売るか?」
「売ろう」
帰路は思ったより穏やかだった。
第八話 少し近くなった距離
町に戻った二人は宿を取った。
公衆浴場で疲れを取る。
夕食を食べる。
「今日は助かった」
セリスが言った。
「こっちも助かった」
「私が?」
「剣が強い」
「……そういう意味か」
「他に何がある?」
セリスは少し不満そうに頬を膨らませた。
「……何でもない」
男は気づかなかった。
その夜。
セリスは部屋で一人考えていた。
「……もっと話してみたい」
それだけだった。
まだ恋人になるわけではない。
まだ互いを知り始めたばかりだ。
だが、以前とは違う。
セリスは男のことを、少しだけ特別な相手として意識し始めていた。
第九話 新しい依頼
都市へ戻った二人は、それぞれギルドへ報告した。
「次の依頼は?」
男が掲示板を見る。
「鉱山調査」
セリスが横から覗き込む。
「受けるのか?」
「報酬は悪くない」
「では、私も行こう」
「いいのか?」
「固定パーティではないが、しばらく一緒に仕事をしてみたい」
「分かった」
こうして二人の冒険は続いた。
鉱山では魔物の群れに遭遇した。
街道では商隊を魔物から守った。
山村では水源が枯れた原因を調査した。
古い井戸の底から魔導具を発見した。
さらに別の依頼では、迷子になった子供を森から連れ戻した。
どれも英雄譚になるような仕事ではない。
だが、二人にとっては一つ一つが大切な経験になっていった。
「セリス」
「何だ?」
「今日は安全地帯を使う」
「分かった」
「家も出す」
「……家?」
「家」
安全地帯の中に現代住宅が出現する。
セリスは絶句した。
「……何だ、これは」
「家」
「見れば分かる!」
男は笑った。
「風呂、使う?」
「使う」
「テレビもある」
「テレビ?」
「説明する」
「……本当に、お前は不思議な男だな」
「よく言われる」
セリスも笑った。
その笑顔を見て、男は思った。
この生活も、悪くない。
だが、まだ二人の関係に名前はついていなかった。
第十話 セリスの家族
ある日。
ギルドへ行くと、セリスが待っていた。
「少し付き合ってほしい」
「依頼?」
「違う」
「何?」
「家族に会ってほしい」
「……」
男は固まった。
「どうして?」
「事情がある」
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫だ」
「その言葉を信用していい?」
「たぶん」
「たぶんって……」
連れて行かれた先には、姉妹たちと両親がいた。
最初の女性、長女のエレナが男を見て笑った。
「ほう。これがセリスの相手か!」
「エレナ姉さん」
「余は気に入ったぞ!」
騎士団長である長女は豪快に笑う。
次女のシルフは静かに男を見る。
「あなたが例の魔法使いですか」
「例の?」
「セリスから聞いています」
末妹のフィオナは腕を組んで睨む。
「お前が姉貴の相手か」
「……はい」
「ふーん」
父親は疲れた顔をしていた。
母親は笑顔だった。
「まあまあ。まずはお茶をどうぞ」
男は椅子に座った。
セリスが隣に座る。
距離が近い。
「……セリス」
「何だ?」
「近くない?」
「そうか?」
「そうだと思う」
「私はこのくらいがいい」
「……そうですか」
エレナが笑う。
「なるほどな」
「何がです?」
「分かりやすいではないか!」
「お姉さま!」
セリスの顔が赤くなる。
男はその様子を見て、初めて理解した。
セリスは、自分を信頼している。
それだけではない。
もっと別の感情がある。
だが、男もまだその名前を口にするつもりはなかった。
第十一話 冒険者の日常
その後も二人は冒険を続けた。
雨の日には依頼を延期した。
晴れた日には遠出をした。
魔物を狩り、薬草を採り、遺跡を調べた。
酒場で食事をしながら、その日の失敗を笑った。
「今日、お前は転んだな」
「見ていたのか」
「見ていた」
「忘れろ」
「無理」
「……なら、お前が初めて魔物に追われた時の話をする」
「それは忘れてくれ」
「交換条件だ」
「成立だ」
二人は笑った。
いつの間にか、一緒にいることが自然になっていた。
そしてある日の夕方。
依頼を終えて街道を歩いていると、セリスが突然立ち止まった。
「なあ」
「何?」
「これからも一緒に冒険してくれるか?」
男は少し考えた。
「仕事として?」
「……仕事だけではない」
男はセリスを見る。
セリスも男を見る。
「まだ答えを急がなくてもいい」
男が言った。
「……そうだな」
セリスは笑った。
「では、もう少し一緒にいよう」
「ああ」
二人は再び歩き始めた。
この時点では、まだ恋人ではない。
だが、互いの距離は確実に近づいていた。
呼んでもらった方の反応次第で書き溜めしているものを上げます。
よろしくお願いします。