【機動戦士ガンダム】七色の新星ガルマ・ザビ   作:おかかと梅干

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ここまでのお付き合い、ありがとうございます。
6話までは会話劇中心になります。
大きな展開がお好きな方は、7話までサクッと読み進めていただければと思います。戦闘シーンも本格的に始まります。
会話劇にも今後につながる伏線を仕込んでおりますので、気になった方はぜひ覗いてみてくださいませ。



第5話 2つ目の星

 

ガルマがシャアと別れたあと、副官のダロタが間髪いれずに駆け込んできた。敬礼もそこそこに要件を告げる。ドズル中将から通信が入っていると。

 

5分おきに。すでに20回目だそうだ。徐々に表情の変わっていくドズルを取次するのはダロタには酷であっただろう。

 

ガルマは苦笑しながら通信室に向かった。通信は繋がったままだった。

 

「ガルマァァァ!」

 

通信室にこだまする。人払いしているがたぶん室外まで聞こえていただろう。

 

ガルマの顔を見るなりドズルは涙ぐみ、どれだけ心配したかを10分にわたり喋りつづけた。

 

「なぜすぐに通信に出んのだ。体調がすぐれなかったか」

 

「体調は万全ですよドズル兄さん。昼寝が長すぎたせいか仕事が溜まっていたので片付けていたんです」

 

ドズルは今度はガルマの司令官としての立派な心構えに、感心の言葉を10分にわたり熱弁した。

 

「ガルマ、それで木馬だがそちらでも捕捉できているか」

 

木馬に関しての報告は来ていた。本来であればジャブローに向かうためカリブ海やメキシコ方面に向かうと思われたが、西進を続けているらしい。太平洋に出るつもりか。

 

「ランバ・ラル大尉をそちらに向かわせた。シャアに代わり、やつの部隊に木馬を追わせる」

 

青い巨星の異名をもつ男ランバ・ラル。その指揮する部隊はゲリラ戦を得意とし、重力下での戦闘にも精通している。彼の隊をのせたシャトルは今日中にキャリフォルニアに着く予定だという。

 

「今後はシャアには任せられん。奴は一度宇宙へあげ、どこか補給基地の警備でもやらせる」

 

どうやらシャアは左遷されるようだ。ガルマが暗殺について喋らなかったためその罪を負う事はなかったが、ザビ家の人間を目の前にして危険にさらした事が、軍人としての経歴に大きな傷となったようだ。

 

まったくザビ家の力とはたいしたものだ。七光りと言われても仕方がない。

 

「ドズル兄さん、ひとつお願いがあります」

 

「快気祝いだ。遠慮するななんでもいえ」

 

「では、シャアを私に預けていただけませんか」

 

ドズルはうろたえ大きく目を見張った。

 

「何をいうガルマ。奴は俺の期待を裏切ったばかりか、お前の命を危険にさらしたのだぞ」

 

「私の命を救ってくれたのも彼です。それに少佐の能力は辺境におくには勿体ない」

 

「お前たち二人の仲は知っている。奴を助けたい気持ちもわかるが…」

 

ドズルは一度言葉を区切り、声を低めて続けた。

 

「…今回の奴の行動には不審な点もある」

 

ガルマとシャアの友誼が士官学校時代から続く事をドズルもよく知っている。なにせドズル自身が学校長を務めていたのだから。だが、今回のシャアの不審な行動の片鱗を見ると、素直にガルマのそばに置こうとは思えない。

 

「ドズル兄さん、連邦の木馬は赤い彗星だけの手には負えませんでした。青い巨星といえども思わぬ事態になるかもしれません。それほど連邦の木馬は手ごわい相手です。

木馬は今私の管轄する北米にいます。そうである以上この件は私が対応します。ですが私はまだまだ力不足です。ですからドズル兄さんの力と、優秀な兵の力を貸して頂きたい」

 

「兵を貸すのは構わん。だが──」

 

「お願いします兄さん。私の手で、木馬を討ち果たしたいのです」

 

ガルマが真剣な眼差しでドズルの目を射抜く。それは懇願ではなく、相手に要求を突きつける強引な力強さがあった。

 

「よくぞ言った」

 

ドズルはガルマの中の変化を見てとった。いままでの柔弱が薄れ、自分の責務を果たし、男としての誇りを得ようとしていると。

 

「シャアをお前に預けよう。この件はお前が指揮をとれ。だが約束しろ、お前は前線にはでるなよ」

 

「ありがとうございます兄さん。必ずや木馬をこの手で倒してごらんにいれます」

 

ガルマは力強く宣言した。が、約束については触れなかった。

 

 

ドズルとの通信を終え、ほどなくランバ・ラルの隊を乗せたシャトルが到着した。

 

シャトルから降りてくる数名の人影。いずれも精悍な顔つきをした歴戦の兵顔だ。ただ一人を除いては。

 

長めの金髪を結いあげた細身の女性、クラウレ・ハモン。彼女は凛とした微笑みを浮かべ、小柄なランバ・ラルの後ろに常に付き従う。その姿はラル隊の中では守護天使のように讃えられている。本来軍籍は持たないが、ラルの私設秘書として従軍を許されていた。

 

「あなた、お疲れではありませんか?」

 

ハモンは少し身をかがめるように、ラルに尋ねる。

 

「わしはまだ30代だぞ」

 

ラルは口元に蓄えた髭を少し歪め応える。ラルは重力にひかれた己の体を少しだけ重そうにしていた。最近少しだけ中年太りしてきたようだ。一時期酒浸りの生活をしていた影響が出てきているのかもしれない。だが胸をはり、威勢よく指示を行う。

 

「わしはこのままガルマ様の元へ挨拶に伺う。ハモンお前も同行しろ。他の者は重力下でのMS戦の慣熟を行え」

 

隊員達も初めての地球だ。体は重いのかもしれない。だが内心をおくびにも出さず力強く返答を行った。

 




誤字報告をしていただきまして、いつもありがとうございます!
お礼機能がありませんので、今後もお礼は後書きでさせて頂きたいと思います。

行間を空けました。
少しでも読みやすくなったのでしたら良かったです
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